俺と勇者と英雄   作:英雄譚に魅入られた者

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なんとか決勝Aリーグには行ったものの、ロプロイは固有が発動しない上に、デジタルはスキルが悲しいことになりました。

次は使うからぁ!!ごめ゛ぇぇん!!

あと、なんか前回からの落差がひどい気がしますが、コレがうちの主人公クオリティです。


4 萌す心

「あれ、デジタル休みか?……風邪ひいて寝込んでる、か。

『お大事に』と」

 

ーーー翌日

「あれ、デジタル今日もこねぇな。……まだ体調が戻らないから休んでる、か。『無理するなよ、しっかり休め』、と」

 

ーーーさらに翌日

「え?今日もか??『病院……いや、保健室はいったか?』と。

病院より何でも治りそうなんだよな、保健室。おかしいだろ。

……流石に見舞いに行くか」

 

ここ3日デジタルが体調を崩しているようで、流石に心配が勝り今日の授業をサボって見舞いに行く事に決めた。

サボるとはいっても一応は担任に、デジタルがなんかヤバそうなんで病院もしくは保健室に連れて行くので早退しますと伝えてだが。

先生に対して正面切って、帰ります宣言した生徒がいるらしい。

あまりに人聞きが悪すぎるな。実際、事実だが。

 

看病に行く前に、一応購買でスポドリとゼリー、それとウマ娘グッズは購買では売っていない為、とりあえずゴールドシチーが表紙を飾っているファッション系雑誌を買っておいた。

まぁ、俺はファッションには疎いし、こういった雑紙は読まないからそんな物も買ったという違和感がすごい。

普通の見舞いならスポドリとかゼリーだけだろうけど、デジタルだからなぁ……。

グッズ渡した方が喜んで早く復活しそうなんだよなぁ。しらんけど。

デジタルの場合、保健室等の使用理由が体調不良じゃなくて『ひんし』だし。

今まで風邪ひいて寝込んでたことあった…?俺の記憶にはないんだが。

 

「おっと……すまないね」

 

「こちらこそ」

 

そんなことを思いつつも購買から出ると、反対側からきたウマ娘と軽くぶつかった。

互いに倒れることもなかったが、一応ぶつかったということで謝りつつ振り返る。

前を向いてはいたが、よそ事を考えていて見えてはいなかった為、そのウマ娘に気がつかなかった。

栗毛のふわふわとしたウルフショートヘアーに、右耳に化学反応式を思わせるイヤリングがついており、赤い瞳にはハイライトがない代わりにテトリスのミノのようなブロックノイズが走っている。

アグネス部屋のヤベー方、なんか色んな薬が作れて某青たぬきみたいな便利屋の様な扱いをされてる方のアグネスタキオンだ。なおデジタルの同室。

 

「おや……君はデジタル君の。今から見舞いにでも行くかい?」

 

「はい、タキオンさん。

ここ3日アイツ寝込んでますけど、大丈夫なんですかね?」

 

「デジタル君が体調を崩しはじめたのは、4日前からでねぇ。

わたしが調合した、意識を無理にでも飛ばす睡眠薬を許可無しで拝借して飲むほどだよ。

そして、この数日はその睡眠薬を飲まないと眠れないからと渡している。

…この意味がわかるかい?」

 

「えっ……?ソレほんとです?デジタルが??」

 

「おそらくだが、あれは相当参ってる状態だよ。

風邪じゃなくてメンタル的な方の失調。

一応は精神安定剤も渡してあるが、効果があるようには見えないねぇ…」

 

あのデジタルが、ウマ娘に対して勝手に物を拝借する……?

YESウマ娘NOタッチのデジタルが……!?

割とそれだけでも精神的にきているとわかるのは悲しいかな。

 

「えっと…デジタル、病院とか行ってました?」

 

「いや、おそらく部屋すら出てないと思うねぇ。

ご飯もこうして私が買っていく物をやっと食べるぐらいさ」

 

「……何があったんだ?」

 

「きっと、君には関係あるだろうねぇ。

持っていきたまえ、私とデジタル君の部屋の鍵さ。

私は今日はラボに泊まるから、デジタル君の相手は任せるよ。

あの状態のデジタル君を見るのは少々心に響く。なんとかしておいてくれ」

 

「あっ、はい……」

 

アグネスタキオンから寮の鍵を預かり、ポケットにしまう。

にしても、俺にも関係して落ち込むような事……?ダメだ分からん。

とりあえず話を聞いてからだな。なんか変なもん背負ってなきゃいいけど。

 

 

 

 

 

ーーー

「ここだよな。とりあえずノックして。……。入るぞ」

 

コンコンコンッと乾いた木の音が静かな廊下へと消えていく。

中から返事はなく、何かが動いている物音もなし。寝てるのだろうか?。

ということで預かった鍵を差し込み、いざ突入。

 

