今はしがない文字書きだが何か?   作:やりも

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僕もようやく稲妻入りしましてね。


推しのボイスを聞けて悶てました。

推し?ヒントはクソガキ執行官です。


稲妻〜本編〜

僕は雷元素の濃い秘境に来ていた。

 

 

 

これから棺を使って稲妻に渡るためだ。そのためにはどうしても雷元素の濃度が濃い場所に来なければいけないのだ。しばらくは移動がたいへんになるかもしれんな…。

 

 

 

「よし、設置できた。」

 

 

 

電気水晶から雷元素を供給しながら棺を設置するとうまく稲妻と繋がった。

 

これから会うやつのことは嫌いだけど仕方ないと割り切って僕は棺をくぐった。

________________________________

 

 

「相変わらず立派な社だな…。」

 

 

 

鳴神大社、神櫻が立派に育っている稲妻屈指の神聖な場所。

 

 

 

 

「連絡してから1年経ってようやく来たとは感心しないな。」

 

 

「仕方ないだろ、鎖国令敷かれているしこっちだって準備してたんだぞ女狐が。」

 

 

 

僕が稲妻に来た理由、それは八重堂の編集長に会いに来たためだ。

 

 

 

 

「久しぶりだな八重神子、相変わらず生意気な喋り方だな。」

 

 

「妾はこれが普通じゃぞ?そっちこそ相変わらず老けないの。」

 

 

「はっ、馬鹿げたことを。だから昔からお前と会うのは嫌なんだよ女狐。」

 

 

「仕方ないだろう?お主は八重堂屈指の人気を誇る冒険小説の作家、『棺終(かんしゅう)』だからのう。」

 

 

「……さっさと要件話せよ。話し次第では速攻で稲妻から出る。」

 

 

 

僕は腕を組んで女狐を見た。本当に昔から馬が合わない。顔を合わせるたびにこうして罵りあっている。

 

そして未だに僕はこの女狐と関わりを持っているのか意味がわからない。あー早く仕事終われ。

 

 

 

 

「お主には幕府軍に潜入してもらいたいんだ。『目狩り令』を止めるために。」

 

 

「『目狩り令』?なにそれ?」

 

 

 

初めて聞いた言葉なせいか思わず聞き返してしまった。

 

 

 

「『目狩り令』とは稲妻城の前にある千手百目像に神の目をはめ込んで稲妻の『永遠』をより強固にするため象徴みたいなもんじゃ。幕府軍に指揮官補佐として潜入し、海祇島にある抵抗軍に協力してくれ。」

 

 

「それって僕に関係ある?」

 

 

「お主だって神の目は今はまだ必要じゃろ?お主だって例外じゃない。」

 

 

「……お前は知らないだろうがな女狐、俺は神の目がなくとも元素力は使える。神の目は最終手段として持っているものに過ぎない。本当に外のことに関しては無知だなぁ八重?」

 

 

 

僕はいつもの僕じゃなくて本来の僕が露見している状態で話を続けた。

 

 

 

「僕からしたら君なんて赤子同然だよ」

 

 

 

背を向けて社から離れるために歩き始めた。

 

 

 

 

「じゃあ頼むぞ。」

 

 

「印税もっとよこして重版しろよ。」

 

 

 

僕は崖っぷちに立つと、影向山から飛び降りた。さて、次は稲妻城か…。

________________________________

 

 

とりあえずうろ覚えの記憶を頼りに座標を設定して棺でバアルゼブルのいるであろう場所にとんだ。

 

 

 

 

「久しぶり、バアルゼ…お前誰?」

 

 

 

目の前では正座をしてその場に佇んでいるバアルゼブルと瓜二つのやつが佇んでいた。姿声は同じだけどこいつは

 

 

 

「お前、人形か。」

 

 

「そうです、私は雷電将軍と言います。」

 

 

「僕は終、棺終(ひつぎしゅう)だ。早速だけどさ、バアルゼブルを出せ。お前じゃ話にならない。」

 

 

「それは私が決めれることでは有りません。」

 

 

「……あっそ、なら簡潔に説明する。僕は八重神子から幕府軍指揮官をしてくれって言われたんだけど。将軍ならそれくらい任命できる?」

 

 

「分かりました、今から貴方を幕府軍の代理指揮官に任命したいと思します。」

 

 

「案外あっさりしてるね。」

 

