俺と勇者と英雄 作:英雄譚に魅入られた者
百科事典とか六法全書とかでも可。
5月。
本来の暦なら皐月でありG1レースだと、NHKマイルカップ、オークス、日本ダービーがある月である。
なお我らがハジケリスト、ゴールドシップが皐月賞なのに5月じゃないのかよと怒っていた月である。
まぁ、俺もアプリから競馬に触れて間違いか?と思ったけど。
ちなみにNHKマイルカップを制覇したのは、なんと同室のフルールドシュマン。
プレイヤブルウマ娘が居なかったのもあるだろうが、同室のなじみでちょくちょくオーサーのトレーニングに参加していた事も勝因になったのかなぁと思っている。
フルールの専属トレーナーが考えるメニューがどうこうとかいう話ではなく、単純に俺というイレギュラーとその母たるスレイプニルが考案したトレーニングメニューを組み込んだメニューをこなしているからと言う理由だ。
まぁ変な話だがアプリと同じで、レースを走るほかのウマ娘たちの能力が平均的に上がっているのに対して、オーサーのトレーニングメニューは特化的に能力を伸ばす方針をとっている。
その為、フルールはアプリよろしく根性が悲しいことになってると思うが、バ郡に飲まれないパワーとレースの仕掛けどころを間違わない賢さを伸ばして見事に差し切って1着を取ったのだ。
ちなみに俺はスタミナとパワーがウマソウル()の影響で高いため、スピードと賢さを伸ばすメニューを組まれていたり。
みんな大好き、スピ賢育成である。お勉強たのちぃ。
「圧ってなんだよぉ、掛かりってなんだよぉ…スタミナを奪うデバフとか意味わかんねぇから。
そういうのは頼むから、ゲームの中だけにしてくれ」
そしてわかったのだが、俺は賢さ補正がマイナスらしい。
マンハッタンカフェの持ってるスキル『スタミナグリード』とか長距離適性の俺に合うのでは?とか思って調べてみたのだが、後ろの方にいると前方のウマ娘の持久力を奪い取って回復しているようだとか書いてあるだけで、本の方が解説を放棄している。
スキルの図鑑かコレ?効果は知ってるから方法を教えてくれ。
まぁでも、こんなスキルの説明でも知ってるか否かでレースを走るウマ娘の戦術も変わるだろうし、本としての役割は果たしていると言えるだろう。
残念ながら俺には必要がなかった、と言うだけで。
「ロブローイ、悪いけどコレ俺には合ってねぇわ」
「…あっ、はい!では……そうですね…こちらはどうでしょう」
「『人竜戦争』。…なかなか興味深いけど、違くね?」
「はわぁ!?間違えました!こちらです!」
なお賢さトレーニングは教室でもトレーナー室でもなく、体育館の真ん中で将棋を指すわけでもなく、図書室で行われていたりする。
というのも、ロブロイが付き添いで友情トレーニングしてくれる為である。
君、確かスピードとスタミナじゃなかったっけ?良いけどさ。
というか間違えて差し出されたの、とあるゲームの中の伝説じゃねぇか。
ファンタジー小説として置いてあったのだろうか?
さすがトレセンの図書室、図書館以上の蔵書があるらしいし多分探せば魔導書も出てくるだろう。知らんけど。
「えっと……『スピード戦術書』。
え、この本この名前なの?そのままじゃねぇか……読むけどさ」
「他にも、スタミナ、パワー、根性など色々と種類があるみたいです。
秘伝書なるものもあるそうなのですが、それはまだ早いわとパジャマのような服を着た司書さんに止められてしまいました」
「そういや見ないけど司書さんパジャマなの?え、ここに住んでるの??」
「どうでしょう…朝も早くから居ますし、門限ギリギリまで読んでいた時も確か居たので……もしかして?」
「ここ図書室だけど地下だし、やたら広い上に隅々まで見てないし、もしかしたらどこかに部屋があるのかもな。
それとも、童話に出てくるような魔女だったりしてな」
「あはは、まさか。
もしそうだとしたら、スイープさんが喜んでここに来そうですけど」
「んー?スイープ……あぁ、あの魔女帽子の子」
といいつつ、脳裏に浮かんだのはメテオ!とか言ってる女の子。
「おいっす」とか「いってみよー」がナイスネイチャとかぶってるからか、パッと顔が思い出せねぇ。
どうしても魔女コスしたナイスネイチャが出てくる不具合。
魔女コスはドトウなんだよなぁ…。
ガチャで引けなかった事も多分影響してるんだろうな、コレ。
「あの子は魔女っていうより、見習いの魔法使いっぽいよな
なんかこう…ホウキとか似合いそうだし」
「なんでもお婆さまが魔女らしいですよ?
