ソードエピソード   作:女良息子

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08.天を侵す星(トリックスター)-夜明

 地平線に目を向けると、真っ暗な空があった。

 どれだけ雲が分厚く積み重なってもこうはならなさそうな暗闇である。

 

「“天を侵す星(トリックスター)”の『陽光吸収』によるものか。まさに不明国家……」

 

 実際に目の当たりにすると圧倒されるな。

 マクガフィンはそう考える。

 彼女は以前から、“天を侵す星(トリックスター)”について、いくつかの情報を得ていた。

 それらは全て、噂程度の不確かな情報ではあったものの、前回のドワーフの“深奥を掴む軍勢(アンソロジー)”のように、名前すら判明していなかったわけではない。

 だったらまず、全くの未知であるドワーフの九世兵器よりも、いくつかの情報が知れている“天を侵す星(トリックスター)”の蒐集を先におこなうべきだったのではないか? 

 そんな風に思わされるのは当然だし、実際、マクガフィンもそうしたかった──“天を侵す星(トリックスター)”を所有しているのが、吸血鬼でなければ。

 吸血鬼。

 巨人に次ぐ最強種として知られる種族である。

 姿かたちは人間と比べて然程変わらないものの、その膂力は巨人に並ぶという。

 単純に言って、化物だ。

 とはいえ、弱点がないわけではない。

 むしろ、ある。

 明確に、はっきりとした弱点が。

 それは日光。

 どれだけ強い吸血鬼でも、それを浴びてしまえば、たちまちの内に灰と化して消えてしまうのだ。

 ならばその弱点を突くような作戦を立てればいいのではないかと思わされるが──九世兵器、“天を侵す星(トリックスター)”によって昼を無くして久しい不明国家の現状を見れば、そんな計画は不可能だと言えるだろう。

 今となっては弱点が無いに等しい最強種。

 それが吸血鬼だ。

 そんな種族が集団的に管理している兵器の蒐集は、なるべく後回しにしたいところである。

 しかし、ここらで旅もようやく折り返し。

 レスコーの剣も、これまでの旅路で鋭さを増していったように思える。

 ならばそろそろ、向かうべきだろう。

 そう考えての来訪であった。

 しかし──まさか、不明国家が地平線の上に見え始めたところで謎の爆発が起き、その余波で飛んできた瓦礫に頭が潰されてしまうなんて事態は、まったくもってマクガフィンの予想外だった。

 まだ入国すらしていない時点でこれなんて──先が思いやられる。

 

「それに、吸血鬼はただ強いだけではなく、不死身じみた再生力という特性もある。殺しても死なないなんて、殺しすぎる剣術である“流星流”にとっては、天敵のような相手だと思うんだが……その辺りについては、どう思っているんだ、フォールコイン?」

 

 不明国家への道中で、マクガフィンは隣を歩くレスコーに尋ねた。

 

「不死身のような方たちとなら、今まで何度も戦ったことがありますし、今回もきっと殺してみせますわ」

 

 レスコーは言う。

 たしかに。

 “流星流”限定で殺されなくなる執筆を修めた騎士。

 炎熱操作の弓によって炎に包まれた体を強引に動かした巨人。

 どんな攻撃も撥ね退け、着用者が何らかのダメージを負えば時を巻き戻すかのように回復させる鎧。

 無尽蔵に湧いてくる軍勢。

 “流星流”の敵は、いつだって不死身めいていた。

 

「だからと言って『今回もきっと勝てるだろう』と楽観的に考えられるのは困るんだが……まあ。戦う前から『勝てるわけがない』と悲観的になられるのに比べれば、幾分かマシか」

 

「それにしても、種族的な特性としての不死身ですか。もしかしたらマフィ様って人間ではなく吸血鬼なのかもしれませんね。ほら、鬼のような角も生えてますし」

 

「おまえはこれまでに、オレが日光を浴びている姿を何度も目にしているだろ? だいたい、名前に『鬼』が含まれるとは言え、吸血鬼に角は生えておらんよ──それに」

 

「それに?」

 

「吸血鬼に共通するという吸血衝動もオレにはない。だからきっと、()()()()()()()()()()()()()()()

 

 その時のマクガフィンは、少し寂しげな顔をしていた。

 その不死性は人間離れしている。

 かと言って、諸々の特徴を踏まえて考えれば、吸血鬼でもない。

 そんな、種族的に宙ぶらりんでどっちつかずな状態にある彼女の心境は、如何様なものか。

 孤独や不安──といった言葉だけでは言い表せないだろう。

 少なくとも、感情が欠けているが故に、他者の感情を察する能力も欠けているレスコーでは、理解できない機微である。

 

「……オレが人間なのか、吸血鬼なのか、それとも他の何かなのか、おまえも気になるか、フォールコイン?」

 

