Don't Think. Feel ~史上最強の赤龍帝~ 作:70-90
兵藤一誠が赤龍帝として覚醒したのは、出産して間もない頃のことである。
彼は極普通の家庭で生を受けた。勿論、人間としてであり、まだ天使、堕天使、そして悪魔の存在を知らない。何不自由もなく、健全な身体で生まれた一誠。勿論、彼は兵藤一家初めての子供、両親に大層喜ばれては、箱入り息子と言わんばかりに大事に育てられていた。
生まれてから数カ月後。母が退院してから育児に励んでいた時のことである。
「パパァァッ!! 大変よ大変!! 一誠が…!! 一誠が兜を被ってるわよぉぉっ!!」
「何だってぇっ!?」
購入してきたおしゃぶりを咥えさせようと部屋に来た母。しかし目の前の光景に呆然としまった。無意識におしゃぶりが手から滑り落ちて、床に着地する。咄嗟に1階に駆け下りて父を呼び出した。まさか兜をかぶっただけで大袈裟なと思われるだろうが、両親には非日常すぎる出来事にしか変わらない。初めての子供なので、どんなことでも心配性になりがちなのである。2人して太鼓を叩くように階段を駆け上り、一誠が泣く部屋に駆けつけた。
「誰なんだ!? 誰がこんなことを!? まさか、この歳で武者修行なのかぁっ!?」
ドアを開けた父は驚きのあまり、支離滅裂な言葉を放った。
まさに青天の霹靂。仕切りのかかった乳児用のベッドの上で、一誠は顔だけ“禁手”した状態で目が腫れるほどに泣いていた。
オギャーオギャーと大声で叫びながら泣いていた。3つの筋から涙を流していた。あまりにも異常にも程がある光景であった。
『まさかな…。赤子だったお前が、顔だけ“禁手”を発動するとは…。俺は長年、様々な赤龍帝に関わってきたが、お前のような者は初めてだ。流石に驚いた』
『だろうな…、てか持ち出すのやめてくれ…。母さんにネタにされるのが余程恥ずかしいんだわ…。しかも、写真撮っては母さん、待受画面にしてるし…。…なんで2人とも嬉しそうなんだよ!? 少しは怖がれよ! てか誰に撮ってもらったんだよ!?』
ドライグが回想していた時、一誠はふと見かけた母の携帯の待受を見て言葉を失っていた。
とある写真が残されている。満足気に笑う両親は、間に赤子の一誠を挟んで抱きかかえている。普通の赤子ならば可愛いとされるが、これの場合はどうなんだ、“兜”をかぶったまま撮っているではないか。それよりも写っているのが家族3人、この時撮った人は流石に不信感を覚えたに違いない。いや、もしくは何かに出てきたヒーローの玩具なのだろうと気に留めなかったのかもしれない。
ただ、両親はめでたいものだと然程気にしなかったらしい。本当に恐るべき存在は、むしろこの2人なのかもしれない。
***
翌朝。一誠は相変わらず登校し着席する。まるで昨晩のことなどなかったかのように、ごく普通に振舞っている。鞄から小説を取り出して読もうとする。しかし、向こうには既に到着していた松田と元浜。待ち伏せしていたかのように、一誠を見つけると咄嗟に駆けつけてきた。
「おい、一誠。お前夕麻ちゃんとどうなったんだよ?」
「ああ? …見事にフラれたさ」
一誠は、一度視線を逸らして答えた。その返答を聞くと、松田と元浜は呆然とした表情を見せ、一度顔を見合わせた。彼らからしては予想外の展開だったようだ。
「…マジで?」
「一誠のお前が?」
この事実を目の当たりにし、まともに言葉が出なかった。「何の俺だよ?」と突っ込みを入れるも、2人は首を傾げては、原因を探り始める。リア充を憎む彼らだが、内心親友の一誠に対しては、何らかの歓迎を試みるつもりだったのだろう。
「いやだってさ、お前ならいけたと思うんだぜ? なぁ?」
「そうだよ。でもなんで急にフッちまったんだろな?」
この前のように、嫉妬が溢れきったような口調ではない。今の2人の様子は、普段話す時と同じようなものである。
「さあな…。俺が何かに引っかかったんじゃないか?」
だが、実際自分のことを心配してくれていると思うと、安心してたまらない。結局は、2人とも一誠の親友にしか変わらないのだ。
「ってことは…。後は俺のもとに夕麻ちゃんがコクってくりゃな!!」
ここで松田が堂々と宣言する。自分が2番手と名乗りを上げるも、すぐに元浜に反論された。
「ちげぇーよ松田! 俺のほうが先だってばよ!!」
「おめぇは小猫ちゃん一筋じゃねぇのかよ!?」
早速、松田と元浜は歓喜に満ち溢れ、そして『次の遊び相手は誰か』で揉めている。取り残される危機を脱したことで、多大な安堵感を覚えていた。
だが、一誠には日常茶飯事でしかないと割り切られている。女絡みになるといつもこうなる。女に飢えるあまり、“非リア充”を抜け出すのが怖くなってしまったのだろうか? それとも、一生自覚できないまま独身で孤独死するつもりなのだろうか?
