にじよん 〜さいどえむ〜   作:希望光

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どうもご無沙汰しております。希望光です。大変お待たせいたしました。最新話の方完成いたしました。前書きはこの辺で本編の方をどうぞ。




前回のラブ↓ライブ!↑
進路相談に行って前向いたら、突如間近に推しが現れて爆発四散した。


エマとミアと歌

 その日、何故か自分は書類を抱えてあちこち走り回っていた。いやね、担任の先生に運搬手伝って欲しいって言われて手伝ったら、他の先生からの依頼が連鎖してね、学校内を駆け回るハメになっちゃったんだよね? 

 それで、全部こなし終わったかと思っていたら、なんか生徒側からもお願いが来て……現在、生徒会の頼まれごとやってます。

 うーん、これは間違いなく都合の良いパシリ。というか生徒会の皆さん、なんで自分のことを知っているし。わけがわからないよ。

 大きくため息を吐きながらゆっくりと書類を運んでいく自分。今し方ようやっと走り回る状況が落ち着いたのに加え、緊張というか集中力がログアウトしたので、安全第一を考え慎重になってます。はい。で、どうでも良いけど紙類って積み重ねると死ぬほど重いよね。久々前腕の筋肉にきてますね。これはトレーニング不足が露見しているな……。

 

「帰ったらシップのお世話になるか……」

 

 苦笑と共に小さく零した自分は、書類を抱えたまま廊下をひたすら進んでいく。その最中、中庭付近を通りかかった時だ。透き通るような歌声が自分の耳に届いてきた。

 

「……どこかで聴いたような?」

 

 首を傾げながら記憶漁っていると、いつの間にやら自分はその声が聞こえてくる場所へと足を運んでいた。これは……セイレーンの歌声ってやつですか? あ、セイレーンっていうのは、綺麗な歌声で船乗り達を惑わすっていう神話上の怪物ですね。この学校に怪物は居ませんけども。

 なんて思ってる内に音源となった人物が見えてきましたね……って、エマ先輩じゃん! さっきはセイレーンとか言ってすいません。ヴィーナスでしたね。ここは、名無と御影玲が腹を切って詫びます。

 やったね玲君、一撃で2度切腹できるよ。よくないね。むしろ最悪だ。……それにしてもエマ先輩、歌が上手だよな。しかも、さっき言ったように歌声も透き通ってる。最強(さいつよ)ですよ最強(さいつよ)

 とかなんとか思ってたら、エマ先輩の側にミアさんがやってきたではないですか。歌声に釣られてきたのかな? 言い方ァ! 

 失礼な物言いをする自分に突っ込みながらも、踵を返して来た道を戻る。とりあえずね、今持ってるこの書類を運ぶべきところに運ばねば。使命感を抱きつつ、再度廊下へと戻った自分は目的地目指して進んでいく。

 そうして目的地こと視聴覚室へ着いてはみたものの……人影は無し。但し御影は居ると。やかましい。というかあれ、誰かしらいるって話聞いたんだけども……? 

 

「ふぇぇ……」

 

 小さく鳴き声をあげながらも、運んできた書類を近場の卓上へと置いた。えーっと、ここにメモ書き残しておけば分かるよな。懐からメモ帳を取り出した後、適当にページを1枚千切ると頼まれた資料である旨を記し、プリントの束が上になるように、少し噛ませる。

 多分これで分かるはず。上とかに置いておいた方が目立つだろうけど、飛んでったりの心配があるので多少はね? 

 当初の目的を遂げた自分は、視聴覚室を出ると来た道を戻る。その際、こっそりと様子を伺ってみれば、エマ先輩とミアさんがなんかお話ししてるではないですか。何話してるんだろうか。

 

「……歌うね!」

 

 歌うと告げ、傍らのミアさんに向けて先ほどまでとは違う曲を口ずさむエマ先輩。良き良きの良きすぎませんかエマ先輩の歌。エマ先輩的に言えばエモエモでポカポカしちゃうって感じかしら? これ多方面から殴り殺されそう……。

 内心震えながらもそっと、物陰に腰を下ろしてエマ先輩の歌声に耳を傾けていく。あー、なんだか聞いていて心地良くなってきたぞ……瞼が重くなってきた。

 そっと目を閉じた自分。すると閉じた瞼の裏側、さまざまな記憶が蘇る。

 走馬灯みたいだな……ん? 走馬灯? 

 不思議に思いながらも、脳裏に浮かぶ光景をしっかりと認識してみれば、どれもこれも推し(上原さん)に爆破された記憶。あ〜、爆散の音〜。あれ、これって走馬灯というより死因の記録のほうが正しいのでは? 

 アレやこれやと思い返していると、いつの間にかうとうとしてきて……疲れたよパトラ○シュ……なんだかとっても眠いんだ。そしてここで意識を手放してしまった——

 

 

 

 

 

 ハッとして飛び起きた自分は、徐に空を見上げる。夕刻……にはなってないな。軽く胸を撫で下ろしながら左に巻いた時計に視線を落とす。時刻はここに座った時からおおよそ30分程経っている。あれ、短期睡眠かましてた? 

 不思議に思いながらも立ち上がると、物陰から出てきた上原さんと目が合った。……え、は、ええ? なに、どういうこと? 

 

「あ、御影君。御影君も一緒に歌う?」

「あ、えと、どういうことですか?」

 

 訳がわからなさすぎて首を傾げることしかできない自分。本当にどういう事なんだ。テンパりながらも、先程エマ先輩達が座ってた方を見やると同好会の皆さんが集合してるじゃあないですか。なんでなんだ。

 

「今みんなで歌っていたんだけど、御影君も呼ぼうって話になって」

「……何故そこで自分が?」

 

 暫し間を開けて上原さんの言葉に問うていく自分。部外者を呼ぼうって話にどうしたらなるんだ。意味がわからないよ……心の中のQBはおかえりください。

 

 

「一緒に歌ったら楽しいかなー、って……ダメ、かな?」

「いえそんなことは」

 

 上原さんのどこか申し訳なさそうな表情に対して即座に首を横へと振る。御影、お前ハラキリ決定な。推しになんて顔させてんだバカ。百万回殺しても足りないな。

 

「じゃあ行こっか」

「ふぁい?」

 

 はい、と返事しようとしたら上原さんに手を握られて素っ頓狂な声に変わってしまう。お、推しに手を繋がれた……ほああああ。

 認め難い事実を前に、内心で爆発してしまった自分は上原さんに手を引かれながら皆さんの前へと繰り出していくのだった。この後暫くは爆発した影響で記憶がなかったが、教員が呼んでいるということで意識を取り戻すこととなった。




閲覧ありがとうございました。今回はここまで。それではまた次回お会いいたしましょう。ではまた。

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