陰の実力者と二週目主人公。   作:korotuki

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 陰実って軽い文体の割に結構重い話で複雑な設定もあるので(第○世界、ドラゴンについてなど)私の小説ではそれら一切をうるせー!しらねー!!精神の元独自解釈でつっきります。


002 偶発的遭遇(ランダムエンカウント)

「ん……」

 

 ふと陽光に照らされて瞼が開き体を起こす。

 どうやら転生は成功のよう、だけど…

 

「知らない青空と知らない土地だ…」

 

 まるで地理に覚えがない。まぁ千年も経っているので、当たり前なのだろうが

 

「お、これが女神様が言ってたやつか?」

 

 横に置いてあった袋を手に取る。女神様の言葉が正しければ、この中に必要なものが揃っているらしい。

 早速開けてみると、中には数十日分はあるであろう携帯食料と簡易的な浄水装置。その他旅に必要そうないくつかの道具を確認し……最後に財布に入った路銀の紙幣を取り出しまじまじと見つめる。

 

 前世と比べると幾分か精巧なそれは…記憶の中のお金とは随分と違っていた。

 

「…流石に、貨幣の単位は違うか」

 

 ワンチャン記憶の中の金銭感覚が足枷になるかもしれないなぁと考えているが、それは今後の生活で正していくしかない。

 

「取り敢えずシャドウによる最初の騒動の場所と日時は教えてもらってるし、身分証もある。しばらくは諸国漫遊をして情報収集をしつつ…って感じか」

 

 聞けばシャドウは最初の騒動で大国の王都にて周囲を丸ごと吹き飛ばす剣技を披露し、その結果首都のど真ん中に大穴をこさえるそうだ。

 なんて凶悪なヤツなのだろうか、きっとインフラ整備とその復旧が如何に大変か分かっていない短絡的な思考のヤツに違いない。

 

「ひとまず、街道を見つけないとな。獣道を歩いても会えるのは獣だけだ」

 

 そうして俺は歩き出した。

 

 手元のコンパスに従い兎に角ひたすらに同じ方向へと歩を進める。

 あてもなくウロウロするのも一つの手段だが、取り敢えず文明に触れたいな。今後活動する上でこの世界の情勢や技術を知ることは大変重要だからな。異文化交流、大事

 

「……おっ、アタリか?」

 

 そんなことを考えながら歩くこと数時間。太陽の位置からしてそろそろ夕方頃だろうか? 目の前にある程度舗装された道を見つけた。

 それなりに使われた形跡もある…車輪の幅からして商隊の馬車だと推測できるな。

 

 取り敢えず跡を追ってみるのがベターか、路銀はあるし。いざとなれば金を払って相乗りを頼んでみるか?

 

「っと、剣を抜刀したままだったな」

 

 腰に差していた鞘へと収め、そのまま馬車の跡を追うように歩みを速める。

 

 注視すれば跡はかなり薄くなっている。暗くなる前に合流をしたいものだが――

 

「こればっかりは、商隊が俺より遅いことを祈るしかないか」

 

 


 

 

「ギャハハハハ!!」

 

「奪え奪え!オレらの張ってた網に引っ掛かる運のなさを恨みながら略奪されな!」

 

「ヒ、ヒイイイィ!?」

 

 夜も深くなり、森が一切の光がない暗闇となった頃。音がない代わりとばかりに喧騒が森の沈黙を貫いた。

 

 盗賊団の襲撃だ。

 馬は既に殺され、積み荷である商品と共に縛られた人間たちは今まさに蹂躙されている真っ最中だった。

 

「へへっ、残念だったな婆さん」

 

「ど、どうか息子だけは。息子だけは…!」

 

「アッハッハ!じゃあアンタから殺してやるよ…後なら息子が死んだかどうかわかんねぇからなぁ!!」

 

「あ、ああぁあ…!?」

「母さん!!」

 

 そして、商隊の主である中年女性が凶刃にその命を散らそうとした時――

 

 ギィン!!