「え? うーん……」

 

 レスコーは少し考えた後、次のように言った。

 

「そりゃあ、まあ、わたくしはマフィ様のことならなんでも知りたいと思ってますけれど──結局、人間でも吸血鬼でも、それ以外の何であっても、マフィ様はマフィ様ですよね」

 

「…………」

 

「だって、たとえ何者であっても、わたくしが(あい)してやまない御方であることに、違いはないんですから」

 

「…………」

 

「たとえマフィ様が虫さんであっても、わたくしは惹かれていたはずですわ──そう考えると……、ふふふっ、先ほどわたくしが確認しようとしたことは、些細な愚問だったのかもしれませんわね」

 

 にこっ、と。

 笑顔で、レスコーは言った。

 彼女がこの世でただひとり感情を向ける相手であるマクガフィンにしか見せない表情である。

 天真爛漫なその笑顔は、まるで子供みたいだ。

 子供みたいに幼くて、純粋で──故に、嘘がない。

 たとえ、その裏にあるのが殺意であっても、心からの笑顔であり、言葉である。

 感情が欠けているレスコーは、何かを感情的に評価するための基準が備わっていない。

 彼女がマクガフィンを溺愛してやまないのも、「顔が好みだから」とか「一緒にいて落ち着くから」といった心理的な理由があるからではなく、「好きだから好き」──あるいは「殺したいから殺したい」という評価ありきでの評価になっているのである。

 つまるところ、レスコーが今しがたマクガフィンに言った台詞も、見方を変えれば「マクガフィンが何者かなんてどうでもいい」という投げやりな意味になってしまうのだが。

 その言葉を受けた彼女は、少しだけ──

 

「そうか」

 

 気が、軽くなった。

 

「おや、どうなさいましたかマフィ様。掌で口元を押さえて顔を背けるなんて」

 

「む……な、なんでもない」

 

「そんなはずないでしょう。よく見たら耳が真っ赤になってるじゃありませんか。この前行った雪山って凄く寒かったですし、今になって風邪を引いたんですかね。熱を測りますから額をこちらに……」

 

「なんでもないったらない」

 

「ええ……、なんでもないのに顔を背けられるなんて、おかしい──はっ!? ひょっとして、先ほどの言葉が下手な惚気だと呆れられたのでしょうか? 『お前がオレに向ける愛は、言葉にすればその程度なのか』と!? この胸から溢れんばかりの想いを過小評価されてしまったと!? そんなの不本意です! レスコー・フォールコイン、一生の不覚!」

 

「なんでもないったらないってば」

 

「いっ、今一度チャンスを! わたくしがこれまで読んできたラブロマンスの知識を総動員して、とびっきりの殺し文句を送ってみせますから!」

 

「ええいっ、なんでもないと言ってるだろうが!」

 

 レスコーが強引にこちらを振り向かせ、ついでに“全を薙ぐ刀(エピソード)”で心臓を一突きしようとしてきたので、マクガフィンは制止の声を上げた。

 その顔は耳まで真っ赤になっていたが、それが大声を張り上げたことによるものか、それとも()()()()が関係しているのか──その答えは定かではない。

 顔の赤みが引くと、マクガフィンは「ごほん」と大きな咳払いをした。

 

「話が逸れたな。ここはもう不明国家の目と鼻の先なんだし、油断は禁物──」

 

 その時。

 辺りが闇に飲み込まれた。

 まるで、太陽光を吸収する“天を侵す星(トリックスター)”の射程圏内に這入ってしまったかのように──あるいは。

 “天を侵す星(トリックスター)”の方から、マクガフィンたちに近づいてきたかのように。

 

「その通り、油断は禁物だ」

 

 声がした。

 男の声だった。

 やがて、黒一色の空間の一点が輪郭を持つ。

 闇を型抜きするようにして現れたのは、黒い礼服を着た紳士だった。

 

「特に、俺様という災厄の前ではね」

 

「……この御方も騎士団の人ですか?」

 

 レスコーがそのような発言をしたのは、何もあてずっぽうの適当ではない。

 紳士の手に提げられている一本の刀──“全を薙ぐ刀(エピソード)”を確認し、それが騎士団に属する者のみ与えられることを知っていた上での推測である。

 しかし、マクガフィンは首を横に振る。

 

「こんな奴が騎士団にいた覚えはない──そもそもこいつは」マクガフィンは紳士の顔を見た。彼の口元からは、人間離れした鋭い犬歯が覗いていた。「人間じゃなくて吸血鬼だ」

 

「御明察、と言うには些か場の明度が足りないかな? と、まあ、こんな冗談はさておき──俺様はクラックベイ。不明国家を統べる吸血貴族が内のひとりだ」

 

 吸血貴族という自称に相応しい尊大な態度で、クラックベイは名乗った。

 