部屋の造りはどこも同じなのだが、なんというかこの部屋は色々と凄い。

向かって右側がタキオンのスペースで、左がデジタルのスペースと1発でわかるぐらいに私物が特徴的なのだ。

右側は理科準備室を思わせるような薬品棚と実験器具が置かれており、実験器具の中に入っている液体は何故か虹色の光をはなっていた。

多分あれを飲んだらゲーミングウマ娘になれる。モルモット君、出番だゾ。

対して左側は、ウマ娘グッズが所狭しと並んだ棚とこれまたウマ娘のグッズが飾られた神棚。

祀られているウマ娘は、Oh、母上ダァ……。

ベッドの上もぱかプチ人形で溢れている。

 

「……おう、見舞いに来たぞ」

 

「……ありがとうございます、レイさん」

 

そしてそんなベッドの上でたくさんのパカプチに囲まれながら、毛布に包まったデジタルが1匹。

どうやら起きていたらしいが、声からして元気がない。

それに、こっちを見ない。

いつも会話する時はしっかりと相手の目を見るデジタルが、だ。

 

「スポドリとゼリー、グッズは売ってなかったからファッション誌買ってきたけど要る?表紙はゴールドシチー」

 

「…机の上に置いておいてもらえれば」

 

「……そうかい」

 

言われた通り買ってきた物はデジタルの机に置いて、そのまま椅子に座り雑誌を試しに読んでみる事にする。

……………。

だめだ、全然良さがわからん。モデルが綺麗だなぁぐらいしか思わんのだが?

こう言う服を着たいとか……ないな。ウマークマンで良いし。

 

「……あの」

 

「んー?」

 

「…今日の授業は?」

 

「デジタルの見舞いで休むって言ってきた。明らかにヤバそうだからな」

 

「そう……ですか…」

 

「そういや、途中でタキオンさんにあったから聞いたけど、勝手に睡眠薬飲んだって?しかもここ数日それ飲んでるんだって?」

 

「……はい。寝ようと思っても、アレがないと眠れなくて」

 

「アレ、クッソ強力な睡眠薬だって聞いてたんだけど?無理矢理意識飛ばして寝るためのものだって。

……なぁ、デジタル。何があった。何を抱え込んだ?」

 

ファッション雑誌を閉じ、包まったままのデジタルを見る。

これは、本当に精神的な何かがあったとしか思えない。

 

「…抱え込んだなんて。ただ、きっと、疲れちゃったんですよ」

 

「……何に?」

 

「……。何、でしょうね…」

 

「トレーニングじゃないだろうし、人付き合いか?」

 

ビクッとデジタルを包む繭が震えた。どうやら当たりらしい。

…なるほど、となるとスカウト関係か。

ここ1週間はトレーナーの視線がそこらじゅうから感じれて鬱陶しかったし。

それにウマ娘からも、羨望の他に妬みや嫉妬の視線が少なからずはあったか。

芝もダートも走れる上に、マイルに至っては俺らが走れんのもあっておそらく最強だろうし、母上の教え子ともありゃ引くて数多だし。

それでもスカウトを断ってるから……あ?もしかしてイジメか?

デジタルが自分を平凡なウマ娘と言ってるのを間に受けて、俺や母上がいなきゃみたいな感じの。

デジタルの事だし、ちょっとだけ気にしてそうなんだよな、ソレ。

しかも本人の気性も合わさって絶対に言い返さない上に、手を出されてもやり返さないだろう。

あ?流石に許さんが??どこの小娘だ???

 

「なるほど。どうやら俺が関係してるとは聞いてたけど……イジメか。

何処のどいつだ?お前は優しいから、素直に聞き入れて絶対にやり返すことはしないだろうから、代わりに俺が話つけてきてやる。

脚は流石にやらんけど、腕の一本二本ぐらいまでならいいかな?」

 

「あまりに物騒ですし、そもそも違いますケド……」

 

「……そうか。名推理だと思ったんだけどな」

 

怒りに支配されそうになっていた精神が、急速に冷めていく。

そうだよな、デジタルはなんだかんだでウマ娘からは受けが良いもんな。

相手の良いところを口にして褒めるタイプだし、どっかの全肯定覇王みたいだもんな。

マジかよ、恥ずッ!!

 

「……レイさん、わたしは…平凡なウマ娘なのです」

 

「……どうした?人が迷推理かました後に。あとお前が平凡なわけあるかと」

 

「…才能がないから、人よりも頑張って努力しようと思いました。

この脚だって、貴女と走りたいからと芝もダートも走れるようになったのです。でも、やはり、コレは養殖の才能なんですよ。

初めて走ったあの頃は、まだお互い横並びでした。

しかし時間が経つにつれ、貴女の横から後ろへ。

今では、その背を追うことしかできません。

そして、この前のロブロイさんをみて思いました。思ってしまいました。

わた…私はッ!きっとあなた方に追いつくことができないッ!!

