陰の実力者と二週目主人公。   作:korotuki

11 / 14

 お久しぶりの投稿でやんす。

 アプリも一周年が近くてめでてぇなぁ!!


010 新たな道。

   

「け、剣を捨てろ……?」

 

 学園の修練室にて、定期的に個人的なレッスンをしているスズーキくんに対してオレは「一旦剣を捨てろ」と言った。

 

 もっと上手い言い方はあるのだろうが、下手に大して回らない口を回しても空回りして本来の意味を伝えられない可能性もあるので、まっすぐストレートで言わせてもらった。

 

「あぁ。勘違いしないで欲しいのは、何も『魔剣士をやめろ』って言ってる訳じゃないぞ」

 

 その言葉にワナワナと震えていたスズーキくんはピタリと止まり、かなり不満そうな顔をして口を開く。

 

「……てっきりそう言う意味と思ったんですが?」

「それについてはすまない」

 

 誤解させたことについては素直に謝ろう。しかし話の本題はそこじゃない。

 

「魔剣士にとって剣とは己の命と同等です。ならば僕はどう戦えと? まさか拳ですか」

 

「一応言っとくと世の中には剣をぶん投げて油断させてから拳でぶん殴ってくる奴もいるらしいから、素手喧嘩(ステゴロ)はある程度習熟しとくと便利だぞ…っと。まぁ剣を捨てれば手が空くだろ? そこに新しいモノを握ろうぜってワケだ」

 

 オレは貸し出しの剣を鞘に収め、鞘ごと地面に置き。部屋のすみに立て掛けてあったそれを両手(・・)で握りしめる。

 

 握り心地や滑り具合を確認してからそれを持ったオレに、スズーキくんは驚愕の表情を浮かべる。まぁ確かに同じ近接武器とはいえ、魔"剣士"を育てるこの学校では見る機会はそうそうないものだろう。

 

 身の丈と同じ長さにれば"長大"とされる剣に比べれば、それは余りに長く。しかし武器の殺傷性を決めるといっていい刃は寧ろ剣よりも短い。

 

 全長の殆どが刃ではなく棒。柄の大きさは剣とは比べ物にならないそれの名前は――

 

「や、槍…ですね」

「その通りだ。槍だなこれは……ちょっと短いか?」

 

 疑問に答えるように槍を中段に構え、突く、叩く、払うと一通りの動作をしてみせる。

 

「あ、いえ。槍ということは分かりました」

「うん。これから君には――魔剣士ならぬ魔槍士となってもらう」

 

「…疑問は多いですが、ひとまず飲み込みます。ですが、魔力伝達(・・・・)についてはどうすれば?」

 

 ――唐突だが、この世界で近接武器といえば大体が"剣"とされている。

 

 無論他の武器が無いわけではない。寧ろ今持ち出したように槍だってあるし、これまでの人生で剣以外の武装を使う人はたくさん見てきた。なんならローランは全力戦闘の際は九つを武装を状況によって使い分ける変態()である。

 

 しかし大多数の魔力を用いての戦闘技能を持つ人間は大体が剣を持ち、それ故魔力を用いて戦うものを総称は魔"剣士"とされている。

 

 その理由は…この魔力。通電性ならぬ通魔性が極めて悪い。

 

 少しでも身体の外にだそうものなら瞬く間に霧散することは、いぜん飛ぶ斬撃についてコメントしたが。これは固体にも適用される。

 

 自分の肉体から固体へと魔力を付与する際に、かなりのロスが生じてしまうのだ。…そしてこれは得物の長さに比例して高まってしまう。

 

 武器としての利便性と魔力伝達のしやすさ。

 

 このギリギリをついた最適解が、剣ということだ。

 

「一応これは特別製だ。柄の芯と持ち手部分に、穂と同じミスリルが使われてる。魔力伝達の難易度はそうだな…剣の三倍ってところか?さっきのパズルが楽勝になれば、剣とそう変わらない魔力で強化できる」

 

「それに僕、槍なんて使ったことありませんよ…」

 

「オレが教えれる。他にも一人心当たりがある」

 

「そも槍って強いんですか?」

 

「リーチと遠心力は正義だ。叩く、突く、払うの三動作だけで大体のことはなんとかなる」

 

 槍への疑問に一つ一つ答える。生まれてこのかた武器は剣しか握ってこなかったのであるなら、その信頼は絶大だろう。

 

 それを指導者といえどさぁ乗り換えようと言っても不安になるのは当たり前だ。だからこそ、この不安に向き合ってやらなくてはいけない。

 

「スズーキ、オレの故郷にはこんな言葉がある。"剣術三倍段"」

 

「け、剣術三倍段?」

 

「剣士と槍士が戦うとき、槍士に比べて剣士はその三倍の段位…まぁ技量が要求されるという言葉だ」

 

「三倍!?それは…スゴいですね」

 

 実際余程狭い場所で戦わない限りはこの言葉は真実だとオレは考える。リーチ、威力、使いやすさにおいて槍は白兵戦最強。異論は一部認める

 

 

 …しかしそれでも渋るか、でも視線はちょいちょい槍に向けられているし。あと一押しといったところか?

