アウトサイダーズ   作:嫉妬憤怒強欲

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太古の怪物

 はるか昔の原始の時代。

 一国一城というシステムはまだなく、一族単位の蛮族や凶暴な魔獣達が跋扈する世界はある時暗闇に覆われた。

 

 止むことを知らない火の山の噴火で空も大地も暗黒に染まった黒の大地から、この世のものとは思えないほどおぞましい醜い魔物と悪霊たちを統べる怪物が侵攻を始め、世界の支配を目論んだ。

 

 世界の誕生の時から存在し、多くの名を持つその怪物は狡智に長け、残酷な力を持ち、手に触れるものすべてを醜く作り変え、支配するものをねじまげ、力と権力への渇望が強い人間の部族の長達を堕落させ、抵抗もむなしく次々に人の住む土地が怪物の支配下に置かれていった。

 

 

 

 だが人々から希望の光が消えうせかけた時、双子の天使を連れた異界の魔法使いの登場ですべてが変わった。

 

 

 

 人間側に加勢した魔法使いと天使たちの持つ奇跡とも呼べるその力は並の人間ではまるで歯が立たなかった魔物や悪霊達を退けていき、その光景に人々は希望を見出した。

 

 

 

 魔法使いの力と人間の団結で魔物達を押し返し、決戦は怪物の住処である黒の大地へ。

 

 

 

 そしてとうとう怪物は倒され、世界に平和が訪れた。

 

 

♢♦♢

 

 

「だけど、魔法使い達の力でもその怪物であるアナタをを完全に滅ぼすことはできなかったわけだ」

「びっくり!びっくり!」

 

 薄明りに灯された大広間。影の中で異形の魔物たちが蠢くその中央で、小さな使い魔を脇に控えた道化が一人。

 彼らの視線の先、広間の奥には帳が降ろされ、うっすらとした人影があった。

 

『あれから長い時が流れた』

 

 帳の向こうから人影は言葉を発した。それだけで陰に潜む魔物達が畏怖して体をこわばらせている中、道化だけは堂々としていた。

 

『奴の持つ奇跡の業を以てしても不滅の魂を持つ我を滅ぼすことができなかった。だから二度と手が出せないよう、次元と次元の狭間に封じ込むしかなかったのだ』

「もっとも、貴方様を追放した当の本人は発狂して周囲の信頼を裏切って天使の片割れに見限られた挙句、どこぞの馬の骨に引導を渡されたわけですけどね」

『ああ、狭間から様子を覗いていたが、あれは実に愉快だった。人間どもに希望を与えた救世主がいとも簡単に堕落し、今まで築き上げたものを自ら滅びへと招いたのは。しかも肉体を失った後も現世にしぶとく留まって同じ過ちを繰り返そうとしているようだ』

「ははは、本当に貴方と刺し違えたとは思えないぐらいの堕落ぶりだ。どれだけ強い力を持っていても、例え強力な天使を従えたとしても彼は弱い人間だったというわけですな」

『だがその堕落が狂気を生み、かの国を築き上げた。我以外の誰にも気づかれることなく、深く静かにことを運ばせている。大したものだ』

 

 人影はただ喋っているだけだ。

 しかし彼から発する異様な威圧感により、一言一言がまるで魔法のような強制力を有していた。

 

「それを言うなら貴方も準備されていたようで?」

『ふっ、気づいていたか』

「こうやって次元の狭間からお声をかけている合間にも、生き残った貴方の配下は以前とは引けを取らない強力な軍団の再建を着々と進めているご様子。自身が魔法使いに幽閉されるのを見越して事前に命じていたようですね」

『策というものはいくつも講じておくものだ。撒いておいた種は長い年月で既に成長を遂げている』

「ふふ、恐ろしい御方だ。ところで、新たな軍団の名前はなんとされるのですか?」 

『それはまだ考えていない…………ふむ、せっかくだからお前が考えてみるといい』

「ボクが、でしょうか?」

『他に誰がいる?』

「……やれやれ、お戯れが過ぎますよ」

「すごいプレッシャー!」

 

 道化は顎に手を添えて思考にふける。

 そして数秒経って口を開いた。

 

「魔法使いがかの国の内側で籠っている中、新たな軍団は外側で力を強めていく。そして軍団の幹部たちは曲者であるが故に爪弾きにされた者達で構成されている…………いわゆるアウトサイダーズというものですな」

 

『ほう………皮肉も込めた言い回しだが悪くない』

 

 外側から話しかける怪物はその場にいる魔物達に命じる。

 

『この世の生きとし生きる全ての者に知らしめてやれ!我らを爪弾きにし存在を忘れ去った者たちに、例えどれだけ数多くの兵士を持っていようと、例え知略に長けた者が策を講じようとも、我らにはなんの意味もないということを。今はまだその前の準備段階にしか過ぎないが、将来、来るべき時のために動け。この冥王こそが最も偉大な王であるということを知らしめるためにだ!』

 

 怪物からの覇気に満ち満ちた声が、広間のどこにいようが聞こえるほどの気迫を持って広がる。

 

 音を立て、一斉に広間に集った魔物達が頭を垂れる。恐怖と共に崇拝とも称すべき崇高なものがそこにはあった――。





冥王(Dark Lord)
イメージCV:土師孝也
ちょっと思いついたオリジナルのボス。

正気を失う前の異世界人(原作必読)に次元追放された魔物達の長。
次元の狭間で身動きが取れない状態でも副官に指示を飛ばし、いつか帰還する瞬間を虎視眈々と狙っている。

参考にしたキャラクター:大魔王バーン(ダイの大冒険)、冥王サウロン(ロードオブザリング)

道化師
イメージCV:飛田展男
喋る使い魔を従える道化。
魔物達が冥王に怯える中堂々としていた。新たな軍団の名前を立ち位置と冥王のいる場所から皮肉を込めて『アウトサイダーズ』と呼称。
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