陰の実力者と二週目主人公。   作:korotuki

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 シャドウフェスでアルファ様を引いて石欠の状態から大して回復してないときにメインヒロイン()のピックアップをするな運営ィ!!実装してくれてありがとう!!!

 感想や誤字報告、評価や閲覧ありがとうございます。一話に当然のように複数修正箇所見つかって戦慄しています……!

 そして感想でも幾つかありました頼れる情報屋、まっくろくろすけなローランくんの元ネタについてですが…

 あぁそうだよ『Library Of Ruina』から■■フィクサー“■■■■”ローランくんだよ!(ネタバレ配慮)(なお今小説内で話が進むと普通にネタバレします)

 推しを自分の小説に出して悪いかコラァ!!!!

 Library Of Ruinaはいいぞ!ゲームは慣れない内は難しいが理解すると楽しい有志のMODが充実してて実質無限に遊べてるからお得だぜ!!



006 夕焼けの定刻

 

 シド・カゲノー、王女誘拐幇助の疑いで逮捕。

 

 そんなニュースが俺の耳に届いたのは、学校が始まってしばらくした後の昼時の時だった。

 

 学生に混じって昼食を取っている時に、俺はふと『そう言えば今朝からシドくんとアレクシア王女を見てないな』と思いそれを口に出したら。対面の席にいた学生からその情報が齎された。

 

 ――謂く、昨夜からアレクシア王女の行方が分からない

 

 ――謂く、学校を離れてから王女の近くにいたのはシド・カゲノーのみ

 

 ――故に、シド・カゲノーに王女誘拐の疑いを騎士団が持ち。今朝方騎士たちに連行されていった。

 

 ……フム。

 

 一連の情報提供を受けた俺はその生徒に昼飯を奢り、ローランに連絡をした後。その日の仕事を速攻で終わらせ街に繰り出した。

 

 進言をするならそれなりの権力を持っていて、かつ人情にも厚い人…となれば捜査の指揮もとっているアイリス王女あたりが丁度いいだろうか?流石に逮捕された直後に言っても意味はないから、シドくんには悪いが数日は耐えてもらう必要があるな。

 

 首が飛ばなきゃなんとかなるし、即座に首を刎ねるほど騎士団もバカではない。

 

 なら俺がすべきは―――

 

 


 

 

コンコン

 

「どうぞ」

 

「失礼します。…魔剣士協会所属魔剣士兼、ミドガル魔剣士学園臨時教師。アガレス・ヴェネルシンスです」

 

「ミドガル王国第一王女、アイリス・ミドガルです。お久しぶりですね…それで、用件は?」

 

 ノックをして室内へと入ると、執務机に山と積み上げられた資料に目を通していた女性が顔を上げる。

 

 優れた魔力量に冴え渡る剣の才から、王国最強と名高いアイリス・ミドガルその人で――また妹を昨晩誘拐されたばかりの一人の姉である。

 

「アレクシア王女の誘拐時間については耳にしました。…その嫌疑が、シド・カゲノーに向いていることも」

 

「…反対意見を言いに来たのですが?」

 

「よく分かりましたね」

 

 俺の言葉を遮るように、アイリス王女が言った言葉に少し驚く。その通りだったからだ。

 

 戦士としての直感は優れているが、人の機微には鈍感…というのが彼女に対する印象だったため意外に思い黙っていた俺に対して、アイリス王女はウンザリとした様子とともにその理由を語った。

 

「先程彼の姉である。クレア・カゲノーから強烈な抗議があったもので…」

 

「あっ…それは、ご愁傷様です」

 

「その気遣いは不用です。……貴方も同じ事をしに来たのでしょう?」

 

 少しだけ、本当に少しだけ不機嫌そうに俺を見るアイリス王女。

 上に立つ人間としてその一時の感情に流される短絡さはどうかと思ったが、原因が原因のためそれに目くじらを立てる事はできない。

 

 シドくんが絡んだ時のクレア・カゲノーは苛烈にして執着的、陰鬱にして破滅的だからな……下手な強敵より恐ろしい。

 

「では、話半分にでいいのでお聞きください」

 

「――っ、すみません。浅慮が過ぎました」

 

「いえ…私はアレクシア王女とシド・カゲノー。両名の鍛錬を近くで目にする機会が何回かありました」

 

