死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。   作:鬼獣八紅

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 前半オウル称視点、後半各々の視点です。


閑話 スイーツバイキング

 

 兄さんが魔法少女と戦闘し、私が海底神殿調査を行った翌週の土曜日。都内ショッピングモールにて。

 

「久々の休日だ~!」

 

 少し草臥れた女性(スカイ)の声が響く。

 本日、聖魔連合の女子メンバー計16名はこのショッピングモールで新規開店するスイーツバイキングに来ていた。なおこの16名には八世姉妹やセレネも含まれている。

 これは先週、スカイが休日出勤させられた対価として白夜に提示していたものだ。

 なお、セレネはロボットだが普通に飲食可能らしい。

 

「しかしまぁ、よく全員の予定あったね」

「明日会議なのもありますし、そういった意味ではちょうどよかったのでは? それにレイヴンさん達も船釣りに行くみたいですし」

 

 私のつぶやきに民守さんが返答する。

 本来は海底神殿調査の報告などを行う会議はその日のうちに行う予定だったけど、魔法少女と戦闘を行ったメンバーは疲れによりダウン。

 海底神殿調査の帰りにモンストルオ・サルバドル号で船釣りをしていたメンバーは、かなり盛り上がったらく港へ戻った来たのは夕方であった。

 これらの事情により報告会議は一週間延され、それまで特に予定が無かったため先に行っちゃおうってことで本日のスイーツバイキングが計画された。

 なおその日の夕食は白夜たちの釣果と巨大蟹による海鮮鍋だったけど、『美味しいが今の時期(九月)にする料理じゃないだろ』というツッコミが大量に出ていた。

 

「にしても、すごいですねこれ。簡単に変装できるなんて」

「灰崎さんとライズの作った立体ホログラム装置のこと? これ凄いよね、以前元花が使ってたのとは比べ物にならないくらい高性能だよ」

「ちょっと、あちきも強力したんだよ」

「わかってるって」

 

 元花が学校へ行く際に使用していた猫耳付きカチューシャ型機械、それを九縄協力の元改良して作られたのが腕輪型立体ホログラム変装装置【(げん)】だ。

 この装置によりスカイの翼を人の腕に、エルフ姉妹の耳を人の耳に見せることができる。

 他にも変装に使えたりと何かと便利だ。むしろこっちが本来の使い方なんだけどね。

 

「ま、この装置だけでアルと召を誤魔化すのは無理だったけどね」

 

 腕輪型立体ホログラム変装装置【(げん)】を使用するためには身に着けるための本体が必要だ。その上本体があったとしてもホログラムを違和感なく動かすために四肢が揃っている方が好ましい。

 しかしアルは下半身が、召は全身が存在しないため装置が使用できないor使用が推奨されない。

 そのためアルは以前行ったみたいに植物人形(リーフドール)人形(ひとがた)に、召は元花の分裂体の一つに受肉してもらった上で装置を使用してもらっている。

 

「っと、ここだね」

 

 スイーツ専門店『シュガーランド』。海外で有名な店で目の前の店が日本第一号店らしい。

 まあ専門店名乗ってるがバイキングメニューには軽食もあるらしいけど。

 

「それじゃ、ルーレットで班決めするよ」

「確かにこの人数だもんね」

 

 私たちの人数は16人、さすがにこの人数を一グループとすると多すぎる。

 そのため、スカイのスマホのルーレット機能で4×4のグループに分かれることにした。

 さすがに16人一気に入店するわけにもいかないし、そっちの方が合理的だしね。

 

「それじゃあ、ルーレットスタート!」

 

 そして公正なるルーレットの結果─

 

 

 

『第一グループ』

・スカイ

・民守祈

・裂

・セレネ

 

『第二グループ』

・黒榊環

・西祭茜

・葉月

・八世召

 

『第三グループ』

・東祭葵

・酒井菫

・苗又元花

・八世通波

 

『第四グループ』

・アル

・ミヤ

・セイ

・九縄

 

 

 

「…嘘でしょ」

「…あなたとですか」

 

 第二グループと第三グループが地獄のようなメンバーになってしまった。

 

 

 

   ◇◇◇

 

 

 

   《第一グループ、民守祈side》

 

 

 