「あんたたちねぇ、同情のカケラもないってわけ!?」
「そうよ! 一誠くんはね、これでも傷心しきってるのよ!?」
ここで見かねたのか、世間話をしていたはずの村山と片瀬が横入りをしてくる。
―いや、別に俺はそこまで小心者じゃねぇぞ?
『それにしても、慈悲深い人達だな』と思うことが多い。この2人は常習犯だというのに、よく退学処分を喰らわずに、のほほんとこの場に居られるのが不思議でたまらない。一誠には別に気にしたことではないが。
案の定、馬鹿2人はすぐに立ち上がって約束事に喧嘩を売り込む。
「うるせぇぇ! 今一誠と話してんだ! お前らから誘惑してくんじゃねぇ!」
「そうだそうだ!! おめぇら女子全員脳内で犯したるぞ!? てか片瀬、ボソッと『よかった…、一誠くんの隣の一席空いた…』って呟いてんじゃねぇよ!! なんだよ!? 夕麻ちゃんから略奪する気マンマンじゃねぇか!!」
順に松田、元浜が過激な要素を組み込んでは反論を仕掛けてきた。
また、松田は先程、片瀬が一瞬の下心を漏らしたことを聞き逃さなかった。この場では発揮されなかったが、元浜も眼鏡越しで女子達の容姿を一見しただけでスリーサイズを測定することができるという。
即ち、松田は地獄耳、元浜は千里眼を手に入れていた。いずれも性欲が常に豊かでないと発動できない――まさに無駄な能力である。
「はぁっ!? 言ってないわよそんなこと! ただ、都合良くなったかな…、って思って…」
片瀬は咄嗟に否定した。しかし、徐々に頬を赤く染めて恥じらいを見せ、声が小さくなっていく。完全に黒だと、松田と元浜はこの時確信した。
「ほれ見ろ思ってんだろうが!」
「違うわよ!」
元浜の一言で更に過熱する。片瀬本人には、『つい口が滑ってしまった』と焦りが生じている。しかし、頬を真っ赤にしてまでも村山とともに反論し始める。結局のところ、『言ってる』、『言ってない』のイタチごっこが、決着がつくことなく続いてしまっている。
しかし、一誠には耳障りでしか思っていない。
「お前ら」
絶対零度を越えるほどに低くなった声を、誰もが聞き取った。それは、4人が騒いでも十分に聞き取れるほどである。思わず4人の口から言葉が止まる。一誠が“レッドペッパー”覚醒手前の状態にあることを悟った4人、思わず冷や汗をかく。恐る恐る、顔を動かしては一誠の表情を
「騒ぐんならあっちでやりな」
笑顔で注意をする一誠。「はい…」と重なって1つ返事をした4人。そこで少しの間が空く。大人しくなった4人はゆっくりと歩き始め、教室を後にしていく。しかし、教室の外に出た途端、爆発せんばかりに茶番が再開した。この時にびびって書類を落としてしまった草食系の男子には『気の毒だね』としか声を掛けることができない。
「ったくよぉ…。あんたの親友って相変わらずろくなもんじゃねぇよな」
「纏さんか」
制服の上にスカジャンを羽織り、女子には相応しくない乱暴な口調で話しかけ、空いている前の席に座った。最初に痺れを切らしたような声を掛けたのは彼女であった。
纏流子――黒いショートカットで前髪に1本の赤いメッシュがかかっているのが特徴の女子である。しかし、ここにいる女子とは違って姉御肌であり、男勝りの性格である。生まれてすぐに親に先立たれ、養護施設で育った―しかもそこの大人達からは愛情というものを受けてこなかった―ために、中学の頃まではいつも喧嘩してはぐれていた。一誠は彼女とは小学校以来の知り合いであり、よく喧嘩していた―一誠の圧勝だったが―が、仲良くなってからは一誠とゲームをしたり、家に遊びに来たりするようになっていた。