「この刀は、つい先ほど一戦交えた神父を殺して奪った物さ。最強である俺様に刃物の類など不要なのだが、こんなものでもあの“天を侵す星(トリックスター)”と同じ九世兵器だというのだから、無下に扱うわけにはいくまいよ」

 

「神父……なるほど」クラックベイの発言を自身の記憶と照らし合わせて、マクガフィンは答えを得た。「つまり、不明国家で先ほど起きたという光の爆発はサンヘルムの『校正・陽光炉(ディスライク・ディスライク・ディスライク)』だったのか」

 

「うむ、たしかに、そんな名前をしていたな」

 

 ところで──とクラックベイは話を続ける。

 

「あの神父の名前を知り、あいつと同じ刀を携えているということは」レスコーが腰に差している“全を薙ぐ刀(エピソード)”を横目で見ながら言う。「貴様らも不明国家に攻め込みに来たのかね? ──やれやれ。ヤツの言動を踏まえるに、他に仲間が控えている可能性はゼロだと思っていたんだが……。念のため、捜索に来て正解だったな、これは」

 

「不明国家を攻めに来たのは否定しないが、あの野郎(サンヘルム)の名誉の為に言っておくと、アイツとオレたちは仲間ではない。むしろ敵だ。ただ攻め入るタイミングが重なっただけにすぎん」

 

「ふうん……、そうか。まあ、人間の関係図など、俺様にとってはどうでもいいことよ」

 

 本当にどうでも良さそうに言うクラックベイだった。

 そして、ほんの少しの間を経て。

 

「──解せないな」

 

 マクガフィンは低く呟いた。

 

「解せない? 何が?」

 

「これまでの話で、だいたいのことは分かった……。だが、ひとつ分からない。ここはまだ位置的に不明国家の──” 天を侵す星(トリックスター)”の領域ではないはずだ。ならば、この状況はどういうことだ?」

 

 辺りを包む暗闇を見渡しながら、マクガフィンは言った。

 

「くくくっ、簡単なことよ」クラックベイは笑う。手品のタネ明かしでもするかのように。「ここにも“ 天を侵す星(トリックスター)”が現れただけさ」

 

「なに?」

 

「厳密には“ 天を侵す星(トリックスター)”のイミテーションだがね」

 

 誇るような口調で、クラックベイは自身の胸元を撫でた。

 

「俺様の体には小型化した“天を侵す星(トリックスター)”のイミテーションが埋め込まれている。故に、俺様を中心とした一定範囲内には不明国家と同じ環境が出来上がるのさ──原型(オリジナル)が空の一点に鎮座する『動かない”天を侵す星(トリックスター)”』とするならば、差し詰めこちらは『動く“ 天を侵す星(トリックスター)”』か。……くくくっ」

 

「まあ、動く星ですか」

 

 “ 天を侵す星(トリックスター)”で光を奪われた空間には場違いなほどに明るい声が投げ込まれた。

 レスコー・フォールコインの声である。

 

「それではまるで流星みたいですね。“流星流”のわたくしとして、ここは対抗心を燃やすべき場面なのでしょうか?」

 

「対抗心を燃やす? そんな必要はない」

 

 クラックベイは言った。

 

人間(おまえ)吸血鬼(俺様)の力関係では対抗など成り立たないのだから──それに、そもそも俺様は今日、これ以上戦うつもりはない」

 

 と。

 そう言って。

 クラックベイはマクガフィンに近づいた。

 踊るように優雅で、軽やかな足運びだった。

 彼はそのままマクガフィンの手を取ると、彼女に熱の籠った視線を向けた。

 そのような視線を真正面から浴び、少女は思う。

 つい最近、これと似たような視線を見たことがあるような──

 レスコーから、向けられたことがあるような──

 

「これから俺様は──彼女と結婚の祝儀を執り行うのだから」

 

「は?」

 

「は?」

 

 レスコーとマクガフィンの頭は真っ白になった。

 一気に話が飛んだ? 

 いや、そうだとしても、明らかに敵対的な雰囲気で登場していたクラックベイがマクガフィンとの結婚を決意するなんて場面に着地するなんておかしい。

 

「おかしいと思うか? 俺様だって自分が人間の、それも少女に惚れるなんて、おかしいと思うとも。……やれやれ、小児性愛(ペドフェリア)のケは無いと思っていたんだが──けれども。一目惚れしてしまった以上、仕方あるまい。他の何を偽れようとも、己の恋心に嘘はつけないのだから」

 

「…………」

 

「ああッ!」クラックベイは身を捩らせて悶えた。最強らしからぬリアクションである。「こちらを見上げるその瞳! そう! それだとも! その目に宿る意思に! なにか途轍もない目標を見据えているその双眸に! 俺様の心は射貫かれたのだ!」