「ここがスイーツバイキングですか」

 

 本日、スカイさんに誘われてスイーツバイキングなるところに来ました。

 曰くスイーツなる食べ物が食べ放題とのこと。

 

「私が全員分持ってくるね~、飲食店行ったことあるの私だけみたいだし。持って来てほしいのある?」

「飴何かしらあったらお願い」

「私は何でも構いません」

「民守さんは?」

「そうですね…、そもそもどういう物があるのか分かりませんのでスカイさんのおすすめをお願いします」

「あ~確かにね。わかったよ」

 

 そうしてスカイさんは料理の置いてあるエリアへと向かっていきました。

 

「え~と、な、何か話ましょうか」

「…話題何かある?」

「こういう時は共通の話題があると話しやすいらしいです」

「共通の話題…、そもそも私たちってあまり関わりありませんね」

 

 裂さんとセレネさんとは会議で顔を合わせたことはありますが、聖魔連合に所属している者同士ということしか共通点がありません。

 

「私たちは連合内でもグループが違います。私は優真様の配下、裂様は白夜様の部下、民守様は堕天大聖堂のトップです。普通に生活していたら関わる機会などありません」

「そうですよね。ですからこういった場で交流を─」

「持ってきたよ~」

 

 …話し出すより先にスカイさんが食べ物を持って来てしまいましたね。

 

「…よく四皿も一度に持ってこれたね、お盆も無しに」

「運搬魔法持ち舐めないでよね。これぐらい朝飯前よ」

「これがケーキですか」

 

 目の前に置かれた皿に乗っているのは赤い果物が乗っている白い三角形の物体、実際に見るのは初めてですね。

 

「それはショートケーキ、日本に出店するにあたって開発した新商品らしいよ。ま、そんなことより早く食べましょ」

「そうですね。ではいただきます」

 

 ではまず一口─

 

「う、ゴッホゴッホ」

「大丈夫ですか民守様」

「だ、大丈夫です。想像以上に甘かったので驚いただけなので」

 

 何ですかこの美味しい食べ物は! 地下ではこんなに甘い物なんて無かったですよ!

 今まで食べてきた物の中で一番美味しいです!

 

「次の取ってきますね」

「そんなに美味しかった?」

「はい、他のも食べてみたいので」

 

 こんなに美味しい物、沢山食べなきゃ損ですよ。

 

 

 

   数分後─

 

 

 

「うへぇ、おいしいれす…」

「わっはっは、民守まさかケーキに入ってるお酒で酔ったの?」

 

 何か頭がふわふわしてきましたぁ。

 すごく気分がいいれすぅ。

 

「…そういうスカイだって果実酒で酔ってるじゃん」

「だってまさか酒も置いてあるとは思わなかったんだもん。あったら呑むに決まってるじゃん、吞まないとやってらんないよ」

「確かにスカイ様は毎日運搬業務を行っています。しかし、いささか吞みすぎでは?」

「いいんだよこれくらい。たまにしか呑まないんだからさ」

「…他の持ってくる。セレネは酔っ払い二人の相手よろしく」

「承知しました」

「あ、私のも何か持って来て~」

「はいはい」

 

 そうして裂さんが料理の置いてあるエリアへと取りに行きました。私も何か頼めばよかったでふね。

 

「…民守様、少々お尋ねしたいことが」

「何でふかぁ」

「なぜ、人は感情によってパフォーマンスが飛躍的に向上することがあるのでしょうか?」

「?、どふいうことで?」

「民守様が所属する以前ですが、優真様は魔法少女青柳美空と二度戦闘を行っております。その際、一度目と比べ強い感情の高ぶりが直前に生じた二度目の方が明らかに強くなっておりました。また、元花様の分裂能力、それも目の前で赤川様が死亡したことにより発芽したものです」

 

 たしかにそんな話聞いたおぼふぇがありますねぁ。

 

「両事象とも感情がトリガーになったと推測できます。そのため、感情は私の更なるパワーアップに必要だという結論が出ました。しかし、なぜ人は感情によって性能にブレが生じるのか、それが知りたいのです」

 

 そう言われましても…そんなの私にはわからないですよぉ。

 

