バタバタバタ
マイ「おかあさま!」
『うん?どうした?』
夕方のリビング
ソファーに腰掛け、新聞紙をぐっしゃぐしゃにするというなぞの遊びに勤しむ息子と次女を眺めながらショパンを腕に抱いてあやしていると、幼稚園から帰った長女がいつものように駆け寄ってきた
マイ「あのねあのね!おとまりかいがあるの!」
くしゃくしゃにされることなく折り目一つ付いていないそのプリントには夏休み前最後の行事としてお泊まり会が実施されることが記されていた
どうやら同じクラスの園児だけでなく幼稚園に通うみんなでお泊まりのようだ
夫が聞いたら全力で反対しそうだ
そう思って顔をあげると
「…」ポカーン
『…』
「…」ポカーン
『なんだ』
「おとまり…するの?」
『そうだろうな』
「…なんで?」
『知らん』
「やだ」
『知らん』
「だって!お泊まりなんてはやすぎるよ!!」
「普通二十歳超えてからじゃない!?」
『どうなっているんだあなたの常識は』
『まだ未成年の私を毎週末部屋に泊めていたのはどこの誰だ?』
「それはそれ、これはこれ!」
「ドーベルに抗議してくる」
『あいつの一存でどうにかなるものではないだろう』
「でもお泊まりだよ!?」
「変な男に何かされたら」
『いや、ウマ娘しかいないぞ』
「…でもマイと一緒に居られないの寂しいじゃん!!」
「もう俺も一緒に泊まる!?」
『帰れ』
当然そんな夫の抵抗は空しくアドマイヤはお泊まり会へ参加することになる
プルルルルルル プルルルルルル
ピッ
『もしもし』
フジ「もしもしエアグルーヴ?ごめんね急に」
『かまわんさ、久しぶりだなフジ』
フジ「うん」
『どうしたんだ?』
フジ「今日キセキからお便りを渡されてね、お泊まり会の」
『あぁ、うちもだ』
フジ「そしたらそれを聞いた旦那さんが、お泊まりなんてまだはやいだろー、って」
『春翔さんも同じことを言っていた』
『二十歳になってからとかなんとか』
フジ「あはははっ、うんうん、うちも」
フジ「終いには、俺も一緒に泊まる!って」
『そっちもなのか』
『ウチはもう黙らせたが』
フジ「あははっ、さすがだねエアグルーヴ」
フジ「女帝は健在かな」
『まったく』
フジ「ほら、あなた?エアグルーヴのことも諦めたみたいだし観念しなよ?」
フジトレ「むりだってぇー!キセキと1日会えないんだぞ!?」
「わかる!!干からびて死ぬよな!?」
『たわけ』ペシッ
フジ「はぁ…キセキはいなくても私が一緒にいるよ?」
フジトレ「っ!フジっ!!」バッ
フジ「あははっ、ごめんねエアグルーヴ」
『…あぁ』
ピッ
「まったく節操のない…」
『あなたが言えたことでないのは確かだぞ』
[newpage]
お泊まり会当日
「パジャマに水筒…念のためのオムツと連絡帳、お弁当に歯ブラシ…うん」
『忘れ物は無いな?』
「あぁ」
『それではなアドマイヤ、ちゃんと先生の言うことを聞いていいこにしているんだぞ?』
マイ「うん!」
『うむ』
「行こっか」
いってきまーす!!
