翌朝
結局、一睡も出来なかった
久しぶりに1人で眠るのと、相手に理解して貰えないもどかしさと怒り、嫌われてしまっていたらどうしようという不安でいっぱいだった
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厨房
ガチャガチャ
とりあえず、朝ごはん作ろう
『!早いな…』
意地を張って、勇気もなくて、おはようの一言すら言えない
「…悪いかよ。別にいつも通りだろ」
顔色悪いな、ちゃんと寝たのか?
「『…』」
あぁ、情けない
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C「あのぉ、お2人は何かあったんですか…?」
AB(ナイスC!)
「別に?何もないよ」
「あったとしてもお前たちが気にするようなことではないさ、トレーニングするぞ?」
「おーい!A、フォーム崩れてきてるぞ!!!」
「C!!ちゃんと顔あげろー!!!」
グキッ
『!』
「!」
「止まれ!!!」
たったったったっ
グイッ
「救護室いくぞ」オヒメサマダッコ
「お前たちは少し休憩しててくれ」
『このくらい大丈夫だ!なんともない!』
「いいからいくぞ!」
『っ、おろせ!!』
「無駄に動くな」
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救護室
「脚、みせろ」
『なんともないと言っているだろう』
「いいから!」
『っ!しつこいぞ!』
「はぁ」
「いい加減にしろっ!!」
『!』
「俺はお前のトレーナーだ」
「俺たちには担当の健康状態を把握しておく義務がある。ケガしたまま走らせるなんてもってのほかだ」
エア(トレーナー、担当…か)
少し捻っていただけで折れたりヒビが入っていたりの重症ではなかったため湿布とテーピングを施した
「今夜はあまり長風呂するなよ」
『…』
「それと、今日明日はトレーニングは見学だ」
『なっ!少し捻っただけだ!!すぐに戻れる!』
「ダメだ」
「どうして怪我をしたか分からないか?」
『…』
「寝不足と集中不足だ」
「心当たりが無いわけではないだろう」
「その程度の管理すら自分で出来ないようなやつにトレーニングなんてさせられない。分かっていて尚無理をするのも同じだ」
「分かったら休んでろ」
『っ!』
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「よーし!再開するぞー!!」
A「先輩は大丈夫なんですか?」
「少し捻っただけだ。問題はない。」
「次は…」
「今日のトレーニングはこれで終わりだ、各自シャワーを浴びてこい」
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夜
結局、今日も仲直りは出来なかった
相手のことが大切だからこそ譲れない、引けないのだ
それに、"トレーナー""担当"などとも言われてしまった
その関係ももちろん間違えではない、むしろあの状況ではそちらが適当であっただろう
なのに
どうして、こんなに苦しいんだ…
彼にとって私はもう、妻ではないのか…?
あぁ、明日はどうなるのだろう
今日は夫婦仲どころかトレーナーと担当ウマ娘としての仲まで悪化させてしまった
もうどんな顔をして会えば良いのか
もし、夏合宿が終わるまでに仲直り出来なかったら…?
家に帰ってもこのままだったら…?
嫌われてしまっていたら
"離婚"なんて言われないだろうか
いやだ、それだけは、彼と離れるのだけは嫌だ!
でも、今回は譲れない
傷ついて欲しくない
どうすれば、
どうすればいいんだ
[newpage]
翌日
「今日は瞬発力を鍛えてもらう」
「俺がバドミントンの羽根をどんどん打ってくからそれに触れるか、キャッチして落としてくれ」
「その間残りの2人は遠泳な」
バッ!
シュッ!
パッ!
A「うぅーこれキッツいよぉトレーナー」
「きつくなきゃ意味ねぇだろうよ」
B「外だから風に煽られるし」
「なんでも予想通りに動くとは限らないだろ」
C「でもぉ「でもじゃない!」」
なんで、いつも通りなんだ…?
離れていても、平気…なのか?
苦しくないのか?
私だけがこんなに、気にしているのか?
彼はもう何も気にしていない…?
でも、私に対しては昨日とかわりなかった
このまま、離れていってしまう、のか…?
いや、だ
いやだ
嫌だ嫌だ!
ぽろぽろ
「!」ダッ
「どうした!?」
「どこか痛むか!?やっぱり病院行くか!?」
ギュッ
『ちがう、ちがうんだ…』
『わたしはっ、離れたくないっ』
『あなたと、一緒にいたいんだ…』
「エア…」
「ごめんね」
『!やだっ!わかれたくないっ!』
「ちがうよ」
「こないだは言い過ぎた」
「だから、ごめん」
ギュッ
『!わっ、わたしも、ごめんなさい…』
『でも、ほんとに、傷ついてほしくないんだ…』
『もうっ、つらい思いもしてほしくないんだ』
「それはね、俺も同じ気持ちなんだよ」
「エアに怖い思いさせたくない、傷ついてほしくない」
「でも、きっとそれが間違えだったんだな」
「去年も同じような話しただろ?」
「エアが、傷つくのも一緒だって言ってくれた」
「人は生きている限り傷つかないなんて、苦しまないなんてあり得なかったんだ」
「だから、全部2人で分けあって痛みも半分こするのが正解だったんだな」
「ありがとうエア」
「いっぱい俺のこと心配してくれて、気を遣ってくれて」
『…ずっと、ずっと不安だったんだ去年のあの日から』
『いつ目の前からあなたが居なくなってしまうのか』
『本当はあなたは既に亡くなっていて、私の妄想の世界を生きているんじゃないかって』
『ずっと…』
「うん」
「今度からはちゃんと話し合おう」
「どれだけ時間がかかっても、うまく言葉に出来なくても、理解できなくても」
「わかるまで、納得できるまで」
「ちゃんと話し合おう」
『うん』
C「ん"んっ」
B「あのー、そろそろイチャイチャタイムは終了してトレーニングのつづきしませんか?」
『なっ!///』
『はっ、はなれろ!離れてくれ!!』
「えー、さっき離れたくないって言ったのはエアのほうでしょ?」
『そ、それとこれとは話が別だ!!』
『恥ずかしいから離れろ!!みんなこっち見てるぞ!!』
「良いじゃん別に」
「俺たちが夫婦だっていうのはみんな知ってるんだし」
「夫婦が抱き合ってるのなんてそんな変なことでもないし」
『恥ずかしいんだ!!』
『ほらっ!トレーニング!トレーニングの続きしてこいっ!!』
「えー、やだなぁ、エアとくっついてたいなぁ」
A「もう!ほら行くよ!!」
ズルズル
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夕食後
「エア、このあと空いてる?」
『まあ、予定はないが…』
「じゃあさ、花火行こうよ!花火!」
『はあ?夏祭りの花火ならもう終わっただろう』
「うん、"夏祭りの"花火はね」
『他にもあるのか?』
「まあまあ、いいからいいから」
海辺
『ずいぶんな荷物だな』
「花火だからね」
「じゃーん!」
『手持ち花火か』
「うん」
「毎年一緒に見ようって約束したのに今年は見れなかったから」
「これならセーフでしょ?」
『ふふっ、そんなに見たかったのか?』
「!エアはそうでもなかった?」
『いや、わたしも、見たかった』
「なら、良かった」
ファサッ
「『!』」
「戻ったら、いつも以上に丁寧にお手入れしないとだね」
『あぁ、ここのところ担当がサボっていてな』