今までのトレーニングの意味も、レースに駆ける夢や想いも、ここで走る意味もっ!もう、わかんないんです…っ…」

 

「……もういい。無理すんな。わかったから」

 

ガダガタ震え出した上に泣き出したデジタルを見れば、今度こそ正しく察せた。

人付き合い、苦しめていたのは俺たちとの付き合いだったと。

しかしまぁ、なんというか。コイツほんと……さぁ。

椅子を立ち、ベッドに乗り込みデジタルを包んで抱き枕にしてやる。

 

「……デジタル。

一緒に走りたくて追いつきたいから頑張ってたとか、何ともまぁ健気に一途で照れるわ。告白かよ。

でもまぁ、なんだ。ひとつだけ思ってことを言ってしまえばな、俺、デジタルとレースでぶつかる事はないと思ってたぞ?」

 

「……やはり、私に、才能がないから、でしょうか?」

 

「お前さ。才能がないとか言うけど、母上が認めた1人なんだぞ?

『マイルに置いては戦場に敵がいなくなるだろうよ』ってあの人が言ってたんだぜ?事実俺もそう思ってるからこそ、お前はマイル中心のティアラ路線で走るもんだと思ってたんだよ。

今までトレーニングの意味はまぁ…それこそ、ここで走る意味も兼ねた『推活のため』でいいだろ。

芝もダートも関係なく走れるようになって、キラキラ輝くウマ娘ちゃんたちの姿を特等席で感じるためにここに来たんじゃねぇか。

今更レースに駆ける想いとか夢とか、カッコいい後付けなんているか?

大体、お前は悩みすぎなんだよ。

アホ面晒して奇声上げて気絶してる方が似合ってるって。

そして、そっちの方が俺は好きだぜ?毎日楽しそうにしてる推しを見るのは気分が良いだろ?」

 

「……私が、遊んでいる、怠けているとは思わないのですか?」

 

「なんで?むしろ芝もダートも走ってて、純粋に他のウマ娘の2倍はやっててがんばるなぁと思ってたわ。

大体、推活だって見方を変えりゃ敵情視察の一環。お前ほど努力家なやつは居ねぇよ」

 

「そう…ですか。なら…見限られたり、しませんかね?」

 

「お前を?ふふっ…ねぇよ。なんだ、そんな事思ってたの?愛い奴め」

 

こちとら、前世からお前が推しなんじゃ。

見限られる事はあっても、こっちから見限る事なんてあるものか。

抱きしめる力を少し強くしたうえで、デジタルごと起き上がると、眉が剥がれデジタルの頭が出てきた。

ボッサボサのピンク頭から放たれるふろーら……Oh。

 

「……おう、ちょっとこれは年頃の少女からしていい匂いじゃねぇぞ!」

 

「ちょっ!?なんてことをいうのですか!?」

 

「おま、流石に見限りはしねぇと言ったが、不潔なオタクはダメだ、無理だ!!」

 

「誰のせいでこんな悩んだと思ってるんですか!!?」

 

クワッ!と本気で怒った顔をこちらに向けるデジタル。

ずいぶん、泣いたのか目元は赤く腫れてる上にクマが深く濃い。

心なしか痩せ細っているように見える。

 

「…心配させやがって」

 

「…ごめんなさい」

 

「とりあえず、風呂行って飯いくか。

今日はサボりだし、外で見かけて気になってるうどん屋に行こうぜ。

出汁の匂いが良くて気になってたんだわ。」

 

「はい!その……ありがとうございました」

 

「気にすんな。とりあえずは体調も戻していこうな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、風呂へデジタルを放り込んでサッパリさせた後、互いに私服に着替えて街へ出て件のうどん屋へ入ったのだが。

 

「いや、あのレイさんがファッション誌を買ってくるなんて。

机見て驚きましたよ?」

 

「買った俺も正直、違和感すごかったわ。

いやー、あんなオシャレに気をつかうとかわからんね、ウマークマンでいいわ、便利だし楽だし。

あ、七味くれ」

 

「はいどうぞ。

だからといって、私服がバイク乗りのような格好なのはどうなんです?

背も高くてスタイルもいいんですし?

では、いただきます」

 

「おう、なんだ?いちゃもんか?

だったらデジタルもその、小児のようなパステルカラーのロゴTとパーカーはどうなんよ?

ただでさえちっこいのに、さらにロリっぽく見えんぞ。

いただきます」

 

「「はぁ……うまぁ……」」

 

とか言うやりとりがあって、帰りに少しだけ服屋に寄ったとか。

デジタルの暗い影は、既にそこになかった。




うちの子、アホな子なん?そうなん()

前回との落差で風邪引きそう。
最近寒くなってきたから体調に気をつけようね(4日中2敗)
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