「なぁにそんなに悩んでんの、簡単だよ簡単」

「スカイふぁん?」

「感情は原動力よ原動力! ただ指示してもらってやってる仕事より、自分から率先してやる事の方が何倍も効率がいい。ロボットのセレネはわかんないかもしれないけどそういう物なの」

「確かに、私も悲願を叶えるためではありまふけど、事務的にこなしていた時より私の意志で行うようになってからの方が効率はいいでふ」

 

 お母様から司教の立場を受け継いだ直後と、堕天大聖堂の現状を知ってからだと心構えが変わりましてしぃ。

 

「私の実体験だけど、元居た悪の組織に怪人にされて無理やり仕事させられてた時より、今の運搬業務や人間時代のトラック運転手の仕事の方がモチベ高かったのよモチベが!」

「さらに言ふなら、誰かを守るために戦う時も強くなってる気がしまふ」

 

 けどけの考えは、私がバリア魔法を持ってるからの考えかもしれませふが。

 

「…そういうものですか」

「話終わった?」

「あ、裂! ありがとね持って来てくれて」

「ありがとふございます裂さん」

 

 さて、次のスイーツはなんでしょふか?

 

 

 

   ◇◇◇

 

 

 

   《第二グループ、黒榊環side》

 

 

 

「はぁ、最悪だよ」

「それはこちらのセリフです」

 

 現在、私たち第二グループのテーブルの雰囲気は地獄の様になっていた。

 その理由は私と西祭茜が同じグループになってしまったから。

 一瞬あのルーレットの細工を疑ったけどもちろんそんなことは無く、無事私たちは同じグループにされてしまった。

 

「葉月さんでしたっけ?」

「そうよ召ちゃん」

「(召ちゃん?)…あの二人って仲悪いんですか?」

「そうね、私はその場にいなかったからレイヴン様から聞いた話になるけど、どうやら堕天大聖堂が聖魔連合に加わるかどうかの会議中にあの二人喧嘩したらしいのよ。何か互いにブリカスみたいに馬騰しあってたみたいよ」

「それブリカスの使い方間違ってない?」

「私もそう思うわ」

「いやこいつが先に喧嘩売ってきたのよ!」

 

 西祭茜がメンバーの悪口言ってきたからこっちも言い返しただけじゃない!

 

「…参考までに聞くけど、あんたの両親な何で死んだの?」

「おたくら魔法少女の放った魔法で体が一瞬で蒸発したわ。そっちは?」

「幼少期に私を怪人の攻撃から庇って粉微塵にされた」

 

 なるほどね。それなら加入時の交渉の罵詈雑言も納得はできる、許すわけじゃないけど。

 

「あの、普通にケーキ味わいましょうよ」

「そういう召さんは家族との関係どうだったのよ? 今死んでるとはいえ家族はいたでしょ」

「ちょ、それは─」

 

 西祭茜は、清明神社の異界へ攻め込む際に顔を見られただけで正体が分かるような人はいないって召が言っていたことを知らない。というか私も詳細は聞いていない。

 けどその質問に召がなんて答えるのか想像がつく。

 

「…母は夜職の尻軽女で父からは暴力の毎日、二人とも私が中学の時に私と通波を捨てて家を出ていきました。中学卒業からはひたすらバイトでしたね」

「…すいません、軽率でした」

 

 え、既に家族が通波以外いないとは思ってたけどそんな理由だったの?!

 

「も~そんな辛気臭いしないの。せっかくのスイーツバイキング何だから」

「葉月、そうは言ってもどうするのこの空気?」

 

 初めは私と西祭茜の小競り合いだったけど、そこに召のとてつもなく重い身の上話という爆弾が投下されたことにより場の雰囲気はもはや地獄すら生ぬるい状況になってしまった。

 

「そうねぇ…とりあえず」

「わっ!?」

「きゃ?!」

「二人とも、今までよく頑張ったね」

 

 突然、葉月が二人の頭を撫でる。

 

「何ですかいきなり、私は怪人からの施しはいりませんよ」

「あの、私一応二十代なんですけど」

「私からしたら二人ともまだまだ子供よ」

 

 そういえば、葉月は伊吹山の面々の中でも古参の方って白夜から聞いた気がする。

 