 

「影が貴方になら任せても良いと言いましたので。」

 

 

「一心浄土に閉じこもってるのによく見ているな。バアルゼブルに伝えて、僕はあのときのことはまだ許してないから。じゃあ挨拶回りしてくるよ。」

 

 

 

僕はいつも通りになると部屋から立ち去った。さて、早めに仕事終わらせてさっさと璃月に戻ろうか。

 

 

 

________________________________

 

突然だけど僕はたたら砂上空を棺で浮いています。下では幕府軍と抵抗軍が争っていますね。

 

 

どちらかと言うと抵抗軍が押され気味だけど…。

 

そろそろ止めようかなと思って下降しようとしたその時、茂みから抵抗軍の援軍が来たみたいだった。

 

 

そしてすぐにその形勢は逆転した。仕方ない、これ以上争われるのも面倒だから止めに入るか〜。

 

 

 

「押されてるね天狗ちゃーん。」

 

 

「代理指揮官殿!どうしてここに。」

 

 

「ここで武士を削るのは幕府にとっては大きな痛手だ。それに向こうには神の目を持っている者が多い。」

 

 

「ですが!」

 

 

「将軍の求める『永遠』はここで朽ちてしまうかもしれないよ?将軍が知ったらどうなるだろうね?」

 

 

「…分かり、ました。総員、撤退!」

 

 

 

幕府軍大将、九条沙羅が大声で撤退を命じると武士が一斉に鳴神島方面に走り消えていった。

 

 

 

「さて、君等も兵を下がらせなよ。僕は戦う意志はないからね。」

 

 

「貴方は?」

 

 

「嗚呼、自己紹介がまだだったね。始めまして現人神の巫女、珊瑚宮心海殿、抵抗軍大将ゴロー殿。僕は幕府軍代理指揮官の棺終(ひつぎしゅう)だ。」

 

 

「幕府軍代理指揮官…風の噂で聞いたことはありましたが会えるとは思いませんでした。」

 

 

 

珊瑚宮ちゃんが僕をじっと見てくる。は、恥ずかしいからそんなみないでほしいかな?

 

するとパイモンちゃんが僕に近づいてくる。

 

 

 

「久しぶりだな終!璃月で見かけなくなったと思ったら稲妻にいるなんて!」

 

 

「僕にも色々あるんだよパイモンちゃん。それに旅人くんも無事に抵抗軍に入れたみたいだね。」

 

 

「お前たち知り合いか?」

 

 

「おう!終は璃月で俺たちを助けてくれたやつだ!それだけじゃなくて終は元仙人でもあるんだぜ!だけど文字書きじゃなかったっけ?」

 

 

 

おっと、気づかれてしまったみたいだね。すこーしからかってあげよう。

 

 

 

「勘がいいね。そう僕は幕府に命じられて璃月の状況を稲妻に伝えていたのさ!」

 

 

「な、なんだってー!?」

 

 

「嘘だよ〜僕の本職は文字書きのままだよ。今回は事情があって幕府内に潜入してるんだ。」

 

 

「嘘かよ!」

 

 

「潜入、ということは幕府の裏でなにかしているのですか?」

 

 

「正解、流石抵抗軍指揮官。僕はそれを調査するために幕府に潜入してるんだ。」

 

 

「……棺さん、貴方は私達の味方なのですか?」

 

 

 

その結論にたどり着くのはかなり早いな。まあそれはそれで話が早くて助かる。

 

 

 

「そうだよ、僕の目的は抵抗軍に『目狩り令』を廃止させるのに協力することだ。」

 

 

「情報も渡せるということですか?」

 

 

「勿論、だけど肝心な証拠は僕でも回収出来なかったから写しとかになるけどね。」

 

 

「十分です。これから話すことは可能でしょうか?」

 

 

「いいよ、どーせ鳴神島に戻っても仕事させられるだろうし。」

 

 

 

僕は前を珊瑚宮ちゃん、後ろをゴローくんに挟まれて海祇島に行くことになったのだ。

 

________________________________

 

「と、これくらいかな。決定的な証拠がないからまだ完璧に言えたことじゃないけど。」

 

 

「勘定奉行と天領奉行がファデュイと繋がって……これは一刻も早く証拠を掴まないといけません。」

 

 

「そこからへんはあの忌々しい女狐が旅人くんと一緒にやってくれるだろうね。」

 