 そこでアレクシア王女の実直だが故に無駄な動作がない速い斬撃を見えているのに当たった(・・・・)シドくんを思い出すが頭を振りその思考を追い出す。

 

「彼にも光るものは感じますが、やはり実力者は明確。秀才であるアレクシア王女を拐かすには戦力差があり過ぎる」

 

「…協力者がいるとは考えないのですか。非合法な組織や王家に反抗的な貴族による甘い蜜に、彼がまんまと引っ掛かったとは?」

 

「確かに彼の家柄や経済状況を考えれば、ありえなくもないです…しかし。カゲノー家にはクレアがいる」

 

「続けて」

 

「クレア・カゲノーは前途有望な魔剣士だ。本人ではないとは言えその家族が不祥事を起こせばどうなるか…少し考えれば誰でもわかる。凡夫ではあるが愚鈍ではない彼がそれに気付かないとは思えない」

 

「つまり、彼は無実だと?」

 

「はい。少なくとも俺はそう信じています」

 

「……………」

 

 黙りこくるアイリス王女に対して、内心冷や汗を浮かべる。

 

 前々世の民主主義に比べ、貴族や王族が大多数を支配する今世では以前よりも“疑わしきは罰する”という風潮が強い。仮に彼が何もやっておらず、それを裏付けるような証拠が出なかったとしても…アレクシア王女の奪還が叶わなかった場合“とりあえずの決着(ケジメ)”として彼が罰せられる可能性が高い。

 

 王家の面子〉〉〉超えられない壁〉〉〉〉男爵の子息の命 なのだ。

 

 貴族社会ってこわいな!

 

 ――だから、これは時間稼ぎだ。

 

「貴方の意見は分かりました。ですがそれはあくまで仮説の一つに過ぎません…私からも一応、捜査本部への報告はしますが」

 

「それでも充分です…感謝を」

 

「こちらも貴重なご意見感謝します…あぁそうだ」

 

 和やかに微笑んだアイリス王女は俺に一枚の書類を手渡してくる。

 

「“シド・カゲノーの一時釈放”…これは?」

 

「文字通りです。彼からのこれ以上の情報提供は望めそうにありませんので」

 

「私がその迎えに。という解釈でいいのでしょうか」

 

「問題ありません。彼もせっかくなら馴染みのある人物に出迎えられたほうがいいでしょうし」

 

 そう言うアイリス王女の顔はどこか苦しげだ。

 おそらく直感的に彼がシロに近いことを感じているのだろう。

 

 …これ以上することはないな。

 

「感謝します。ではこれで――」

 

 長居は不要だと踵を返し部屋から出ようと扉に手をかけようとすると、一人でに扉が開く。

 

「失礼します…おや?」

 

 そこにいたのは我が同僚にして王国剣術指南役…そして今回のアレクシア・ミドガル第二王女誘拐事件の主犯格。ゼノン先生だった。

 

「アガレス先生?何故ここに…」

 

「やぁゼノン先生。いや、俺はそこのアイリス王女に少し進言をな。どうにもシドくんが犯人とはな……」

 

「あぁ成る程。ボクとほぼ同じ意見か」

 

「……そうか」

 

 やっぱり俺は演技が苦手だな。今度ローランに頼んで、せめてポーカーフェイスだけでも習うか

 

 硬くなってしまった俺の声に、ゼノン先生…いやゼノンの眉が不審そうに曲がる。

 

「俺はこれで、ゼノン先生。互いに頑張ろうな」

 

「ん?あ、あぁ……」

 

 これ以上勘繰られるのはまずいと考え、強引に話を切り足速に部屋を出る。不信感を抱かせたかもしないがあのままいるよりかはマシな結果だと信じたい。

 

「ハァ、ほんっと不器用だな俺…」

 

 行く場所も決めずに騎士団の建物から出て歩くと、自然と学園へと辿り着いていた。

 

 学生であるアレクシア王女が誘拐されたと言うことで第二の被害者を出さないため、学園からの命により学生はその行動を大幅に制限されている。

 

 そのため校舎はとても静かで、俺はその壁に寄りかかって溜息をついた。

 

「ども〜。清掃の巡回に来ました〜」

 

 とその時、校舎の裏からほうきとちりとりを持ちミントブルー色のツナギを着た――有体に言えばまぁ学園が雇う清掃員と同じ格好の――人物が俺に声をかける。

 