ちなみに、中学2年までは天涯孤独の身とされてきたが、肉親に当たる姉の所在が判明した。その間については一誠には知る由もなく、色々と問答があったそうだが一緒に住むようになったからには仲は良好らしい。今では駒王学園近くのマンションで一人暮らしをしており、姉から仕送りをして貰っている。
「で、一途にこだわった兵藤がついに女と遊んだと…」
「別にただ遊んだってわけじゃないけどな」
皮肉を込めた一言を放つ流子に対し、素っ気なく応える一誠。
「それで、天野ってやつはどうだったんだ…?」
「おいおい、話を進めんなって。なんだよ急に」
「いいから答えろよ」と、それでも無理に話を進めてくる。『纏さんってこんなに心配性な奴だっけ?』と、一誠はふと思う。一誠が抱くイメージは、当初は短気で乱暴だが、実際は根本が優しいということだけである。流子はじっと一誠を見つめている。真剣な眼差しで話すように強制している。心を許したのか、一誠は一言喋った。
「最悪だったわ」
「…へっ?」
流子の口から調子が高い声が漏れた。
「まさかのヤンデレだったし、俺的に松田と元浜と同格だったし。しかも一方的にフラれたし」
「はぁっ!?」
思わず流子は立ち上がった。クラスメイトが思わず流子に向いては、怪訝そうな視線を送っている。ただ、彼女のその表情は驚いているのか、それとも怒っているのか。いや、一誠は両方に見えた。
「なんだよそれ!? あのバカ2人に匹敵するアマなんか聞いたことねぇぞ!?」
「おいおい、アマとか言うな。あと落ち着け」
パコッと小説の背表紙で流子の頭を叩く。頭を擦っては納得の行かない表情を浮かべたまま、流子は座る。喧嘩三昧に明け暮れることはなくなったが、頭に血が上りやすい性格は相変わらずである。
ただ、あの清楚な美少女が、松田と元浜の2人と同格とカテゴライズされたことは意外だったのかもしれない。だが、外であれほどの露出度の高い衣装を着てはそう思うしかない。彼女の悪口など以ての外だろうが、その事実で何故か納得してしまう。
「で、なんかされかけたのか?」
「そこまで聞くか普通? いや、俺が持ちだしたんだな…。俺は何も酷いことされてないから」
どういうことか我が身を心配する流子。幼馴染の自分としては不思議には思ったものの、微かに微笑んで一誠は答えた。
「…ホントか?」
それでも納得がいかなさそうに、じっと一誠を見つめる。だが、何やら堪える心情を潜めているようだった。
「急にどうしたか知らないけど、別に心配することなんかないって」
「私はただ、兵藤のことを思ってな…」
言葉を続けようとするも、割り込む形でホームルームの始まりを知らせるチャイムが鳴った。流子の顔が俯き、目元が前髪で隠れる。
「わりい…、なんでもない。今のは気にしないでくれ」
「おい…」
一誠が呼び止めるも、流子はそそくさと歩いて自分の席に座った。そんな彼女を一誠は不思議に思ったが、先生の一言でホームルームに意識を集中させた。
***
「『俺は雲のように自由気ままに生きる』、か…。かっこいいなぁ…。俺もいつかこんな風に言ってみたいなぁ…」
いつもどおりの昼食の後、一誠は息抜きとして漫画を読んでいた。そして気に入った台詞を読めば、天を仰いで健やかに感傷する。
既に30年ほど前に出版されたものだが、一誠はそれを読んでは影響を受けていた。例えばこの男の台詞は、単なるものではない。流れのままに生きる雲になるという一心で湧き出たものである。ドライグ曰く、赤龍帝の宿命というのは過酷なものだそうだが、一誠は然程気にしてはいなかった。もしかしたら、無意識に雲になりたかったのかもしれない。
しかし、世間は残酷だ。そううまくは行かないようだ。