 

「女狐?」

 

 

 

僕は目を細めて窓の外を見た。これも話さなくちゃいけないのかー。

 

 

 

「僕が潜入する原因になったやつだよ。鳴神大社の宮司、八重神子。僕は八重堂で小説を出しているから逆らえないわけ。」

 

 

「あ、アイツが!?」

 

 

「まさか八重宮司が幕府に楯突くとは…。」

 

 

「実際のところ、将軍は『目狩り令』を執行していることしか知らない。抵抗軍と戦っていることは天領奉行当主が上奏に書いてないから抵抗軍がいることも知らないんだ。」

 

 

 

呆れた声で僕は持ってきた資料の1部を手に取りそれを眺める。我ながら盗めるところは盗んだけど持ち出すことと棺を使うのはバレるだろうから使えないし。正直かなり面倒な潜入だと思う。あの女狐…。

 

 

 

「500年前とは変わったな。人の世も神も…。」

 

 

「500年前?」

 

 

「……あー!もうやめ!こんな話し方僕のガラじゃない!珊瑚宮ちゃん!」

 

 

「は、はい!」

 

 

「んふふ、ごめんごめん。少し疲れたから力んじゃった。それでさ、神の目ってなんだと思う?」

 

 

 

少し意地悪な話になっちゃうけど今は誰かに聞いてもらいたい気分だなー。

 

 

 

「神の目とは願いだと思ってます。」

 

 

「あながち間違ってないよ。正確に言えば渇望とその代償の副産物だと僕は思ってる。」

 

 

「渇望と代償、ですか。」

 

 

「神の目は強い渇望を求めたとき、神から視線を向けられて初めて神の目を得られる。神の目を持っているものは『原神』と呼ばれて、死後神々の領域である天空の島に登れる。だけどそれは狭き門で実際のところ登れたのは知っていてる中でヴァネッサと古華くらいだ。」

 

 

「神の目になにかあるのでしょうか?」

 

 

「うん、神の目は強い力を与えられるけどそれ相応の代償も必要。僕の考察ではね、その代償を乗り越えてこそ初めて天空の島に登れる権利があるんじゃないかと思ってるんだ。それを神々が見るためのものが神の目じゃないのかって!」

 

 

「そういった考えもあるのですね。」

 

 

「便利だけど代償もでかいよ。もうひとつ考察があってね、神の目と俗世の七執政の司る理念と代償は似ているって思ってるんだ。」

 

 

「代償と七神?」

 

 

「なんでそうなるんだ?」

 

 

 

お、ゴローくんも食いついてきたねえ。結構話し長くなっちゃうから眠くならないと良いんだけど。僕は再び話し始める。

 

 

 

「じゃあ雷の神の目と雷神で考えてみよう。雷神の司る理念は何かな?はいゴローくん!」

 

 

「お、俺か!?雷電将軍は『永遠』だろ?」

 

 

「そうだね、『永遠』とは『時間』だ。雷元素の神の目を持つものは『時間』が代償なんだと思う。」

 

 

「『時間』が代償というのはもしかして。」

 

 

「雷元素の神の目持ちは寿命が短い。紛れもなく僕ものその一人だ。」

 

 

「「え…。」」

 

 

「僕はまだ長く生きれるつもりでいたんだけど神の目を数百年前に手に入れてから自分の死期が少しだけ分かるようになったんだ。もってあと数ヶ月から数十年の命。」

 

 

「……。」

 

 

「雷神は『永遠』のためにその代償を取り除こうとしたんだ。だけど神の目を奪うことは僕も間違いであると思うんだ。だから、止めてくれよ抵抗軍指揮官、大将。」

 

 

 

僕は机の挟んで向こうにいる二人に背を向けてその場から裂け目を作り、姿を消した。

________________________________

 

僕はたたら砂の浜辺を歩いていた。海が月の光を反射してキラキラしている。

 

海なんて毎日璃月で見ていたけど海の姿は変わるもの、稲妻の海は璃月とは違っている。

 

 

 

「今夜はいい夜でござるな。」

 

 

「嗚呼、君か…。」

 

 

後ろから珊瑚宮ちゃんが連れてきた援軍にいた神の目持ちの人が現れた。まさか僕に話しかけてくるとは思わなかったけどね。

 

 

 

「どういったご要件かな?」

 