「あぁ、どうぞ」

 

「どもども。じゃあ始めますね〜と」

 

 その人は落ち葉や小石を手に持った清掃道具で集め始める。

 

「…なんでいるかは聞かないよローラン(・・・・)。調査の結果は?」

 

「簡潔に言えばシロだ。実行犯でも協力者でもない、完全にただの巻き込まれ事故だな」

 

 彼はほうきを動かす手を止めず、俺もそのまま会話を続ける。

 

「あと、囚われの王女サマの居所もある程度は目星がついた」

 

 ちりとりの中からやけに綺麗な一枚の紙片が出てきて、それを清掃員に扮したローランが華麗なほうき捌きで俺にパスしてきた。

 

 パシッという小気味のいい音で受け取り紙を広げると、3~4桁のいくつかの数字の羅列が書かれている。

 一瞬書かれていることを理解出来なかったが。少し深く考えればスグに分かるものだった。

 

「座標か…スラムに近いな。なるほど悪巧みにはうってつけって訳だ」

 

「テンプレ過ぎて笑えてくるぐらいにはな」

 

 伝達の役目を終えた紙片をクシャッと握りつぶし、俺自身の異能を持って燃やす。

 

 徐々に黒く変色している紙と、鼻をつく焦げ臭い臭いが周囲に漂う。

 

「…まだ動くなよ。白昼堂々は流石にな?」

 

「?――あぁゴメン。どうも何かが灼ける臭いがするとスイッチがね」

 

 完全に燃焼された紙片を最後に握りつぶし、ちりとりの上でその手を開く。

 パラパラと落ちていく灰を見て、俺は小さく呟いた。

 

 


 

 

 日が落ち始めてきた夕暮れ時、王都にいくつもある騎士団の施設。その中の学園にほど近い立地の詰所の扉が乱暴に開き中からパンツ一枚の少年が蹴られるように放り出された。

 

「オラ!とっとといなくなりやがれっ!!」

「口の固いクソガキが粋がってんなよ!」

 

「ぐえー」

 

 少年は受け身をとることも出来ずに地面へ激突した。遠目越しでもわかる幾多の傷にパンツ一枚という中世から近代の中間に位置するこの世界の常識からも大分逸脱した格好から周囲の人間は胡乱げな、または嫌悪的な視線を少年とその様子を罵倒する乱暴そうな騎士達に向ける。

 

『………………』

 

「おーいてて…」

 

 が、助けようとする人間はいない。誰だって厄介ごとは嫌いなのだ。何故なら彼の名前はシド・カゲノー――カゲノー男爵家の長男にして、今回の誘拐事件に関わっていると疑われている容疑者の一人だからだ。

 

 『容疑者に今関わりに行ったらどんないちゃもんを付けられるか分かったモノではない』というのが、彼を遠巻きに見守る民衆の総意だろう。

 

 

「失礼、通してくれ」

 

 しかし、そんな群衆の中にあって一人の男が彼の前に歩み出た。

 

 周囲の視線など微塵も気にならないといった風体の彼は一切躊躇せずにシドと騎士達の前へと歩を進め、シドに手を差し出した。

 

「お疲れシドくん。平気かい?」

 

「あれ?アガレス先生」

 

 シドはその手を掴んで立ち上がるが、少しポカンとした顔でアガレスを見つめた。

 

「学園からの引き取り役が俺さ。一緒に帰ろう」

 

「あぁ、お引き取りご苦労さまです先生。大変ですなぁこんな不良生徒(チンピラ)相手にも人手を割かなくてはいけないなんて」

 

 先程までシドを罵っていた騎士達は露骨な嫌味を飛ばす。それは明らかな挑発だったが、アガレスは眉一つ動かさず眼が完全に隠れてしまうほどの満面の笑みを浮かべ口を開く。

 

「いえいえ~そちらこそ大変ですね。仕事が雑な(・・・・・)人もこうして現場に駆り出さないといけないなんて、騎士団も余程人材不足のようで」

 

「はは…は?今なんつった」

 

 その言葉にピクリとこめかみを動かした騎士。傍目に見ても分かる怒気に遠くの方の民衆の顔が青ざめる。

 