 

「スズーキ。オレは君の強さに対する貪欲さ、目標で確実に近付こうとする勤勉さなど。君の強みは高く評価してる……だけど、それと同時に君の弱みもオレは知っている」

 

 彼の長所を並べ、それ故に欠点があることを指摘する。それを自覚させることは、きっと成長の第一歩になる…筈だ。

 

「君は魔力量が少ない。そしてそんな君が、普通の魔剣士のように力押し一辺倒で戦うとその内頭打ちになる…予想するよりも、ずっと速い段階で」

 

「…それは、理解しています。ですからあなたに師事した」

 

「魔力量はまず増えることはない。だからこそ別のアプローチで君を強くする、そのための魔力運用の効率化と…槍の熟達だ」

 

「――アガレス先生は」

 

 オレの言葉を遮るように、スズーキくんは口を開く。そして顔を上げ、しっかりとオレの目を見て彼は言った。

 

「これで僕は強くなる。そう考えてのこの指導なんですよね?」

「もちろん」

 

「…なら、やります」

 

 彼はそう振り切るような一言とともに手を前に差し出した。意図を察したオレが持っていた槍を手渡すと、スズーキは両手で握り。オレの見様見真似で構えてみせて――

 

「どの道独力ではドン詰まり。ならその手をとってやりますよ」

 

 ――コツンと刃の潰された先端でオレの左胸、要は心臓がある場所を軽くつつき、強がりのような虚勢のものではない。本当に強気な笑みを浮かべてみせた。

 

「ならよし!じゃあまず一つ目アドバイスだ」

 

 その強気に答えようと、オレは笑みとともに槍の柄を掴みバッと跳ね上げるように上へと切っ先をずらし引っ張る。

 

 驚く表情こそ見せたが突然の事態に対応できないスズーキを余所にオレは槍を引っ張ると同時に距離を詰め、反対の手を手刀の形にして首筋にトンと当てた。

 

「槍は強いが、距離を詰められ過ぎるとその長さゆえに迎撃が出来なくなる。距離を詰められない立ち回りか…短剣を仕込んでおくのを勧める」

 

「…それはどうも」

 

 不満げに頬を膨らませながらも礼を言う彼に、オレは満足げにうむと一度うなずく。それから数分ほど基本的な動きや間合いについて教え、ある程度慣れてきたところで今日は終わりにし解散とした。

 

 これからの成長を楽しみにしながら、オレは部屋の外に出る。

 スズーキはこれから自主練らしい。頑張ってくれ。

 

 

「――さて、一回で慢心しちゃいけないよな…」

 

 …と応援してから軽く深呼吸をつく、教職員ではなく勇者としての自分へ意識的に切り替える。

 

 初めはどちらが"素"の自分なのか分からなくなるような感覚に陥ることもあったが、今では急な事態への対応や。何より自分の心や精神を守るためになくてはならない技術となってしまった。

 

(ひとまず王都の大規模な破壊は防げた。次はえぇと…聖都リンドブルム(・・・・・・・・)の水没、だっけか)

 

 女神様から教えられたシャドウの動乱による被害。

 それはあくまで大規模や破壊や世論が大きく動くようなことにしか限定されていないはずだが…結構近いな。学校の長期休みの本当に初めの方か?

 

 ムゥ。根無し草の魔剣士協会所属なら適当な理由をつけて迎えたのだが。流石に詳しい理由を説明せず「聖都に行きたいです」となってハイそうですかとはならないだろうな。フリーと組織所属の違い、メリットデメリットがモロに出たな。

 

 ……最悪有給を消化するか

 

「…やめだやめだ。世知辛い」

 

 おかしいな、一応世界を良くする活動の筈なんだが随分と世俗的な話になった。

 

 気落ちしてても仕方ないと意識を切り替え、すれ違いざまに挨拶してくる学生に対してコチラも挨拶を返しながら学校の庭へと繋がる扉を開ける。

 

「カフェテリアは混んでるな。まぁそも教師がいても生徒が緊張するだけか……」

 

 考え事をする時は外に限ると、オレは外に出た。

 