 

「まずは名乗らせてもらう、拙者は楓原万葉、浮浪人でござる。」

 

 

「僕はしゅ、ん?今、楓原って言った?」

 

 

「言ったでござる。」

 

 

「雷電五箇伝家の一つじゃなかったっけ?」

 

 

「昔はでござる。今はもう…。」

 

 

「そっか、仕方なかったのかもね。」

 

 

 

楓原、元は雷電五箇伝の一つで刀鍛冶をしていたが数十年前の当主がお家を守るために鍛冶をやめてしまった結果、その技術は失われてしまった。

 

 

 

「まさか生き残りがいるとは思わなかったよ。」

 

 

「拙者はただの浮浪人、もう家のことは気にしてないでござる。」

 

 

「君は過去に囚われてないんだね…。」

 

 

「もう過ぎたことでござる。拙者ではどうにも出来なかったでござるから。」

 

 

 

楓原くんは凄いなぁ。もう前を向いてる。僕みたいに過去ばかりにしか目を向けず、未来を見据えることは出来ないから。

 

 

 

「拙者はまたこうして終殿と話せて嬉しいでござる。」

 

 

「え、話すのは初めてじゃなかったっけ?」

 

 

「?拙者と主は昔会ったことがあるでござるよ。その時はまだ楓原は存続していた頃でござるけど。」

 

 

 

会ったことあったの?まって、思い出せない。あのときはまだスイッチ入ってなかったし稲妻にいた記憶も結構おぼろけだったし。棺を探れば見つかるだろうけど…。

 

 

 

「ごめん、僕その頃の記憶が結構あやふやなんだよね。」

 

 

「そうでござったか…じゃあその時のことを話しても?」

 

 

「じゃあ話してもらおうかな?」

 

 

僕らは岩に腰を掛け海を見ながら楓原くんが昔話を始めてくれた。

 

 

 

「確かあれは拙者がまだ9歳くらいのことだったでござる。ある日、家がバタバタと忙しなくて誰も拙者にかまってくれなくて一人で庭で剣の鍛錬をしていたでござる。しばらくしていると目の前に誰か現れたのでござる。」

 

 

 

 

 

『やぁ、はぁ!』

 

 

『その握り方だと手を痛める。』

 

 

『誰でござる?』

 

 

 

 

「その人の見た目は拙者よりも少し年上くらいで稲妻では見られない格好をしていた。ひと目見たとき、綺麗だと思った。」

 

 

 

 

『俺?俺は浮浪人だよ。名乗るほどでもない。』

 

 

『主は剣の心得があるのでござるか?』

 

 

『1番得意だから。そんなにキツく持っていると手から血が出る。持つときは脇を締めて、手から抜け落ちないくらい。』

 

 

『こう、でござるか?』

 

 

『そう。あと歩幅、それだと大きすぎ、もう少し狭くしたほうがお前にはあうだろう。』

 

 

『!確かに動きたくなったでござる!』

 

 

 

 

 

「その人からは剣を教えてもらったでござる。ほんの少ししか話せなかったが拙者には忘れられない一時になった。」

 

 

 

 

 

『拙者は楓原万葉、お姉さんの名前が知りたいでござる!』

 

 

『俺は男。まあいい。俺は終、また会えたらいいな万葉。』

 

 

 

「これが拙者と終殿の出会いでござる。」

 

 

「僕、そんなことしてたのか…。しかも剣なんて教えて。」

 

 

 

もう決めてたのに、なんで僕はあんなことに首を突っ込んでいるんだ。剣はもうしないって決めてたのに。

 

 

 

「拙者は話したでござる。して、終殿からも一つ話を聞きたいでござるな。終殿が旅で知った話を。」

 

 

「えー、なんでもいい?」

 

 

「なんでもいいでござる!」

 

 

「仕方ない、じゃあ昔いた愚かな邪神の話をしよう。」

 

 

 

僕は遠くにあるであろう闇の外海を思い出しながら話し始めた。

 

 

 

「その昔、今はもう無き国に一人の邪神がいました。邪神は元々はただの人間だった。その人間はある日悪いやつに取り憑かれ大勢の人間を殺した。男は苦しみました、過去の記憶が憎しみに変わるのが。その時、ある魔神に助けられました。その魔神に男は言いました。」

 

 

 

「『僕を殺して。』」

 

 

 