 

 凶刃の前に、真紅の刃が立ち塞がった。

 

「あァ…?」

 

「明らかにそっちの方が悪そうだからな。勝手ながら――割入りさせてもらうよ!」

 

 そう言った彼…アガレスは剣を弾き商隊と盗賊達の間に立ち塞がった。

 

「テメェ、何者だ……ッ!」

 

「通りすがりの正義の味方さ。理不尽に怒っていいぞ盗賊共!!」

 

「ふざけんなぁ!」

 

 激昂した盗賊が再び斬りかかる。

 それを冷静に見据え、彼はその一閃を難なく受け止めた。

 

「なッ……」

 

「盗賊らしいな!相手に迎撃・反撃されると思ってない、素人に毛が生えた程度の力量だ!!」

 

 先程の再現のように剣を弾き飛ばし、ガラ空きになった胴体に一発叩き込む。

 

「グフゥ!?」

 

「オマケだもってけ!」

 

 腹を抱えて悶絶している隙を突き、回転をかけた回し蹴りで吹き飛ばす。

 勢い良く錐揉み回転した盗賊は、岩に激突し漸く停止した。

 

 刃の色にも負けない紅い髪と、エメラルドを思い出させる翡翠の瞳は。光が届かない筈の闇の中でも強く輝いたように見える。

 

「改めて名乗ろう…俺は通りすがりの正義の味方、アガレス・ヴェルネンシス!」

 

 掲げた剣からは炎が立ち昇り、周囲を明るく照らし出す。

 

「いま、今日ここで!お前らを引っ捕える!!」

 

「――正義の炎と剣に誓って!」

 

 アガレスが剣を横に振るうと、炎までそれに追従するように動き。炎のカーテンのように彼と山賊たちをグルリと囲んだ

 

『………ッ!』

 

 盗賊達の誰かがゴクリと喉を鳴らす。

 物語の主役のような、それこそ演劇の中でしか見ないような英雄然とした口上と立ち振る舞い。

 

 とんだ時代錯誤の自意識過剰な勘違い野郎

 

 そう一笑に付すには、自分達の周りを取り巻く炎は力強く。こちらを貫く翡翠の視線は鋭かった。

 

 タラリと頬を滴る汗が、炎による単純な熱気によるものなのか、それともアガレスからの殺気による冷や汗なのか…彼らには最早判断がつかない。

 

「ひ、怯むな!所詮は無名の魔剣士一人だ!」

 

 しかしそこで、恐怖に飲まれかけた仲間に活を入れるように一人の男が声を上げた。

他の者達よりも幾らかマシな装備と実力を持っているためか、震えながらも剣を構えて対峙する。

 そんな彼の様子に、周りの者達も勇気づけられたように各々の武器を手に取り始める。

 

「どこの馬の骨だかしらねぇが、俺は王都ブシン流の免許皆伝だ!そこいらの木っ端とはワケが違うぞ!!」

 

 気炎を吐く盗賊の頭領角と思わしき男が剣を上段で構え突撃する。対し、アガレスは静かに剣を下段に下げた。

 

 男の斬撃は、確かに先ほどの盗賊と比べれば速く、鋭く。そして巧みだった。

 

 力に任せた大雑把なものではない。敵を倒すことを求めた実践向けの剣技こそが、男の操るブシン流の真骨頂

 

「いい剣だな。いや、流派がいいのか?」

 

 アガレスに迫る幾多の剣はしかし――届かない。

 

「なぁ!?」

 

「んじゃあ次はこっちの番だ――!」

 

 いつの間にか、男の背後に回ったアガレスは。振り上げた剣を容赦なく袈裟懸けに振り下ろした。

 

「ガッ……!!」

 

 背中から肩にかけて切り裂かれた男はその場に崩れ落ちる。

 

「このッ……!」

 

「遅く!拙く!脆い!!」

 

 怒りのままに斬りかかった別の盗賊の攻撃をヒラリとかわし、慌てて放たれた二の太刀を弾き柄で鳩尾を殴り飛ばす。そしてそのまま流れるように後ろから迫る槍を剣を回して弾き、柄尻を顔面に打ち込む。

 

「この後の治療のこともある――ハデに行く!!」

 

 片手で持っていた剣を両手で握り目を細める。全身に巡る魔力を剣に集め、剣から小さな火花が発生する。

 

「と、止めろ――!」

 

「ゼエアアアア!」

 

 剣を担ぐように構え、気炎と共に剣を振るう。

 

「【炎衝波】!」

 

 ――――――ッッッ!

