あの夜からしばらくしてリビングで子どもたちと遊んでいる春翔の元にニコニコ笑顔の妻が近寄ってくる
『あなた』
「うん?」
『ふふっ、これ、見てくれ』
ややもったいぶりながらも差し出したのは2本の赤い線が引かれた白い棒だった
これで3回目なんだ、分からないはずもない
「!」
「ホントに?」
『あぁ』
「やったぁ!」ギュッ
子どもたちはなんとも不思議そうな顔をしている
「結翔、お兄ちゃんになるんだぞ~」ダッコ
そう息子に伝えると姉であるアドマイヤグルーヴは何か思い付くことがあったのか、母にそっくりなウマ耳を大きくピクンと動かし
マイ「あかちゃん?」
『そうだぞ、アドマイヤのもう一人の弟か妹が出来るんだ』
「明日にでも病院行ってこようか」
結果、エアは無事に3人目(ヒトかウマ娘かは分からないが)を妊娠していた
最近は嬉しいことが続きすぎてどうにも不安だ
嫌な予感が当たらなければ良いのだが…
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エアの妊娠が発覚してからと言うものお腹の子が心配でチビたちにあまり構えていなかった
まだ安定期に入ってもないためエアを外に連れ出すのは躊躇われ公園へのおさんぽも控えていた
要するに…アドマイヤのご機嫌がナナメだ
結翔の時はアドマイヤもまだまだ幼く分かっていなかったが、今は違う
お腹の子のせいで自分が構ってもらえないのだと思われては危ないため早急に対策を講じる
そして出た結論は…
庭を公園にしよう
だった
我ながらぶっ飛んでるとは思っている、がこれがベストだと考えたのだ
幸い我が家の周辺はちょっとした森のようになっている
家を建てるときに土地ごと結構な範囲で購入しているため問題ないだろう…ちなみにお金はまだまだ余ってる(エアの賞金だけでも億単位だからな)
そして俺の庭改造計画が始動した
まずは周りの木を伐採して整地兼材料にする
これだけでも結構な労力だし、時間もかかる
もう6月で北海道出身の俺には暑くなってきたし、UNI○LOのエア○ズムTシャツにお世話になっている
"エア"とつけるだけあってさすがの高性能だな
何が面白いのかは全く分からないが、縁側から愛しの家族が麦茶片手にこちらを眺めている
…エアのしっぽすごいな
余程ご機嫌麗しいのだろう
普段であれば子どもたちが後ろから近づいて来たり、触れてきたりすると危ないから叱るのだが
今はみんなでベッタリくっついてこちらを見ている
普段、日曜大工なんてしないからな、物珍しいのだろう、うん
1日目は整地で終了した
明日は木材の加工をしたい
それが終われば設計と、プールも作りたいから穴掘り、モルタルも買ってこないとだな
それはそうと…筋肉痛、こわいなぁ
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翌日
今日も朝から快晴
愛する妻の手作り朝食を食べ、朝の家事を一通り終わらせてからの作業だ
食材の買い出しついでにホームセンターで諸々の材料を揃えておいた
今日は昨日よりも気温も高く日も強いのでタンクトップとハーフパンツだ
心なしかエアのしっぽが昨日よりもすごい暴れ方をしている…千切れなければ良いのだが
そんなに面白いか?エアこういうの好きなんだな
大まかな設計図は作ってあるので必要になる木材を切り出していく
今日は切り出しが終われば良い方だな
我が家のウマ娘ちゃんたちとまだ幼い息子がびっくりしないように機械を使うときは先に声かけをする
「おっきい音なるぞー!!」
そう言うとエアを耳をきゅっと畳み、娘の耳も押さえる。息子には耳栓をしたようだ(これもホームセンターで買っておいた)
作業が一段落ついたタイミングで俺に声がかかる
『お昼できたぞ!』
「おぉ、サンキューな」
「ふぁー!うまそ!ちょうどお腹減ったんだよ」
『ちゃんと手を洗ってこいよ』
「わかってるわかってる」
今日はそうめんとおにぎりのようだ
普段であれば炭水化物×炭水化物の組み合わせなどまずしないのだが力仕事をしている俺に気を遣っているのだろう
家庭菜園で採れたトマトやきゅうり、ピーマンなんかの野菜とツナを合わせた野菜たっぷりのそうめんだ。おにぎりはシンプルに塩むすびだったのだが…ひとつだけやけにいびつな形のおにぎりがあった
エアがこんな握り方をしたり、子どもたちが食べ物で遊んだりすることはあり得ない
つまり…
「ん!このおにぎり美味しいな!誰が作ってくれたんだ?」
マイ「はーい!」
「やっぱりかぁ、ありがとうマイ」
「マイはお料理も上手なのかぁ」
『ふふっ、塩たっぷり振ってたぞ?』
「ちょうど汗かいて塩分が欲しかったんだよ」
マイ「いいおよめさんになれるかなぁ?」
「へっ?お、およめさん?だれの?どこのウマの骨とも知らんやつにマイは渡さんぞ!?」
『たわけ』
マイ「まいね、しょうらいはおとうさんのおよめさんになるの!」
「ぞ、ぞう"だっだの"がぁ…」グスグス
「おとうさんのお嫁さんになってくれるのか?」グスグス
マイ「だからおかあさんとはなよめしゅぎょーしてるんだよ!」
「ふふっ、そうか、うん、マイなら良いお嫁さんになれると思うぞ」
「なんてったってお母さんの娘なんだからな!」
『たっ、たわけぇ!///』
マイ「おかあさんおかおまっかだぁ!」
まさかこんなタイミングで"将来はパパのお嫁さんになる"発言を聞けるとは…夢が叶ったよ…
思わぬイベントでやる気MAX体力も回復した
午後も頑張るぞ!!
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またまた日は進み
「ふぅっ、今日で完成させるぞ!」
もう木材の加工(形や大きさはもちろん防水・腐食処理も)も済み、あとは組むだけだ
パズルのように組み立て所々ビスや釘で固定しておく
そして日没
「できたー!!」
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無事にミニアスレチックは完成したので次はプールだ
今日は穴を掘り終えてブルーシートを敷くところまでやりたい
エアの監督のもとマイはミニアスレチックで遊んでる
かわいい
結翔はまだ出来ないのでエアの膝の上にのって滑り台を堪能している
そして夕方
「ふぃぃー、つかれたー!」ノビー
俺の作業も佳境に入りアドマイヤも充分に遊び終えた
マイ「おとうさん!」ダッ
片付けを終え、自宅に戻ろうとしたタイミングでアドマイヤが走ってきた
「どうしたー?」
マイ「あのね、あれ、ありがとう!」ギュッ
どうやらミニアスレチックのお礼を言いに来たらしい
汗だくなので抱きつかれるのは勘弁したいのだが…
「楽しかったか?」
マイ「うん!」
「それならよかった。ちゃんとお礼言えて偉いな」ナデナデ
マイ「えへへ」ブンブン
『ほら、夜はまだ冷える。早く家に入るぞ』
来月からはプール開きも出来るだろう