 

「…………」

 

「ああ、皆まで言うな。お前がなにを不安に思っているのかなんて、言わずとも分かってる。なぜかって? 俺様はおまえの(つがい)なのだから当然さ。わざわざ言わせるなよ恥ずかしい──人間と吸血鬼の結婚を周囲が認めてくれるのかが不安なのだろう?」

 

「…………」

 

「当然、不明国家内の各方面から反対されるだろう。吸血鬼にとって人間はただの食料に過ぎんのだからな。俺様だって同胞が人間なんかと結婚しようとしたら、全力で反対するさ。だが安心しろ。俺様は最強だ。俺様達の結婚に反対する不届き者がいれば、そいつらの意見を封殺してやる。虐殺的に封殺してやるとも。なんなら実際に殺してやってもいい」

 

「…………」

 

「人間の価値観はよく分からんが、そこは寛大な俺様らしく、こちらが合わせてみせるとも。いや、むしろ合わせさせてくれ。これから俺様がおまえ色に染められていくのかと思うと、未来が薔薇色に思えてくるぞ。くくくっ!」

 

「ちょっ、ちょっと待ったっ!」

 

 レスコーが声を張り上げた。

 クラックベイの突拍子もない発言に、元から無い心どころか頭まで空っぽになっていた彼女は、今になってようやく我に返ったのである。

 

「急に何を言っているんですか!? 会ったばかりのマフィ様にけっ、け、けけっ、結婚なんて……ダメです!」

 

「ふうん、マフィというのか。いい名前だな。ますます好きになった」

 

 クラックベイはレスコーの発言の都合の良い部分だけ切り取り、マクガフィンにより一層熱い視線を向けた。

 反対意見の部分は無視している。

 封殺すらしていない。

 けれどもめげずに、レスコーは続ける。

 

「そもそもマフィ様はわたくしと将来を誓い合った仲なんです!」

 

 何週間か前に似たような台詞を聞いた気がするな、と既視感に襲われるマクガフィンだった。

 

「マフィ様が不死身なのはご存知で!?」

 

「おまえのおかげで今知った。なるほど、不死身。それは都合がいい。種族間の寿命差を気にせずに生きていけるなんて、これから恋仲になる俺様達にとっては朗報でしかないのだから」

 

「貴方と一緒に生きる!? それは無理ですね! だってマフィ様は死にたがっているんですから! だから、自分を殺せる九世兵器を蒐集するために世界を巡っているんですよ! わたくしと! 一緒に! まあ、わたくしは九世兵器なんかにマフィ様を取られるつもりもないんですけれど! いつか完璧な“流星流”でマフィ様を殺してみせるつもりなんですけどっ!」

 

 普段以上に饒舌になっているレスコーだった。

 相手が知らないマクガフィンの情報を話すことで「こっちの方が詳しいんだぞ」というマウントを取ろうとしているのか。だとしたら今のところ、ただの情報漏洩にしかなっていない。

 子供じみた対抗心である。

 ともすれば、先ほどクラックベイに「ここは対抗心を燃やすべき場面なのでしょうか」と言った時以上に対抗心が剥き出しだ。

 

「──フォールコイン、おまえ……」

 

 マクガフィンは困惑する。

 今のレスコーは、いくら自分(マクガフィン)が関わっているとはいえ、感情的になりすぎていないか? 

 彼女にここまでの情緒はあっただろうか? 

 普段から垂れ流しにしている恋心ならともかく、ここまで嫉妬や対抗心を露わにしているレスコーの姿なんて見るのは、初めてだった。

 脳内に広がる花畑が、嫉妬で炎上してしまっている。

 

 一方、クラックベイは、無関心な目でレスコーを見ていた。

 

「マフィが死を望んでいるだと?」

 

 先程までマクガフィンに投げかけていた熱烈なプロポーズとは打って変わり、その声から熱が失われている。

 発言の先にあるレスコーを凍てつかせんばかりの冷やかさのみが込められている。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そもそも人間よ──どうして、お前はマフィの自殺の手助けをしている?」

 

「え」

 

 そこで、それまで勢いよくまくしたてられていたレスコーの口舌は、ぴたっと止まった。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()() 俺様なら共に生き続けたいと思えるような未来をふたりで作っていこうと考えるがね。なのに、自らの手で殺そうとするなんて……、それは愛していると言えるのかね?」

 

「え、あ、あう……」

 

 レスコーに対して、それは禁句だった。

 これがいつも通りの彼女だったら、敵の言うことなんかに耳を貸さず、“全を薙ぐ刀(エピソード)”でクラックベイを八つ裂きにして終わりにしていたのかもしれないが──今のレスコーはいつも通りではない。

