英霊城兵六番勝負   作:ブロx

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デコイ・ぐだお・オクトパス





第四話 ようこそ我らのチェイテピラミッド姫路城 上

 

 

 

『悪い知らせだ立香。 ギルガメッシュ王がやられた』

 

「! そんな、あの王様が…?」

 

『霊基消滅。――?いえ、衰退を確認!』

 

「衰退?どういう事、マシュ?」

 

初めて聞く単語。色んなハテナ(?)に。立香は訝しんだ。

 

『はい。…よく分かりませんが、そうとしか言いようがありません。強制的に霊体化させられた模様です。……いえおかしいです、霊基を傷付けられたわけでもないのに一体どうやって』

 

「??」

 

? 

 

『つまりだ立香。こちらが観測したままをそっくり言うと、英雄王は宝具を開放。けれど容易く無力化され打破された。加えて率直に言うと、まるで意味が分からない。この私でも』

 

「なるほどそれは理解しやすいね。モチロン理解不能って意味で」

 

『一体どういう理屈なのかも…不明です』

 

『トリスメギストス及びこちらの計器には何の反応も無いわ。つまり、そこでは特別何も起こらなかったという演算結果。

 ――ならば導き出される結論は一つ。我々にはよく分からないモノ=『エリザ粒子』とやらが関係しているのかもしれないわ。 貴女は何か知っているかしら?刑部姫』

 

カルデア所長・オルガマリーの的を射た質問に、刑部姫は小さく頷いた。

 

「…メカエリチャンから全てを聞かされたわけじゃないけど、何でもエリザ粒子っていうのはワケ分からない程この特異点に満ちているみたい。パンプキンなアイツも速攻でああなっちゃって井戸底から動けなくなっちゃったし。

 だから今わたしが分かっているのは、英霊城兵達はエリザ粒子をコントロールできるって事くらいしか」

 

『見た事も聞いた事もないトンデモ物質が実在する世界ってわけね?ますますもってキナ臭くなってきたじゃない、立香。そこは名実ともにヤバいわよ?』

 

「……、了解。とにかく今は兄さんとエリちゃんを救出します」

 

『お気を付けて、先輩。上方にあるダクトからなら、ぐだお先輩が居る部屋に行けそうです』

 

スニーキング立香は抜き足差し足、未知に向かって進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 チェイテ城エリアの一室。そこにある簡素なベッドの上に、藤丸ぐだおは座っていた。何故こんな所に自分は居るのか?カルデアに助けを求めるにはどうすれば?そんな事を考えて。

 

「! だ・・・誰だ!?」

 

 語気を強める。そして、強い衝撃。

一体何だと思って振り向くと、そこには天井裏から現れるニンジャさながらに。自身の妹がこの背中へと思いっきり着地していた。

 

「助けに来てあげたよ、愚だ男兄さん?」

 

「その悪態は立香!ありがとよ」

 

「い~え~、どういたしまして」

 

 感動の対面が兄妹の間に起こっていた。何だかんだ言って心配だったのだろう立香は愚かな兄の背中からどいて、ペチペチと手と足と顔を触っている。

 

―――生きている。ならば良し。

 

「くすぐったい」

 

「あ、ごめん。手拭いておくねばっちぃし」

 

「確かにここもオレも汚いけどもそういう問題じゃない!」

 

「え?だって私の玉のお肌が荒れちゃうじゃん」

 

「た、ま?え、何?え?何だって?」

 

「―――あ?」

 

「―――あ?」

 

ペチペチ。兄妹はボディランゲージで愛情を示していた。

 

『ぐだおくん、ダ・ヴィンチだ。仲睦まじいところ悪いが早速聞きたいことがある』

 

「あ、はい!」

 

『立香先輩はステイを願います』

 

グーパンの準備をしていた立香は渋々了承した。

 

『分かる範囲でいいから答えてほしい。――何故カルデアに居た筈の君が、異世界である特異点にレイシフトも無しに攫われたのか。そしてエリザベートは今何処なのか? 話せるかい?』

 

「・・・・分からない。気付いたらこの見れば見るほど面白い城の前に居て。オレはハロウィン当日の休暇申請をしようしていただけなのに・・・」

 

『その申請は通りませんが、無事で良かったです先輩』

 

「そしてエリザベート?・・・エリちゃんも捕まっているのか?立香」

 

