はぐれ艦娘と孤立小隊   作:小椋屋/りょくちゃ

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遅刻遅刻〜()


第18話

今回の輸送も今回の輸送で様々なことに見舞われた。だいぶクタクタであり早く帰投したい…。まもなくポートモレスビー近海というところでいつものように定例無線を飛ばす。

「仮設第一ポートモレスビー攻略支援小隊旗艦長波、ポートモレスビー応答願う。」

「………」

何も反応がない。

「こちら仮説第一ポートモレスビー攻略支援小隊。ポートモレスビー、応答願う。」

再度呼びかけるが、

「…………」

反応がない。

「どうしたのです?」

電が寄ってくる。私が数度コールし、会話になってないことを耳聡く気づいたようだ。

「ポートモレスビーからの応答がない。おそらく敵襲か何かだと思う……。」

ノイズしか入らいない無線を切り、戦闘態勢に移行させつつ推測を述べる。

「えっそれって……」

途端に電の顔が青ざめていく。ただショックを受けている暇はない。

「あぁ、周囲警戒を頼む。文月!敵無線を何か捉えてないか!」

微睡みかけている文月を少し強引におこし、聞く。

「んぇ…?うーん、なにも入ってないよぉ……?」

やけにふわふわしているが、こういうことで漏れを出したことは無いため信用する。統率された敵艦隊などによる襲撃は無さそうではある…とはいえこの鎮守府が孤立するきっかけのような、空襲などの可能性もあるが…。

「長波さん!あれ!」

と考えていると三日月の声が響く。

雲間にキラキラと何かが反射しているのが見える。あれは…

「っっ!対空電探に感あり!直上超高高度を何かが飛行中なのです!!」

確信した。確実に重爆撃機による基地空襲に違いない。

「全艦最大戦速!ポートモレスビーに急行する!旗艦に続け!!」

急いで鎮守府へと向かう。超高高度の重爆撃機からこちらを見つけることはさすがにできないだろうと海を駆ける。空も雲が多いことも幸いした。

 

近海付近まで近づいていたこともあり、あっという間に地平線に近づくが、モクモクと黒煙が立ち上っている。

「くそっ私たちがいない間に…!」

遠目に見ても相当の損害が出ているようだ。

「酷いのです……。」

すぐ隣に着いてきている電も同様に感じたらしい。とにかく急いで入港する。幸い港湾機能と工廠機能はまだ生きているようで妖精さんがワタワタと走り回っていた。

「提督!提督はいるか!!」

艤装もそのままに上陸し提督を探す。

横目に三日月と文月が遅れながらも港にたどり着いたことを確認しつつ、さらに奥へと進む。

「提督!提督!!」

探しながら駆け回る。無事でいて欲しい、とにかくその想いが募る。

「そんなに叫ばなくても…聞こえてますから…。」

背後から聞きなれた声が聞こえる。振り返るとそこには肩の当たりから血を流している提督が居た。

「提督…ひとまず無事で良かった……。」

すぐ背後の建物の陰に居たようだ。とはいえまだ出血は続いている。ヘナヘナと座り込みかけるが提督に駆け寄る。

「迂闊でした…早く迎撃機を上げさせれば良かったのに……。」

支えつつ提督を座らせ、艤装から止血帯などを取り出して手当していく。

「喋るなよ…血が止めにくい……。」

止血をするために腕の辺りを触ると顔をしかめる。どうやら骨折もしているようだった。

「…不甲斐ないばかりです。」

私に手当させてるということが、提督の自己嫌悪を掻き立てているようだ。

「…黙ってろって。」

少し語気を強めて喋らせなくする。黙々と止血と手の固定を進め、手当を完了する。あくまで応急処置だが。

「長波ちゃん…と司令官さん!?」

電が私を追いかけてこちらに来てくれたようだが、士官服が焦げ煤け、私の手の辺りが血塗れになっているのを見てギョッとしていた。

「そこそこ酷い怪我だか命に響くことはないはず…だ。医務室が無いから妖精さんに診てもらうしかない。運ぶから、担架を持ってきてくれないか…?」

電に指示を出し、提督の隣に座る。

「わ、わかったのです!」

そう返事すると探しに駆け出す。

妖精さんは基本的に、人の治療は専門外だ。私たち艦娘の身体も、艦娘になると同時に特異に治癒が早くなる。とはいえ、身体の中や身体その物の構造は人とそう変わりはない。だから、人の身体を診察、治療することが出来る妖精さんも居る。提督のことは彼女らに任せることにしよう…そう思った。

「長波ちゃん!担架持ってきたのです!」

だいぶ急いで持ってきてくれたようだ。

「ありがとう…。さ、乗せて運ぶぞ…!」

艤装のアシストもあり、移して運ぶのは簡単だった。

入渠ドッグの隣、いわゆる集中治療室のような設備に提督を預け、文月と三日月に合流する。

「電…被害状況はどんな感じなんだ…?」

工廠で大発と艤装を解除しながら、電に聞く。

「ええっと、システム面は一応全て稼働できてるのです。航空隊も、滑走路の修復さえ終われば使えて、それももうすぐ終わるのです。」

さすが妖精さんさながらである。

「庁舎の中は私が見てきたので報告しますね。爆撃の衝撃で中はぐちゃぐちゃで、1部の部屋は吹き飛んでいました。」

と三日月が話してくれる。

「まぁ…そうだよな……。」

ところどころ崩れ、今だに煙が燻っていることからなんとなくは想像できたが、やはり酷い有様なようだった。

「さて…これからどうするからなぁ……。」

一応艦隊の旗艦であるから指揮権自体は電より上位である。私が現状ここの全指揮権を持っている形になっている。

ひとまず再建は進めるが、悠長なことは出来ないだろう。また私たちは岐路に立たされているのだった。

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