死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。   作:鬼獣八紅

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 環視点です。


オウル

 

「何で!来た時は何も感じなかったのに!」

 

 私は魔法が発現した時からある程度生命体の位置がわかるようになった。来た時には確かに反応はなかったのに!

 そんなことはお構い無しに、いきなり現れた怪人は問答無用で攻撃してくる。

 

「っ!身体守護(ボディガード)!」

 

 私はとっさに防御魔法…身体守護(ボディガード)を発動させ攻撃を防ぐ。

 しかし、ダメージこそ受けなかったが衝撃は打ち消せずに後ろの木々をへし折りながら飛び、七本くらい木々をへし折って止まった。

 

「痛ったー!いきなりなんなの?!」

 

 身体守護(ボディガード)は昆虫の外骨格みたいに体の表面を固くする防御魔法だ。しかし、言ってしまえばただ固くなるだけなので痛みまでは無効化出来ない。

 まあ、とっさに発動出来ただけ良かったけど。

 私は改めて怪人を見る。

 見た目は私と似て緑髪に長髪の女性だが、下半身が異形だ。赤い大きな花の中央から女性の上半身が生えていた。肌が黄緑なのも人外じみている。

 まるで異世界小説に出てくるモンスターのアルラウネみたいだ。

 さっきの攻撃は、下半身の花から伸びた蔦を鞭の様に使ったようだ。

 そしていきなりこの怪人が出てきた理由は恐らく…

 

「不法投棄怪人か!」

 

 不法投棄怪人、それは数十年からある問題だ。

 悪の組織は魔法少女を倒すために日夜怪人を作る。しかし、その過程でもちろん失敗作もでる。実際、昨日兄さんが取ってきた資料に載っていた怪人はどこかしら欠点の有る失敗作とされていたのが半分近くあった。

 ちなみに、キャットガールは肉体的にはとても良く出来ていたらしいが、精神が戦いに向かないとかで失敗作とされていた。

 そうして作り出された失敗作を、悪の組織は山奥などに捨てているのだ。

 不法投棄怪人は時折何らかの理由で再起動して暴走するため、国が動くレベルで問題視されている。

 不法投棄された怪人は、人間でいう仮死状態のため周りにある植物が邪魔して私の探知に反応しなかったのか!

 

「めんどくさい所に不法投棄しやがって!」

 

 この裏山は私達が住んでる家から近いところにあるので、被害が来たらたまったものではない。

 しかし、相手は植物型の怪人なので私と相性がいい。何より、ここでこいつを仲間にできれば今後私のサポーターとして使える。

 

「絶対に仲間にする」

 

 そうして私が立て直している間にも怪人は何処かに移動している。

 あの方向は…まさか、市街地に向かってる!

 

植物操作(リーフコントローラー)!」

 

 私は蔦を操作して怪人の動きを止める。

 しかし、怪人のパワーが予想以上にあり全く止まる気配がない。

 

「っ、止まらない…てうゎ!」

 

 怪人は反撃とばかりに私の足に蔦を巻き付けて投げ飛ばした。

 飛ばされた方向にあるのは市街地。このままでは建物に衝突する。 

 しかも、私には空中に滞空できる魔法もなく植物操作(リーフコントローラー)で植物を伸ばしても強度が足りないしそもそも間に合わない。

 ならば…。

 

「今ここで魔法を作るしかない!」

 

 身体守護(ボディガード)でも着地できなくはないが、それだと建物を貫通してしまう。

 

「操作対象は街路樹…葉っぱを大きく…反発力を…イメージしろ…」

 

 どんどん衝突までの時間が迫ってくる。

 

「イメージ完了!植物反発(リーフバウンド)!」 

 

 瞬間、街路樹の葉っぱが巨大化して私を大きく撓りながら受け止める。

 植物反発(リーフバウンド)は植物の葉の弾性力とサイズを大きくし、トランポリンの様にする魔法だ。とっさに作ったが成功して良かった。

 このままだと反発で飛んで行ってしまうので植物操作(リーフコントローラー)で街路樹を固定する。

 

「さて、怪人はどこに…「キャー!」あっちか!」 

 

 急いで悲鳴が聞こえた方え向かうと、怪人が一般人を補食しようとしていた。

 

「やっば!植物盾(リーフシールド)!」

 

 急いで一般人を拘束していた蔦を魔法で切断する。

 植物盾(リーフシールド)は本来薄い膜を張って防御するための魔法だが、今みたいに何かを切断させることもできる。

 

「なんだなんだ!」 

「魔法少女の戦闘が?!」

 

 ち、野次馬が今の悲鳴で集まってきた。これじゃああの怪人を仲間に出来ない。何より邪魔!

