本来は1話に含めるつもりでしたがぶった斬りました。
全力で悪乗りしていくぜ!
前回よりも変態度合いが高いです。ご注意を。
堅苦しい座学の時間が終われば、さあ体育の時間だ。
チャイムと同時に、体操服に着替えるための教室移動が始まった。体育の授業は基本的に2クラス合同でやるので、女子は1組で、男子は2組に移動する形で別れ、別々の教室で着替える。
が、ここで問題がひとつ。
異性の身体になってる生徒たちをどうするか、だ。身体の性別に合わせるにしろ、精神の性別に合わせるにしろ、どちらにしてもえっちな事態が発生しかねない。
マコト達の学校は、もとよりあんまり治安のいい学校とは言えない部類の学校だったのだが、入れ替わり発生後はより悪化しており、具体例を述べると、登校初日から異性の身体になった生徒同士で致していたのが発見されるレベルで、この学校の治安は終わっている。
教師達は悩んだ。
悩んだ末に、ある結論を出した。
それは隔離だった。異性の身体になった問題児予備軍を別室で着替えさえるという、至極真っ当な結論だった。手間はかかるが、如何わしいことをされるよりは遥かにマシだということで、この案が実行された。
では問題。
そんな問題児予備軍をひとかたまりにしてしまうとどうなるでしょうか?答えは簡単だぞ!
女子(中身男子)用更衣室
「お前のことが好きだったんだよ!」
「やらないか」
「ふははははははは!見たまえ諸君、我が美貌を!これが我が自慢の妹ボディであるぞ!」
「よっ魔王様!今日もプリティでござる!」
「それでこそ我が王……私、感激」
「あーめっちゃシコりたい!チ○コ返せよ神様ぁ!」
「ボインボイーン!ボインボイーン!」
――なんだこれ地獄かね?
この世の終わりみたいな光景と、思っていた以上に同級生達の精神年齢が低かったという事実に、マコトは泣きそうになる。目の前では半裸で自らの姿に酔いしれるシスコンナルシストや、ガニ股でエアチ○コを擦る人妻に、下品な某歌を歌うグラビアアイドルなど、モザイクピー音待ったなしの地獄絵図が繰り広げられていた。
これを見ていると、今時の小学生の方が精神年齢高いんじゃないだろうかと思えてしまう。少なくともコイツらから知性を感じ取ることはできない。痴性は感じられるが。
「お、新たな同士の参上ですぞ!」
「一緒にすんな変態共」
兎に角早めに着替えてここを離れようと、部屋内の空いてそうなスペースを探していると、部屋の扉が開いた。マコトは、また変態が増えるのかと頭を抱えていたが、どうやら違うようだ。
「何この地獄……」
どうみても女子小学生にしか見えない彼改め彼女は、扉を開けるなり愕然としていた。
彼女の名前は|東雲慎二(しののめしんじ)。クラスは違うが、マコトとは中学時代からの知り合いである。
そんな彼は、近所の女子小学生になっていた。夜空の身体になったマコトよりも頭ひとつ分くらい小さい身長に、触り心地抜群の白い髪。黙っていれば美少女と言う他ない見た目だった。
ともかく、この混沌の場に現れた第二の常識人の存在は、マコトからすれば救世主の降臨に等しかった。このカオスな光景に意を唱えてくれる仲間の存在に歓喜したマコトは、思わず慎二を抱きしめようと手を伸ばす。
「良かった……同じ気持ちのやつ居たんだ。周りがこんなんだから、てっきり自分がおかしいのかと思ってな」
「流石に女子小学生に欲情したら終わりだよ……てか近い!抱きしめようとするな男同士だろうがっ⁉︎ 」
「あ、ごめん。初めてまともな奴に出会ったから嬉しくて……」
「気持ちはわかる」
慎二の一喝で我に帰ったマコトは、恥ずかしがりながら伸ばした手を引っ込め……ようとして、慎二の頭を撫でる。
「撫でるな!お前なんかおかしいぞ⁉︎ どうしたんだ一体……」
「馬鹿の相手に疲れたんだ……しばらくお前に丸投げしていいか?」
「勘弁してくれ!てか正気に戻れこの馬鹿っ!」
旧友の奇行への戸惑いとと小学生扱いされる恥ずかしさを込めた、慎二の一撃がマコトの顎に食い込む。アッパーカットが直撃したマコトは、頭から更衣室の床にぶっ倒れる。脱ぎ散らかされていた服のおかげで怪我をせずに済んだのは僥倖か。
ようやく正気に戻ったマコトは、顎をさすりながら起き上がり、自信を引き戻してくれた慎二に礼を言う。
「あやうくメス堕ちするところだった」
「今のをメス堕ちと呼ぶのはなんか違う気がする」
なんか2人の背後に背景に百合の花が咲いてるのは気のせいだと思いたい。いや薔薇だろうか?