「今までよく頑張ってきたわね」

「っ、こうなった原因である怪人に何が分かるんですか!」

「わからないわ。けど、寄り添ってあげることはできる。召ちゃんも、今まで辛かったわね」

「…はい。けど今は通波やライズさんがいるので心配いりません」

 

 す、すごい。あの場の雰囲気が和らいでる。

 

「茜ちゃんが今まで何を思って生活してきたのかはわからないを。それでも、誰かに頭を撫ででもらうと不思議と安心するものよ。たとえご両親からしてもらった記憶がなくとも、これは誰でも変わらないわ」

「…はい」

「とはいえ、茜ちゃんも環ちゃんも言い過ぎ。互いにごめんなさいは?」

「…以前は言いすぎました、すいません」

「い、いえ、こちらこそすいませんでした」

 

 あの時は頭に血が上って言っちゃったけど、思い返せば完全に差別発言だったからねあれ。

 後で兄さんにも怒られたし。

 

「あなたの仕事ぶりからして、完全に悪ではないことはわかった。けど、気持ち的にまだ整理がつかないの」

「それは私もだから気にしないで。西祭さんが悪い人でな無いのは知ってるし。それでも元だろうが魔法少女連盟の魔法少女という両親の仇と一緒なのはね。西祭さんが違うのは分かってるけど」

「それでいうならこちらもですよ。…今後は歩み寄る姿勢も必要そうですが」

「…そうだね」

 

 魔法少女は憎いけど、全ての魔法少女に死んでほしいわけじゃない。

 ままならないよ本当に。

 

「それじゃあ、この後第二グループでゲームセンターにでも行きましょう。互いの事を少しでも知るいい機会になるはずだわ」

「え、ゲーセン! やったあ!」

 

 パパとママが生きていた時、ショッピングモールのゲーセンで300円だけゲームするのが楽しみだったのよね。

 

「環さんもゲーセン好きなんですか?」

「え、西祭さんも?」

「両親と買い物に行った帰りによく連れてってくれました」

「…この一点に関しては気が合いそうね」

「ですね」

 

 少しだけ西祭さんとの距離が縮まった気がした。

 

 

 

   ◇◇◇

 

 

 

   《第三グループ、八世通波side》

 

 

 

 え~こちら第三グループ。

 現在の状況ですが─

 

「…」

「…」

「…」

「え、えっと…」

 

 他三名が食べることに集中して全く喋りません。

 

 ど う し て こ う な っ た !

 

 環から『私と堕天大聖堂って交渉の時揉めたから、もしかしたらそれが理由で荒れるかもしれないから頑張って』って言われてて覚悟してたらこれだよ!

 いやまあ実際に荒れるよりはマシかもしれないけどさぁ。

 

「しかも、ケーキ食べてるの私だけだし」

 

 葵は肉、元花は魚介類、菫は米やパンばかり食べている。

 スイーツ食べてるのは私だけだ。

 このグループだけ普通のバイキング行った方が良かったんじゃないの?

 

「み、みんな、せっかく来たんだからケーキとか─」

 

「「「あんな甘い物口に合いません!!!」」」

 

「はい…」

 

 

 そう、三人がケーキを食べない理由はこれ。

 長い事明日の食べる物の確保すら難しい環境にいたらしく、三人とも甘さに対する耐性が無い。

 その上、一番初めに取ってきた砂糖の塊のようなお菓子を丸かじりにしちゃってそれ以降ケーキを持って来てない。

 これじゃあスイーツバイキングに来た意味無いじゃん。

 それに全く会話が無いからつまんない。

 

「!、そうだ…」

 

 面白い話題があったんだ。

 このグループは中高生ぐらいのメンバーで固まってるから食いつくはず。実際に学校行ってるの元花だけだけど。

 

「元花、最近操とはどうなの?」

「ブッ…ゴッホゴッホ。な、何ですかいきなり?!」

「だって元花が操に気があるのバレバレだよ」

 

 最近は赤川家の外堀埋めに行ったらしいし。

 その日以降、何か操に食堂での食事以外に弁当渡してるっぽいじゃん。

 

「私の情報網舐めないでよね」

「う~」

 

 あぁ、顔真っ赤にしてうなっちゃった。

 

「へぇ、そんな面白そうな話題があったなんてねぇ」

「葵さん、これそんな面白い話? 周知の事実じゃないの?」

「え、これ周知の事実なの?!」

「二人の様子を近くで見てたらすぐわかりますよ」

「そんなに私わかりやすいですか!?」

「え、うん」

「そんなぁ」

 

 まあ元花って仕事モードの時は別だけどプライベートだと表情わかりやすいからね。

 というか近くにいてわからないならそれは察しが悪すぎるって。

 

「さあ、これを食べなさい!」

「…あの、なぜカツ丼?」

「取り調べの時の定番って本で読んだわ。さて、キリキリ話してもらうわよ」

 

 さぁ、面白くなってまいりました!