 

 剣の軌跡に沿って現れた炎は衝撃をもって盗賊に迫り、吹き飛ばし。その意識を奪っていった。

 

「……よし、盗賊達の悪巧みの図面は。俺の炎の前に白紙に戻ることなく焼かれたってことだ!」

 

 決着を悟ったアガレスは、戦っていた際とはまるで異なる朗らかな笑顔を浮かべ炎を背に商人たちへと向き合う。

 

 それは、正に正義の味方の姿そのもののようで―――

 

 盗賊達を蹴散らした彼を見て、呆然としていた商人達は歓喜の声を上げた。

 

「すみません。助けるのが遅れてしまい…」

 

「い、いえ!寧ろ助けて下さりありがとうございます魔剣士様!」

 

「本当に助かりました!命あっての物種と言います。あなた様がいなければ今頃どうなっていたことやら-」

 

「それはよかった」

 

 手放しで感謝されるアガレス。常人では照れるような善意100%の表情と言葉だが、その顔面は変わらない…むしろ熟れた様子で応対する。

 

(今は魔剣士って呼び方なのか…まぁ魔力を使うから順当か)

 

「助けた人に縋る…というのもカッコ悪いですが、縄の類はありますでしょうか?盗賊達の捕縛の為に必要ですから」

 

「は、はい!只今お持ちします!!」

 

 照れたような仕草でそう言うアガレスに、商人の一人は荷車の中からロープを取り出すと彼に手渡した。

 

「…うん、充分ですね。じゃあ今から捕縛作業に入るよ」

 

「わ、私たちもお手伝いを――」

 

「慣れない事態で疲れたと思うから休んでて。大した事じゃないので」

 

 そう言って彼はテキパキと盗賊達を縛り上げていく。

 

 簡素ながらも縄抜けの隙がないほどにキツく縛り上げられたそれは、ただ手解きを得ただけではなく何回もの実体験を通さなければ身につけられない類の技術であった。

 

(魔王からかけられてた懸賞金目的で襲ってくる賊も沢山いたなー、例え俺の首持ち帰っても。お金を貰えるどころか自分の命も奪われるのがオチだろうによくやるもんだと呆れてた……)

 

 遠い過去のことを思い出し、内心苦笑いを浮かべたアガレスは最後に拘束同士を繋ぎ合わせ盗賊達を一纏めにし、一応応急処置程度の治療を施した。

 

「ウゥ…」

 

「痛みを伴わない教訓には意義がない、俺の好きな言葉だ。ちゃんと学んでくれることを祈るよ」

 

 治療時に痛みに呻いた盗賊の一人に対して耳元でそう呟くと、アガレスは再び笑みを作り立ち上がった。

 

「んで、一応拘束はしましたけど…どうします?」

 

「どうするとは…?」

 

「この場で首を刎ねるか、刑務所がある街まで連れて行くか」

 

「え……」

 

「俺としては折角捕らえたので連れてく方が好ましいですが、被害者は貴女達だ」

 

「…なら、連れて行きます」

 

 アガレスの言葉に一瞬呆けた表情をした商隊の主である中年女性は、直ぐに決意を固めた顔になり力強く答えた。

 

 そんな彼女の様子に満足気に微笑むアガレスは、「怪我した人や盗賊を運搬する為にも荷車にスペースが必要なので、幾つが商品を断捨離してもらいたい」と伝え。商人達は名残惜しそうな顔をしながらも整理を開始した。

 

 

 

 数時間後、荷車の中には怪我をした従業員や盗賊(なお猿轡と脚の拘束を追加)が横たわらせられ、その代わりにスペースを取る大型の商品や価値の低い日常品が地面へと投げ捨てられていた。

 

「……ん?」

 

「魔剣士様、どうされましたか?」

 

 廃棄された品物を眺めていたアガレスは、ふと布を被せられた小さな檻を発見した。

 

 商人の言葉を意識的に無視して、彼は檻の近くへと近づいた。

 

(やっぱり魔力を感じる。アーティファクト…じゃないな、希少価値の高い小型の魔物か?)

