えー、にじよんあにめーしょんに対して一周遅れをとり始めました。終わりです。
と、それはさておき本編をどうぞ!
前回のラブ↓ライブ!↑
同好会の部室に凸ったら全員に囲まれて公開処刑された挙句、推しに爆破された。
突然だが諸君、人が天に昇っていくところを見たことがあるだろうか。あ、昇天とかご臨終じゃなくて、
「なんなのだ……」
某クソ親父……もとい、良親父の台詞を吐きながら自分が見つめる先には、部室棟から伸びていく一本の柱。その上には、見間違いでなければ人影が。なんか微かにだけど「降ろしてくださーい……!」って言う情けない鳴き声が聞こえた気がしたんよね。
「……中須さん、じゃなかったかなアレ?」
頬を引き攣らせた自分は、帰路に着くのをやめ部室棟へと歩いていく。え? 面倒ごとに自分から首を突っ込みに行ってるって? 知らんな。
というわけで本日もやって来てしまいました。スクールアイドル同好会の部室。こんな頻度で通う部外者おらんやろ。おらんな。
1人孤独にノリツッコミをした自分が扉を3回ノックしてみると、数秒後に中から『はーい?』と言う返答がくる。なんかこの感じ以前にも……?
「失礼します」
扉を開けて中に入りてみれば、窓際にて審査員席の様なものに座る3名と、卓を囲んで立つ高咲さん達の姿。……って、上原さんも安定でおるやん。終わったな。墓入ってくる。
「御影君。いらっしゃい。今日はどうしたの?」
「あ、えっと……」
高咲さんからの出迎えを受けた自分は扉を閉めつつ戸惑い顔をする。なんて返答しよう。
「なんか、その、中須さんが空へと昇って行くのが見えたから……安否を確認しに?」
「かすみちゃんの?」
「なんか、天に昇って行く? のを見たので」
先ほど見たものを嘘偽りなく理由づけとして述べていく。なんか現実味がないのはどうして?
「かすみちゃんは有頂天に」
「有頂天?」
「ランジュに可愛いと褒められ続けてね」
「その結果がこれなんですか」
納得した様に頷く自分の視線の先にあったのは、部室の真ん中寄りにポツンと存在している柱。『かわいいの天才』の文字が記されているのを見るに、中須さんと関わりがあるのはまず間違いがないだろう。自分がそう判断した。
「うん。多分今……あそこの頂上にいるはず……」
「なるほど……」
天井に吸い込まれる様にして伸びている柱を見上げるながら上原さんの言葉に反応する自分。ん? よくよく考えるとこの柱。外から見てあの高さだったから、色々天元突破してるよね? つまり落ちたら……。上原さんの多分って……そう言う心配なのね。
「玲先輩……助けてくださーい……!」
変なことを勝手に納得してたら、どこからともなく助けを求める声が聞こえてきた……気がする。この声、中須さんのだよね?
「どうかしたの?」
「なんか、中須さんに助けを求められた気がして……」
天井をキョロキョロ見渡してたら、上原さんに問われた。他の皆さんには聞こえてなかったのかな……?
「かすみちゃんの声?」
「はい、自分に助けてって呼びかける中須さんの声が……」
幻聴なのかと、自分を疑いながら天井を仰ぐ。助けて、と言われても……あの高さじゃどうすればいいのかわからないんだよな。
「かすかすが?」
「ええ。もっとも、今の自分にはどうすることもできないんですけどね……」
宮下さんの問いかけに、ため息混じり答える。本当、中須さんには申し訳ないんだけども、今の自分じゃあ助けてあげられないよ。
「玲先輩の薄情者……!」
中須さんが私怨マシマシで吠えてる気がするが多分気のせい。だって、ただの
「それでその、奥の3名は点数表示してるみたいなんですけど、なんの点数?」
ここで漸く、この部室内における最大の疑問に触れる。なんで触れなかったかって? ややこしくなりそうだったからに決まってるだろ。というかあのエマ先輩、100那由他って……エグすぎやしませんか?
「あー、あれはゆうゆのかわいさの点数だよ」
「高咲さんのかわいさ?」
宮下さんから飛んできた返答に首を傾げる。高咲さんの可愛さを数値化すると天元突破した……ってコト? いやそもそも、この人とか上原さんとかは数値化できるレベルじゃないと思うけど? あ、無論、この同好会の人間全員に当てはまる話なのだが。
とか思ってたら、急に上原さんから不穏なオーラが滲み出して来たんですが? パッと見バイオセンサーに見えた。はい。
「そうそう。今日もゆうゆがとんでもないことに言っちゃってね」
「……『いつも可愛いと思ってる』とか言ったんですか今度は」
溜息まじりに高咲さんへと視線を向けた途端、部屋の空気が硬直する。……あれ、この前もこんな感じに?
「レイ、さっきまでいなかったわよね?」
「え、今来たとこですけど」
「玲やっぱ予知能力者じゃないの?」
やっぱりこの流れかー! それから高咲さん、自分のたてた変な予想通りのことしてるのやめて。あり得ないと思ってることを言葉にした結果これだよ。
有り得ないなんてことは有り得ない……とは言いますけど、こんなところでそれを実感してしまうとは。ちょっと複雑。
「言ったんですか高咲さん……」
「うん。本当のことだからさ」
満面の笑みを携え答える高咲さん。あの、何食わぬ顔で問題発言をされたのですが。高咲さん、それは色々とまずいですよ?! それと、上原さんのバイオセンサー案件についても合点がいった。原因これですね。その些細な一言が、上原さんを新人類へと覚醒させようとしてますからね!