 横目で最近タイアップ企業が変わって以前と比べてかなり盛況となったカフェテリアを除いてみるが、やはり席の空きは一つもない。

 

 しかも先ほど自分で呟いた言葉通り、仲のいい生徒に相席を頼んでも周囲を緊張させるだけだな思い直しそのまま通り過ぎた。

 

 となると自然と落ち着ける場所は規則的に配置されたベンチか噴水の縁、あとは木漏れ日の中地面に座るのもいいかも知れない……と思考を巡らせた頃。

 

「んしょ、んしょ……」

 

 なんか道の向こうから本をもった桃色髪の女学生が歩いてきた。

 

 いや別に「外に出てまで本を~」とか平成初期通り越して昭和の頑固オヤジのようなことを言うつもりはない。寧ろ天然の明かりでする読書はかなり好きだ。

 

 …問題は本の一つひとつがハードカバーでも比較にならない程分厚く、またそれが複数重なっていることだ。しかも見るからに安定していない――あっちにフラフラこっちにフラフラと。今にも本の柱は倒れそうに傾いている。

 

 流石に助けた方がいいだろうか…いやしかし制服から考えて学術学園の生徒。先生の制服を来ているとはいえ初対面の人間がいきなり手伝うというのは迷惑か?

 

「あれ?アガレス先生だ」

 

「その声はシドくんか、丁度いい。よかったらでいいんだが――」

 

 悶々と迷っているとふと背後から声をかけられる。それはつい先日アレクシア王女誘拐事件の犯人候補として槍玉にあげられていたシド・カゲノーの声であった。

 

 一人でと余裕で持てるが、やはり対外的な人手はあった方がいいとオレは人助けの手伝いを要請するためにシドくんの声がした方を振り向き――瞬間顔面血塗れの中瞳だけが黒いシドくんと目があった。

 

「のわぁシドくんどうした!?」

 

「きゃあ!えっわっ――わあああ!!?」

 

「あしまった」

 

 予想外の光景に思わず自分でも"素っ頓狂な"と形容するに相応しい声をあげてしまい。その声に驚いた女学生もまた驚愕の悲鳴とともに辛うじて保っていた均衡(バランス)が崩れ、バサバサと本が落ちる音が響く。

 

 反射的に女学生の方へ「ゴメン!でも少しだけ待っててほしい!」と半ば叫ぶように言い。懐の水筒の中の水をハンカチで軽く濡らし絞って、シドくんに駆け寄る。

 

「どうしたんだその傷ッ?取り敢えず頭か…意識は!立ち眩みしないか視界チカチカするかコレ何本に見えるッ!?」

 

「三本。いやだなーアガレス先生。この程度魔剣士なら慣れっこですし、すぐ治りますって。それに頭の傷はどうしても派手に血が―――」

 

「それは"慣れ"じゃない"麻痺"って言うんだ!それにすぐ治る、治らないの問題じゃない!怪我は元より大事だ――ここか、滲みるぞ」

 

 受け答えやその回答からも意識はハッキリしてる。立ち姿からも立ち眩みはない。

 

 その事に安心するとともに、慎重に血を拭き取りながらも雑多に切り揃えられた短髪を掻き分け傷口――薄く広い、まるで剣で切りつけられたような――を見つけ。その全体を覆うようにもう一枚のハンカチを被らせる。

 

「そこのベンチで患部を押さえてジッとしててくれ。ハンカチは返さなくていい」

 

「いや、あのー…」

 

「…君がクレアに扱かれるからか妙に丈夫(タフ)なのは知ってるし、確かにオレの経験の中なら君のそれは"比較的"軽症だ。だが大事な教え子が血塗れでいるってのは流石に心臓に悪いだろ?」

 

「…はーい」

 

 観念したのかそう常日頃のことのように間延びした口調のシドくんを背を向け、優先順位的に仕方ないとはいえ放置してしまった女学生の方へと向き直る。

 

「放っていてすまない、魔剣士学園で客員講師をやっているアガレスだ。怪我はないか?本に傷は?」

 

 そこまで声をかけたが、女学生からの返答はなかった。

 

 すわ口も聞けぬ程の事態に?と焦るが、どうやらそうではないらしい。女学生はその視線をオレ――というかその背後の気怠そうにベンチに座ったシドを見ていた。

 

 何故――とは思ったが、学術学園はその名の通り学問や研究が盛んな学校だ。切った張ったの魔剣士学園に隣接しているとはいえそうした機会に普段触れないであろう彼女が怪我しているシドくんを見て少々呆けてしまうのも仕方ないのだろう。

 