 そうしている間にも怪人は野次馬に攻撃をしている。

 

植物盾(リーフシールド)植物盾(リーフシールド)植物盾(リーフシールド)!」

「魔法少女頑張れ!」

「魔法少女負けるな!」

 

 そう思ってるなら離れろよと思うが、なんとか声に出さずに我慢する。

 これだから野次馬は、危機管理能力が欠けてんのか!

 

「食事ノ邪魔ヲスルナー!」

 

 ついに怪人がしびれを切らしたのか、何か叫んできた。

 というか食事?こいつ腹減ってるだけか?

 私としてはとっとと森に戻して仲間にしたいのに…。

 いや待て、あいつ腹減ってるんだよな。なら、少し荒くなるがすぐに森に戻せる!

 

果実工場(フルーツファクトリー)

 

 私は持っていたアサガオの種を成長させる。

 すると、成長したアサガオは花の代わりに林檎やミカンといった果実をつける。

 

「食イ物ー!」

「よし食いついた!」

 

 果実工場(フルーツファクトリー)は、もともと家計の事情が危なくなりそうなので作った魔法だ。

 両親がいないので働き手がなく、今までは遺産を切り崩して食料を買っていたが、二人増えて四人になったのでこれは不味いと作ったが、まさかこんな形で役立つとは。

 

「こっちだ!」

「待テー食イ物ー!」

 

 そうして怪人を誘導する。向かう先は先ほど着地した場所だ。

 私の魔法は解除しようとしない限り、発動した状態で固定されている。なので今は着地した時に曲がった状態になっている。

 

「よしよしもうちょっと」

 

 そうして着地した場所に着いたら植物反発(リーフバウンド)の上に怪人が来るのを待つ。

 

「待テー!」

 

 もう少し…今だ!

 

植物操作(リーフコントローラー)解除!」

「ウガ!?」

 

 怪人が乗っかっていた街路樹勢い良く戻り、怪人を森の方向へ飛ばす。

 これで一目につかずに仲間に出来る。

 

「これでヨシッと。」

「君名前なんていうの?初めて見る魔法少女だけど?」

 

 げ、野次馬の存在忘れてた。

 本名は言いたくないし…

 

「オウル、オウルです!今日から魔法少女始めました!それじゃ急いでるので!」

「あ、ちょっと!」

 

 とっさに考えたけど案外いいな。梟は森の賢者とも呼ばれてたはずだし、私の魔法が植物関係だからぴったりだ。

 

 後に『生命の賢者』と呼ばれる魔法少女オウルの名が、初めて世にでた瞬間であった。

 

 

  ◇◇◇

 

 

「居た居たやっと見つけたよ」

 

 ぶっ飛ばした怪人を見つけるのに結構時間がかかってしまった。

 怪人は弱りきっているが、死んではなさそうだ。

 

「腹…減ッタ…」

「まだ腹減ってるのかよ…果実工場(フルーツファクトリー)、これでもいい?」

「アリガトウ…」

 

 まだ腹が減ってるらしいので果実工場(フルーツファクトリー)で果実を作り出して与える。 

 それにしても美味しそうに食べるな。

 

「私も腹減ったし少し食べるか」

 

 30分後…

 

「…ねえまだ食べるの?こっちの体力もうなくなってきたんだけど?」

「もう大丈夫!ありがとう!」

 

 いや~まさか30分ぶっ通しで食べ続けるとは。

 けどそのお陰か言葉使いも良くなったし落ち着いたみたい。

 

「さっきはいきなり攻撃してごめんね」

「私こそごめんね。それで、少し相談なんだけど私達の仲間にならない?」

 

 本題はこれだ。まあ直ぐ仲間になるとは思わないが…

 

「いいよ!」

 

 いいのかよ…。

 

「ただし、毎日今くらいの量のご飯をくれるならね」

「それくらいならいいよ。それじゃ、これで私達の仲間だね!改めて、私の名前は黒榊環。名前はなんていうの?」

「ないよ!」

 

 ないのか…そうだな…。

 

「アル、アルなんてどう?」

 

 アルラウネから取ってアル。安直だけどなかなかいいと思う。

 

「アル!私の名前はアル!」

 

 相手も喜んでるしいいか。

 

「それじゃあ帰ろうか」

「うん!」

 

 するとアルは体を小さくして頭に乗ってきた。

 

「そんなことできたの?」

「うん!これでずっと一緒に居られるね!」

 

 何か妹が出来たみたいだな。

 ともあれ、これでまた一人仲間に出来た。

 それと不法投棄された理由って大食漢だからじゃないよね?

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