世界一幸せなトレーナーとエアグルーヴ   作:たわけ

46 / 129
かぞく

警察での事件の処理も済み、四宮家ではいつも通りの日常が始まろうとしていた

 

お義父さんに車を出してもらい

まず我が家に帰ると…

 

『まぁ、なんだ、ゆっくりしていて良いぞ。アドマイヤはお母様が見てくださっているからな』

『何かして欲しいことはあるか?』

 

「…その、迷惑じゃなければ風呂入りたい…」

『湯船はダメだと思うが…まあ構わないぞ』

「しばらく入れてなかったからイロイロ汚いと思うんだけど…」

『気にせん。私が隅々まで洗ってやる』

 

エアが気にしなくても俺が気にする。身重の妻に3ヶ月近く洗っていない汚い体を洗わせるなんて

 

「ホントに迷惑じゃないか?俺、どうにか自分で『たわけ』」

『両手両足まんぞくに使えん奴がどうやって入浴するんだ』

『大人しくしていろ』

 

 

 

 

---------------------------------------------------------------------------

「ふぅっ」

浴室で身も心もイロンナ意味でスッキリさせてもらい、心なしかからだの調子も良い

 

『あっ、まだ動くなよ、傷口の消毒がある』

そう言って全裸でベッドの上に待機していた俺のもとへ妻がやってくる

 

ベッドサイドチェストには病院で処方された包帯やガーゼ、傷薬に消毒薬などがある

 

『剥がすぞ…』

俺の左胸の辺りのビニールとガーゼ、セロファンを剥がすと酷くその綺麗な顔を歪ませ、動きを止める

 

そっと手を添えて

『…いたく…ないか…?』

「平気だよ」

『…』

 

今回の件で俺はまた心臓の手術をした

鎖骨と胸椎、肋骨が折れていて折れた肋骨の一部が肺と心臓に刺さってしまったのだ

 

今は痛み止めが効いているがそれでも力んだり呼吸をすると微かに痛い

 

『…』

 

『…ほんとうに…』ポロポロ

 

『もう…無理はしないでくれ……』ポロポロ

 

『次はないかもしれないんだぞ…』ポロポロ

 

『あなたが危篤状態にあったとき…本当に…もうダメだと思ったんだ…もう…会えないんだと…思ったんだ…』グスグス

 

『…この子を…死なせてしまうところだったんだ……』グスグス

 

『アドマイヤから……大好きな…大切なお父さんを…奪ってしまうんだと…思ったんだ…』グスグス

 

『あなたの命は、身体は、あなただけのものじゃないんだぞ…』グスグス

 

『……もうっ…二度と…私の…私たちの前からいなくならないでくれっ…』グスグス

 

「…ごめんな…いっつも…」

「お義父さんとお義母さんに、なんて顔向けして良いか…」

「いっぱい傷つけて…いっぱい怖い思いさせて…いっぱい苦しめて…いっぱい泣かせて…」

「本当に…ごめん…」

「おれ…ほんとに…どうしようもない男だからさ…ひとりじゃ、生きていけないんだ…」

「エアがいないと…落ち着いて眠れないんだ」

「エアの手料理じゃないと、食べられそうにないんだ…」

「エアの隣じゃないと…うまく息すらできないんだ…」

 

「でも…今回のことは…きっと何回やり直したって、同じことしてる…」

「ほおっておくなんて出来ない…俺みたいな思いしてほしくないんだ…」

「だから…きっと、これからも同じようなことをするかもしれない…今度こそ…生きていられないかもしれない…」

「…でも、それでも…俺はエアの隣にいたい…」

「エアの旦那さんで、お義父さんとお義母さんの息子で、カーリーちゃんとリンちゃんの兄ちゃんで、アドマイヤと…この子の父親でいさせてほしい…」

「きっと、まだエアに…家族に辛い思いをさせてしまうと思う…泣かせてしまうと思う……それでもまだ…おれと…かぞくでいてほしい…」ポロポロ

「自分勝手なのは分かってる…ゆるされないだろうってのも…わかってる……それでも…それでも一緒に居たいんだ…離れたくないっ…」ポロポロ

 

『…たわけ…』ギュ

『…そう思ってるなら……離れるな…ずっと…ずっとそばに居ろ…ずっと…家族でいろ…』

「う"ん"っ…」ポロポロ

『ほんとに…きさまはどうしようもないたわけだ…おおたわけだ…だから…ずっとわたしがそばにいてやる…じょうずにいきられるようにしてやる…』ポロポロ

「う"ん"…」ポロポロ

 

プルルルル プルルルル

 

「『!』」

 

『お母様からだ』

 

ピッ

 

『…はい、いえ…今は家です…すぐに…お父様がよろしければ…はい…お願いします…』

 

『すぐに処置を済ませるぞ…皆が来てくれるそうだ…アドマイヤにも会えるぞ』

「うん」

『染みるかもしれんが我慢しろ』

 

そんなぶっきらぼうな言い方をしていながら、優しく全身の傷の手当てをしてくれた

 

まだ実家から家までは時間がかかるはずだ…

 

「ねえ、エア」

『なんだ?春翔さんの戯言にはもう応えんぞ』ムスッ

「いやぁ、その、つかぬことをお伺いしますが…」

「その…お腹の子は…?」

『今は無事だ。今度は男の子で年末年始のあたりに産まれるはずだ』

「!」

「男の子!?」

『あぁ』

「やった!早く身体治さなきゃ」

『そんなに嬉しいのか?』

「うん、息子とはキャッチボールしたいからねっ!」

『…娘でも出来るだろう』

「そりゃそーだけど…父親の夢だろ?息子とキャッチボールって」

『そうか?』

「そうなの!」

『それはそうと、だ』

『この子の名前はどうする?』

「うぅん…どうしよっか」

「まっ、それはまた今度決めよう」

『あまり時間はないんだからな…』

「わかってるって」

 

ピーンポーン

「『!』」

 

ガチャ

 

 

たったったったったったっ

 

マイ「おとうさん!!」ダッ

 

「マイっ!」

 

『!こら、アドマイヤお父さんは「いっっっってぇっっっ!」』

 

マイ「おとうさん!?」

『大丈夫か?』

「い"だい"っ…」

『アドマイヤ、お父さんは今ケガをしていて身体がイタイイタイなんだ』

『優しくしてあげような』

マイ「うん」

マイ「おとうさんごめんなさい」

「だ、だいじょうぶだぞ…」

 

お母様「春翔くん退院おめでとう」

「ありがとうございます」

お母様「エアグルーヴ」

『はい』

お母様「しばらく泊まっていっても良いかしら?」

お母様「一人で育児と家事と春翔くんの世話は大変でしょう?妊娠もしてるのに」

『ですが…』

お母様「変な遠慮ならするんじゃないわよ」

『…お願いします』

 

 

こうして四宮家での4人生活(仮)が始まった

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。