今はしがない文字書きだが何か?   作:やりも

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稲妻〜閑話〜

 

「深闇、僕たち元に戻れないの?」

 

 

「・・・」

 

 

 

 

こうなったのは数刻前にさかのぼる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は小説の題材としてモンドまで取材に来ていた。モンドの暴風山地や風立ちの地など巡った後モンド城に入って1番人気の酒場へと向かった。

 

 

 

 

 

「君がこうしてバーテンダーとしてここに立っているのは滑稽だね」

 

 

「冷やかしなら帰ってくれ」

 

 

「冗談だよ冗談!あ、蒲公英酒一つ頂戴」

 

 

 

カウンターに座りお酒を頼む。出された酒を煽り、懐から簡単に手帳と万年筆を取り出す。

 

 

 

「今日は少し取材に来てね、栄誉騎士についてモンドの住民からの評判を聞きたいんだ」

 

 

「生憎だが仕事中だ」

 

 

「ディルックくんはお硬いね〜まあ君がどう思っているか簡単に話してくれればいいよ。どうせ知り合いなんだろ?」

 

 

 

ニコリと笑ってみせると観念したのかため息を付いてから話し始めてくれた。

 

ディルックくんが話してくれた内容は僕の中での旅人くんと一致していて容易に想像できた。

 

 

 

「あと何人か聞きたいけど…どうせなら旅人の歌を作ってる吟遊詩人はいない?」

 

 

ディルックくんがこういうのにノッてくれるかどうかわからないけど確認のために聞いてみるが予想外な返答が帰ってきた。

 

 

 

「それなら一人だけ心当たりがある」

 

 

「ふーん、君が言うならとてもいい吟遊詩人なんだろうね」

 

 

「ただの酒好きだが歌わせたらモンド1のやつだ」

 

 

「へーならどこで会える?」

 

 

「もうすぐ来るはずだ」

 

 

 

その言葉通りにバーのドアが開いて誰かが入ってくる足音がした。俺は振り向こうとしたが固まった、その声には聞き覚えが会ったから。

 

 

 

「ディルック〜アップルサイダーちょうだーい!」

 

 

「っっっ……!」

 

 

 

僕はモンドに来るときはなるべく用事以外のことで出掛けはしないし短時間で済ましていた。だけど今回は本当に事故だ。

 

 

 

「…もしかして深闇?」

 

 

「やっぱバレるか…、ディルックくんこれお代ね」

 

 

 

モラをカウンターに多めに置いて俺はエンジェルシェアから出た。

 

そのあとはもう全力疾走でモンド城から出た。走って走って、気づいたら風龍廃墟にいた。

 

 

 

「あー…ほんと最悪!なんで500年も逃げ続けたと思ってるの?」

 

 

 

正直七神の中で一番会いたくなかったのが彼だ。僕は彼のことを裏切ったのだから。

 

 

 

「ここにいたんだね深闇!」

 

 

「……バルバトス…」

 

 

「久しぶり、会いたかったんだよ?500年間ずーっと探してたのに急に姿を見せるなんて」

 

 

「……気にしないんだ」

 

 

「なにが?」

 

 

「僕がカーンルイアで神のことを・・・僕のことについて嘘をついてたことについて問いたださないんだね?」

 

 

 

僕がそう言うと今更気づいたようにあっと声を出した。こいつは僕と話すときいつも抜けているのは変わらないんだなと少しだけ、ほんの少しだけ安堵した。

 

 

 

「君は聞かれたくないんだろ?顔に書いてあるし」

 

 

「……まあ、言いたくはない。思い出してもいいものじゃないからね」

 

 

「なら君が話したくなるまで僕は待つよ、なんたって僕は自由の神だからね!」

 

 

「ありがとう、ウェンティ…」

 

 

「!どういたしまして」

 

 

「だけど、僕は神を許せないよバルバトス」

 

 

「え……」

 

 

「神は罪のない民たちも巻き込んだ、僕の大切だった民たちを。天理によって化け物に変えられたのを許せると思うか?」

 

 

「そう、だよね……」

 

 

「あの日が来るまでは楽しかった。その裏で僕も努力はしてたんだ。だけどどうにかする前に天理は、幸せを奪ったんだ。もう神も、七神でさえ信じられない」

 

 

「……」

 

 

「君と会いたくなかったのは昔みたいに話せるわけもないから」

 

