前回のラブ↓ライブ!↑
仕事を頼まれて校内を走り回った後、エマさんの歌で眠りにつき、起きたら推しがいて爆散した。
粉砕! 玉砕! 大喝s……あ、どうも御影玲です。本日は何事もなく学校を終わらせてお家に帰ってきております。うん、やっぱりね自宅は落ち着くよ。自分だけの空間は最強ってはっきりわかんだね。で、今日なんですが帰る途中に天王寺さんから連絡が来まして、『ゲームが得意か』みたいな事聞かれたんですよ。とりあえずそこそこって返したら『今度来てほしい』って言われました。まる。何されるんだろ。闇のゲームかな? ゲームと称して命を弄ぶようなら自分は認めませんが。……天王寺さんはそんなことしないでしょうがアホ。
それはさておきまして、せっかく今日はオールフリーと言った感じで放課後があるのでなんかゲームでもして時間潰そうかなって思ってた次第なんですよ。間違っても、ビールみたいな飲み物のことじゃないからね。この時間。
「なんか目ぼしいのないかな……あ」
スマホを開いたところで、学校から貸与されてるタブレット絡みでやることがあったのを思い出す。いっけなーい。設定いじっちゃったから治さないとだった。
スマホを閉じタブレットを起動した自分は設定を弄っていく。確かここを使ったからデフォに戻して……ヨシ。あっという間に終わった事に安堵していると、タブレット内に見覚えのないアプリケーションを確認する。
「『璃奈ちゃんRunRuns』? なんだこれ」
入れた覚えすらないアプリケーションに首を傾げる自分。はてさて、なんで入ってるんだ? 不思議に思っていると、メールボックスが光っていることに気づき開いてみることにした。
「あ、メール……なになに、『情報処理学科の生徒が作ったアプリケーションを試供のため入れさせていただきました』? はぇー……ってかこれ、作ったの天王寺さんでは?」
ゲームのタイトル画面から滲み出る天王寺さんのオーラ。なんならゲーム名に『璃奈ちゃん』って入ってるしね。これは天王寺さんが製作したゲームで間違いない。自分がそう判断した。
「なるほど……まあちょっとやってみようかな」
近場にあったゲーム機のコントローラーをタブレットと同期させゲームを開始していく。コントローラー必須ゲーっぽいんでね。さてさて中身は……アバター的なのを操作してアスレチックを攻略しタイムを競うゲームか。……というかなんかゲームの感じ、どこかで見たことあるような。
「これってフォールガi……いや、気のせいだな」
自分の知ってるゲームに似ている気がしたが流すことにした。多分気のせいだから。うん。まさかそんなことがあるわけないもんね。忘れよう。
自分に言い聞かせながらゲームの開始ボタンを押す。その次の瞬間、自分は変な意味で叫んだ。
「な、なにぃ?! お前はテレ○ビーズ?! ……いや、モニ○モンか?」
画面に映し出されたアバターの姿に思わずツッコミを入れてしまう。アバターについて説明すると、四角いテレビ……モニターみたいなのに猫耳が生えた頭部と、丸っこい胴体と猫科のような手足。そして、USBのようなものが先端に付いた尻尾。
この顔の部分に思わずツッコミを入れちゃったんだけどさ。どう見てもそれにしか見えなかったんよ。天王寺さんごめんね……。
「兎にも角にも……やってみるか」
プレイヤーネームを打ち込みステージへと降り立つ
アレから数日ほど経った今日、寝ぼけ眼をこすりながら登校した自分。天王寺さんの作ったゲームにすっかりハマってしまい、夜更かし気味になってしまった。これはステータス下がるから良くないよトレーナー君? あ、自分は育成対象ではないか……失礼。
んで、寝不足を引きずった状態で1日終わらせたところでやって来たのがこちら、スクールアイドル同好会の部室ですね。今日は天王寺さんにお呼ばれしてる日なので。
部室の前にたどり着いた自分が、いつも通りにドアを3回ノックしてみるとすぐに扉が開かれた。
「玲さん、待ってた」
「あ、はい。失礼します」
軽く挨拶した後、中へと通される自分。そこにはタブレットを前にコントローラーを握って白熱している優木さんとミアさん、ワイワイしながらタブレットの前でコントローラーを握る高咲さんと三船さんと宮下さん、そしてそれらを見守る上原さんの姿があった。何の空間これ?