 

「あの、魔剣士様?」

 

「あぁごめんなさい。ちょっと気になるモノがあって――それよりこの檻は?」

 

 努めて明るく振る舞い、檻の方へ指を差し。商隊の隊長である女性の息子の青年に問いかける。すると…男性は目を伏せた。

 

「そ、それは…」

 

「見せられないもので?」

 

「いえ、見てもらっても問題はありませんが…気分がいいものでは」

 

「なるほど……」

 

 許可をもらったことをいい事に、アガレスはしゃがみ込み布を僅かにずらす。

 

(鬼が出るか蛇が出るか、はたまた触手か肉塊か……)

「っと、そう来たか」

 

 ある程度の覚悟をしてから檻の中を覗き込んだ彼を待っていたのは、黒ピンク色の肉塊だった。

 

(一見すると醜悪な魔物だが…耳や眼、僅かに見える髪から推測すると元は人間か?何故こんなことに……)

 

「最近発見された“悪魔憑き”となります。教会へと引き渡す為運送していました」

 

「“悪魔憑き”…?」

 

「…まさか、魔剣士様!ご存じないのですか!?」

 

 ふと聞き慣れない固有名詞を思わずオウム返しするアガレスだが、その呟きを聞いた男性は驚愕の声をあげた。

 

(まっず…)

 

「――えぇ、俺の出身は。ここより遥か遠くの田舎でして、“悪魔憑き”なる単語には少々覚えがなく…」

 

「そうなのですが……身分を明かせるような真似をしてしまい申し訳ありません。宜しければ私の方から説明させてもらっても?」

 

 アガレスが咄嗟に口からでた虚偽を、青年は物珍しい格好と恩人フィルターでまんまと信じ込み。寧ろ謝罪と解説を申し出た。

 

「不躾だけど…これは、人間なのか?」

 

「その通りです。“悪魔憑き”とは言葉通りそのまま悪魔に憑かれた状態でして、取り憑かれた者は皮膚に黒ずみが出て魔力暴走が起きるようになり。それが進行すると……あぁなってしまいます」

 

 青年はチラリと檻の中を見て、気分が悪くなったように慌てて目を逸らす。

 

 確かに常人には少々酷な光景だろうとアガレスは素直に思った。

 

「何のために運送を?素人目にも、安静にしていた方がいいように見えますけど…」

 

「――それ、は」

 

 その質問に、青年は言い淀み黙りこくった。

 アガレスがチラリと横目で青年を見やると、彼の顔面は蒼白であり。悪魔憑きを直接目にしたよりも気分が悪そうに見受けられた。

 

 しかしやがて覚悟を決めたのか、青年はポツリポツリと語り出した。

 

「悪魔憑きには、明確な治療方法は見つかっていません。しかし…発症した場合にとるべき行動ならあります」

 

「取るべき行動?」

 

「はい。教会への受け渡しです」

 

「教会なら何とかできるということですか?」

 

 青年はゆっくりと横を縦に振って否定した。

 

「寧ろ逆です」

 

「逆――まさか…」

 

「…想像している通りかと。教会自体は“浄化”と体よく言っていますが――すみません、これ以上は」

 

「いえ、言い辛い事まで言ってくれてありがとう。焚き火の方で休んでてください」

 

「感謝します……」

 

 青年は力なく頭を下げるとフラフラとした足取りで焚き火の側へと向かっていく。

 

「最後にいいですか?」

 

「はい…」

 

「このままこの子をここに放置したら…どうなりますか?」

 

「…もって数日の命かと」

 

「そう――引き留めてすみません」

 

 青年は再び礼をし、今度こそ焚き火へと歩いて行く。

 

(不憫だな…)

 