 

 

結局は自分を守るために友人の存在を否定することになる。でも、今目の前にいる神である友人とまともに語れるかと言われるともう話せない。

 

 

 

「深闇、僕達元に戻れないの?」

 

 

「……」

 

 

 

僕は背を向ける。キューブは裂け目を作り、その中へと歩いて姿をくらませた。

 

 

__________________________

 

 

さて、先程の友人との決別を済ませたところで座標を決めずに飛んだところ、見事にスメールの教令院内部に侵入してしまったらしい。

 

 

 

僕、ここの卒業生なんですよねー

 

 

 

最後に来たのが100年くらい前だからな…あまり変わってないなとは思うけど。

 

 

キューブを取り出してそこからスメールで使えるアーカーシャを異空間から取り出しそれを耳につけた。

 

 

 

『あら、珍しい人が来たわね』

 

 

「!……君は?」

 

 

 

アーカーシャをつけた途端に幼い声がした。

 

 

 

『私は……そうね、実際に会ったほうが早いかもしれないわ』

 

 

「いいよ、君のところに向かってあげる。どこにいるの?」

 

 

『じゃあ私の言うとおりに道を辿って』

 

 

「それなら位置と大まかな高ささえ言ってくれればすぐに行く」

 

 

 

女の子の言うとおりに座標を設定し裂け目を作り出してそこから通ると広めの空間に出た。その中央には鳥かごのようなものがありそこにロリがいた。

 

 

 

「ふふ、私の鳥かごへようこそ」

 

 

「君、草神ブエルか?」

 

 

「あら、よく分かったわね。私はナヒーダ、草神ブエルやクラクサナリデビと呼ばれているわ」

 

 

「マハールッカデヴァータは?」

 

 

「彼女はもう…」

 

 

 

僕がスメールに来るといつも知識を共有しあっていたマハールッカデヴァータ、100年前に教令院に入学したときは気にする余裕はなかった。

 

 

 

「彼女の最後を知っているか?」

 

 

「ごめんなさい、知らないわ」

 

 

「それならいいんだよ。命あるものはいつかは死ぬ、彼女は争いに参加するような方じゃないのは俺も知っているから」

 

 

 

多分だけど戦いじゃなくて別ので亡くなっている気がするし…。

正直、彼女が生きていたらめんどくさくなる予感はしてたし、でもそれはそれで別れを告げられなかったのは少しだけ悲しいかもな。仕方ないことなのだろうけど。

 

でも彼女がいたらあの計画に運用できる知識をもらうつもりだったんだけどな〜

 

 

 

「……あなた、一体何を企んでるの?」

 

 

 

僕がブエルの方を向くと彼女は僕を見ていた。

 

 

なんでバレた?まあバレたところでどうでもいいけど。

 

 

 

「バレちゃったか〜、まあ僕なりの復讐?についてだよ。マハールッカデヴァータならキングデシェレット時代の遺物について教えてくれそうだなーって思ってたんだけど。」

 

 

「それを使ってなにかしようとしてたのかしら?」

 

 

「だいせーかい。ま、今回スメールに来たのは偶然でしか無いんだけどね」

 

 

「そう……」

 

 

「でも今はまだその時じゃない。だから僕はこの平和な日々を眺めるだけだから」

 

 

「じゃあその時が来たらどうするの?」

 

 

「それは、そうだね〜…自分自身に誓った契約を果たすよ」

 

 

 

ブエルに笑いながらそう答えた。

 

 

 

「あ、そうだ。もしよければだけど僕の本読まない?」

 

 

「あなたの本?」

 

 

「僕は冒険小説を書いてるから神の暇つぶしくらいにはなると思う、一冊いかがかな?」

 

 

 

俺が50年以上前に書いた小説の一巻をブエルに渡した。

 

 

 

「あなたは、なんというか、可笑しいのかしら?」

 

 

「そうか?まあ、どうせスメールに来たのなら君の手足くらいにはなれるけど僕のこと使ってみない?」

 

 

 

なんとなくそんな提案をした。神に関われば必然的に旅人とも会うことになる。なら利用するのも悪くない手なはずだ。

 

 

 

「そうね、私は賢者たちによってここに閉じ込められている。でも、外の様子くらいなら夢で見れるわ。だからお願いできない?私の手となり足となって、そして目になってくれないかしら?」

 

 

