四宮家の長女であるアドマイヤグルーヴが幼稚園へ通い始めてから早1ヶ月
父の春翔がいつも通り幼稚園へとお迎えに行くと、彼女は何やらくるくると巻かれた紙を持っていた
何を持っているんだ?
お絵かきをしたのかい?
大好きな父からの問いかけにも
ひみつ
の一言
最初はそうでもなかったのだが、あまりに断られるとだんだんと気になってしまう
道中に幾度となく交渉を続けるも断られ続け、家に着く
ちゃんと習慣づいている手洗いうがいお着替えを終えるとソファで休む母のもとへと駆けていき
マイ「おかあさま!おかあさま!これ、どーぞ!」
『これは…開けてもいいのか?』
マイ「うん!」
くるくると紙を丸めていた輪ゴムがはずされ
『!』
マイ「おかあさま!いつもありがとう!」ブンブン
『アドマイヤ…あぁ、私の方こそありがとうな』
『お前たちが健やかに育ってくれているのが何よりも嬉しいぞ』ナデナデ
マイ「えへへ」ピコピコ
妻の手によって開かれたA3サイズの白い画用紙には、花壇でお揃いのエプロンを身につけて微笑むエアグルーヴとアドマイヤグルーヴの姿、ピンクのクレヨンで大きく、おかあさまだいすき❤️、と
むりだ…あんなんされたら俺、泣くわ
妻は柔和な笑みを浮かべながら娘を撫でる
娘も満更でもないように耳をピコピコ、しっぽをブンブンと
『ありがとうな、優しい子に育ってくれて…』ナデナデ
マイ「あっ!」バタバタ
「ん?どこ行くんだ?」
突然耳をピンと立て走りだしたかと思うと妻と一緒に手作りした幼稚園バッグを持ってきた
『どうしたんだ?バッグ壊れちゃったか?』
マイ「ううん…うーんと…あった!」
マイ「これも、どーぞ!」
『アドマイヤが作ってくれたのか?』
マイ「そーだよ!」
『ふふっ、上手に出来ているな…ありがとう』
赤と緑の折り紙で作られたお花だった
セロハンテープを多用し、何度も織り直したのか紙もくしゃくしゃなそれをエアグルーヴは大切そうに抱える
『本当にありがとうアドマイヤ…これは大切に飾ろう』
マイ「ほんと!?やったー!」
「おっし、そんじゃ今日の夕飯はシチューのつもりだったけど…変更してニンジンハンバーグにしまーす!」
マイ「!」
『そうだな、せっかくアドマイヤがプレゼントをくれた記念すべき日だからな』
「それもあるけど」
「いっつも頑張ってくれているお母さんの好物でもあるからね、気合い入れて作っちゃうぞ!」
マイ「まいもおてつだいするー!」
「それじゃ…もう少々お待ちくださいませ、女帝陛下」
マイ「じょてーへーか」
『ふふっ、楽しみにしているぞ、たわけ』
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俺にはよく分からないが今日は世間一般的には「父の日」らしい
まあ、俺にはよく分からないが
子どもたちがお父さんに日ごろの感謝を込めて贈り物や手紙をくれたりもするらしい
俺にはよく分からないが
いや、別にほしいとかじゃないんだぞ、うん
俺は子どもたちが元気に楽しく過ごしてくれていればそれで充分だからな
別に、母の日のときのエアが羨ましいとかじゃないし
おとうさまだいすき❤️
って書いた画用紙が欲しい訳でもないぞ
くれるかなぁ…?
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今日の彼はどうにも忙しない
朝からそわそわそわそわ、と
一家の大黒柱ともあろう男が情けない
何を焦ることがあるんだ
普段から溺愛している娘もよく懐いているんだ
どんと構えて待っていれば良いものを…
だが流石にすこしかわいそうに見えてきた
心なしかしょんぼりしている
と思いきや急に頭をブンブンとふり気合いを入れてみたり
はぁ、まったく…仕方のないヒトだな…
子どもたちに耳打ちして作戦開始だ
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え?
おれ
もしかして
ハブられた…?
愛する妻と子どもたちに…?
なんかしたっけ?
いや、何もしなかったのが良くなかったのか?
どうしよう…
これ
追いかけた方がいいやつ?
でも外には行ってないしなぁ
ぐずぐずせず俺の方から行った方がいいのか?
でも、それはそれでキモいよな
うん
どうしよう
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そんなことを考えてわたわたしていると妻子が戻ってきた
「エア…マイと結翔も」
『せーの』
「「『あなた(おとうさま/とーさん)いつもありがとう!』」」
「!」
「なっ、きゅ、急にどうしたよ…」ポロポロ
『まったく…さっきまで焦っていたくせに急にもどうしたもないだろう…』
マイ「きょうはね、ちちのひなんだって」
マイ「だからね、おかあさまとゆうくんといっしょにね、おとうさまにぷれぜんとなの!」
そういって娘は紙袋を差し出してきた
「これ、くれるのか?」グスグス
結翔「あげる!」
中身を開けると封筒が1つに、画用紙が2枚
それと箱が出てきた
「これは…?」
『開けてみろ』
言われた通りに箱を開けると…
「!これっ…」
『欲しかったのだろう?』
そこには最新の2in1タイプのタブレットがあった
仕事にも使いたいのだが、それ以上に子どもたちに使いたくて最近よくチェックしていたのを見られていたのだろう
「ありがとう…大事に使うよ…」グスグス
「マイと結翔もありがとうな」グスグス
緩みっぱなしの顔で画用紙を眺めながら伝える
「これ、エアが書いてくれたんだよね?読んでもいいか?」
『なっ!いっ、今はダメだ!』
「ええー!うーん、じゃああとで読ませてもらうね」
「ちょっと待っててな…」
今度は俺が仕事部屋へと足を運び
「はい、これ」
みんな「?」
「俺の方こそ、みんなのお父さんでいさせてくれてありがとう…こんな素敵な家族に恵まれて俺は幸せだよ」ニコッ
マイ「わぁ~、ありがとうおとうさま!」
結翔「ありがとー」
「エアもどうぞ」
『!私までいいのか?』
「うん、いま俺がお父さんでいられるのはエアのお陰だしね…いつもありがとうな」ナデナデ
『な、撫でるなっ!///』
もちろんシップやショパンにもプレゼントは用意してある
喜んでくれて何よりだ
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その夜
エアがショパンにご飯をあげている間に手紙を読む…
ガチャ
『今日は大人しく眠ってくれて助かった』
「そっか…エア」
「手紙読んだよ」
『!そ、そうか…///』
「俺も、愛してるよ」チュッ
『!?たっ、たたた、たわけぇ…///』