妻の実家に妊娠の報告をするとものすごく喜ばれた
なにせ初孫だ
彼女の妹たちにとっても大好きな姉の子ども、ということで嬉しくて仕方がないのだろう
電話越しでも喜びが伝わった
だが去年からまだ直接は会っていなかった
妊活中で体調が優れないエアにムリをさせるのは悪いから落ち着くまでは…とのことだったのだが、今度は妊娠中にストレスを与えるのは良くない安定期に入るまでは我慢する、ということらしい
「ただいまー」
すたすた
『お帰りなさい、あなた』
「うん、ただいま」
ただいまのキスより先に手洗いうがいと着替えを済ませる
いくら彼女がウマ娘で病気にかかりにくいとはいえ万一なにかあっては大変だ
「エア」
『んっ』チュッ
「ふふっ、体調は平気か?」
『あぁ、問題ない。元気だぞ』
「君も元気にしてたかい?」
そう言って妻のお腹を撫でる
『ふふっ、さっ、ご飯にしよう』
「ん、今日は何?」
『メインは鯖だ』
『お腹の子にも良いし、あなたも好物だろう?』
「うん。ありがとうね、作ってくれて」
『この子が来てくれるまではあなたに任せっきりだったからな、気にしないでくれ』
「それでも、ありがとう」
『まったく…』
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『「ごちそうさまでした」』
がたっ
「片付けは俺がやるから、エアはソファで休んでて」
『…流石に心配性が過ぎないか?』
「念には念を、だよ」
「産まれてくるまでは気を抜けないからね」
「エアも1人の身体じゃないんだから今まで以上に無理は禁物だよ?」
『はぁ、わかったわかった』
「お風呂はもう少し待っててね」
『わかった。ありがとう』チュッ
「ふふっ、すぅー」ギュッ
『うん?どうしたんだ?』
「いや?幸せだなーって思って」
『なんだ?急に』
「だってさ、エアと出会う前には想像もつかなかったよ、こんなの」
「8つも年下の教え子と在学中に婚約して付き合い初めて、高校卒業と同時に入籍。大学卒業のタイミングで待望の第一子も授かって、こんなに満たされてる…そんな夢みたいなこと、信じられないよ」
『確かにそうかもな』
『私も想像できなかったさ』
『現役中に担当トレーナーと交際して入籍までして、こうも早く子を身ごもるだなんて』
「…やっぱり、早かったか?」
『私が望んだことだ』
『それに』
「?」
『まだ満足されては困るぞ?あなたにはまだまだ幸せになって貰うんだ』
『あなたとわたしとそれからこの子と、3人で』
「そうだな」ギュッ
ピピーピピーオフロガワキマシタ
『「くすっ」』
『相変わらずいいタイミングで邪魔をしてくれるな』
「まったくだ」
「さっ、入ろっか」
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そんな生活を送ることしばらく
『うっ…』
「エア?どうした?」
『すこし、気分が優れなくてな…』
耳を垂らし、困った表情で彼女が言う
時期的に…「つわり、かな?」
『恐らくな…』
『まったく困ったものだな』
「そう、だな…」
またエアが苦しむ姿を見なければならないのか…
何も出来ずにただ見て、無力感に苛まれなければいけない
そんな日々が再び始まった
彼女はどうにも食事がダメなようだった
特に白米の炊けた匂いが辛いようで
お義母さんに電話してみると
とりあえず食べれるものを探して、食べれるときに食べさせるのが良い
さっぱりしているものが食べやすいだろう
とのことだった
「エアー」
「ゼリー食べるか?」
『あ、あぁ』
妊娠中のウマ娘用と書かれたゼリーを彼女の口へと運ぶ
定期検診で病院に行った際に医者から勧められたものだ
ウマ娘はただでさえ必要なエネルギーがヒトより多いのにも関わらず、妊娠したらお腹の赤ちゃんの分まで食べなければいけない
そのために開発されたゼリーだ
かなり高栄養のためお値段はお高いが、妻と子どものためだ
このくらいは痛くも痒くもない
『もう、、むりだ…すまない』
「じゃあ残りは後で食べよっか」
「おっ、今日は半分まで食べれたな」ナデナデ
基本的にはこのゼリーを主食として、食欲のある時はフルーツやサンドイッチなども食べている
ニンジンを丸かじりする元気はないようだが…
そのかいあってか
女医「うん、すくすく育ってますね」
女医「この様子だと次の検診で性別が分かると思いますよ」
お腹の子も元気に育ち、エアグルーヴも少しずつ回復してきていた