 自分からマクガフィンを奪った恋の好敵手(ライバル)という未知の存在と遭遇し、平常時から程遠いコンディションにあるのだ。

 そもそも客観的に見て、レスコーがマクガフィンを愛しているのかというと──そんなことはない。

 絶対に。

 白ドレスの令嬢が軍服の少女に向けているのは、純度百パーセントの殺意だけだ。

 そして、レスコーの真に厄介な点は、そんな特大の自己矛盾を抱えているにも関わらず、それをまったく自覚していないことだ。

 だからこそ、こうして第三者の視点から、その歪さを指摘された時、逃げることができなければ、ごまかすこともできず──こうして固まってしまうのである。

 そんなレスコーの様子を見て、クラックベイは溜息を吐いた。

 

「やれやれ──これではどちらがマフィの運命の相手に相応しいかなど、一目瞭然だな」

 

「待て」

 

 声がした。マクガフィンの声だ。

 クラックベイの胸元に引き寄せられ、彼を見上げているマクガフィンの目は、心なしか、いつもより鋭くなっているように見えた。

 

「勝手に結論付けるな。オレの運命は俺が決める。オレが死ぬかどうかもオレが決めることだし、オレが誰と共に生きるかもオレが決めることだ。お前が割って入る余地なんてない」

 

「もちろん、俺様は君を尊重してみせるとも、マフィ。だがその上で、君を愛するひとりの吸血鬼として、ひとつ忠告させてもらうが──そうした決断の末に引き連れているのが、あんなトチ狂った人間なんて、まともじゃあないぞ」

 

「黙れ。お前に何が分かる。レスコーはオレに付いていくために、九世兵器の蒐集という無理難題にも付いてきたんだぞ」

 

「九世兵器くらい婚約指輪を用意するついでに蒐集してやってもいい。あの女よりずっと上手く、ずっと早く蒐集してみせよう。もっとも、それを自殺に使われるのは勘弁だがな。なんなら今から蒐集の旅に出かけるか? 世界一周の新婚旅行(ハネムーン)だ」

 

「──くくくっ」

 

「……? そんなにおかしかったか? 冗談のつもりで言ったんじゃあないが」

 

「ああ、おかしいとも。爆笑必至の冗談だね」

 

 くつくつと、馬鹿にするような笑い声を漏らしながら、マクガフィンは言った。

 

「だってお前──さっきから自分がレスコー(あいつ)より強いことを前提に話しているじゃないか」

 

「…………なに?」

 

 クラックベイは眉を顰めた。

 

「──そりゃあ、そうだろう。だって俺様は吸血鬼だぞ? 周囲一帯を夜にする”天を侵す星(トリックスター)”のイミテーションも所有している。それはつまり、世界中で、時と場所を選ばずに無敵であれるということだ。たかが人間に劣るはずがない」

 

「さて、どうだか。まだ戦ってもいないのに、よくもまあそこまで自信ありげに断言できるものだな」

 

「…………」

 

 それ以上、クラックベイは声を発しなかった。

 マクガフィンは自分にとって不愉快な言葉しか吐き出さない口が止まったのを確認して満足気な表情になると、レスコーへと顔を向けた。

 

「おい、フォールコイン!」

 

 叫ぶ。

 耳から直接、活を注入するような大声で、叫ぶ。

 

「いったいいつまでぼうっとしているつもりだ! いい加減剣を抜け!」

 

「…………」

 

「いいか、よく聞けよ──今までオレの不死性を利用するために解剖してきた奴はいくらでもいた! 異端として排除するために武器を向けてきた奴もいた! だけど──本当に、心から、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()鹿()()()()()()()()()()()() おまえしかいなかったんだよ! 代わりなんて他にいないんだ!」

 

「…………!」

 

「お前は俺を殺したいと思い、俺は死にたいと思っている! 元からふたりで完結している関係じゃあないか! そこにぽっと出のよく分からん奴から横槍を入れられただけで、お前はなにもできなくなってしまうのか!? 違うだろ! オレの知るおまえなら、こんな邪魔者なんて行間で殺して突き進んでいたは、ず──」

 

 マクガフィンの声はそこで止まった。

 声を出す喉に、大きな牙が突き刺さったからだ。

 クラックベイ──吸血鬼の牙である。

 人差し指ほどのサイズがある指は深々と突き刺さり、声だけでなく、血をどんどん奪っていく。

 一方的に、抵抗すら許さず、命の源を、簒奪していく。

 たっぷり十秒ほど、その光景が続いた後、クラックベイはマクガフィンの喉から口を離した。

 体内の血液が急激に減少したことでマクガフィンは気を失う。クラックベイは彼女の体が斃れないように抱えると、そのまま地面にそっと横たえさせた。

 