 青年が焚き火の近くに行き座り込んだことを確認すると、アガレスは片膝をつき檻に向かって礼をする。

 

 檻の隙間から手を伸ばし悪魔憑きの罹患者へと触れると、その両手から炎が奔った。

 

 先程の盗賊達を焼き尽くした激しい炎ではなく、水面越しの光や陽光を思わせるような優しいソレは悪魔憑きの体を覆う。

 

 ……が、肉塊は何の変化もなく苦しげに蠢くのみだった。

 

「【再炎】も――【浄火】もダメか。呪いという名の未発見の疾患ならと思ったが…マジの呪いか」

 

 炎を手で握り潰し忌々しげに呟く。それは悪魔憑きという事象自体への悪態、そして己の無力に対する苛立ちでもあった。

 

「病や外傷ならどうとでもなるのにな。血や魂にまで繋がられたら、俺には解呪できない…」

 

 あくまでも周りには聞こえぬよう、しかし悔しさが滲む口調で呟いたアガレス。

 

 救うために世界に来た彼の目の前にある救えぬ命に、アガレスは強く唇を噛む。

 

「…俺には、このぐらいしか出来ない。【慈蛍火】」

 

 黄緑の燐光を帯びた掌で罹患者へと触れると、その光が全身へ広がり。時折震えていた罹患者はまるで眠りにつくかのように大人しくなった。

 

 今しがった放った技に、残念ながら根本的な治療をする力はない。

 

 だがこの蛍火には苦痛や疲弊を癒す力があり――未熟だったアガレスが嘗て苦痛に呻く兵や民にせめてもの慈悲をと編み出した苦肉の技だ。

 

(二度と使うまい…なんて誓いは、需要の前には形骸だな)

 

「せめて、君の辿る道に幸福があらんことを」

 

 最後に祈ると、彼は立ち上がり再び布を被せ。焚き火の方へと戻っていった。

 

 その後。準備を済ませた商隊は、一人の野良魔剣士と多数の盗賊を伴い街へと出発した。

 

 


 

 

「ヒャッハー!盗賊共金を出せ――って、アレ?」(※主人公です)

 

 宵闇の中から不審者が月光に影を落としながら登場した。

 その者は、夜風になびく黒髪に鋭い眼孔を持った少年であった。

 

 フード付きの漆黒のコートを着た少年――シドは抜き身の剣を構えたまま周囲を見渡し、暫く経った後構えを解いた。

 

「おっかしいなー?ここら辺にいるって聞いたんだけど…」

 

 剣を液体状へと分解(・・・・・・・)したシド――彼が独自に開発した様々な形をとり武器のように操れる特殊なスライムによる現象――は周囲を軽く見渡すと、焚き火の跡と。投げ捨てられたように散らばった運搬物を発見した。

 

「うーむ…盗賊に襲われた商隊が急いで荷物を捨て軽量化し逃走。盗賊もそれを追跡し両者ともにいなくなった、と――」

 

 無言で直立不動の姿勢のまま固まったシドの周囲に、冷たい風が吹いた。

 

「よし、今日はちょっと遠出しよう。今宵は半年に一度の虐殺日和(ジェノサイド・ディ)だ…!」

 

 風の吹くままに駆け出そうとするシド。だがこの後感じた魔力反応に惹かれて檻を発見し、一人の少女を救う事になる―――





 この時の治癒が伏線になったりならなかったりラジバンダリ。

 評価・感想お待ちしています。

【炎の異能】
 魔力の一部を実態を持つ炎として顕現させ操る彼だけの能力。

 移動速度や威力・範囲などで魔力のみを使ってのものよりも強力なため、見た目の派手さにあった性能をしている。

 単に“炎”ではなく“炎という概念”を生み出す異能のため、敵を焼き払うだけではなく、不死鳥伝説に基く再生能力。炉の火の神“アグニ”の炎による厄除け・浄化など“炎”に纏わるイメージなら大体はできる。

 普段は「俺じゃなくてこの剣の能力だよ。これ“アーティファクト”だし」と言って誤魔化している。

 …が、劣化ながら剣も同様の機能のため嘘ではない。
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