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幼稚園
マイ「あっ!どーべるせんせーおはよーございます!!」
ドーベル「アドマイヤちゃん、おはよう」ナデナデ
「おはようさん」
ドーベル「おはようございます」
「そんじゃ、マイよろしくな」
ドーベル「はい、大切にお預かりします」
「じゃあなマイ、また明日な」ナデナデ
マイ「あしたー」バイバイ
キセキ「あどまいやちゃん!おはよー!」ブンブン
マイ「!きせきちゃん!おはよー!」ブンブン
キセキ「きょうはおとまりかいだね!」
マイ「たのしみだね!」
キセキ「ねえねえ!きょうはおままごとしよう!」
マイ「うん!」
マイ「やだー!おとまりいかないでー!」
キセキ「あはは!なにそれー」
マイ「まいのおとうさまのまねっこ」
マイ「おとまりかいのおはなししたら、おとうさまないちゃったの」
キセキ「あっ!きせきのぱぱもないてた!」
キセキ「きせきにおとまりはまだはやい!って」
キセキ「それでねままが、わたしがいてもさみしい?って」
キセキ「そしたらぱぱとままがぎゅーってして」
マイ「まいのおとうさまはねぇ」
マイ「おかあさまにおこられてたよ!たわけーって」
キセキ「たわけってなぁに?」
マイ「うーん、わかんない!」
キセキ「あはは!まあいっか!」
マイ「つぎはおえかきしよう!」
キセキ「いいよ!」
ドーベル「うん?2人ともなに描いてるの?」
マイ、キセキ「まだひみつ!!」
ドーベル「ええー!完成したら見せてね」
マイ、キセキ「うん!」
できたー!!
マイ「どーべるせんせー!できたー!」
ドーベル「うん?どれどれ?」
ドーベル「!」
どーべるせんせいだいすき
どーべるせんせいありがとう
それぞれの絵にそう添えられている
こんな瞬間なんかは先生をやっていて良かったと心から思う
ドーベル「ありがとう2人とも」ナデナデ
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一方その頃
「マイ大丈夫かなぁ?」
『たわけ、まだいつも通りの時間だろう』
ドーベル「みなさん、今日はお泊まり会です。今日の夕飯はみんなでカレーを作って一緒に食べましょう」
はーい
ドーベル「それじゃあこの班はじゃがいもを剥いてください」
マイ「はーい」
ウマ娘d「うーん、でこぼこでむずかしいよぉ」
キセキ「あっ!あどまいやちゃんじょうず!」
ウマ娘e「ほんとだぁ」
マイ「いつもおかあさまのおてつだいしてるんだ」
ドーベル「おおっ、みんな上手にできたねぇ」
ウマ娘d「あどまいやちゃんにおしえてもらったんだよ!」
ドーベル「そうなんだね、ありがとうアドマイヤちゃん」
マイ「うん!えへへっ」
夕飯や歯みがきなども終わり
ドーベル「それではホールに行って寝ましょう」
はーい
マイ「おとなりどうしだね」
キセキ「やったね」
マイ「うーん…うーん…」
キセキ「すぅー、すぅー」zzz
マイ「うーん…」
ドーベル「どうしたの?アドマイヤちゃん」
マイ「どーべるせんせ、あのね、ねれないの」
ドーベル「そっかぁ、いっつもはどうやって寝てるの?」
マイ「おかあさまがえほんをよんでくれるの」
マイ「たまにおとうさまとおかあさまにぎゅってしてもらっていっしょにねんねする」
ドーベル「今日は先生がぎゅーするから、それで我慢してね」ギュー
[newpage]
翌朝
おはよーございます!!
せんせーさよーなら!
『ドーベル』
ドーベル「!先輩」
マイ「おかあさま!!」ダッ
『昨日ぶりだな、いいこにしてたか?』
マイ「うーん…」
『?』
『何かあったのか?』
ドーベル「いえ、とてもいいこでしたよ」
マイ「あのね、おとまりでね、すぐねれなくてね、どーべるせんせーにぎゅってしてもらったの」
『良かったじゃないか』ナデナデ
マイ「いいこかなぁ?」
『あぁ、寝れないのは仕方ないさ、お母さんだって環境が変われば眠れないこともある』ナデナデ
ドーベル「カレー作りでもみんなのお手本になってとっても上手にやってくれましたよ」
『そうなのか?すごいじゃないか』ダッコ
マイ「えへへ」ブンブン
『それではな』
ドーベル「はい、また来週元気に来てね」
マイ「はーい」