「兵藤一誠君だね?」
横槍を入れられた。一誠はやや不機嫌そうな表情で声の元を見る。それに対して、祐斗は苦笑を浮かべる。
「そんなに怖い顔しなくても…」
「話がいい佳境に入ってきたんだ。邪魔されりゃムカつくわ」
「それはごめん」と、苦笑したまま謝った。
一誠の元に来たのは、ブロンド色の髪の美少年。“学園一のイケメン”の木場祐斗である。爽やかな笑顔が似合う男子であり、女子からは黄色い声援を、男子―特に非リア充―からは冷たい
「それで、学園一のイケメンが俺に何の用だ?」
「ちょっと君に頼み事があってね。放課後、旧校舎に来てくれないかな? 僕の所属するオカルト研究部に案内するよ」
一誠は一度顔を顰めた。
「それは勧誘――にしては都合が良すぎるように思えるけど」
「そうだね。僕は部長に頼まれて来たんだ。君について何か知りたいということしかわからないんだ」
オカルト研究部。一誠はその部活の存在を初めて聞いた。そのため、一旦自分の脳裏で整理をしてみる。しかし、その部活については何の記憶もなかった。だが、祐斗の台詞を聞いてすぐに自分の置かれている状況を理解した。『こいつはあの野郎の回し者だ』と。ならば、この祐斗も悪魔だということになるが、既に一誠は承知していた。
思わず、リアスを『あの野郎』と呼びそうになったがうまく飲み込む。だが、どうしても一誠について粘着質になっていることは確かだ。何かしら話を付けないと、厄介なことになるだろう。行くのも面倒、後先起こるのも面倒…。結局のところ、行き先は同じである。
「了解したわ。今日の放課後よろしくな」
「わかった。部長にもそのこと伝えておくから。放課後、君のクラスに迎えに来るよ」
仕方なしと、一誠は苦笑して了承の意を見せる。
「ああ。それと木場さん、女子の前でその台詞はなしな」
祐斗は首を傾げた。天然ではないのかと、一誠の脳裏によぎったのだった。
***
「迎えに来たよ、兵藤君」
「だからやめろっつーただろうがお前…。あの女子を見てみろ」
呆れ顔で祐斗に突っ込みを入れた一誠。
ホームルームの直後、祐斗が教室の入り口で待機していた。勿論、女子は突然の登場に歓喜し、男子も舌打ちしては黒いオーラを醸し出している。
「ふぁぁあああ…」
「一誠きゅんと木場きゅんのカップリング…! 妄想するだけでも天国に行きそう…!」
「お前らおかしいだろ!?」
祐斗の台詞―ただ女子が誇大妄想しているだけだが―を聞いて、腐女子達は悶絶しては鼻血を流して倒れかけていた。また、目の輝きが尋常ではない。
一方でその場に居合わせた流子は、ある程度の知識を持ち合わせていたために大きく引いていた。しかし、祐斗は戸惑いを見せるものの不思議にしか思っていなかった。
「ど…、どうしたのみんな?」
「お前の言い回しのせいだ」
呆れた表情で指摘する一誠だが、天然なのか今でも自覚していない様子で首を傾げた。ちなみに、この仕草に見惚れる女子は僅かにいるそうだ。
「首かしげんなよ」
「よくわからないけど、とりあえず案内するよ」
祐斗は一度動揺するも、結局は何も気にせずに歩き出した。「おい」と突っ込みを仕掛けるも無視され、一誠は駆け足で追い始めた。しかし、すぐに携帯が鳴り出したため、立ち止まっては画面を見た。一誠の母からである。
「もしもし、母さん?」
『ごめんね一誠。今気づいたんだけど卵きらしてて、帰り道にスーパーに寄って買ってきてくれない? あっ、ちょうどタイムサービスの日だわ…』
この時、一誠は「しめた」と言わんばかりに笑みを浮かべる。
「わかった。じゃあ今から寄り道してくるから」
「えっ?」
一誠はすぐに是と答えた。
