世界一幸せなトレーナーとエアグルーヴ   作:たわけ

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大学生主婦なエアグルーヴさんの1日(休日)

ギュー

 

ギュー

「ん、」

 

ギュー

「いたっ」

 

ギュー

「痛い痛い痛い」

 

スッ

「ふぅ」

 

妻からの愛(物理)の籠った抱擁で目が覚める

 

エアは…まだ寝てるな

朝にエアの寝顔を見るのはなかなかにレアだ

ノーメイク

無防備に少し開いた口

そして何より

ウマ耳

寝てるとき特有のこのなんとも言い難い、この感じ!!

かわいいなぁ

触ったら起きちゃうかな

そういえばエアの耳って先の方が割れてるけどどうなってんだろ

ブラッシングの時にいつも触ってるけど意識してなかったからなぁ

 

ちょっとだけなら…

 

つん

ぴくっ

 

つんつん

くるっ

 

つー

くるんくるんっ

 

ふにっ

きゅー

 

あっ、耳を絞られてしまった

 

『うー、なんだ?さっきから…』

「ふふっ、ごめん起こしちゃった?」

「エアの耳って先が割れてるじゃん?どうなってんだろって」

『むぅ、そんなのブラッシングのときでいいだろう』

「ごめんって」

 

ギュー

「いたいいたい」

『おしおきだ』

「こまったなぁ」

 

 

休日の朝は基本的に自然に目が覚めるまで寝ている

私はトレーニングで夫は仕事で

あとは…その、夜の…

んんっ

とにかく疲れてるからだ

その疲れと体をリセットするためにそうしているのだ

 

『む、こんな時間になってしまったか』

「そろそろ起きよっか」

『あぁ』

チュッ

 

当然おはようのキスも欠かさない

 

そのまま2人で洗面所へ赴き洗顔や歯磨きを済ませ、私は朝食作り、夫は昨晩ぐちゃぐちゃにしてしまったシーツを回収しに寝室へ

 

それが終われば朝ごはん…ではなく花の水やり

最近は家庭菜園も始めたからな中々に大変な作業だがやはり楽しいものだ 

 

やっと朝食を食べ終えると私はその片付けを、彼は洗濯物を干しランニングへ向かう

結婚前、同棲中にはランニング兼散歩は毎朝行っていたが、今は休日だけだ

 

ランニング中には色んな出会いがあるが今日は

 

『ん?あれは…』

『スズカ!』

スズカ「!あら、エアグルーヴ」

『相変わらずだな、今日は何時から走っているんだ?』

スズカ「えっと…何時だったかしら」

『はぁ、あまりフジキセキを困らせるなよ』

スズカ「あはは…」

スズカ「それじゃエアグルーヴ、また明後日ね」

たったったったったったったった

『…逃げたな』

「だな」

 

スズカに出会い、その後に近くの公園で仲良く遊んでいる親子を見つけた

 

子ども「パパー!みてみてー!!」

父親「おぉ!すごいじゃないか!!」

 

『ふふっ、微笑ましいものだな』

「…エアはさ、子ども欲しい?」

『ん?あぁ、それはそうだな』

「何人くらい?」

『ふむ、そこまではまだ考えたことがなかったな』

「ヒト?ウマ娘?」

『それも別にないな。我が子であることに変わりはないのだし。』

『春翔さんは何かあるか?』

「うーん俺もどんな子でもどのくらいいても嬉しいなぁ。あんまり多すぎても大変だけど…」

「あっ、でも1人はウマ娘が欲しいな」

「目指せ親子3代オークス制覇!みたいな」

『ふふっ、ウマ娘が産まれても走りたがるかは分からないのだぞ?』

「なるさ。自分の母親がこんなすごいウマ娘なんだ。憧れるに決まってる」

『だといいな』

 

近い将来、彼と私の子どもが出来るのだろうか

新しい家族が増え、今の生活から一転し

喧嘩をしたり、遊びにいったり、誉めたり、叱ったり、教育方針について争ったり、反抗期がきたり、また旅立っていく日が訪れるのだろうか

 

 

「ふふっ、楽しみだなぁ」

『そうだな、私も楽しみだ』

 

 

 

散歩を終え家に帰るとウェアや下着を洗濯機に突っ込み、共にシャワーを浴びる

もちろん髪としっぽの手入れは彼の仕事だ

 

その後は昼くらいまでは自由時間だ

私は主に掃除をしているが、共に映画やドラマ、レースを見たり2人で落ち着いた時間を過ごす

 

