イージーモードなホラゲー世界に転生したのに!   作:かげはし

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第20話 6日経過した日に

 

 

 

 

 高い場所から地下へ落ちた子供は、立ち上がることすら出来ずに死んだ。

 そうして6日が経った。

 

 死ぬ前の子供は自らが理解できない後悔を胸に涙していた。

 

 子供には何もなかった。

 何もないけれど、飢えてはいた。

 

 家に帰ることは出来ない。

 居場所は何処にもない。

 誰からも愛されずにそのまま消えるのだと理解していた。

 

 そのままのたれ死んで、誰からも忘れられて消えていくはずだった。

 なんせ子供は家族に嫌われていたから。友達もいなくて、子供の手には何もなかったから。

 

 与えられたものがないからか、子供は笑うことも出来ない。

 

 

(いい、なぁ……)

 

 

 死の間際、子供は手を伸ばしていた。

 地下深く、空が見えないほどの暗い場所。そこから這い上がる虫を見て、羨ましく思えたのだ。

 

 手に取った虫を、ブチリと千切った。

 胴体を真っ二つ。これで何も出来ないだろう。

 自分と同じになった虫を見て、少しだけ虚しくなった。

 

 自分には出来ないことを虫はやり遂げる。

 生まれてきた意味を、あのちっぽけな虫は持っている。

 

 だから殺したのだ。

 そうすれば同じになると思えたから。

 

 虫になりたいと思えた。

 自分は虫にもなれない、空気のようなもの。

 

 

 子供は生まれてからずっと異質であった。

 異質に愛されていた。

 

 誰もが不幸になった。

 何かが奇妙なことが起きた。

 

 はじめは親も子を愛そうとしたが、どちらも何度も死にかけたせいで諦めた。

 

 ただ唯一の救いか、それとも不幸だったのか。子供は憎まれないまま人形のように生かされた。

 金は出す。食事も出す。しかし愛されることはない。

 無関心にも似たそれに、子供は反抗する気力がなかった。

 

 子供にとって、自分が生まれてきたせいで周りが不幸になっていることを知っていたから。

 

 それを救い上げたのは、同じく空から『堕ちた』少女だった。

 

 少女は異質な言葉を言う。

 それを子供は理解できてしまった。それを少女は知った。

 

 どちらも異質で、どちらも似ていた。

 少女は腹を空かせる。子供は愛に飢える。

 

 愛されたい。守られたい。

 そんな子供に寄り添うように、少女は子供を食べた。

 

 影が消える。子供の存在がかき変わる。

 魂がぐちゃぐちゃに、混ぜられる。

 

 抵抗はしなかった。否、出来なかったのだ。

 なんせ何もかも理解できずに弄ばれていたから、食べられていると認識出来なかったのだから。

 

 7日が経つ前に、それは終わった。

 子供は家に帰る。しかしそれはもう、あの頃の子供とは言えない状態で。

 

 それが、四木真白の始まりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────というのがゲーム内の真白の認識ですけど、あの……先生?」

 

「何故それを早く言わないんだこの馬鹿!!」

 

「ひぇ!? す、すいません!!」

 

 

 

 

 




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