世界一幸せなトレーナーとエアグルーヴ   作:たわけ

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ママになるエアグルーヴとパパになるたわけ

エアが回復してからというもの多少の運動はした方が良いということで、たづなさんに相談したうえで出勤時間を少し遅らせて朝の散歩をするようにした。

俺はというとチームメンバー(エアグルーヴの後輩ABC)が卒業してからは専属トレーナーやチームトレーナーは一旦休業し、まだトレーナーのついていないウマ娘たちを指導したり、その娘に合うトレーナーを探したりしている

 

 

「ふぅ、今日も疲れたねぇ」

そんなこんなで今日も愛する妻の待つ我が家へと足を進める

 

ガチャ

「ただいま」

すたすた

『お帰りなさい』

「うん」

 

手洗いうがいと着替えを済ませてただいまのキスだ

それを終えれば…

「ただいまアドマイヤ、お父さんが帰ってきたぞー」

もうすっかり大きくなったエアグルーヴのお腹に手をやりまだ見ぬ愛娘に挨拶をする

『ふふっ、この子もあなたが帰ったのが嬉しいみたいだぞ?』

「えぇー?わかんの?」

『あぁ、元気にお腹を蹴っているからな』

「そっか…痛くないの?」

『違和感こそあるが痛みはまったくないぞ』

「なら良かった」

『さて夕飯にしようか』

『今日は肉じゃがだぞ』

「やった!」

 

 

 

[newpage]

そんな生活を送っていたある日のことだった

夕方ごろデビューすらしていないウマ娘たちを指導しているとき

 

ピピピピピピ

 

一本の電話がかかってきた

 

「もしもしエア?」

『すっ、すまない、仕事中に…』

「…どうした?」

『なんだかお腹がいたくてな…陣痛が来たかもしれん』

「!」

「だっ、大丈夫なのか!?」

『まだ、なんとか…』

「待っててくれ!すぐ帰る!!」

 

 

 

「すまない!今日のトレーニングはこれで終わりだ!!」

そう告げて帰路を急ぐ

 

バタバタ

ガチャ

「エアっ!」

『あなた…』

「エア、大丈夫か!?」

『あぁ、今は落ち着いている』

「そうか…あっ、一旦手を洗ってくる」

 

しばらくベッドで休んでいると…

『っ!』

「エア?」

『またっ、来たようだっ』

「!」

「びょ、病院に電話してみる」

 

 

「陣痛の感覚が短くなったら来てくれって」

「それまで家で頑張ろう」

『っ!あっ、あぁ』

『はあっ、はぁっ、はぁっ』

「エア、どうしてほしい?撫でたりとかかな…」

『こっ、こしっ、腰を、押してほしいっ』

「こ、こうか?」

『もっと、つよくっ!』

ぐりぐり

『ん、そんなかんじだ…』

 

 

「どうだ?楽になったか…?」

『あぁ、また落ち着いたみたいだ』

何度かそんなことを繰り返すうちに陣痛の感覚は20分ほどになっていた

「そろそろ病院行こっか」

事前に纏めておいた荷物と吸水シート、妻の着替えを持って車に乗り込む

「エアは後部座席に乗ってね」

万が一運転中に破水したときのために座席に吸水シートを敷いておく

「極力揺れないようにはするけど…」

『大丈夫だ…』

 

 

 

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ウマ娘メディカルセンター

産婦人科

 

「先ほどお電話した四宮です」

看護師「四宮さんですね、ではこちらへどうぞ」

妻の腰をを支えて陣痛室へと向かう

女医「では、お母さんの身体が出産の準備が出来るまではこちらの部屋で待機してください」

ベッドにエアグルーヴを寝かせて荷物を広げる

水分補給用のスポーツドリンクや軽食の準備を済ませるためだ

 

