はぐれ艦娘と孤立小隊   作:小椋屋/りょくちゃ

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第11話

「仮設第一ポートモレスビー攻略支援小隊、旗艦長波抜錨!出撃するぜ!」

 

こうして反復輸送作戦の火蓋が切られた。

覚悟を決め、威勢よく飛び出したはいいものの、事前に策定した、遭遇率の少ない航路を往くだけだ。それでも気が急く上に、いつも以上に緊張している。

「長波ちゃ〜ん、あんまり緊張してもダメだよぉ〜?」

そんな長波に落ち着くよう、文月が声をかける。

「……そうだな。先導機が居るうちは少しリラックスさせてもらおう…。」

その一言でスイッチを1度切り替えることができた。

 

天気は穏やかであり波や風も強くない。往復分の燃料は考慮しつつも、安定して距離を稼いでいく。

「まもなく第2チェックポイントなのです!想定よりだいぶ早い通過なのです。」

先導する電が私に近寄り報告する。

当初の予定では第2チェックポイントで休息を取り、以後は夜間航行に切り替え隠密輸送を行う予定だった。しかし想定以上に穏やかな海は、ぐんぐんと足を伸ばさせ、到着予定時刻の日没までまだまだ余裕があり、距離を稼ごうと思えばまだまだ稼げる距離だった。

「どうしようか…。」

夜間航行は敵潜水艦の発見が困難になり、発見、追尾されるリスクが大きくなる。が、日が出ているウチは航空機に発見されるリスクも同様に存在する。

「長波さん、どうしたんですか?」

私たちが足を止めてるため後続の三日月と文月も合流する。

「なにかトラブル〜?」

「あぁいや、トラブルと言う訳では無いんだが、想定より早く第2チェックポイントまで来てしまってな。どうしようかと話してたんだ。」

端的に状況を説明し、取り出した海図を眺め顔を突き合わせる。

「やっぱり行程通り休憩にした方がいいと思うのです。」

電は慎重に、行程通りに進むことを主張した。第2チェックポイントから先、第3チェックポイントまで休息できそうな浜辺は確認出来ていないからだ。

「え〜早く進もうよ〜…早く終わらせたいし……。」

というのは大発運用中の文月だ。確かに天気も波も穏やかな内に進んでおく方が彼女たちへの負担は少なそうではある。どちらも一理ある主張だった。

「どうします? 旗艦は長波さんです。私たちはその決定に従いますよ?」

三日月が2人を取りまとめこちらをじっと見てくる。同調するように電も文月もうんうんと頷いている。

「……各種警戒を厳としつつ、前進する。敵勢力内にて滞在する時間を減らそう。」

気象班員の妖精さん曰く、明日以降天気が悪化する可能性があるとの報告も聞いたため、ロスを生まないためにも、大発運用をしている2人の負担が少ないうちに距離を稼ぐためにも、前進を決定した。

 

「ふぁぁ…さすがに眠いよぉ〜…。」

日没後しばらくしてから、文月の間延びした声が宵闇に響く。

「文月お姉ちゃん、もう少し我慢して…?」

三日月が釘を刺しつつ目的地を目指して進み続ける。

予定をかなり繰り上げて航行中のため、休憩無しで10数時間ぶっ通しでの移動である。口には出さないが、全員、疲労のピークに達していた。

「……?…!長波ちゃん!10時方向、電探に感5つあり!なのです!!指示をください!」

ピケットラインを上げるために先行していた電から報告が入る。おそらく通常の通商路護衛用の水雷戦隊だろう。

「了解、これより当艦及び電は水上戦闘用意に入る、左舷砲雷撃戦準備開始。文月、三日月両艦は対潜、対水上警戒を厳としつつ現状航路を維持せよ。」

電から送られてきた情報をリンクしつつ速やかに指示を飛ばす。

「「「了解!」」」

三日月、文月に1部権限を移譲し、速やかに電に合流する。

「敵情は?」

警戒、追跡中の電に合流する。

「以前14knotで東進中。こちらに気づいた素振りは無いのです。どうするのです?攻撃を仕掛けるのです…?」

電探で補足し続けたまま追跡を続ける。

「……いや、余計な攻撃をして今後の警戒艦を増やしたくない。……組織的な運用が有るかどうかは分からないがな。」

自嘲気味に笑いながら、敵艦隊と距離を取ることを選択する。

「艦隊合流、転針!第2ルートに移る!」

予め決めていた、別ルートへと経路を変え、物資輸送を最優先に動く。

「良いのですか?」

小声で電が聞いてくる。

「仕方ないさ、私達の今の目的は、物資輸送が最優先目標なんだからな。」

主砲を背部にマウントしながら、文月たちと合流。先を急ぐ。

 

 

「まもなく第4チェックポイント、湾開口部に侵入するのです。」

第3チェックポイントで半日弱休息を取った私たちは、その後敵艦隊と遭遇することなく、夜間隠密輸送任務第1段は概ね成功裏の終わりが見えてきた。

「了解。警戒シフトを第2種に変換、後続の文月、三日月と長波は位置を交代。後方からの追跡に警戒する。」

とは言ったものの、追跡している艦なんて居ないはずだった。

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