魔法使いといったら杖じゃないですか?それこそ、本とか」
「でも魔法使いってホウキで空飛んでるイメージない?
杖とか本とかは魔女が詠唱してる時とかに持ってるイメージあるけど」
「あー、言われてみれば。
そういえばスイープさん、ホウキに跨って飛んでましたね」
「え、ガチ?」
「はい。全力で助走つけた上でですけど」
「ロブロイ、それ飛んでない。跳んでるだけだわ」
まだ見ぬスイープよ、君もしかして魔法(物理)タイプか?
前衛の英雄ロブロイの横に立って戦えちゃう系の魔法職だったりする?
もしくはカワカミプリンセスと共にプリファイ(物理)だけど。
「にしても、律儀に跨るところは素直に称賛に値するな。
俺なら普通に跳ぶわ。ホウキは……投擲武器だな」
「掃除道具だと思うんですけど……」
「それはそう。対敵想定してるのが間違いか」
「でもそうですね…武器として考えるならやっぱり槍でしょうか?
それともグラスワンダー先輩のように薙刀として使うでしょうか」
「やっぱり棒状の長物はそうなるよなぁ。
でも俺はあえて剣を推すね。短いやつでも長いやつでも見立てて振るだろ」
「棒状で片手で振れるものならなんでも剣になりません?
弟も良く棒状のものは剣にしてましたけど」
「たしかに。でも短すぎると逆手持ちの短剣とかにしたくなるんだよなぁ。
やっぱり武器って剣がメジャーなのかねぇ」
ロブロイの固有演出をふと思い出す。
本の中から英雄ロブ・ロイゆかりの地たるスコットランドに関係してか、クレイモアを引き抜いてたよなぁと。
デジタル然り、俺の幼なじみ達はいったいどこに物をしまってるんだろうな。
アレはやっぱり、何処ぞの運命の人類最古の叙事詩の王がモチーフになってるのだろうか。俺も出してぇ。
「あの……何してるんです?」
「いやさ…こう、本の中から剣が出ないかなぁと」
「…なるほど?本の中から召喚するような感じです?」
「そうそう、やっぱ虚空から出すのとかロマンじゃね?
無理ってわかっててもやってみたくなるよな!」
「……あっ、できました。こういう感じで……意外に重いんですね」
「ロブロおぉぉぉい!?おまっ、おま!!?」
チラッとロブロイを見れば、今まさに本の中から剣を引き抜いて掲げているではないか。
感想が、意外に重いって何なのさ!そりゃ本来は両手剣だからな。
いや、普通に冷静なのに驚きなんだが。
ーーヒュッ、バギャッ!
「あっ…」
「うぉぉぉぉ!?危ねぇ…ってか、あーぁ…やっちまったな」
「す、すいません!怪我はありませんか!?不注意でした…」
ロブロイがそのまま手を下ろした為、クレイモアが俺の横を掠め机に叩きつけられた。
確かな重量感を感じるだけあり、クレイモアの剣先が落ちた先の机が砕けて穴が開いてしまっている。
直撃しなくてよかったと、冷や汗が流れるのも仕方ないだろう。
「ま、まぁ、俺は大丈夫だ。
ただ、司書さんに謝りにいこうぜ。
いや、まてよ?なんて説明するんだ…?本から剣を出してとか意味わからんぞ」
「それはまぁ…実演すれば良いのでは……?」
「クレイモア2本目召喚するとか正気か?
両手剣は両手に装備するもんじゃねぇから」
「いえ、コレはしまっておくので…」
「…もう突っ込まんぞ。つっこまんからな!」
抜いた剣を鞘にしまうかのように、本の中にクレイモアが吸い込まれていったが俺は突っ込まないからな。
えぇい、パジャマ司書とやらに謝りに行くぞ!
今回の余談。
司書さんは本当にパジャマだったし、ロブロイは本当に再現した上で机を破壊した事を謝罪した。
それで普通に何も無かったかのように受け入れて、1週間のお手伝いを罰として言い渡す司書さんも司書さんである。
なお、そのための報告書類を書くために本の中からペンと書類を出す司書さん。
どうやら本というのは読み物ではなく収納物らしい。知らなかった。
そして、俺は本から剣を召喚する事は出来なかった。
解せぬ。
デジタルばかりになってるし、ロブロイとの話も書こう。
→どうしてこうなった?
うちのロブロイは多分こういう子なんです。