「魔神は困りました。その男の目にはまだ生きたいという願いがあったからです。魔神は人間の中にいる悪いやつを封印しました。人間はその魔神の優しさに泣き、忠誠を誓った。だけどその魔神は魔神戦争であっけなく散ってしまった。男は悔やんだ。」

 

 

 

「『どうして僕は大切なあの人をこの剣で守れなかった。こんな気持ちになるならあのときいなくなればよかった。』」

 

 

 

「男はその後住み慣れた土地を離れたある国にたどり着いた。そこは光が差さない人間しかいない国。そこで男はある錬金術師によって人造の神、邪神となった。邪神となった男は時々外に出ては色々な国を見た。自由の国、戦争の国、知恵の国、永遠の国、氷の国、正義の国。そこで様々な人や神と出会った。」

 

 

「だけど彼の国はその国々に戦争を仕掛けどんどん領地を奪った。最終的にその国は神々によって攻撃を受けた。邪神は守りたかった、あの大切な魔神を守れなかった自分を拭い消すために自分の力全てを使って神々を殺した。」

 

 

「神々を殺した数はかなり多いだろうね。だけど邪神は天理によって力の大部分を封印された。封印された邪神はそれでもと言い刃を神に向けた。最後に一人の神を殺し、邪神は倒れた。」

 

 

「再び目が覚めると邪神の国は崩れていた。民は化け物に変わり、少しの人間は呪いで永遠に死ねない呪いを受けた。邪神はある神の元で療養した。邪神の心は封印によって失われかけた。」

 

 

 

「邪神は神に故国の技術を教え人形が生まれた。しかし多くの人形は失敗作として壊された。最初の人形は心を持ったことから封印されるはずだったが邪神が引き取った。邪神はその人形で最後にしようと思った。だが邪神は事故で人形と離れてしまった。その後、邪神は…。」

 

 

「どうしたでござる?」

 

 

「いや、なんでもない。邪神は一人で旅に出た。あの時みたいに一人で。後悔しかない自分を辿るために。これで話は終わりだよ。」

 

 

「なんだか、悲しい話だったでござる。」

 

 

「そうかな?」

 

 

「結局その邪神はそうなったでござる?」

 

 

「今でも旅しているのか、死んでいるのか知る人はいないよ。」

 

 

 

僕は岩から立ち上がって楓原くんの顔を見た。

 

 

 

「ただ一つ言うならその邪神はもう誰かを信じるのは懲り懲りだってことかな?じゃあまたいつか会おう。」

 

 

 

棺を召喚し、僕は砂浜から立ち去った。

 

________________________________

 

 

ようやく情報の在処がここまでそろった。僕は棺を起動して急いで旅人君のところへ向かった。

 

 

 

「やあ、突然失礼。」

 

 

「ここは社奉行専用の場所です。何者ですか?」

 

 

「おっと、流石に剣を向けられるのは想定外だ。」

 

 

 

僕は刃を素手で掴んで思いっきり押し返した。刃を向けてきた女の子はよろけた後また剣を向けた。

 

 

 

「ストップ!綾華、この人は味方だよ。ただ移動手段が特殊なおかしな人!」

 

 

「僕の言われようが酷いな〜。折角情報提供に来たのに。」

 

 

「そうだったんですね、申し訳ございません。」

 

 

「いいよいいよ、僕も旅人くんを目印にこうして来ただけでまさか社奉行管轄の場所とは思わなかったからね。」

 

 

「それで何者だい?」

 

 

「おっとそうだったね。始めまして、僕は幕府軍代理指揮官の棺終(ひつぎしゅう)。よろしく、白鷺の姫ちゃんに家臣くん。」

 

 

「幕府軍のだ、代理指揮官!?」

 

 

「実際はただの文字書きだぞ!」

 

 

「今回はあのくそ女狐にコキ使われて潜入してるんだ。僕も目狩り令については思うところがあるからね。」

 

 

「信用しても良いのでしょうか?」

 

 

 

流石白鷺の姫ちゃん、やっぱり警戒しないとこの稲妻では生きていくのが厳しいからね。だけど今回だけは信用してもらわないと困る仕事なんだよね。

 

 

 

「勿論、信用してもらわないと僕の本の重版と給料がかかってるんだ。しかも場所を炙り出すの大変だったんだからね。これ、問題の上奏の場所とどんな見た目してるのかも書いたから盗るなら早めにしなよ。それじゃあ僕は行くよ。」