「目…ふふ、俺の目で外の景色をみたいのか!いいね…まあここに滞在する間だけだけど」

 

 

「よろしくおねがいするわ、じゃあ早速なんだけど」

 

 

 

ブエルが早速僕に頼み事をしようと悩みはじめた。僕も今日のことを小説に書こうとメモをしようとしたときだった。

 

 

 

 

『滅陰夜叉』

 

 

「帝君…!?」

 

 

「どうしたの?」

 

 

「ごめん、少しだけ璃月に戻る。帝君が、僕のことを呼んだ」

 

 

「そうなの?なら行ってくるといいわ」

 

 

「ありがとうブエル、少し行ってくる」

 

 

 

僕は裂け目を作ると急いでその中に駆け込んだ。

 

 

 

一体、今日はどんだけ神に会えば気が済むんだ。

 

 

 

____________________

 

 

僕は裂け目を抜けて帝君の前で跪いた。

 

 

 

「滅陰、召喚に応じ馳せ参じました」

 

 

「俺はお前の上司ではないぞ」

 

 

「あなたが夜叉のときの名で呼ぶからやったまでですよ、それで俺を呼んだってことは魈のことを呼べないか魈に何かがあったっていう認識で?」

 

 

「そうだ、そこには旅人も含まれている」

 

 

「へぇ…あとで確認してみるか…」

 

 

 

僕はニヤリと笑いながら仕掛けておいた棺の一部分にどんなことが残されているのか楽しみになった。

 

 

 

「で、移動に長けた僕を呼んだのは多分地脈異常とかで帝君の干渉ができずらいから僕を呼んだんですか?」

 

 

「話が早くて助かる、すぐに層岩巨淵に向かうぞ」

 

 

 

僕はすぐに層岩巨淵のまでの裂け目を作り出して帝君と一緒にくぐり抜ける。

 

 

 

「滅陰、僕が道を切り開くから僕の合図で裂け目を作り出してくれ」

 

 

「だいぶ無茶なこと言いますね。まあやってやりますよ」

 

 

 

僕は全神経を集中させて帝君の力の道筋を追った。まずその空間自体がネジ曲がっているので探すこと自体面倒なのに動いているものを追うのはかなりきつい。

 

 

 

 

「ここだ」

 

 

「ッシ…!」

 

 

 

僕が裂け目を開くと何かが通ってくるのがわかる。僕は少し崖下にいる旅人たちのいる座標を合わせて裂け目を開いた。裂け目から魈が出てくるとすぐに裂け目を閉じた。

 

 

 

「はぁぁぁ…ほんとはこれ、一人でできましたよね?」

 

 

「さあな?さて戻るぞ」

 

 

 

僕は帝君の言うとおりに裂け目を作り出してその中をくぐり抜けた。途中で誰かに見られたが顔を見られてないのでいいかと放っておいた。

 

 

僕は帝君を万民堂まで送る。

 

 

 

「本当に突然呼ばれてびっくりしましたからね」

 

 

「すまなかったな、今度なにか奢ろう」

 

 

「そう言っておいて今、モラ持ってます?」

 

 

「……持ってないな」

 

 

「堂主に頼んでそろそろ財布を服に縫い付けてもらってくださいよ。ここは僕が奢りますけど。あと、しばらくはブエルの手足になってるから璃月には戻ってこないので」

 

 

「ブエルの…?」

 

 

「まあ、先代とは交流もありましたし。楽しめそうな気がすんですよね」

 

 

「そうか、気をつけるといい」

 

 

「ありがとう、鍾離様。また戻ってきたら今度は奢ってくださいよ」

 

 

 

僕はそう言って、裂け目で璃月を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

ブエルのお使いや頼み事をしながらスメールを見て回った。

 

気づいたことは、ナヒーダ…クラクサナリデビよりもマハールッカデヴァータを信仰している人間が多いのと賢者が好き勝手やっていることがわかった。しかもファデュイと繋がっていることも。

 

 

どこの国もファデュイと繋がってるのはどうなんだと思った。まあ、女皇のやろうとしていることはなんとなく僕の目的に近いからな。

 

 

 

 

「ブエル、どうする?賢者たちはブエルの代わりを作ろうとしてるみたいだけど」

 

 

「そうね…私も今考えているわ」

 

 

「神を作り出そうなんて…まるでカーンルイアみたいなことをしようとするとは人間ってのは学習しないんだね」

 

