にじよん 〜さいどえむ〜   作:希望光

1 / 6
初めましての方は初めまして。それ以外の方はご無沙汰しております。希望光です。
今回は……にじよん見てる際に御影君入れたらどうなるのかを考えた結果出来上がった作品です。
拙い作品だとは思いますが楽しんでいただけると幸いです。




前回までのラブ↓ライブ!↑
どこにでもいる普通の男子高校生、御影玲は今日も今日とて推しに爆破されたり、スクールアイドルをやってる子達と交流しながらも読書に明け暮れる日々を過ごしていた。そんな中……?


虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

 ——それは、自分がなんの変哲もない日々を過ごしている時のことであった。

 

「ヒトリダケナンテエラベナイヨー!」

 

 図書室を出て屋上へと向かっていると、どこからともなく聞き覚えのある叫び声が聞こえてきた。聞こえてきたというか、文字が校舎から飛び出していくのを見た。何を言ってるか分からねぇと思うが、自分も何を言ったのか分からねぇ。科学とか魔術とかそんな分かりやすいものじゃなくて、もっとひみつ道具みたいなものの片鱗を感じた。

 

「……どういうことだってばよ」

 

 困惑しながらも文字が飛び出してきたであろう方向へ歩みを進めていく。なんか、あの、行った先で文字に轢かれるとか爆発するとかないよね? 

 小さく湧き上がった不安と共に進んでいくと、いつしか部室棟へと辿り着いていた。おや? おやおや? おやおやおやおや? 

 自分とは無縁のところじゃないですかヤダー。

 

「自分はどうして……こんなところに来てしまったのだろう……」

 

 自問自答しながら階段を上がり、部室棟の奥まった位置にある1室の前まで足を運ぶ。そして扉に提げられた札を一瞥する。

 

「『スクールアイドル同好会』……」

 

 大きくため息を吐いた自分は、先の現象がこの中から生じたであろうことを悟る。ここなら、何かあっても納得できる。超常的なことでも。

 3回ノックしてみると、中から『は、はーい?』と戸惑い気味な返事が返ってくる。あ、これはなんかタイミング不味かったかも。

 

「失礼します……」

 

 ノックをした以上は入らないのも失礼なので、腹を括った自分は扉を開き恐る恐る中を覗いてみる。するとそこには、高咲さん1人対残りの部員12人のような構図が。

 

「あ、え、御影君?」

「……失礼しました」

 

 高咲さんに呼ばれた気がしたけども、気にすることなく扉を閉める。うん、自分は何も見なかった。ヨシ! 帰るか。

 

「待って! 御影君待って!」

 

 踵を返した途端、扉が開いて高咲さんが飛び出しこちらの肩を掴んでくる。え、なに……怖いんだけど。

 

「なんでございましょうか」

「色々勘違いしてるよね? ねぇ?!」

「そんなことないですよ? 粗方何があったかな予想はつきますし」

 

 手短な反論を述べそのまま来た道を引き返そうとしたが、高咲さんに引っ張られ進めなくなる。……それどころか部室内に引き摺り込まれたんだが? え、この子どこにそんなパワーがあるの? 

 というわけで現在、13(部員全員)1(自分)の構図になってます。なんでぇ? あのもうすでにね、上原さんの対面にいるってだけで瀕死なんですよ。だから帰して? 

 序でに優木さん、カメラを回すのやめてもらって良いですか? これ、公開処刑になってますから。

 

「なんで、こうなったんですか? それと、優木さんの持ってるカメラは?」

 

 気になったので今一度質問。カメラについても。そしたら、一同が騒めいたかと思えば高咲さんが口を開く。

 

「御影君が何かを勘違いしてるみたいだから説得しようかと。カメラは、今同好会の日常を映しててね」

「せっかく玲君が来てくれたからファンの言葉も聞きたいなぁと」

 

 高咲さんの説明に付け足す形でそんなことを述べる近江さん。説得って……高咲さん多分説得力皆無だよ? それと、近江さんの発言めちゃめちゃ引っかかる。

 

「ファンって……自分何も公言してませんけどね?」

 

 一同から視線を外し己の発言を思い返していると、上原さんが不思議そうに首を傾げる。

 

「でも御影君、同好会の主催イベントだったり参加イベントだいたい来てるよね?」

「それは、せっかくお誘いをいただいたので……」

「それでも毎回予定を空けていらしてくれるって、凄いと思いますけど?」

 

 取ってつけたような理由を述べたら、桜坂さんから強めの切り返しをもらう。それを言われてしまうとですね、終わりなんですよ桜坂さん。

 

「やっぱり玲先輩も、かすみんの可愛さに夢中なんですね」

「あ、それはない」

「なんでですか?! しかも即答?!」

 

 中須さんの言葉を即座に否定したらめちゃめちゃ文句を飛ばされる。いやだって、中須さんは推しじゃないし……可愛いとは思いますけど。

 

「それで、高咲さんの弁明というのは?」

「ちょっとー! かすみんのことは無視ですか!?」

「後で聞いてあげるので少し待っててくださいな」

 

 喚く中須さんに一声かけ高咲さんの方へと視線を向ける。すると高咲さんはシリアスな表情を見せる。

 

「御影君的にはどうなってたと思ってるの?」

「高咲さんが全員に1番は誰か問われた挙句に『ヒトリダケナンテエラベナイヨー!』って言ったんじゃないですか?」

 

 自身の予測を率直に述べると、一同が驚いた様子でこちらを見据える。アレ、自分また何かやっちゃいました? 