 

 

「おい、もう行くのか!?」

 

 

「少し、確認しなくちゃいけないところがあってね。その後は墓参り?みたいなのしてこないとなんだ。」

 

 

 

またねと言って僕は棺をくぐってある場所にたどり着いた。

 

 

 

「いやあ本当にここへのたどり着き方がわからなかったから旅人に取り付けておいてよかったよ。これからも残りの兵器の場所も案内してもらわないとだね。」

 

 

 

僕の手には棺から分裂されたキューブが1つだけ転がっていた。。再び兵器に視線を向けると暴走していて僕に向かって襲ってきた。

 

 

 

「今はこう呼んだほうが良いのか、『恒常からくり陣形』。」

 

 

 

僕は襲ってくる兵器に向かって槍を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ははっ」

_

 

 

 

 

 

 

 

_______________________________

 

 

 

「はぁ、なんでこうして僕はまた来るんだろうね。」

 

 

 

僕は血石華を持ってある場所に来ていた。

 

ここは僕がしばらく動けなくて倒れていた場所でもある。

 

 

 

「どうせもう会えないだろうな。」

 

 

 

あの子と別れた場所。僕はしゃがんで血石華を一輪置いてその場所を眺めた。

 

あのとき、崩落に気づかなくて咄嗟に押し飛ばした。そして棺に残されていた記憶消去を使って稲妻城から離れる前までの記憶を消した。

 

動けるようになった後も覚えてないだろうけど探した。でも途中で情報が途絶えて探すのを諦めた。

 

 

 

「さて、向こうはもう終わる頃かな。お役御免だろうし八重堂の新作だけ買って璃月に戻るか。」

 

 

 

立ち上がって道なりに歩き始めた。

 

途中で鎮守の森が気になって森に入った。この場所はいつ来ても静かで神聖な気がする。

 

 

僕にとっては毒にも薬にもなる。

途端に手から何かが流れ出る気配がして手を見ようとした。その時だった。首筋に冷たい金属が当たっていた。

 

 

 

「稲妻の人はなんでこうも刃を向けてくるんだ…。」

 

 

「まずはその胸元にしまっているものを渡してくれないかな?」

 

 

「はいはい、邪眼がお目当てのようで安心したよ。」

 

 

 

邪眼を取り出して渡すために後ろを向く。

笠を被っていて僕からは顔が見えなかったが格好からして少年であることは分かった。

 

 

するとその少年から息を呑むような音が微かに聞こえた。

しばらくしても一向に邪眼を受け取らないから笠を少しだけ持ち上げてみた。

 

 

 

「……え、っ…」

 

 

「う、そ…。」

 

 

 

そこには少し前に思い出していた顔があったから。

 

雷電影によって作られたプロトタイプの人形。僕が記憶を消した張本人。

 

 

 

「生き、て…。」

 

 

「触るな!」

 

 

人形は僕は触れようとするとその手を力いっぱいに叩いた。バチンと大きな音が森に響く。

 

 

 

「なんでここにいる、生きてる!」

 

 

「…僕は人ではないから。それに、記憶が消えてないようだけど。」

 

 

「やっぱり僕の記憶を消そうとしたんだ。勝手に連れ出して挙げ句一人にした。」

 

 

「……そうだね、僕は君を一人にした。君の記憶を消そうとした。」

 

 

「認めるんだ。」

 

 

「事実だから。どうせなら僕のことを、あのときのことを忘れて幸せに生きてほしかったから。」

 

 

「は…?」

 

 

「もう君に話す意味はなさそうだけどね。邪眼は渡した、僕はもう行くよ。」

 

 

 

僕は背中を向けて棺を起動しようとした。

 

 

 

「待って!」

 

 

「何?まだ用があるの?」

 

 

「一つだけ聞いても良いかな…。」

 

 

「いいけど。」

 

 

「…名前、教えてよ。ちゃんと知らなかったし。」

 

 

「教えなかったけ?僕は終、棺終(ひつぎしゅう)。少しだけ幕府軍の代理指揮官をしていたしがない文字書きだよ。」

 

 

「しゅう、終…兄さん。」

 

 

「!…僕は君に兄さんなんて呼ばれる資格なんて無い。」

 

 

