はぐれ艦娘と孤立小隊   作:小椋屋/りょくちゃ

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第17話

「点呼……しなくても全員居そうだな。」

ビントゥニ湾の奥地にて、前進基地建設のための物資輸送を行っている私たちこと、仮設第一ポートモレスビー攻略支援小隊は、往路輸送を完了させ、復路に就くところだった。

「長波さん、その…どうでしたか……?」

私が旧市街地を見に行ったことについて、三日月が聞いてきた。

「どう…ってことは無かったよ。……でも、まだまだ死ねないなって言う思いが込み上げてきた…って言うのがいいのかな。自分でもよく分かってないんだがな。」

自分ながら、釈然とした回答ができない。

「三日月ちゃ〜ん、長波ちゃ〜ん、行くよ〜!」

タイミングを見計らったかのように文月が私達を呼ぶ。作戦は時間厳守なのだから、旗艦の私がゆっくりしている場合ではなかった。

「おう!今行くよ!…さ、行こうぜ三日月。」

文月に返事をして三日月の手を引いて進む。するとそんな私を見てか、くすくすと三日月が笑う。

「…?どうしたんだ?三日月」

文月と電を待たせている以上、立ちどまる訳にはいかないが、三日月の様子を伺う。

「憑き物が落ちたような顔をしているのに、自分自身のことは無頓着なんだなって思ったらちょっと可笑しくって。」

そんなことを言いながら、またくすくすと笑う。そんなに深刻そうな顔をしていたのだろうか、自分では全く気にしていなかった。

「わりぃ、少し待たせたな。」

と電と文月に合流した時も

「あれ、長波ちゃん、少し変わったのです…?」

「何かいい事あったの〜?私も行けばよかったかな〜。」

と電と文月の2人にまで同じようなことを言われてしまった。確かに、そこまで言われてみれば、ここ最近は沢山の事で悩み続けていたのは事実かもしれない。

「あぁ…私にとってはいい……かもな。」

と、やっぱり曖昧に、返す。事実というより、感覚の問題だから。

そんなことを話ながらポートモレスビーに向かう。と、そんなことを話していると、電探に何かが引っかかる。真正面に敵艦隊が居ることがわかる。

「電探に感あり!総員警戒を厳とせよ!」

途端に緊張が走る。

「無線傍受!重巡が居るみたいだよぉ〜!」

文月の傍受がまたしても役に立つ。敵中突破か迂回か、判断に迫られる。

「ん〜……こっちのこと、もう見つけてるみたいだよぉ〜。」

文月が衝撃の情報を齎す。それなら選択肢はもう1つしかない。

「全艦単縦陣!敵中突破、撃滅する!!」

号令を掛け、陣形を整える。

「「「了解!」」」

先頭は旗艦である私、長波。速力を一気に上げる。

「目標発見!全艦、長波に続け!突撃する!!」

見張り員妖精が発見を報告すると同時に、ほぼ最大船速で接近していく。大発動艇運用中とはいえ、物資を満載していないため負担も少ない。三日月と文月も後衛とはいえ戦闘に参加してもらう。

「ってぇー!」

有効射程ギリギリから射撃を開始する。重巡の方が射程が長いのは百も承知だが、攻撃は最大の防御であり、先制攻撃で機先を制する。

「ごめんなさいなのです!!」

射程距離ギリギリだと言うのに電が敵軽巡を撃ち抜く。

「くらえ〜!」

「当たって…!」

後衛の2人も射撃を開始する。距離も相まって命中はしないが、外れた水柱が、目隠しになり、向こうからの射撃が途切れる。

「ナイスアシスト…!」

その隙を見逃す私では無い。一気にトップスピードに乗り、敵艦隊の戦闘に居た重巡に肉薄し、思いっきり蹴り飛ばす。こんなに接近されると思っていなかったのか、ギョッとした顔のまま蹴り飛ばされていく。

「させないのです!!」

私が敵中に突っ込んだため、私の側面を取ろうとする駆逐艦を続いてきた電が撃ち抜く。

「おぉっと!そんなちゃちな手は効かないぜ…!」

敵の雷撃を踊るように飛び越え、魚雷を放ってきた雷巡にゼロ距離射撃を叩き込む。そのまま流れるように後続していた駆逐艦に雷撃をお見舞いし、敵艦隊の中央を強行突破する。

「あたしだって、これくらいはできるんだよぉ〜!」

文月と三日月も接敵する。

「負ける訳にはいかないんですっ!」

精密な射撃で、私が掻き回した敵艦を沈めていく。

私が引っ掻き回した敵艦隊を、冷静に着実に、片付けていく。敵の標準は、敵陣を中央突破した私に集中する。1人でも道連れにしようと攻撃が集中する。

「私を沈めたかったら…もっと連携を鍛えるんだなぁ!」

無闇に接近してくる敵をいなし、背後を取ってくるこようが踊るように回避し反撃をプレゼントする。てんでバラバラな攻撃を避け、片っ端から砲雷撃を叩き込み、轟沈させていく。接敵から、あっという間に壊滅させていった。

「…ごめんなさいなのです。」

沈み消えていく敵艦に対して、そう電がしゃがみこみ、呟く。

「…戦闘終了。お疲れ様、だ。」

そんな電に近寄りそっと声をかけ、返り血に染まってはいるが、電に手を差し伸べる。

「……ありがとうなのです。」

ほにゃっと笑い、手を取る。

「…さ、帰ろうか。」

三日月と文月も合流し、帰路を進む。

「ふぁぁ…疲れたねぇ〜…。」

大きな欠伸をする文月。

「もう、文月ちゃんは気を抜きすぎですよ。」

そんな文月にツッコミを入れる三日月。

こんな平和も守りたい。そう思わせるには十分すぎる光景だった。

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