だからえっと、高咲さんその内『修正してやる!』って言われちゃうかもしれないからほんとに気をつけて欲しい。
「折角だしレイのかわいさも見てみたいわ」
「はい?」
内心で高咲さんへの忠告を述べていると、藪から棒にランジュさんからキラーパスをもらう。何そのキラーパス。新手すぎて対応も何もないんだけど。
「なんて?」
「レイのかわいさも見せてちょうだい! かすみ師匠に教わったランジュとレイ、どっちが上か勝負よ!」
腰に手を当て自信ありげな表情でビシッ、という効果音を伴いこちらを指差すランジュさん。これってつまり……宣戦布告ってこと?
「自分、かわいさ微塵も持ち合わせてないのですが」
「それでも構わないわ! 今持ってるレイの全てをランジュ達に見せてちょうだい!」
それらしい理由を付けて反論したらそれでも構わないって? ふざけるな! ふざけるな! バカやろー!
「拒否権はない……ってことですか?」
「そうよ!」
自分の問いかけに元気よく頷くランジュさん。拒否権はないって……無慈悲すぎるよ……自分は非常任理事国なのか?
「……はぁ。わかりました」
腹を括った自分は首を縦に振る。ああ分かったよ! 見せてやるよ! どうせ後戻りはできねぇんだ、見せりゃいいんだろ! 途中にどんな地獄が待っていようとランジュさんに……皆さんにかわいさを見せてやるよ!
内心で半ばヤケクソ気味に啖呵を切った自分は、大きく息を吸うと心を鎮めていく。落ち着け玲……お前は天才だ。どんな逆境でも乗り越えられる。今までだってそうしてきた。……え、上原さんには焼き尽くされてきた? まったくもってその通りですね!
「と、トランザムだけは使うなよ……」
ポロリと溢れた内心は、何故かしらんがソレスタルなんたらさんの台詞。なんでよりにもよってこれなんだよ。まあいいか。大きく息を吸い両手でVサインを作ると目がその間に入るように構える。あの、某78星雲から来た巨人の技の振りみたいな感じで。
「——春はあげぽよ!」
満面の笑みを携え、小さく舌を出す。側から見たらヤバいであろう状況に、必死に堪えながらも審査員を含めた一同へのアピールを続ける。恥ずかしさで死にそう……具体的には爆発しそう。
いつの間にやら部屋に充満していた静寂に身を震わせていると、突如審査員の御三方である、ミアさん、三船さん、エマ先輩が筆を走らせ始める。なになに、なんなんですかー?
「100点!」
「100点」
「10
「はぇ?」
一斉に開示された点数に自分は素っ頓狂な声を上げる。は、え……10不可思議飛んで200点? 300点満点中、9不可思議9999
どうしてこんな点数オーバーしてるの? 後、『穣』の次の『じょ』という位、本来なら『禾』に『予』と記すのだが、常用外漢字のせいか変換こそできても記載されなかった。
……はてさて自分はなんの話をしていたんだ? あ、点数がオーバーしてるって話か。
「待ってあの、100点要素どこにあった? それとエマ先輩10不可思議ってなんですか?」
「全部、ですかね。一連の動作に無駄がなく洗練されていて且つかわいさを極限まで引き出されていたので」
「ボクも同じ意見だよ」
「今のはこれくらいあって当然の可愛さだったよー」
三船さん、ミアさん、エマ先輩の順に講評をいただきました。本当に待ってほしい。今のがかわいいって? 多分中須さんが大泣きするよ?
「さいですか……」
「やるわねレイ。今回ばかりはランジュの負けよ」
講評に肩落としてたら、ランジュさんからの
「……やることも終わったので、自分はこれで失礼します。時間も時間ですから」
「本当だもうこんな時間」
ざわめき始めた部室を他所にその場を立ち去った自分は、当初の予定通りに帰路に着く。すでに予定通りにはなってないんだけどね!
帰宅後に何をするか、それを頭の片隅で考えながら校外へ出ると不意に後ろから走り寄ってくる足音が聞こえる。
「御影くーん!」
「……へ?」
後ろを見ればこちらへと駆け寄ってくる上原さんの姿がありました。Why Japanese people? どいうことなんだよ。
「どうかされました?」
「一緒に帰ろ?」
上原さんの言葉に自分は耳を疑う。……一緒に、帰る? この人は今そう言ったのか? というか今日、高咲さんと帰る感じじゃなかったの?
「自分はその、構いませんけど……高咲さんとかは?」
「侑ちゃんはまだやることがあるって。だから先に帰って、やることやろうかなと思ってね」
上原さんの返答に納得しながら頷く自分。上原さん、本当にそう言うところが真面目で尊敬するよ。自分は暇さえあれば無駄なことに費やすタイプだから尚更。
「そうでしたか」
「それでもし、御影くんが良ければなんだけど……」
「なんでしょう?」
唐突に投げられた問いかけに今度は首を傾げる自分。なんですかその新手の振りは。気になっちゃいますよ。
「その、また勉強教えてほしいな……って」
どこか気恥ずかしそうな笑みを携え返答を述べた上原さん。それを至近距離でもらった自分は激しい衝撃に襲われた……様な感覚に陥りその場に倒れ伏す。
「み、御影君!?」
「100……
その場で某ムチャさん宜しく蹲った自分は、反射的に彼女の表情に点数をつけながらにこやかに意識をフェードアウトさせていくのであった。
その後、数分程で目を覚ました自分が上原さんと勉強会をすることになったのだが、それはまた別のお話。