そんな美しき友情のワンシーンをぶち壊さんとする勢いで、変態達が乱入してきた。
「素晴らしい!素晴らしいぞ2人とも!やはりお前達には美少女をやっていく才能がある!まあ我には及ばないがな!ははははははっ!」
「うるせえよ学人。お前入れ替わっても変わんないのな」
「当たり前だ!むしろ冴えている!なんせ愛しき妹になったのだから!最っ高だとも!」
先程から人一倍煩い声で喚いているのは、
元より常軌を逸したシスコンと厨二病っぷりを発揮しまくっていたのもあり、悪い意味で有名人となっていたが、最愛の妹の身体を手に入れて完全に天狗になっていた。でも人間不思議なモノで、美少女がいくら頓珍漢な行動をとっても、ある程度は許せてしまうのだ。これを一部の人は「美少女フィルター」と呼ぶらしい。
そんな彼女の太鼓持ちをやっているのは、
「むしろ何故この状況を楽しまぬ?せっかく入れ替わったんだ、楽しもうじゃないか!」
「喧しいわシスコン野朗!てかなんだ、オカルト研究部の奴がなんで揃いも揃って美少女になってんだ⁉︎ 理不尽すぎるだろ!」
「日頃の行いですね、ねえ影浦ちゃん」
「そうでござりまするぞ〜拙者まじ萌えるわ〜最高っすわ小野ちゃん」
マコトのツッコミもどこ吹く風、中二病トリオは開き直りっぱなしだった。
もうこいつらと話する時間が無駄に思えてくるレベルだ。
「身体の持ち主が可哀想だ……」
「いや我は妹の許可を得ているぞ?彼奴はナルシストでレズだからな、今の我ならバリバリ抱けると言ってたな」
「お前ら姉妹の性癖はどうでもいいわ!」
彼女の話が本当だとするならば、この兄(今は姉というべきか)にして妹ありというべきか……いや、考えるのはよそう。理解したくもない。
マコトは室内の全員をガン無視することに決め、体操服に着替える。
ブラウスのボタンをはずしていくと、黒い下着に包まれた膨らんだ胸が露になる。それは男にあるはずのないものと、男がつけるものではないものだった。トライアングル・シャッフルから2カ月がたち、自分のものとなった女体も(もちろん不可抗力で)結構な回数目にしたのだが、未だにこれは慣れない。おまけに、同じ境遇のものしかいないといえど、他人の前でこれをさらしているという点と、そもそもこの身体が長い付き合いである夜空のものであるという点が、余計にマコトを苦しませていた。
が、変態という生き物はやたらと感が良いそうで、お着換え中のマコトちゃんを目にするなり、一目散に数名の
「おお……夜空さん、結構なものをお持ちなようで……」
「ちょっとだけ!さきっちょだけ触らせてくれ!頼む!」
「いいよなあお前ら、若い身体でさ……俺なんか、デブのオバサンになっちまったんだぜ?笑えよ!」
「うわああああ来るな来るな気持ち悪いっ!お前らなんでそこまで欲望に忠実になれるんだよ⁉ 目を覚ましやがれこの馬鹿野郎共!」
「野郎じゃないもんね~」
「そうだよ(便乗)」
なんということでしょう。健全なマコトちゃんを自分たちの仲間に引きずり落とそうと、変態共が徒党を組んで彼女に接近してくるではありませんか。
マコトは半泣きになりながら、脱ぎかけのブラウスの胸元を隠しながら後退していく。彼女はこの時、セクハラや痴漢の被害者の気持ちが身に染みて分かってしまった。目の前の変態共が恐怖の化身にしか見えなかった。
唯一の常識人である慎二は、なんとかしてマコトを助けようとするも、女子小学生の小さな身体では、物理的に女子高生や成人女性の集団に対抗しようがないし、学人はマコトのピンチに目もくれず、自らの可愛さに酔いしれている。
マコトの貞操が万事休すだった。
誰か、助けてくれるものは居ないのかと、泣きながら彼女は祈る。
幼気な少女に、魔の手が迫る。
その寸前。
「おいお前らぁ!」
恐ろしいほどでかい怒鳴り声と共に、勢いよく更衣室の扉が開かれ、更衣室内が一瞬で静まり返る。
室内にいた全員が扉の方を見ると、そこには鬼の形相の体育教師(31歳独身女性)が立っていた。彼女はゴリラのように顔を歪めながら、少女達を怒鳴りつける。
「授業の開始時間はすでに過ぎてんのよ……女子は揃ってんだ、はよ来んかいオカマ共っ!」
「…………………」
「返事ぃっ!」
「「「「「「「「はいいいいっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 」」」」」」」」
女教師の気迫に押され、変態共はそう答えることしかできなかった。
危機から解放されたマコトは、涙目になりながらその場に崩れ落ちる。
阿保みたいな乱痴気騒ぎは、こうして幕を下ろした。
