ボクは今動く死体の前にいる。
物言わぬそいつは真っ赤な目でずっとボクを見つめている。
「ねぇ、君はなんていう名前なんだい?」
なんとなく声をかけてみる。
これが意思が存在するか確認するがなんの反応もない。
少し動いてみる。奴もまた剣を振り上げる。
なるほど、ボクの動きで様子を伺っているのか。
だったら....とボクは奴の体を切りつけるため距離を詰め、
奴もまたゆっくりと近づく。
ボクの攻撃できる間合いに入り体を切った。がやはり感触がない。
奴はそのまま振り下ろし切ろうとするのが見える。
ならばとそのまま突進し、狙いを逸らす。
肩が奴の腹に接する。
その瞬間当たるはずだった肩は腹に沈んでいき、背中まですり抜けた。
感触がどうにもドロドロとして少し水っぽい、そして泥臭い。
ボクの体も何かに当たることなく通り抜け、転んでしまう。
奴の追撃が来る前に身体をすぐ起こし奴との距離をかなり置く。
身体中泥まみれになって少し気持ち悪い。
だけどわかったこともある。こいつは泥で出来た人間だ。
鎧まで精巧に作られていてかなりの上手の術師だと感じた。
だがここまで丁寧に造られているのだからそれなりの魔力は必要であろう。
ある程度動かすための魔力は予め用意されているかもしれないが、
この大きさだ、精々一週間分くらいだろう。
そのあとだけど、直接魔力を注入しに来るわけないから
多分だけど地面から通して流しているんだろう。
ならば後は簡単だ、魔力切れを起こさせればいい。
まずは魔力源を断ち、その後再生が出来なくなるほど破壊すれば勝てるだろう。
大事そうなものはなるべく傷つけずその他を壊そう。
ボクは身体中を炎で纏わせる。
今まで羽織っていたものが燃え、灰となり消え、
炎の熱が直にきてとても暖かい。
「ボクってばやれば出来るこんなんだね。
さぁてやっちゃいますか。」
ボクはフレイの剣を手にとる。
握ると剣は光を放つ、ただ先程の光と違い眩く光らず燃えるように赤く光っていた。メラメラと炎は揺れ動いて、刀身が見えなくなっている。
ボクは燃える剣を構えあいつの前まで突撃する。
あいつもまた剣を構え、ボクが近くに来るまで待つ。
ボクはあいつの間合いの入る直前に飛び込み、頭部を狙い、
剣を薙ぎ払う。
奴は表情を変えることなくボクを叩き落とすように振り下ろす。
剣と剣をあたる瞬間、赤く燃えていたボクの剣が青く変色し、更に炎の範囲が大きくなった。
青く燃える剣は奴の剣を焼き尽くし交わった部分を破壊して、頭を切った。
まだ、まだダメだ。
奴を通り過ぎたところに着地したと同時に身を翻し奴の上半身を斬り飛ばし身体が空に飛ぶ。
飛んだ上半身をさらに追撃をし、細切れになる程斬り、
バラバラと身体は散って行った。
あとがき
あゝ、我らが偉大なる父よ。
何故、何故、如何して我らを残して死んでしまったのでしょう。
貴方が居なくってからは我らは、いや我はおーでぃんなる半端者に
排斥されてしまいました。
悲しき、悲しき事。
もし、もし願わくば、あの半端者に制裁を下さるのなら。
あゝ、我らの願いよ。どうか叶えてください。
我が偉大なる父よ...