俺と勇者と英雄   作:英雄譚に魅入られた者

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2月に入りましたね。

今回は2月のように短めです、あてつけです。


9『オーサー』

今日の昼飯も蕎麦である。

日替わりで上に乗る具材が変わるため、毎日注文しても飽きが来ない。

本日はふっくらとした油揚げにわかめと小口ネギ。

鰹出汁を存分に吸って膨らんだ油揚げは、噛めば甘味とともに出汁の旨味が口に広がる。

そしてそんな口内にすすり入れる、白くてツルッとしたこの麺との相性が実に良くて…。

 

「うどんだ、これ!」

 

「えっ、あ、はい、そうですね?」

 

「俺、蕎麦頼んだよな…?」

 

おかしい、俺はいつも蕎麦を頼むから注文を間違えるはずがないのだが…?

いや、確かに時々はうどんだったりラーメンだったり頼む時はあるけど、期間限定の変わり種とかしか頼んでないし。今日はそういうのないし。

やっぱ、おばちゃん疲れてたのかな。

俺の前に、いつもカフェテリアに行ってるはずのスペシャルウィークとライスシャワーが並んでたし。

オグリキャップもいたらどうなってたんだろうか。

 

「んっ…トレーナーさんから連絡です。

えっと、チーム結成届の書類及びトレーナー契約の書類を用意したので今日の放課後にトレーナー室へ集まって欲しい、だそうです。」

 

「了解。しかしトレーナー契約って言われるとなんかアレだな。

本格的にトレセンに来たんだなぁって感じるわ」

 

「もう2年目ですけど…?今ですか?」

 

「おう。だって、ただ走るだけなら家のコースでいいしな。

トレーナー契約を結ぶって事は中央のレースに出るって訳だぜ?

そう考えれば、そう思わね?」

 

「あ〜、家のコースって、レイさんが市営と勘違いしてたお父様私営のコースですよね?最初はなんのこと言ってるのかと思いましたケド。

確かに言われてみれば思いますけどそんな事は普通、入学する前から思う事なんですけどそこのところどうお考えで?」

 

「おっ、今日は辛辣だな。なんかあった?

いや、まぁ、そうだな、ソレもそうか。そうだよなぁ」

 

だって、記憶がなぁ。

俺としてはやっぱりアプリで知ってる関係でどうしても現実味が無かったり。

いやまぁ、ウマ耳ウマ尻尾生やした見た目麗しき少女になってる時点でもう、向こうの世界の住人じゃない事はわかってるんだけども。

交友関係もヒトの頃とかわってウマ娘の幼なじみと……。

OK、この話はやめよう。

今も昔も種族だけしか変わってないとか辛くなる。

 

「ま、とりあえず今は飯を……いや、うどんだけどさ、コレ」

 

「そうですね?」

 

あぁ、うどんが美味い。

 

ーーー

 

午後の授業も終わり、放課後。

トレーナー室ではチーム結成の為のミーティングが行われている。

俺とデジタルそしてロブロイのトレーナー契約は既に終わっており、こちらはスムーズに終わったのだが。

 

「チーム名…ねぇ?」

 

チーム結成のために連名したものの、肝心のチーム名が決まっていないのである。

アニメだと確かチーム名は星の名前だった気がするしアプリのメインストーリーでもシリウスと星の名前だったが、別にそんな決まりは無いらしい。

まぁアオハルシナリオみたいに自由らしいから、俺は『ちびっ子軍団』と提案はしたもののお前がデケェと拒否られた。ははっ、知ってる。

ウララは何を思ったか『にんじんぷりん』。

食べたかったんだろうな、また今度作ってやる。…にんじん味のプリン?

デジタルは『フィロソフィー』。

哲学好きね、君。

デジタルの場合は真理を探究する知的営み(意味深)だが。

割とかっこいいとは思うけど、多分ここのチーム名には合わん気がするゾ。

 

「ぁ、あの…では、『オーサー』は如何でしょうか!」

 

「オーサー?…アーサーなら知ってるけど、本関係か?」

 

「えっと… 「書き手」、「創造者」という意味らしいですね。

あー…書き手に創造者。…なるほど?知られてる…??」

 

へぇ、そんな意味合いの単語が。

デジタルは自分の創作物の数々を思い出してるのだろう。

アリスデジタル先生、夏コミの進捗どうですか?

そういう括りだとメジロドーベルとライスシャワーを勧誘したくなるんだが。

そうなるとチームというか、文芸部だよ。

目指すはレースじゃなくて、夏と冬の祭典か?

まぁ、ロブロイは英雄に憧れる文学少女。

自分の軌跡たる英雄譚を綴るという意味合いでこの単語を選んだのだろう。

 

「いや俺は結構これいいと思うけど。

ロブロイは英雄に至るまでの英雄譚を、デジタルは冒険の書()を、だろ?

俺とウララはなんか思うところがあったり?」

 

「えっと…レイさんは神話の続き、もしくは新たな神話を。

ウララさんはその、幅広く愛されるやさしい童話、でしょうか」

 

「なるほど。

となると僕は、君達という主人公達の活躍を1番に読ませてもらえる読者になるのかな?それとも編集者として共に書き綴る方かな?

どちらにしても、良いね」

 

「トレーナーさん…っ!」

 

トレーナーよ、夢見がちな文学少女にその言い回しは刺さるぞ、オイ。

最初の担当のウララはともかくとして、デジタルとロブロイまで落ちたらいよいよだぞ。

平均身長141センチのちっちゃい子ばかりを集めたへんた…あっ、年の離れたお兄ちゃんにしか見えねぇわコレ。健全です。

まぁ、オールラウンダーを言い出すのは変態らしいけど。

というか今気づいたが、俺をいれてもチーム平均身長150いかないんだな。

やっぱりちびっ子軍団なのでは???

 

「ウララはどう思う?」

 

「いいと思うよ!むずかしいからちょっと忘れそうだけど、頑張って覚える!」

 

「ははっ、それは頑張ってくれとしか言えねぇわ。

と、なると後はデジタルだけだが?」

 

「えっと、はい。深い意味はありませんもんね、大丈夫ですとも」

 

「それじゃ、ロブロイさんの案の『オーサー』でいこう。

共に君達の物語を歩ませてもらうよ」

 

こうして、チーム『オーサー』は結成されたのであった。

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