「……少し黙らせるつもりで吸うつもりだったが、吸い過ぎてしまったな。……くくっ、こんなに美味な血は初めてだ。やはり、運命を感じずにはいられない──さて」

 

 言って、レスコーに視線を移す。

 酷く気怠そうな視線を。

 

「本来なら貴様程度の雑兵、文字通り歯牙にもかけないのだが──愛するマフィからああ言われたからな。とても気が載らないが、殺すことにしよう。目を覚ましたマフィに貴様の死に顔を見せて、驚かせてやる」

 

「………………」

 

 対するレスコーは黙りながら剣を抜く。

 

「ほう」

 

 クラックベイは言う。

 

「あくまで抗戦するつもりか。この、強く、不死身で、常夜の吸血鬼に」

 

「たしかに──」

 

 レスコーは言った。

 その言葉には、先ほどまでの弱弱しさはない。

 いつも通りの──ただひとりのみに向けられる殺意だけが込められている。

 

「絵物語の題材にもなるような怪物・吸血鬼で、不死身じみた生命力を持っていて、“天を侵す星《トリックスター》”のイミテーションによって昼でも夜でも気にせずに戦えるあなたを殺すのは難しいのかもしれません──だけど、殺してみせますわ」

 

「なぜ、そう言い切れる」

 

「マフィ様を愛してるから」

 

 いえ、少し違いますわね──と、レスコーは言いなおす。

 

「マフィ様からの(想い)に応えたいから──ですわ」

 

「なるほど。イカれてる」

 

 これ以上の会話は無用と判断したのか、クラックベイは構えた。

 爪の先端を相手に向ける、蛇拳のような構えである。

 対するレスコーの構えも、既に完了している。

 それはいつも通りの──美しく整った、中段の構え。

 

「“流星流”レスコー・フォールコイン──殺して参りますわ!」

 

「吸血貴族。クラックベイ──推して参る!」

 

 どん、と後方に押し飛ばすような衝撃があった。

 同時に、クラックベイの視界が光った。

 しかし、それは一瞬のことで、瞬く間に闇へと落ちる。

 いや、元から“天を侵す星《トリックスター》”のイミテーションによって、周囲に闇が立ち込めていたが──この暗闇は、それとは違う。

 空間的な暗闇というよりも──視覚的な暗闇だ。

 吸血貴族は失明していた。

 

(両目を突かれただと──?)

 

 吸血鬼の体は他の種族と比べて頑丈だ。それは前回、クラックベイがただの爪で“全を薙ぐ刀(エピソード)”の斬撃を受けていたことからも明らかである。

 しかし眼球は、それほどでもない。

 粘膜であり、肉体構造における弱点であるそれらは──やはり、他の種族と比べれば十分に頑丈ではあるものの──爪ほどの耐久性はない。

 押し潰されれば失明だってする。

 たとえば、凄まじい勢いで空気を押すことにより、突きの衝撃を遠距離に届ける技をまともに受ければ──

 

「流星流──“落目(おちめ)”」

 

 クラックベイには見えていなかったが。

 その時のレスコーは、右手だけで握った“全を薙ぐ刀(エピソード)”を前方に大きく突き出すように腰から上を殆ど半身になるまで傾けていた。

 

(なにが起きた? 先程の燃える刀(ディスライク・ディスライク・ディスライク)のように、執筆でも使ったのか? ……フン。人間らしい小細工だな。この俺様に傷を与えたのは見事だが──この程度の傷、俺様の体にかかれば、すぐにでも回復す、る……)

 

 クラックベイはたしかに知っていた。

 マクガフィンが不死身であることを、レスコーから聞いて、知っていたのである。

 しかし、彼はそれを重要視しなかった。

 その時の彼はマクガフィンへの求愛に夢中で、レスコーの台詞を殆ど重要視していなかったし──それに、なにより。

 元から不死身に近い生命力を持つ彼にとって、マクガフィンの不死性なんて、驚くに値しないのだから。

 普段生活していて、二足歩行や肺呼吸の特異性を気にかける人間などいないのと似たようなものである。

 だから、それについて深く考えることはなかったし──重大にとらえることもなかった。

 もしも彼が、人間と同じ尺度を持ち、マクガフィンの不死性を看過できない異常として受け止めていたら──

 

 ──彼女の血を吸うなどという迂闊な真似は、絶対にしなかっただろう。

 

(──な、んだ?)