「…君?」

「あ、ハ、ハイ!二年のシェリー・バーネットです!」

 

 少々語気を強め声をかけると、そこでようやく再起動したのか。動転した様子で返事をしてくれた。

 ……聞き覚えのある名字な気もするがそれは気にしない。

 

「改めてすまなかった。怪我は?」

 

「へ、平気です!そちらの男の子は…」

 

「心配してくれてありがとー。けど、大したことじゃないよ」

 

 そんなやり取りを見て、オレは内心ため息をつく。

 

 …シドくんには、どこか自分を軽視する癖がある。蔑ろではない。寧ろ自意識(エゴ)という面で彼以上に強固な人間は中々いないが、何というか……身体の保全・保護に無頓着と言えばいいのだろうか?

 

「言っとくけどシドくん。後で保健室に一緒に行ってもらうからな」

「」

 

「本の順番に決まりはあるか?あるなら教えてほしい」

「大丈夫です!借りてきたのを適当に積み上げてただけなので…」

 

 そう言う女学生――シェリー・バーネットは曖昧に笑いながらも本を積み重ねる。

 

 ――中々見ないタイトルが多いな。とそれを手伝いながら思う。特にアーティファクト関連…単なる読書というよりかは研究資料を求めてって感じか?

 

 二年なのに凄いな……

 

 そう心の中で感嘆しながらも、程なくして本を拾い上げたオレは一旦それをシドくんの隣に置く。

 

「ひとまずこれでヨシ。どこまで運ぶんだ?手伝うよ」

 

「そんな悪いです!?ただでさえ手伝ってもらったばっかりなのに…!」

 

「流石にその量を魔剣士でもない人間が持ってくのは見てて辛い。さっきもそうしない内に崩れてたんじゃないか?」

「うぅ……」

 

「あーでも、シドくんも保健室に連れていかないと…どうするか」

 

 影分身っぽいことも出来なくはないは、流石に今この場ですれば混乱まったなしだろう。さてどうしたものか…

 

「…いや。僕が一人で保健室に行けば良い話では?」

「君が絶対一人で行くっていう確信があればな」

 

 彼自身が悪いわけではないのだがつい冷ややかな視線を浴びせてしまう。

 

「いやいやあれだけ言われたら素直に行きますって。そこの人もそう思うでしょ?」

「へ?は、はい…」

 

 コイツ…はぁ、まあいいか。あまりシェリー女史を待たせるのも悪いし。素人目にももう出血はしてないようだから大丈夫だろう――無論この後保健室に行き憂いを断てばという注釈はつくが…疑い続けるのも良くないか。

 

「…ちゃんと行くね?」

 

「もっちろん!」

「返事は良し。それが口だけじゃないことを先生は願うよ…じゃあ行こうか。シェリーさん」

 

「ありがとうございます……あっあの、お大事にー!」

「あーい」

 

 オレが7、シェリー女史が3程度の割合で本を分割し。オレはシェリー女史を伴って…いや逆か、シェリー女史についていく形でシドを見送る。

 

 最後の最後に「行けよ?」と多少眼力を込めた視線を送りつけてやったが、はたして効いているのかいないのか。

 

 …その後はシェリー女史に案内される形で学術学園側の教室棟まで来た。流石学術学園、そこら辺を歩いてる学生でさえ知的に見えるな。

 

 あと見慣れない教員であることと学術学園なのに剣を帯剣しているからか凄い見られた。

 

「あっ!ここです。ここが私の研究室です!」

 

 少しの居心地の悪さを感じながらもピョコピョコ跳ねているシェリー女史のアホ毛の先端を眼で追っていると、目的地に到着したらしい。

 

「鍵は開いてる?」

「いえ、あんまり大事なものは置いてませんし。中に人もいるので……」

「成る程…ってか人がいるのか」

 

「シェリーさん。資料集め、終わったんですか?」

 

 扉の前でそう話していると部屋の内側から話し声が聞こえたのかガチャリという音と共に扉が開き、中から――んんん??