「ミアちゃんとせつ菜さんは記録更新会。愛さん達は新しいステージのテストプレイで、歩夢さんはそれを眺めてる」
「あ、そうなんですね」
不思議に思ってたこと全てに対しての補足をいただきました。天王寺さんも内心読み取るの上手いよな。今回は読心術に足突っ込んでる気がするけど気にしないことにしよう。そうしよう。
「それで今日のお話というのは?」
「玲さん、私が作ったゲーム——」
「遊ばせていただいてます。寝不足になるくらいには」
苦笑しながら返答する自分。先読みがてら返答してる自分のキショさ。ドン引きされるぞ御影。よし、腹切るか。
「玲さん……私、嬉しい」
切腹を確定させていると目の前の天王寺さんが目をキラキラさせて返答してくれる。アレ、なんか製作者様が喜んでらぁ。これはこれでヨシ、かな……。
「それで、プレイしてみてどうだった?」
「どうって言うのは……操作面的にですか? それともシステム的に? はたまた面白さ的に?」
「全部教えて」
聴きたいとこを尋ねたら、全部答えろて返ってきてしまった。こんなの笑うしかない。草を超えて草原飛んで森よ。ちくせう。
「……実際にプレイしながらお話ししましょうか」
そう言ってゲームを立ち上げていく。その最中、近場でゲームに没頭していた高咲さんが声をかけてくる。
「あ、御影君も璃奈ちゃんが作ったゲームやってるの?」
「ええ。楽しく遊ばせてもらってます」
軽く笑いながら高咲さんへ返答した直後、反対側で白熱していた優木さんとミアさんの会話が聞こえてきた。
「そういえばミアさん、ランキングのトップレコードが更新されていました!」
「本当かい? 『SASUKE』の記録を塗り替えたってことだろ?」
「そーなんです! それはもうものすごい記録で!」
どうやらこれまでの記録保持者の記録を塗り替えた人物が現れたことに大盛り上がりしている様子だ。記録の更新……あー、うん。なるほどね。
色々察してしまった自分は我関せずを貫きながら、セッティングを終え電源を入れる。
「へぇー。誰なんだい?」
「『ZERO』さんです!」
優木さんの言葉と同時に起動した自分のタブレット。その画面に映し出された璃奈ちゃんRunRunsには『ZERO』と表示された自分のアバターが映し出された。
「玲さんのアバター……」
「『ZERO』ってことは、もしかして今のランキング1位って」
高咲さんの口から飛び出した言葉に、室内にいた他のメンバー達が反応を示しこちらへと集まってくる。一同の食いつきの速さすごかったな今の。自分でなきゃ見逃しちゃうレベルだよ。
「レイが記録保持者?」
「えと、その、はい……そう、なります」
視線を横は横へと流しながら応答する自分。今、ランキングのトップ記録持ってるんですよね自分……追って説明することにはなると思うんだけど色々ありまして、ね。
「一体どんなプレイをしたんですか!」
「ボクにも教えてよ!」
首を縦に振った結果優木さん、ミアさんの順に食いついてくる。この2人の熱量エグすぎ……でも分かるんだよな。これでもゲーム好きの端くれだから。熱中しているゲームに関すること、何でも知りたくなるんですよ。
「プレイと言うかなんと言うか……ちょっとズルした記録なんですよ」
「ズル? 不正なワザを使ったのですか?」
驚いた様子で問うてくる優木さん。その背後でミアさんもまた、同様のことを問うような視線を送ってくる。不正なんか使った日にはゲームプレイヤーとして風上どころか人権すらなくなるからね。軽蔑どころか侮蔑されるレベルになってもおかしくないだろう。で、自分が侮蔑されるか否かはこの後多分わかるはず。