 

「あなたこそ元は人間でしょ?」

 

 

「遠い昔の話だよ、もう人間と呼べるような体じゃないんだ。それに今回はファデュイが裏で動いているからね。僕単体で動くのも少し都合が悪いけど…」

 

 

 

旅人なら解決してくれるだろうな…。

 

 

 

「あら、あなたの言う旅人が助けてくれるのかしら?」

 

 

「勝手に心読まないでよ。まあ今は稲妻にいるだろうけどそろそろ来てくれるんじゃないのかな?彼ならスメールの英雄にもなる」

 

 

「そうかもねしれないわね」

 

 

 

でも、もしかすると僕の計画も止められる可能性があるな。…それだけは絶対許さない。

 

あともう少しなんだ。アビス教団って邪魔者もいるけど一番厄介なのは旅人だ。

 

 

 

 

「終、次のお使い頼んでもいいかしら?」

 

 

「なんとなくその言い方は娯楽小説を買ってこいってやつだと思うんだけど」

 

 

「よくわかったわね」

 

 

「はぁ…今から稲妻まで行ってくるよ」

 

 

 

僕は裂け目を作り出してお使いをに向かった。

 

 

 

さて、ブエルに用事があると言って一通りの用事を終わらせた俺は裂け目である場所に侵入した。

 

 

 

 

「まさかスネージナヤパレスに忍び込むことになるなんてね」

 

 

 

 

僕は目的のがある場所へ急いで向かいながらも女皇の、ファデュイのお膝元で何やっているんだろうかと思ってしまった。

 

僕の手にはセシリアの花と風車アスターの花束が握られている。モンドにしか生えていない花、モンド出身で恋人との思い出の花くらいは手向けてあげようと思ったのだ。

 

 

 

しばらく歩いて棺だけがぽつんと置かれた広間に出た。

 

多分これが彼女のだろうなと思って僕は花束を棺の上に置いた。

 

 

 

「500年待ったんだ、彼と幸せになりなよロザリン」

 

 

 

僕はそこから去ろうとしたが複数の足音がしたのでその場に留まった。

 

暗い闇の中、3人の人影が僕の前に姿を表した。

 

 

 

 

「お久しぶりです、故国の人造神バディン」

 

 

「…その名前、嫌いだから呼ばないでくれる最初の愚者」

 

 

『                             』

 

 

「それにしてもスネージナヤトップの女皇に道化、それに雄鶏もこうして来るなんて随分と警戒しているのかな?」

 

 

『                   』

 

 

「しかし、故国の人造とはいえど神がここまで来るとは思いませんでしたね」

 

 

「まあ、ロザリンとは旧知の仲だ。生意気な小娘だったがせめて安らかに眠ってくれることは願っているだけさ」

 

 

『                      』

 

 

「そうか?まあ僕は彼とロザリンの好きだった花を選んで送ったまでだけど」

 

 

 

目の前にいる神は表情を変えずにただこちらを眺めているだけだった。

 

 

 

「ああ、そういえば順調に神の心を集めているみたいだね。いったい神の心を集めてどんな面白いことをするのか教えてほしいものだよ?」

 

 

「それはいくらあなたでも教えできかねますね」

 

 

「おや残念。少しでもネタにできるならしてやろうと思ったのに…まあ天理に反逆するくらいだ、そのときに知れた方が面白さはあるだろうね」

 

 

「あなたは…500年前から変わらないですね」

 

 

「変わらない?君の目は節穴かな?」

 

 

『                    』

 

 

「それはすまないね氷神、でも訂正はしないさ。僕はこれでもかなり変わったんだけどね」

 

 

 

僕は笑うのをやめてファデュイを見据えた。

 

 

 

「僕はアビス教団の目的には賛同しかねるけど君らファデュイには賛同してるんだよ?だけど僕は僕のやり方でやらなきゃいけないんだ」

 

 

「一体何を…?」

 

 

「ははっ、その時が来ればわかるはずさ。じゃあ、またいつか」

 

 

 

僕は裂け目を作り出すとその中へ足を進めた。氷神が僕を捉えようとしていたが僕のほうが先に裂け目の中へと消えた。




ようやく稲妻の任務すべてを終わらせてスメール入りしそうなので投稿しました。

綾華と万葉出てにっこりしてます。
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