「だってそうでしょう?真偽を晴らすために彼を尋問(・・)したけど結果は黒でも白でも灰色(グレー)。なのにまるで“彼がやったことが確定してる”ように言う。司法も司る騎士団の一員としてはあまりに不適切では?」

 

 スラスラと淀みなく言う彼の一言一言に騎士達の顔に青筋が増えていく、その様子に人々は距離を取りシドは“この場におけるモブっぽい立ち回りとはなんだろう”と考え取り敢えずアガレスの後ろに隠れた。

 

「てめぇ……!」

 

「それにその言葉遣い、一般人もいるのにそんな粗野な言動をしてたらこの詰所。ましてや騎士団全体の印象低下(イメージダウン)に繋がりかねないのに……そんなことにも気付かず素で振る舞うオツムの弱いお騎士サマ――これを不出来と言わずしてどう言うので?」

 

 そしてとうとう我慢の限界に達したのか、騎士達は腰の剣に右手をかけ彼に詰め寄ようとする。

 

「黙って言わせてりゃあ、ずいぶんな言い草じゃねぇか…」

「こっちが何の手出しも出来ないと思ってんのか?」

 

 先程シドが顔面から滑り落ちた階段を下り彼へ近付かんと一歩、踏み出そうとする騎士達を見て――臨時教師(アガレス)は初めて笑みを解きその目を晒した。

 

「――ッ!」

 

「まるで、手を出したいのが自分達だけ(・・・・・)みたいに言うなぁ…」

 

 瞋恚の心意を宿した翡翠の眼と、抜き身の刃を思わせる鋭い怒気に。騎士達の足が止まった。

 

 足が止まった騎士達を見て――顔から笑みの一切が消え去りその瞳に殺意すら込めてアガレスは騎士達を見上げる。

 

「俺に大義名分を与えるなよ不良騎士(アウトロー)、火傷したくなかったらな」

 

 自然と夕陽を背負う形となったアガレス。その周囲を漂う陽炎は…平時のそれより幾分多く周囲の光景を歪めていた。

 

「…行こう、シドくん。そちらの皆さんも、お騒がせして申し訳ございません」

 

「あはい」

 

 大きく息を吐きそこでようやく自制心を働かせたアガレスはシドを促し、また最後までこの一幕を見ていた民衆に詫びるように軽く頭を下げゆっくりと歩き出し。シドもそれに従い歩き二人は去って行った。

 

 最後に残ったのは、階段から一歩を踏み出す途中という不格好な姿勢で止まっていた騎士達だけであった。

 

「クッ…散れ、散れェ!見世物じゃねぇぞ!!」

 

 ようやく再起動した騎士はたった今諫められた言動を治すことはせず民衆を怒鳴り散らすと、虚勢を張るようにドカドカと靴音を鳴らし詰所の中へと戻っていた。

 

 それが開幕から終幕まで、文字通り彼らを見続けてきた民衆(オーディエンス)の眼にどう写ったかは……態々書き示す必要はないだろう。

 





~帰りの電車での会話とそれぞれの内面~

陰「いやー先生ありがとうございます。代えの制服に軽食まで」
 (満点…!満点だぜアガレス先生……!キミの圧倒的主人公ムーブを見せられて、暗躍したがらない“陰の実力者”がいるか!?いいやいまい!!)
 (ただ今は、キミに感謝を…!)

炎「あぁ、うん……」
 (堪え性がなさ過ぎるぞ俺…ローランの話では騎士団にも教団の息がかかってて、なんならあの騎士達が教団の手の者の可能性も充分ある!なのにあんな挑発をして…!)
 (下手に目立って目を付けられて動きにくくなるのはバカでも分かるだろ!なんでやった俺!?言え!!!)


【アガレスの価値観】
 女神の指令という大仰なものの下動いてはいるが、本人は結構等身大な価値観や思考回路をしている。
 “勇者”としての経験から100人よりたった1人を救おうとすることの愚かさを理解してはいるが、ならばと一を躊躇無く切り捨てられるような俯瞰的な人間には成れなかった。不平等な救世主

 例え無駄でも、自分にとっての不利益が生まれても。彼はなんとか救い、赦しを与えることは出来ないかと足掻く人間である。



シン・後書き

 クサい…クサくない?(自己嫌悪)
 まぁいいか よろしくなぁ(開き直り)

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