「でも僕のこと探してたんでしょ?あの狐から聞いたけど。」

 

 

「は?あの女狐勝手に言ったのか…。探したよ、何年も。見つけられなかったから諦めた。」

 

 

「ずっと勘違いしてた。恨んでたのになんで…。」

 

 

「ただ、あのとき僕の心は失われてたから心を持っていた君が羨ましかったんじゃないか?僕は力の大半を封印されて記憶も見つけないと途切れているから。」

 

 

「僕に心なんて無い!」

 

 

 

急に大声で怒鳴られてびっくりした。地雷だったみたいだな…。

 

 

 

「だけどようやく僕の願いがかなったんだ。見てくれよ!」

 

 

 

スカラマシュが手に持っているのは僕も少しだけ見たことあった。

 

 

 

「神の心…!?」

 

 

「そうだよ!僕はこれで本当の神になれるんだ!」

 

 

 

神の心…確かにスカラマシュは元々神の心が入るように設計されていたけどこんな形で影響が出るなんて思わなかったな。

 

 

 

「神の心がなんなのか知ってる?」

 

 

「その名前の通りだろ?」

 

 

「知らないのか、それはこのテイワットにとって不必要なものだよ。」

 

 

「お前に、神の何が分かるっていうんだ!?」

 

 

「分かるよ、君以上に僕は生きてるし。神と対立したこともある。」

 

 

「!?」

 

 

「だから言うよ、僕は神が嫌いだ。神も俗世の七執政も邪神もこの世に生きる神々全てが憎くて仕方がない。だから君が神になるというなら僕はもう君には会わないよ。」

 

 

 

スカラマシュの顔がひどく傷ついたように見えた。そんなこと僕はもう知らない。神になるならなれば良いのだから。

 

 

 

「じゃあね散兵。君が神になったら祝いの言葉くらいは送ってあげるよ。」

 

 

 

言葉を言わせないように棺をくぐってすぐに閉じた。あの子は自分で道を切り開いたんだ。あの子が望んだことならそれでいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この手の傷は見られなくてよかった…。」

 

 

刀で切れた傷口からは普通の人からは流れないような色をした液体が流れていた。

 

 

 

________________________________

 

 

「目狩り令は終わったようだね、将軍様?」

 

 

 

僕は数日経った頃に天守閣に訪れた。辞職を言いに来るために。

 

 

 

「私は将軍ではありませんよ、終。」

 

 

「…バアルゼブルか、引きこもりがようやく出てきたみたいだけど。」

 

 

「随分と変わりましたね。」

 

 

「これが僕だけど?本題に入るけど僕は代理指揮官を辞める。それだけ伝えに来た。」

 

 

「分かりました。将軍に伝えておきますね。」

 

 

「ん、あ、そうそう。久々に最初の人形と会ったよ。」

 

 

「!!」

 

 

「結構こじらせてた。僕が連れ出したから君に対しての怨念は弱かったしそれは僕に向けられていたよ。まあ君にはもう関係ないね。」

 

 

「……そう、ですか。」

 

 

「…すんなり認めて…やっぱり僕は君が嫌いだよ。」

 

 

 

僕はそれだけ言って珍しく自分の足でその場から離れた。

 

久々に会った。変わるのだろうと思った、だけど変わっていない気もした。

 

 

不変、それがバアルゼブルが目指した『永遠』の形。

僕はそれに協力した。その結果出来たのがスカラマシュと将軍などの人形だ。

 

知識しかない僕はその知識をバアルゼブルに教えて人形を作った。だがその殆どは失敗作に終わった。

 

 

僕はその中でも優秀な人形をいくつか引き取っている。それが家にいるはずの女中だ。顔は少しだけいじらせてもらったからバアルゼブルとはあまり似ていない。

 

人形は変わらないと思っていたけど違うみたいだ。

 

 

スカラマシュは昔、笑顔で優しい子だったと思う。それが性格がかなりネジ曲がった子に成長してしまったのだ。

僕と再開するまでに色々な経験をしてああなったのだろう。

 

 

もう僕とは関係なくなるからどうでもいいか。

 

 

 

「八重堂に行って面白そうな小説買って帰ろう。」

 

 

 

天守閣からその足で八重堂まで向かった。




今回は長くなり、話のネタも詰め込みました。


大満足。


だが夜蘭がすり抜けで来なかったのが泣いた。
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