「そろそろお昼にしよっか」

『あぁ、頼んだぞ』

土曜日の昼食を作るのは彼だ

最初は私が作るから休んでいてくれと言ったのだが、「いつも任せっきりなんだからこれくらいはやらせてくれ」と押しきられてしまった

だが彼の料理は絶品で私も土曜日の昼を楽しみにしていたりもする

 

「はい、どーぞ」

『ありがとう』

「『いただきます』」

モグモグ

『うん、今日も美味しいな』

『今度レシピ教えてくれ』

「ん、いーよー」

 

 

昼食の片付けを終えると買い物へ向かう

日曜日は基本的に散歩と花の水やり以外では外に出ず家で過ごすようにしているからだ。それに日曜日にはレースがあったりもする。

 

 

『カゴは持ったか?』

「もちろん、エコバッグも抜かりないよ」

『では運転よろしく頼むぞ』

 

我が家では土曜日にまとめ買いをしておいて足りないものは適宜買い足すようにしている

それに私はウマ娘だから食材の量も多くなってしまうためカゴやエコバッグはかなり多めに持って出かけている。

 

 

 

 

 

「あっ、鶏肉安いよ」

『ほんとだな、ではそれを2つ頼む』

 

『立派な椎茸だな』

「見て!このキャベツでっかいよ」

 

 

そんな会話もしながら買い物を終えて帰宅する

 

やはりまずは手洗いうがいだな

それを終えたら買った物を冷蔵庫や冷凍庫に収納していく

安くて大量に購入した品などはパッキングしたりカットや下処理を済ませてから収納する。

これをしておくだけで日々の料理が格段に楽になる。

その後は彼と共に常備菜を作っていく

なるべく日持ちするものや冷凍したら解凍してすぐに食べれるものなどを一週間分作り置きする

簡単で美味しいものも多いからな

カボチャのサラダなんかは、彼の好物で毎週のように作っている

それと平行して夕飯の準備を進める

今夜は上等な鯖のみりん干しを頂いたのでそれをメインに今が旬の生ワカメと豆腐の味噌汁と、インゲンのごま和え、ニンジンサラダに、厚揚げと小松菜の炒め物だな

彼の喜ぶ顔が目に浮かぶ

気合いを入れて作らなければな

 

 

 

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「『ごちそうさまでした』」

食後は、私は夕飯の片付けを彼は浴室の清掃をする

 

彼が掃除を終えてリビングへ戻ってくる

『ん、終わったか。ありがとう』

「うん、エアも洗い物ありがとう」

ギュー

 

あぁ、なんだかんだ言ってこの時間が一番好きかもしれないな

落ち着いた空気感で、彼の温もりを全身で味わいながらいっぱい撫でてもらって口づけも交わし、互いに愛を囁き合う

これ以上の贅沢などあるものなのだろうか

 

もっと、もう少し…そう求めあって"つづき"に移行しそうになるタイミングで

 

ピピー オフロガワキマシタ

 

ほらな

絶対に邪魔が入る

 

「ふふっ、また邪魔されちゃったね」

「風呂入ろっか」

『そうだな』

「今日は入浴剤どうする?」

『ふむ、先日買ったバスソルトがあっただろう』

「ん、おっけー」

 

もうほとんど恥じらうことなく共に湯浴みが出来る。互いに背中を流し(背中だけでは済まないこともあるが…)、彼にシャンプーをする

彼はまだウマ娘のシャンプーは怖いらしい

子どもがウマ娘だったらどうするんだ、まったく

 

やはり、つらいな

風呂に入るには当然裸になる

彼の引き締まった体には無数の傷跡があった

幼少期のもの、昨年の事件のもの、手術跡

もう全身の指では数え切れないほど彼の体を見ているが、いつまでたってもこれには慣れない

見るたびに彼の受けた痛みを想像してしまう

「エア?そろそろ寒いんだけど…」

『あっ、あぁ、すまないな』

 

 

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入浴後は髪としっぽのケアを彼に、スキンケアは自分で施した

 

寝る前は、もう、ホットミルクを飲める

それだけのことがとても嬉しく感じてしまう

 

歯磨きを済ませたらもうすることはない

家中の戸締まりと消灯を確認して彼の待つ寝室へ足を進める

 

『おやすみなさい、あなた』

「うん、おやすみエア」チュッ

 

あぁ、でもこの挨拶はウソになってしまいそうだ

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