 

「御影さん、凄いです」

「え?」

 

 突如三船さんの口から飛び出した言葉に間抜けな声をあげる自分。どういうことなのだ……。

 

「先ほどまでのシチュエーション、そして侑さんのセリフを完璧に言い当ててますよ」

「な、なんだってー?!」

 

 優木さんの言葉に大袈裟なリアクションを取る自分。いや、わざとじゃなくてガチでビビってるんですが。まっさかカーニバル案件ですよこれ。

 

「玲さん、もしかしてエスパー?」

「そんなはずはないんだけど……」

 

 天王寺さんから発せられた事に首を傾げていると、宮下さんが間髪入れずに言葉を紡ぐ。

 

「エスパーじゃないなら、玲実は盗み聞きしてたんじゃないの?」

「意外とその線ありそうね」

「変な方向で考察するのやめてくださーい」

 

 宮下さんの考察に同調した朝香さんに対して反論する。流石にそれはですね、心外なんですよ。いくら自分でも泣きますよ? 

 

「まあまあ御影君、彼方ちゃんの焼いたクッキーでも食べて落ち着こ?」

「え、あ、はい……いただきます」

 

 エマ先輩に勧められた近江さん作のクッキーを頂く。こ、これは……バターの芳醇な香りの中に、ほんのりと優しいミルクの甘さ。それでいてクッキー自体はサクッとしていながらパサパサしていない。

 

「めっちゃ美味しいです……!」

「それは良かったよー」

「それで、レイ。君は何しにここへきたんだい?」

 

 クッキーの美味しさに頭を溶かされていると、今度はミアさんから問いかけられる。……なんて答えよ。

 

「理由は……暇だったから?」

「なんで疑問系なんだよ」

「気が付いたらここに来ていた、としか言えないんですよね……」

 

 苦笑しながら答えると、ミアさんは呆れた表情でため息をつく。そういう反応になっちゃいますよね。多分、誰だってそうなる。自分もそうなる。

 

「全く、レイにはベイビーちゃんとは違った意味で呆れる時があるよ」

「ミアちゃんそれどういう意味!」

「そのままの意味だよ」

 

 突如として、ミアさんの発した言葉に反応した高咲さんとミアさんとで何かが始まった。呆然とその様子を眺めていたら、不意に優木さんに声をかけられる。

 

「では玲さん、気を取り直してビデオの方お願いします!」

「え、やること決定なんですか?」

「やはり同好会の日常ということなら、玲さんのことも外せませんから!」

 

 部員に部員じゃない奴が必要パーツ的な扱いされてるの何故。この同好会における自分の扱いって一体全体なんなんでしょうね。本当に。

 

「それでは玲先輩、まずは自己紹介からお願いします」

「え、あ、はい……」

 

 桜坂さんに促された自分は1つ咳払いをすると、改まってカメラの方へと視線を向ける。うぅ……こう言うの緊張するから苦手なんだよなぁ。

 

「御影玲です。スクールアイドル同好会の……追っかけ、やってます?」

「良いですね玲さん! では、今後の抱負をお願いします!」

「ほ、抱負?」

 

 優木さんに無茶振りされた自分は慌てふためく。な、何を言えって……あ、抱負か。でも、抱負になるようなことがない……。

 思考を回しながら視線をあちらこちらへ泳がせていると、不意に上原さんと目が合う。すると上原さんが何やら口をパクパクと動かし始める。何々……『頑張って』? 

 上原さん直々のエールを受け取った自分は一度滅されるが、思考を再起動させワードを作り上げていく。そんなね、推し(上原さん)からエールを貰ったら、頑張るしかないじゃん! 

 

「……そうですね。自分の抱負としては、同好会外のメンバーとして、この虹ヶ咲学園『スクールアイドル同好会』の魅力を届けていくお手伝いができたらと思ってます」

「ありがとうございます!」

 

 大きく息を吐いてカメラのレンズに留めていた視線を周囲へと向ければ、13人全員の視線がこちらへと集まってました。高咲さんとミアさんはいつからこっち見てたの? 

 

「御影君、すごい良かったよ!」

「あ、えっと、どうも?」

「でもこれ、玲自分で自分のことこの同好会のファンって認めてたよね?」

「……あ」

 

 宮下さんに指摘されて、己の失言にようやく気が付く。自分、ファンですよってニュアンスのこと言っちゃったね? これ、自他ともにこの同好会のファンだって確定した……って、コト? 

 

「なんてこった……パンナコッタ……」

 

 頭を抱えその場に膝から崩れ落ちる。こんな……粉☆バナナ案件だよ。嵌められた気分だ……気付かなかった自分も愚かだけど! 

 とか1人でアレやこれや自問自答してると、いつの間にやら自分の側に上原さんが来て自分の前で屈む。

 その動作に首を傾げていると、上原さんが両手で自分の手を取る。ふぇっ……上原さん? 

 

「御影君、これからも応援よろしくね?」

 

 その言葉と共に繰り出された上原さんの満面の笑み。それは、ある程度までダメージを負っていた自分を処しきるには、過剰すぎるものであった。

 

「アッ……」

「御影君?!」

 

 その眩さに襲われた自分の意識はそのままホワイトアウトしていく。遠くからこちらを呼ぶ声が聞こえてきたが、それに応じることなく自分の意識は途切れるのであった——




閲覧ありがとうございました。今回はここまで。それではまた次回お会いいたしましょう。さよなら!

感想のリンクはこちら
評価のリンクはこちら
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。