ウルトラマンティガ〜EPISODE OF EVIL〜 作:神白椿
それは確かに幼少期に見た映画に出てきた怪獣と思しきものだった。これは夢なのではないかと考えた手始めに自分のほおをつねってみる、そこから伝わってくるのは痛みのみであった。ついでに隣にいたハジメのほおもつねってみた「いってえな、なにしてんだよこの状況で」と彼は言った。…僕も痛みを感じ、そして彼も痛みを感じているこの状況で夢だとは努努思わない。よってこれは今ここで、確かに起きている出来事なのだ。「おい、なに突っ立ってんだ早く体育館にいくぞ」というハジメの呼び声により僕は思考の海から帰ってきた「うん、今行くよ」と言いながら僕は彼の背中を追いかけた。
「みなさん落ち着いて聞いてください、今政府から緊急事態宣言が発令されました、よって私たちは避難場所の指定があるまでここに待機をします‥…」と校長が今日学校にいた生徒全員に呼びかけたが、この状況で生徒が落ち着くはずもなく、皆ざわざわしている。僕は上着のポケットからスマートフォンを取り出し何か情報が来ていないか調べてみることにした「おい、何かわかったか?」とハジメが聞いてくる「ううん、電波線がやられているみたい」そう僕は返した。まああんな爆音を響かせながら物体が落下してきて電波線がやられていないはずがないと予想はしていたのでさほど驚きはしなかった。
と、その時だった何かが激しい音を立ててこちらに向かってくるかのような音がした。「みなさん、巨大生物がこちらに向かってきていますすぐにここを出て裏手にある山に逃げますので準備をしてください」と校長が言う。あれはなにをしにきたんだ?と考えながら僕はハジメと共に裏山に向けて走り出した
裏山の頂上から見下ろす光景はまるで地獄、いや、これは地獄だった。見慣れた風景、街並みは瓦礫の山となり、何処も彼処も火の手が上がっていた。「なんだよ……
アイツ」とハジメが言った。それを聞いた僕はその怪獣に目を向けた。それは大きな爪を持ったドラゴンのようでありトカゲのような風貌だった。目は虚で唸り声とも取れる奇声をあげていた。と、ヤツがこちらに気づいたらしく咆哮をあげながらこちらに向かってきた。
「おい!早く逃げるぞ」とハジメが言った。僕はその言葉に頷き走り出そうとした、だがその時だった。山に爆音が響き渡った。見てみると山に少しずつ亀裂が走っている。そもそもあんな物体が落下して地盤が緩むこと自体なんら不思議ではない。全速力で走らなければ明日の我が身はない。そう確信した僕は今度こそ走り出した。だが、どこからか悲鳴が聞こえた、みると小さな子供が転びそれを母親と思わしき人物が助け出していた、しかしその親子のもとに亀裂は迫っていた。「おい、どこに行くんだ!」と言うハジメの静止を振り切り僕はその親子の元へ走り突き飛ばした。そして僕は割れた地面へと落下していった。