 

 その疑問を最後に、クラックベイの思考は途絶えた。

 これまでに経験したことが無いほどの激痛が、眼窩を襲ったからである。

 あまりの痛みで、真っ暗な視界に稲光の幻覚が走る。口からは文字で表現できない絶叫が溢れ出た。吸血鬼特有の青白い肌からは、更に血の気が失われている。

 眼球の再生が滞っているわけでは──ない。

 むしろ、クラックベイの生命力は普段以上になっていた。

 普段以上になりすぎていた。

 潰れた眼球周辺で肉が盛り上がり、血管と神経を押し潰す。

 のみならず、その暴走じみた再生は、他の組織まで侵食し始めていた。

 まるで──マクガフィンの血を摂取したことで、この異常が起きたかのようだ。

 ただでさえ生命力に優れている吸血鬼の体が、正体不明の不死性を取り込んだことで、ネジが外れている。

 注ぎ込まれた力に、肉体という器が耐えられていない。

 

(な──んだ──体の、中を駆け──巡る──この力は──ただの人、間が持っていいものな──のか?)

 

 そして。

 永遠にも思える激痛の最中。

 刹那に等しい一瞬にて。

 クラックベイは感じた。

 それはあまりの痛みで生じた、ただの幻覚だったのかもしれない。

 しかし彼は、たしかに感じたのである。

 自分の体内から翼を広げて飛び立とうとする『何か』を。

 そしてそれが、吸血鬼よりも強く、恐ろしい存在であることを──本能的に理解した。

 その理解がトドメだった。

 得体の知れない『何か』を感じ取ったクラックベイは恐慌を来す。

 眼球の修復どうこう以前に、精神的な意味で戦闘の続行が不可能な状態になっていた。

 クラックベイは終わっていた。

 しかし、彼が終わっても──それは終わらない。

 殺しすぎる剣術は──終わらない。

 吸血貴族の身に起きている異常なんて知ったことではないと言わんばかりに、殺戮を続行する。

 

「“流星流”──」

 

 小さく呟いて、刀を構えなおし、白ドレスの令嬢は言う。

 

「──鱗削(うろこそぎ)

 

 ◆

 

「ぐっ…………ふぅ……うぅう……」

 

 クラックベイは、地面に倒れていた。

 今の彼の状態は、死体と言っても過言ではない。

 いや事実、一度は死んでいた。

 だからこそ、レスコーはクラックベイが死んだものと思い、彼を倒した後、マクガフィンを起こして不明国家へと去っていったのだ。もちろんその際には、クラックベイがサンヘルムから奪った“全を薙ぐ刀(エピソード)”まできっちりと忘れずに持ち去っている。

 しかし、クラックベイは蘇った。マクガフィンの血を介して体内に取り込んだ『何か』によって、遅まきながら再び命を得たのである。

 彼は今、レスコーたちを追う形で地面を這っていた。

 

「はっ……はっ、ぐう……あぁあ……」

 

 呻き声を上げながら、ずるずると前進する。

 今の彼に、レスコーにリベンジしようなどという考えはない。

 そんな信念は、とっくのとうに折れた。

 クラックベイがこうして、レスコーたちを追うように、不明国家に向かっているのは、彼女たちと同じく、“ 天を侵す星(トリックスター)”が目的である。

 

 ──五〇年もの間、不明国家に夜を齎してきた“天を侵す星(トリックスター)”。

 それが一時も休まずに吸収し続けていた太陽光は果たして、どうなった? 

 順当に考えれば、“天を侵す星(トリックスター)”の内部に貯蔵されているのだろう。

 五〇年分の太陽光の光と熱──それら全てを一時も逃さずにかき集めたエネルギー。

 その総量は、まさに天文学的な数字である。

 そして。

 そんな”天を侵す星(トリックスター)”が貯蔵しているエネルギーを一気に解放したら──何が起きるか。

 一瞬で生じるエネルギーの拡散──それは所謂、爆発だ。

 環境破壊兵器であった”天を侵す星(トリックスター)”は、転じて爆弾へと変わるのである。

 しかも、ただの爆弾ではない。

 五〇年分の太陽光という、天文学的なエネルギー量を火薬代わりにした爆弾である。

 ならば、それによって生じる被害も、天文学的なそれとなるはずだ。

 かつて起きた『大いなる災害』のように、山脈が一瞬で更地に──程度で済むはずがない。

 地形なんて変わって当たり前。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 それこそ世界を九度滅ぼせるほどの──九世兵器の名に相応しい破壊を生むに違いない。

 そしてクラックベイは──小型版“天を侵す星(トリックスター)”の試作品をいち早く所有できるほどに、“ 天を侵す星(トリックスター)”の研究に深く携わっている吸血貴族は、その爆発を意図的に起こす仕組みも、知っている。

 

「ぐっ……が……か、完璧な死を迎えてみたいんだってな……マクガフィン」

 

 クラックベイは息も絶え絶えな声で言った。

 

「だったら俺様が与えてやろう。俺様はおまえの運命の相手になれなかったが、おまえを愛したひとりの男として……げほっ、最期におまえが望むもの()を贈ってやる……共に生きられないのなら、せめて心中しようじゃないか」

 