 

「…マルコ?」

 

「アガレス殿!?どうしてここに…」

 

 気を取り直して、中から出てきたのは若々しさ全開の。藍に近い青の髪の青年騎士…もとい【紅の騎士団】団員マルコ・グレンジャーだった。

 

「取り敢えず、入っていいか?」

 

「あぁすみません。シェリーさんもどうぞ」

 

「ただいま戻りました~」

 

 呆けていたマルコだが、二人が持っていた分厚い資料を見て慌てて体を退けた。

 

 軽い会釈をしてから部屋に入る。

 

 …うん。如何にも研究者の部屋って感じだな。山盛りの資料に使用途中の検査器具、専門用語と単語の羅列。簡単な筆算が殴り書かれ散らばるルーズリーフ。

 

 あとは部屋の空気がこもっていれば完璧だったが、マルコがしたのか部屋の窓は大きく開けられていた。

 

「ここに置いてもらっていいですか?」

「はいよ…っと。んで、騎士団が何用で学術学園(ココ)に?」

 

 シェリー女史に指定された場所へと資料を置く。

 ついでに折角なので質問も投げかけてみることにする。気になるのは本当だしな。

 

「自分はシェリーさんの護衛です。この前の事件での教団のアジトからアーティファクトが出土されたでしょう?我ら紅の騎士団は、その解析をシェリーさんにお願いしてるんです」

 

「あぁーなるほど。アレか」

 

 外部協力者としていつぞやアイリス王女に呼び出されたことを思い出す。ふとシェリー女史の机に目をやると、その時見解を求められたアーティファクトと同じものであると確認できた。

 

「アーティファクト以外にも手がかりはあったんじゃないか?確か内部情報の書類もあったと記憶してるが…」

 

「…それなんですが」

 

 本来なら(・・・・)、シャドウの一撃によって教団の施設はほぼ全壊。

 下手すれば教団の存在さえ騎士団に認知される子とさえなかったかも知れないが、今回はオレの介入によって人一人が通れる程度の広さの吹き抜けが出来ただけ。

 

 恐らくは教団に関する情報も、それなりに集まってると思っていたのだが…マルコは浮かない顔をしていた。

 

 ちょいちょいと手招きするマルコ――シェリー女史に礼をしてから部屋の隅へと移動する。

 

「明らかに問題ありって顔だな…」

 

「はい。本来なら後日話そうかと思っていましたが、丁度いい機会なので」

 

 そこからマルコは淡々と、しかし忸怩たる思いは隠しきれていないのか手を軽く握りながら話し始めた。

 

 

 

 ~青年騎士説明中~

 

 

 

「ふむ…まぁ予想はしてたな」

 

 話を聞いて思ったのは『存外根が深いな』というものだった。そりゃディアボロス教団は100では到底きかないような年月の間世界の大部分を掌握していたのだから当然とも言えるが……

 

 説明の内容としてはこう。

 

 確かにオレの尽力と騎士団の捜査によって、件のアーティファクト以外にも資料や実験跡などの教団に対する手がかりを手に入れることが出来た。

 

 特に前者の資料には王都近辺の教団保有の施設が記載されていたため、騎士団は即座に強襲をかけるも既にもぬけの殻。…それも強襲をかけようとした際に上層部からの圧力がかかり、数時間の遅れが出たらしい。

 

 今の国王様は臆病さと慎重さを履き違えない賢明な方だから、単にそこから止められたと考えられるが。

 

 …まぁ教団からの差し金と考えるのが妥当か

 

 そこまで露骨にやっても咎められない…いや咎めさせないのか?そのぐらいの規模なのだろう。

 

「アイリス王女はどうすると?」

 

「はい。今回発見したアーティファクトを解析して新たな情報を入手出来ないかという試みと共に騎士団の拡張を考え、人員を募集しています」

 

 騎士団内での発言権を高める狙いだろうか?教団からの妨害や、それこそ獅子身中の虫を入れられないかなどの危惧を脇に置けば悪い策ではないが…

 

「ム……」

 

 ――あぁクソ、入れ込んでるな。

 

 オレの目的はあくまでシャドウガーデンとディアボロス教団の衝突に伴う武力衝突による被害の軽減。それ以外は蛇足どころか、旧世代の人間であるオレが現代のコトにあれこれ首を突っ込むのは良くないことだ。

 

 …行動を起こす上で致し方ない必要最低限の干渉に留めておこう。といつ破れてもおかしくない誓約をしてからマルコに向き直る。

 

「気を取り直して、情報を集め直すしかないだろうな……まっ相手は強大なようだし。地力をつける期間だとでも思うか?」

 

「そう、ですね……そう思うしかありませんか」

 

 肩を落とすその姿に思わず手が伸びかけるがそれを引っ込める。

 

「……俺も俺でやることがある。とりあえずここは失礼するよ」

 

 ふと横目で研究に没頭しているシェリー女史を見やる。まぁこの分ならいっそのこと、俺は無言で立ち去ったほうが邪魔にならないと思い。俺はマルコに手で会釈をしてから研究室を立ち去った。





 おかしい…陰実世界は剣以外の武器はマイナーではなかったのか!?カゲマスだとモーニングスターとかバンバン使いやがる……!!

 感想・評価よろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。