どうしてこの時だけ敏感なのだろうか。『今から寄り道してくる』という台詞を聞いて、祐斗はすぐに振り向いた。この時の祐斗の表情は笑顔ではなく、呆然としていた。ちなみに『初めて見たけどカワイイ…!』と悶絶した女子が多出したのは言うまでもない。
「ということでわりいな木場さん。避けられない用事ができたわ」
申し訳ないという仕草を見せて、祐斗を動揺させた。
「ええっ!? こっちの用事は!?」
「そっちの部長には適当に言っといてくれ。じゃあな!」
祐斗は何も言うこともできず、ただただ帰っていく一誠を見届けるだけであった。
そもそも、これは任意で動いているものだ。あまりあの部活に深く関わったって碌な事が起きないんじゃないのか?これが、休み時間に考えついた一誠の結論である。どうやって抜けだそうかと考えていたが、この時かけてきた母には一誠は感謝していた。
「ははは…、困ったなぁ…」
流石の祐斗も苦笑しかできなかった。
「えーっ…。一誠くん帰っちゃったね…」
「まぁ、一誠くんは親思いの面でも有名だしね…」
一方で腐女子達は落胆の声が上がっていた。
「でも、まだあたし達のお楽しみはこれからよ!」
「そうよ! 2人のストーリーはこれからよ!」
「いや、ワケわかんねぇよ!?」
しかし、それでも立ち上がる。またいつか機会があるかもしれぬと、美少年の絡みに対して貪欲さを見せる。
彼女達に何故か巻き込まれる流子であった。どうして、男子同士の触れ合いにここまで過剰になるのだろうか。流子にはやはり理解し難い事実に変わりない。
「流子さんにも、いつかは染み入るほど納得してもらえると信じているわ! 絶対!」
「いや、私は絶対納得しねぇよ!? つーか勝手に信じるな!!」
結局、流子は未来永劫、理解することはないだろう。
***
「…で彼を逃したってわけね」
ソファに腰掛けるリアスは、祐斗を叱っていた。
「すいません…。ですけど、兵藤君の気持ちはわからなくはないと思いますけどね…」
「言い訳は結構よ」
祐斗の弁明をすぐに一蹴した。「はい…」とリアスに向かい合って、祐斗は頭を下げる。
「ただ、彼の気ままさは恐ろしいほど強力よ。私も一度巻き込まれたからわかるの…」
一度叱咤はしたものの、後にフォローを与えた。昨晩のことを思い出しては、頭が痛くなるばかりである。
ここはオカルト研究部が管理している旧校舎である。内観、外観のいずれも中世のヨーロッパを思わせる。旧校舎というわけだから開校当時はここを校舎として使われていたが、数年前に新校舎が新設されてからは同部に授与された。
“オカルト研究部”なので、様々な超常現象を取り扱っては独自に検証するというのが、一般的なイメージであろう。しかし、それは建前でしか成り立たず、実際は部長であるリアスを中心として悪魔が管轄している。主な部員は部長のリアス・グレモリー、副部長の姫島朱乃、そして部員の木場祐斗と塔城小猫の4人である。
「それで一誠くんの件はどうしますの、部長?」
貴婦人を思わせる口調で、朱乃が話しかける。
「その質問は愚問よ、朱乃。祐斗、明日、もう一度一誠君を呼んできてちょうだい。あと、小猫もよろしく頼むわね」
「…了解です」
小猫は羊羹を食べながら返事をした。
ところで、赤龍帝の存在は、悪魔側には重大な出来事だ。一誠の持つ神器“赤龍帝の籠手”は
―一誠君、私達は貴方が必要よ。神器の宿命を背負う、貴方のためでもあるの。
リアスは一口、紅茶を啜っては彼の身を案じた。
はい。ということで『キルラキル』から纏流子の登場です!
ということで、これからの事件にも関わっていくことになるのでお楽しみに!
あと、あの人も出るかも…。