『ううっ!』

「エア!」

また陣痛が来たようだ

ひたすらに腰をぐりぐりと押す

『はぁっ、うっ、ああっ!』

額に汗を滲ませ身体を丸めて苦しむ妻を見て、どうして代われないのかと無力感に苛まれる

妻がこんなに痛がってるのに、辛そうにしているのに、俺は何も出来ない…

看護師「お父さん!お水!水分飲ませて!」

「あっ、はっ、はいっ!」

「エア?飲める?」

ペットボトルにストローをさしてエアグルーヴの口元へと運ぶ

『んっ…』

『はぁっ、はぁっ』

「エアっ」

『ああっ、はぁっ、うんんっ、あっ、はぁっ』

「エア!がんばれっ!頑張ってくれっ!」

女医「そろそろ内診しますね」

『っ!あ"あっ!ん"ん"っ!』

女医「まだかかりそうですね…」

女医「もう5センチくらい開かないと」

まだ、続くのか

まだエアは苦しむのか…

「エア」

『はぁっ、んっ、はぁっ』

「ちょっと落ち着いたか?」

もうとっくに日も変わっていた

10時間以上も陣痛を続けているのだ

『あぁ、はぁっ』

「ゼリー食べれそう?おにぎりとかサンドイッチもあるけど」

『おに、ぎり…』

「鮭でいい?ツナもあるけど」

『なんでもいい』

ペリペリ

「はい、」

『ありがとう』モグモグ

 

「水分いる?」

『あぁ』

 

『っ!』

「!」

『ううっ!あぁっ、はぁっ、はぁっ、う"っ』

「エア!がんばれっ!」

 

 

 

女医「もういっかい見てみましょうか」

『うあっ!んんっ!あ"あっ!!』

女医「うん、しっかり子宮口開いてますね」

女医「そろそろ分娩室へ移動しましょう」

 

 

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分娩室

 

看護師「ではこちらの台へお願いします」

「エア、乗れる?」

『すこし、肩をかりたい…』

「うん、はいっ」

『ふっ!』

看護師「足は開いてここに乗せましょう、手はこの棒を掴んでください」

看護師「痛みで暴れてしまうと危ないので手足と胸のした辺りをベルトで固定させていただきますね」

看護師「あっ、お父さん!手は手の甲の上から包むようにしてあげてください危ないので」

 

女医「準備はできましたか?」

看護師「はい」

 

女医「ではエアグルーヴさん、ゆっくり深呼吸をしましょう」

『すぅー、はぁー、すぅー、はぁー』

女医「そうですそうです、また痛みが来ても同じように呼吸しましょうね」

『すぅー、はぁー、すぅー、はぁー』

『っ!はぁっ、ううっ、』

女医「呼吸変えないでください!」

「エアっ!ゆっくり!深呼吸だよ!」

『すぅー、はぁー、すぅー、はぁー、』

「上手だよ、その調子だ!」

女医「では、お腹に力をいれましょう」

女医「息を吐くタイミングで息みましょう」

『すぅー、はぁー、すぅー、はぁー、』

女医「せーので息みますよ」

女医「すってー!」

『すぅー』

女医「せーの!」

『ううっっ!』

女医「声出さないよー!」

女医「もういっかい頑張るよ!すってー!」

『すぅー』

女医「せーの!」

『っっっ!!!!!』

女医「そうそう!いいよー!」

女医「もうちょっと頑張ろうね!赤ちゃんも頑張ってるからね!」

女医「すってー!」

『すぅー』

女医「せーの!」

『ぐっっ!!!!!!』

女医「上手だよー!」

女医「もういっかい!すってー!」

『すぅー』

女医「せーの!」

『っっっ!!!!!』

女医「頭見えてきたよ!!!もうちょっとだよ!頑張ろうね!!」

「エアっ!」

女医「最後もういっかい頑張るよー!すってー!」

『すぅー』

女医「せーの!」

『っっっ!!!!!』

びちっ!

女医「頭出てきたよ!!つぎは短促呼吸ね、すっ、はぁっ、すっ、はぁっ、ってするよー!」

『すっ、はぁっ、すぅ、はぁっ』

女医「お腹力入れちゃダメだよー!!」

『ぐっ、すっ、はぁっ、すぅ、はぁっ』

女医「そうそう、上手だよ!」

「頑張れ、頑張れっ!」

『すぅー、すっ、はぁっ、すっ、はぁっ、』

女医「もうちょっとだよ!」

『すっ、はぁっ、すぅ、はぁっ』

女医「もう肩でてきたよ!」

「頑張れ!もうちょっと!」

『すっ、はぁっ、すぅ、はぁっ』

女医「じゃあ深呼吸に戻すよー!力抜いてねー!」

『すぅー、はぁー、すぅー、はぁー、』

女医「いいよー!」

ずるるるるるっ

オギャーオギャー

『あっ…』

女医「産まれましたよー、元気なウマ娘です」

「ああっ、はっ、うっ」ポロポロ

『ふふっ、はぁっ、はぁっ』ポロポロ

「あ、ありがとう、ありがとうエアっ!」ギュッ

『やっと、会えたな…今日からよろしく頼むぞ…』

「俺も、よろしくねマイ…」

 

こうして四宮家に新しい家族が誕生した

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