あれから数日。私には、毎朝ある日課が出来た。
それはねぼすけの2人を起こす事である。まだオルフェーヴルちゃんは目覚まし時計はすっぽかすけども、カーテンを開け、布団を剥がせば起きるので後は歯ブラシを渡せばそっからは先は自分で何とかしてくれる。
だが、問題はディープインパクトちゃんである。
この子はカーテン開けようが、布団を剥がそうが、目覚まし時計が鳴ってようが起きないのだ。あまりにも安眠しすぎである。だが、しばらく揺すればやっと起きる。
若干、寝起きでぽやぽやしてるがオルフェーヴルちゃん同様そこから先は歯ブラシを渡せば後は次第に自分でやってくれるが、歯磨きが終わってもまだおねむなので着替えも私が行う。着替え終わった辺りでやっと目が覚めるらしい。
寒門出身の私はともかく、名門出身のお嬢様の2人が何でこうもねぼすけなのか....。
まぁ、聞いたところオルフェーヴルちゃんはともかく、ディープインパクトちゃんは着替えとかはお手伝いさんがやってたらしい。聞いてビックリ、まじもんのお嬢様である。
だが、朝の仕事はこれだけではなく。2人の髪を梳かすのも私の仕事だったりする。
実は、2日目に家族(兄狼)への毛づくろいをよくやっていたという話をしたら、ディープインパクトちゃんが『ちょっと、私にもやってみて』という流れになり、そこから陥落。オルフェーヴルちゃんは最初は遠慮してたが、ディープインパクトちゃんの押しに負け、私が梳いたら即堕ちた。
それからというもの、2人の髪を梳くのが日課となったのだ。
てか、いくらやってもオルフェーヴルちゃんの髪めっちゃ跳ねてるけど、なにこれ。え?『そういうものだから諦めて?』
あ、はい。
ちなみにディープインパクトちゃんは梳くと綺麗にストレートになる。サラッサラの髪がちょっと羨ましい。もちろん、オルフェーヴルちゃんの髪も跳ねることさえ除けばかなりの高レベルであることをここに記す。
ここ数日、こうして2人の朝のお世話をしているうちに近くの部屋の子達からつけられたあだ名はお母さんとお姉ちゃんである。お姉ちゃんはともかく誰がママじゃい。こちとらまだ華の中学生やぞ。そして末っ子ぞ。
とりあえず日課の話は置いておいて。
今現在、私達は模擬レース場に来ていた。
そう、今日は待ちに待った入学してから第1回目の模擬レースである。コースは芝、距離は1600のマイルだ。
走る順番としてはディープインパクトちゃんが第1レースで、オルフェーヴルちゃんが第3レース。そして私がトリの最終レースである。ちなみに最終レースはだいたい夕方辺りになる。何が言いたいかというと出番が来るまで暇です。
ちょっと離れた観客席に座ると、ちょうど第1レースがスタートするようだ。
ゲートが開くとスタートダッシュを決める子もいるが、ディープインパクトちゃんはわざとなのか。綺麗にゲートから出たものの後ろに下がっていき、最終的には最下位辺りまで落ちた。てことは彼女の脚質は追込か。
まるで教科書通りのようなそんな滑らかさで下がっていったことに私は驚いた。ここまで綺麗に下がれるのは驚かざるを得なかった。
そこから中盤に入るとどこから追い上げるかの位置取りに入っており、最終コーナーに入る頃にはどんどんと追い上げており、最終直線では先頭をぶっちぎりで突っ走っていた。その距離は目測でも5バ身は固かった。そこから距離を詰められることはなく、そのまま距離をさらに離しゴールした。
おっかねぇ.....バケモンじゃないか。ゴールした時のあの顔、やりずらかったって言わんばかりの顔してたし....適正距離じゃなくてもコレってことだろう?
ハハッ、ヤバいね。
もちろん、こんなレースをやったディープインパクトちゃんには彼女をチームに入れようと契約したがるトレーナー達が群がった。が、彼女は全て保留にしたのか、すぐに契約ができずに肩を落としたトレーナー達が離れていった。
次はオルフェーヴルちゃんの番である。彼女もディープインパクトちゃん同様、綺麗にゲートから出た。でも、彼女をよく見ると普段つけてるマスクが無い。
マスクをつけていないその顔は、好戦的な顔をしていた。ただでさえ綺麗な顔なのに、好戦的な顔はカッコイイってズルイよ。
レース展開だが、ディープインパクトちゃんと同じようにとは言わないが、彼女も中段後ろ辺りまで下がった。てことは、彼女の脚質は差しか。
彼女も中盤で位置取りの調整を行い、最終コーナーからはガンガン追い上げ、直線に入る頃には1位になっていた。その後も後続の追い上げ虚しくバ身差は縮むどころか開き、6バ身は離れてゴールした。
やべぇじゃん。オルフェーヴルちゃんもめちゃくちゃ強いじゃん。
圧倒的勝利を見せつけたオルフェーヴルちゃんにもトレーナー達が群がって行ったが、すぐさま威嚇をし、トレーナー達を追い払った。オルフェーヴルちゃんすげぇ。
朝の2人はあんなにぽやぽやしてるのにレースになるとあんなにカッコよくなるなんて聞いてないよ、もう。
その後もレースは進むが、最後らへんになる度に2人の超新星のような走りは見られず。私の番になる頃には数名の物好きなウマ娘が見ているだけとなった。
うーん、何とも悲しい光景である。
一応、ディープインパクトちゃんとオルフェーヴルちゃんは私の番まで待ってくれていた。
番が来るまで暇なので、2人の目標というのを聞いてみたのだが、2人ともクラシック三冠だそうだ。それを知った時、2人はお互いがライバルであると認識したのかいい笑顔をしていた。実の所、私も目標らしい目標は無いが、獲るならクラシックの3冠が欲しいと考えいた。
それを伝えると、2人は『ルインミーティアも私たちのライバルだ』と顔面宝具なイケメンフェイスでこちらを見ていた。やめてくれ2人とも、惚れちまうぞ。
これは余談だが、2人は体冷やさないように暖かい飲み物も持ってきてくれた。ありがとう2人とも、しゅき.......