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運動場
「まじで怖かったよぉ……オレもうこんな生活嫌だよぉ……」
「それは怖かったね……よしよし、この夜空さまがついてるから安心しなよ」
運動場で女子生徒と合流した後も、マコトは泣きじゃくっていた。
最初女子たちは、泣きじゃくるマコトと頭にたんこぶ作っている変態連中という異様な光景に困惑していたが、事情を知るや否や態度が一変、被害者たるマコトに数多の同情が寄せられ、それと同時に変態共に軽蔑の眼差しがプレゼントされる結果となった。当然の結果だろう。
で、今。
マコトは夜空の胸の中で泣いていた。
「ほら落ち着いて、私たちはマコトの味方だから、ね?」
「うん……ありがとよぞらぁ……」
マコトは甘やかされるがまま、夜空の胸に顔をうずめる。マコトが真っ当な判断力を有しているならば、恥ずかしくて絶対にできないような行為だ。
あとなんか、恐怖のあまり精神まで女性化してるような気がするが、そのあたりは大丈夫なのだろうか?側から見るとだいぶ危ないように思えるが。
そこに、学人と慎二がやってくる。今日の授業はソフトボール。今は別のチーム同士が試合をしているので、夜空達は待機中なのだ。
「うむ……我もあれはやりすぎだと思うぞ。愛でるという行為には敬意がなくてはならん。それを忘れた彼奴らが裁かれたのは当然だよ」
「何ちゃっかり味方面してんだテメェ。お前ずっとシスコン発揮してただけだろ」
何故か味方面してもっともそうなことを言っている学人に、本当の意味で唯一マコトの味方だった慎二がツッコミを入れる。
夜空はマコトの頭を撫でながら、考えていた。
(不思議な光景だよね……自分で自分の身体を抱きしめながら頭を撫でてるなんて……そしてそれがマコトだなんて)
普通ならあり得ないような光景だが、トライアングル・シャッフルがそれを現実のモノにしてしまった。こうして自分の身体になったマコトを見ていると、なんとも言えない不思議な気分になってくるし、外からこうして元の自分の身体を見ていると、色々と新たな発見がある。
それは、「自分の顔って意外と短髪も似合うんだな」「思った以上に自分って他の女子より背が高かったんだな」といったような外見上の発見だったり「自分の顔ってこんな表情ができるんだな」「自分だったらこんな動きしないわ〜」といった、中身の違いからくる発見だったりと、色々とあるのだ。
夜空1人では気づけなかった、夜空の魅力というものを知ることができるという点においては、入れ替わりも良いんじゃないかと思わせてくれるのだ。
夜空を撫でて落ち着かせているうちに自分だけの世界に入り込み、そんな感じのことを考えていた夜空だったが、隣でソフトボールの試合に野次を飛ばす慎二と学人の声で、彼女は現実に引き戻される。
「あ、あいつまた三振かよ」
「やるな小野の奴……あの身体、相当運動神経が優れているのだろうな」
目の前で繰り広げられているソフトボールの試合を眺める。やはり半数近くが入れ替わっているのもあって、皆元の身体との差異に四苦八苦していて思うような試合展開になっていないようだ。
そして、両チーム納得のいかないまま、試合が終了する。
ぞろぞろと球場から帰還してくる同級生達の姿を目にした夜空は、マコトを立たせる。顔を上げたマコトは、泣き腫らしながらも、何処かキリッとしたような顔をしていた。
「大丈夫……だよね」
「あ、ああ……ありがとう夜空。だいぶ……落ち着いたかもしれない」
「まあ……兎に角身体動かそうよ。運動すりゃ気分もリフレッシュできて元気になるっしょ!」
「……だな」
いっぱい甘えて、いっぱい泣いた少女は立ち直り、幼馴染みと共に歩き出す。
その様子を後ろから見ていた慎二と学人はというと。
「……今更ながらアイツらのイチャつきっぷりパネェな」
「まるで我ら姉妹の如き、美しい絆だった……負けてられん!帰ったら我も妹とイチャラブするぞっ!」
「張り合うポイントじゃねえしお前みたいな変態と一緒にすんじゃねえよ!」
最後までこんな感じだった。
ちなみにだが。
後になってマコトちゃんは、夜空の胸の中で泣いていたことを思い出してモーレツに恥ずかしくなり、悶え苦しむことになるのだが……その話はもう少し先のことになるだろう。
本当は2話で終わるはずだったんだけどなぁ!
とりま次もマコトちゃん編になります。一応次でマコト編は一区切りつく形となり、別のキャラクターにスポットライトを当てる形になります。
それではまた来週。