 無論、そんな事態を招いてしまえば、この世の何よりも太陽光に弱く、“天を侵す星(トリックスター)”の直下に国を構えており、クラックベイの同胞である種族、吸血鬼が真っ先に絶滅してしまうのだが、彼はそのことを毛ほども気にかけていない。

 ……いや。

 さすがに一瞬くらいは頭を過ったかもしれないが、そうだとしても、すぐに「それがどうした」と切り捨てただろう。

 今の彼にとって、何よりも優先されるのは「自分がマクガフィンに何をやれるか」なのだから。

 これまで話についてきてくれている読者諸賢なら、とっくにご存知かと思われるが──恋に盲目となっている者の辞書に、躊躇の文字は存在しないのである。

 故に、肉片は前進する。

 狂気目掛けて──凶器(トリックスター)目掛けて。

 すこしずつ、進んでいく。

 しかし、その前進を阻むものが現れた。

 

「おやおや──随分派手にやらかしたのう。流石、()()()()

 

 身長は高く、ひょろ長い。そんな全身を黒い襤褸で覆っており、傍目から見た印象は、虚空に引かれた一本の縦線のようだ。

 口調は老人のように古風だが──その年齢は定かでない。

 襤褸に覆われて顔が見えないから──ではない。

 その風貌が、その声が、まるで靄でもかかったかのように、曖昧だからだ。

 仮にクラックベイが五体満足の健康体でこの場に立ち、吸血鬼として鋭敏化された五感で持って襤褸を観測しようとしても、『そこに何かいる』以上の結果は得られなかっただろう。

 故に、今の彼は、先ほどの襤褸の台詞を──

 

「な、んだ……? 風でも……ぐっ……吹いたか……?」

 

 そんな風に受け取った。

 

「そうじゃない……、と訂正した所で伝わらないから困るのう、とほほ」

 

 嘆く襤褸。

 とはいえ、その表所は見えないので、彼が本当に嘆いているのかは定かではない。

 襤褸は顔を下げ、地面に転がるクラックベイを見た。

 

「生命力の暴走──吸血鬼が の血を直接呑めば、そうなるに決まっとるじゃろ。 以外でアレに耐えられるのは、『人を分断つ血(ネヴァーエンディング)』だけじゃよ……。まあ、お前が の血を呑んで体が壊れずとも、オレの孫が勝っていただろうがな──というのは、いささか身内贔屓が過ぎるかのう」

 

 襤褸は言う。

 

「ともあれ──オレの孫とアレが一緒に旅をしているなんてなあ。なんだか運命的というか、世間の狭さを感じるのう……というより、両者に元からあった縁が引かれあったという感じか?」

 

「な……んだ? この、音は? 幻聴か? う、うるさ……い……。なぜ鳴り止まな──」

 

「“ 征流“──鱗削(うろこそぎ)

 

 そこでクラックベイの声は途絶えた。

 というより、息絶えた。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「“天を侵す星(トリックスター)”の()()()使()()()に感づいておったのは、製作者として褒めてやりたいところじゃが、それを使う相手がオレの孫の恋人となれば、止めないわけにはいかんじゃろ……。人の恋路を邪魔するやつは死んでおけ」

 

 襤褸の手には一本の剣が握られている。

 それは持ち主の格好に似て、年季のある剣だった。

 しかし、見る人が見れば驚くことだろう。

 何故ならその剣は──一般的に世界で最も優れた剣とされる“全を薙ぐ刀(エピソード)”以上に、美しく、鋭く、そして兵器としての並々ならぬ圧力を発していたのだから。

 

「それにしても……孫たちは、なにやら“ 製兵器”──いや、世間では九世兵器と呼ばれていたんだったか──を集めておるようじゃのう。“天を侵す星(トリックスター)”は……まあ、これから余裕で蒐集するとして、次に向かうのは“地を支える毒(フェアリーテイル)”か“雲奥にて唄う砲(ライトノベル)”あたりか? じゃったらオレもそちらに──いや」

 

 襤褸は言う。

 

「“ 世界を翔ぶ杖(スラップスティック)”で待とう。うん、それが良い。あそこなら存分に孫をもてなせそうじゃ」

 

 自分の言葉に自分で満足しているかのような、そんな声だった。

 

 

 

 

 

 

 次回予告! 

 

 段々と進むレスコーたちの旅! 

 

 次なる目的地は小人の国! 

 

 そこはなんと、鳥人との戦争の真っ最中で!? 

 

 更には騎士団の刺客が三人も現れて……!? 

 

 かつてない規模の戦いの中で、”流星流”はどう戦うか! 

 

 次回! ソードエピソード! 

 

 第九話『地を支える毒(フェアリーテイル) そして 雲奥にて唄う砲(ライトノベル)』! 

 

 また読んでね! 

 

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