 

「まず、何で好きになったの?」

「何でって…、学校で陸上勝負していくうちに…」

「気付いたらってことですか?」

「…はい」

 

 ふ~ん、鉄板だね。

 だけど。

 

「ダウト、それ嘘だよ」

「な、何ですか。私が嘘ついてるって言いたいんですか?!」

「それも理由だけど、本当の理由は元花が捕まった時に助け出してくれたことでしょ」

 

 私がまだ魔法少女連盟に捕まっていたころ、阪神国際空港跡地にあった悪の組織で何があったかは把握してるんだからね。

 いや~後から監視カメラの記録映像ハッキングしたら一発で分かったよ。

 

「そんなことが…」

「へ~これが青春ってやつ? いいな~」

「も、もういいですか?」

「だ~めに決まってるでしょ」

 

 せっかくに機会だし、情報吐けるだけ吐いてもらお♪

 

 

 

   ◇◇◇

 

 

 

   《第四グループ、九縄side》

 

 

 

「みんな~食べてますか~?」

「食べてるよ」

「本当に美味しいですねここのケーキ、お金出してくれた白夜様には感謝です」

「確かにね」

 

 他のグループのテーブルの様子見てきたけど何かそれぞれ大変なことになってた。

 ここはそこまで荒れてなくてよかった。

 強いて言えば…。

 

「モグモグ、モグモグ」

「すっごい食べるんだねアル」

「だって美味しいんだもん!」

 

 アルが山の様に積まれたスイーツを片っ端から平らげていく。

 これが少し問題で、さっき厨房覗いたらパティシエが総動員されてた。

 こっちの食べる分が残ってればいいんだけど。

 

「そういえば16人全員分の代金を白夜様出したらしいけど懐大丈夫なんだろうか?」

 

 まあ3000円×16人=48000円だから大丈夫だろうけど、いきな約5万円使うのは懐が痛いはず。

 今度酒でも差し入れときましょうか。

 

「…ん、何だろうあれ?」

「アルどうしたの?」

「さっきスーツ着た人がそこに封筒落としてった」

 

 見ると、確かに通路の中央に封筒らしき物が落ちている。

 

「これは…封筒ってより招待状袋では?」

「九縄、宛先どうなってる?」

「待って、えっとね…は?」

 

 宛先、聖魔連合?!

 

「ちょっとどういうこと?」

「私たちがここに来てるのバレた?」

「…いや、たぶんバレてないはず。だって変装してるし、偶然だと思う」

 

 だとしてもこの招待状はあちきたちだけでどうこうできる物じゃない、白夜様辺りに知らせないと。

 

「!、九縄、さっきの人が封筒捜してる」

「何だって!」

 

 見ると、確かにスーツの人間が招待状袋を拾った辺りで何かを探していた。

 

「ミヤ、招待状の内容記録して。あちきはスマホの操作あまり知らん」

「わ、わかった。…記録したよ」

「開封跡の偽装は」

「問題なし」

「よし」

 

 招待状袋をもってスーツの人間に近づく。

 

「すいません、ひょっとしてこれですか」

「!、返せ!」

「きゃ!」

「中身見てないだろうな」

「み、見てません」

「…ならいい」

 

 そうして人間は店を出て行った。

 たく、失礼な人ね。

 

「ふふ、ナイス演技だったでしょ?」

「すごかったよ九縄。けど…」

「感じ悪かったですね」

「ねーねー殺していい?」

「ダメに決まってるでしょ!」

 

 はぁ…、明日の会議で議題に上がるだろうな。

 後でレイヴン様に伝えとこ。

 

 

 

 

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