「それがちょっと分からなくて……グレーっぽい感じがしたので、今回持ち込みしようかと」
そう言ってコントローラーを握った自分は、アバターを操りコースを走っていく。そうしてコースを少し進んだところで一度操作を止め天王寺さんの方を向く。
「ここの壁がですね……」
「壁?」
「壁がどうかしたの?」
一同が不思議がる中、画面へと向き直った自分はアバターを操作しその壁目掛けジャンプさせる。側から見たら自殺行為にしか見えない挙動に小さくどよめきが起こる中、画面内のアバターはその予想とは正反対に壁をよじ登り始めた。
「……ここ、登れるんですよね」
「本当だ……」
登れてしまう壁の報告をしながらも、操作を続けていくと壁を登り切った後に壁の上を歩き始めるアバター。何がいけないってこれ、壁登るのに時間かかるけど、障害物無視して進めるコースになるから普通に走る分よりも早いのよね。
「ここを伝っていくと……もうゴール」
「早い……」
誰かの感嘆の声共に画面には『GOLE』の文字が。記録は脅威の43秒。普通に走ると1分15秒以上は掛かるコースでこの速さ。異常と呼ばずなんと呼ぶ。呼び方の緩募しておいた方が良いかな……。
「これを使って記録を樹立した……の?」
「今のランキングトップの記録はそうですね……一応、RTAとして普通にやって出したタイムもあるんですけど、それよりも全然早い記録になっちゃってぇ……全然更新できなくなっちゃってぇ……」
某姫君の伝説のモブみたいな喋り方をしつつ自身の体験を語ってみる。うん、気持ち悪いね。死になさい御影。普通に喋ろうよ自分。『そげぶ』しちゃうよ自分に。あ、『そげぶ』って言うのは『その幻想をぶち壊す!』の略ね。え、知ってる? そっかぁ……。
「よく見つけましたねこんな裏技」
「どっかショートカットできないかなって思いながらやってたら偶然……」
「リナは意図してこのルートを作ったのかい?」
ミアさんの問いに首を横に振る天王寺さん。おっふ……自分不正記録出したってことじゃん。オワオワリ。御影と御影の記録は廃棄処分にしないと。
「想定してなかった、多分コース生成時に、誤ってルートとして認識されたんだと思う」
「じゃあ偶然に偶然が重なった結果なんだね」
「これ……不正行為の部類に入ります……よね?」
納得する高咲さんに続いて天王寺さんへと問いをなす。バグで通れたところを使って出した記録なんてダメでしょ。なんなら自分としては消してもらいたいぐらいだよ。
「不正にはならないけど……記録は」
「ですよね。それは仕方ないです」
天王寺さんの言葉に頷きつつ俯く自分。悔しいけどこれ、不正なのよね。だから、妥当だし自分もそれを望んでる。また気を取り直してRTAしよう。そうしよう。
内心1人で納得していると、ずっと沈黙していた上原さんが立ち上がりこちらへと歩み寄ってくる。……なんだろう?
「御影君、私と勝負しよ?」
笑みと共に問うてくる上原さん。しかしながらその表情の裏側には黒い何かが浮かんでいた。え、上原さん? 怖……怖い。
「わかり、ました」
徐に頷く自分。なんか、断ったら〆られそうで。『だったら殴られても文句ねぇよなぁ?!』って言わんばかりの圧に負けて、頷きました。うん。これは、普通に、殺されかねない……。
こうして自分は、上原さんと『璃奈ちゃんRunRuns』を使って勝負することとなった。結局この後、自分はレースに負けてしまい上原さんのお願いを聞くことになったり、他の人達からプレイのコツを聞かれたり、改めて天王寺さんからゲームの感想を問われたりしたが、それはまた別のお話。