「うん。この面白いお城を占拠した英霊城兵って奴らが、ハロウィンが終わる前に英霊霊基グラフのリストを差し出さなければ兄さんとエリちゃんを処刑してエリザ粒子砲をカルデアに発射するって」

 

「英霊霊基グラフのリスト?何だそれ?」

 

「あ、そういえば私も知らないや」

 

藤丸兄妹は仲良く首を傾げた。すると、

 

『七つの特異点を旅した君達の縁が詰まった物だ。色々と前提はあるが、それとマシュが居れば再び英霊召喚を行う事が出来る』

 

「そんな凄い物が?」

 

『私とオルガとで極秘に製作していたんだが。何故か知られてしまっているという事は不可解だ。いや、不可能な筈だが、』

 

「この城の主――。メカエリチャン達英霊城兵には常識は通じない。やはりそういう事か」

 

『? ぐだお先輩?英霊城兵なるものの存在をご存じなのですか?』

 

「・・・ああ、知ってる」

 

「へ~。ところで兄さん、エリザ粒子砲ってヤツも知ってる?」

 

「知ってる。少しだけど、奴らと話したからな」

 

思いのほか好待遇だったのか? 立香は訝しんでばかりいた。

 

「マジ?何なの?それ」

 

「・・・・立香。どうやらここはただの城じゃないみたいなんだよ」

 

「見れば分かるよ」

 

「そうじゃない。この城の頂上の部分に、日本の姫路城があるのは見たな?」

 

「うん」

 

「――姫(わたし)のお城ぉ!!」

 

「そこに、新開発された兵器があるらしいんだ。核弾頭なんて眼じゃないほどのな」

 

「まさかそれが、」

 

「エリザ粒子砲。 本来異世界である特異点から、そのまた異世界へ攻撃が可能な、正に世界を股にかける兵器だって話だ。奴らはそれを手に入れ、もう発射可能だ」

 

『……信じられない。と思いたいけれど、』

 

『ギルガメッシュ王の例がありますからね……』

 

『だが特異点は本来その発生からして極低確率なものだ。そんな所に、わざわざ新型兵器だって? そんなのまるで世界と世界を繋ぐ歯車じゃないか』

 

 トンデモない話が現実味を帯びてくる。心に芽吹く感情の正体は恐怖か、或いは理解か。対義語同士がせめぎ合いしかし矛盾する事はないのは、それが英霊城兵でありチェイテピラミッド姫路城という事なのだろう。考えるだけやっぱり無駄かなと立香は思って、ブンブン首を左右に振った。

 

「第一射までもう間もなくとも奴らは言っていた。時間がない、急いだ方がいい!」

 

「じゃあ行こう!勿論エリちゃんも一緒に救出して――」

 

「あ!ちょっと待ってくれ立香」

 

「え、何兄さん、トイレ?」

 

「違う違う。なあ、ダ・ヴィンチちゃん、―――本当に霊基グラフのリストはまだ出来ていないのか?」

 

『? ああ勿論。急ピッチで進めてはいるけどね』

 

「雛形もか?実はそれを立香に持たせているとかは無いよな?」

 

『答えは全てノーだが。でもどうしたんだい?君達の縁なんだから当然と言えば当然だが、そんなにも気になるかな?』

 

「そうそう。んなもん無いよ?」

 

 目玉をキョロと動かした立香は、その先に居る兄を見て一瞬、変な音が聞こえた。やはりお腹の調子が悪いのだろうか、なんて他愛のない事を一度考えて。

 

――そしてその音は次の瞬間、

 

「だが、元首は・・・」

 

「元首?」

 

壮大な悲鳴となって響き渡った。

 

「・・・Nnnnnnngggghhh!」

 

『先輩ッ!?』

 

「――――」

 

叫び。悲痛な叫び。もがき苦しむ、男の叫びに。立香は凍り付いた。

 

「Ww・・・why――?Uuuuuugggghhhh!!」

 

 ぱたりと。こちらを見ながら、ソレはつまらない芸人の一発芸のようにズルリと、すべって倒れた。つまりは死んだ。立香は自分の眼の前が真っ白になり―――、

 

『先輩!先輩ッ!?!ぐだお先輩!!!返事をして下さい!!!どうか先輩っ!!!!!』

 

「……―――あ?」

 

そして怒りで真っ赤になった。

 

 

 

 

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