話は変わるが、私の枠番は1枠1番。つまり内側の1番端である。走りやすい場所で助かった。
全員各自ゲートに入り出走準備が整い、ゲートが開くのを今か今かと待つ。ついにゲートが開き、それと同時に私は飛び出すが、周りは失敗したようだ。
私だけロケットスタート大成功だ。やったね。
先頭に躍り出た私は、ロケットスタートの分の距離的有利を逃さずに、そこから加速した。後ろも負けじと私に追いつくために加速するが、私はさらにスピードを上げ続け、ジワジワと後続を突き放す。
あぁ、先頭走るの楽しい。風になってる気分だ。
最終コーナーに入る頃には、後続との差は4馬身。こっから最後の直線だ。私はここで、さらに
ターフを踏み砕かんばかりのパワーと山を登ることで鍛えたバネを活かし、ドンドン加速する。
後ろの奴ら、悔しがってる顔する暇あるなら追いつく為に私を殺す気で全部の力振り絞りやがれ。さぁ、ゴールはもう目の前だ。
今のギアのトップスピードを維持したままゴールを抜け、徐々にスピードを落とす。
しばらく余韻で走りながら2人を探し、見つけると拳を突き上げる。
2人もそれにサムズアップで答えてくれた。
ちなみに最終結果は7バ身でゴールでした。
レースを終え、2人のところに戻る。すると2人はタオルを持って待っていてくれた。
「ルインさんお疲れ様。はい、タオル。それにしてもルインさん凄かったね」
「そうね。トレーナー達も残ってればすごいレースが見れたのに」
「まぁ、もういいレースは無いだろうと考えて、帰った人が悪いし。自業自得だね。
そういえば有名どころのトレーナーって来てたりしてたのかな?」
私はそんなに詳しくは知らないが、この2人なら事前にどのトレーナーが有名どころのトレーナーかを知ってそうなので聞いてみる。すると案の定知っていた。
だが、スピカやリギル、カノープスなどの有名どころのトレーナーは来ていなかったらしい。忙しかったのだろうか?
というか、私がぶちのめしたトレーナーはレース前に見渡したけどいなかった...。もしかして、入院沙汰になってたりしないだろうか?
そこら辺も茶化して聞いてみると、入院沙汰になったトレーナーの話は聞いてないそうだ。
てことは、あのトレーナー結構強めに投げたけど無事だったのか....。もしかして有名どころの人じゃなかろうか。
もしかして私の現状かなりやばい?
ちなみに2人が契約を断った理由は、単純に入りたいと思えなかったからだとか。まぁ、それなら仕方ない。
模擬レースからしばらく経ち、私達は3人でチーム探しの旅に出ていた。
すいません、旅は言い過ぎた。普通にチーム探しで学内を回ってます。
そして、今現在私たちはリギルのチームルームにいた。
ちなみに昨日はカノープスだった。だが3人とも、ここは合わなそうという結論に至った。
体験加入ということで、私たちは練習に参加しているが、私はなんというか制限がされているというかそんな感覚がした。確かに効率はいいかもしれないが、なんというか肌に合わない。コレジャナイ感がすごい。
だが、顔を見る限りディープインパクトちゃんとオルフェーヴルちゃんにはコレが合っていたようで、ここにしようかと考えているのかな?きっとこの2人程の逸材なら喜んで加入させてくれるだろう。
と、思っていたが実は私達3人の受け入れが整っているとか。
レースを見られてた2人ならともかく。なぜ私まで?
その真相は、あの時の物好きなウマ娘の中にリギルメンバーがいたからであり、レース結果を当日忙しかった東条トレーナーに伝えていたそうだ。
「うーん、私はまだもうちょっと考えたいですね」
それと気になっていたことを聞こうと思っていたのを忘れていたので、今聞くことにした。
「東条トレーナー。ちょっと聞きたいことがあるんですけど」
「どうした?」
「実は私たち3人共出たいレースがありまして。皐月賞、日本ダービー、菊花賞なんですけども。もし私達3人が同じチームで潰し合いをするのを認めてくれますか?」
それを言うと、東条トレーナーは難しい顔をした。
「できるなら、それは避けたいと考えている。だが、本当に後悔しないのであれば、認めるつもりだ」
うん、それが聞けて良かった。
今日のところはリギルの体験加入を終え、私たちは今回の体験加入の意見交換を行う。
やはり、見立て通り2人はリギルでいい感触が得られたようだ。
さて、明日行くはスピカだ。ベストな走りができるようにゆっくり寝るとしよう。
ルインミーティア→あのトレーナーにまだ再開してないので、投げたの忘れてて欲しいと内心焦ってる。
ディープインパクト&オルフェーヴル→リギルでいい感触が得られてん満足
???→痛かったけどしっかり覚えてる。なんならチームにゲロってる。