死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。   作:鬼獣八紅

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 三人称視点です。


第十二章 I am a hero.
招待状


 

「え~本日の会議ですが、本来行う予定だった議題よりも優先すべき議題が九縄たちによって発覚しました」

 

 オウル達がスイーツバイキングへ行った翌日の日曜日、幹部全員が会議室に集まっていた。

 本来この会議ではレイヴンたちが双龍会に訳のわからない攻撃をされたことや、オウルが『彼岸の桜花』のダンジョンマスターだったことなどを話し合う予定であった。

 上記の事は議題というより共有事項であったため書面でも可能だが、昨日発覚した事項は会議を開かなければならないことである。

 

「そしてその議題はミヤがスマホで撮影したこの招待状だ」

 

 会議室のスクリーンにミヤが撮影した招待状の画像が映る。

 

 

 

   ◇◇◇

 

 

 

 悪の組織交流パーティーへのご招待

 

 拝啓 秋の訪れとともに、皆様に素敵なひとときをお届けできればと思い、下記のとおり悪の組織交流パーティーを開催いたします。 ぜひ、ご参加いただきたく、ご案内申し上げます。

 

 日時: 10月31日(木曜日) 17時~22時

 場所: 東京グッドドリームホテル地下フロア

 ドレスコード: フォーマル

 

 皆様にお会いできることを楽しみにしております。 敬具

 

 悪の組織 ナイトメアグループ

 

 

 

   ◇◇◇

 

 

 

「─という内容だそうだ」

「ほんっとに何でこういう面倒ごとが起こるの。せっかく昨日は楽しい気分で終われたのに」

 

 スイーツバイキングに行った後それぞれのグループごとで別行動を行っていたのだが、オウル達第二グループはゲームセンターで過ごしていた。

 そこでオウルと西祭茜は幼い頃を思い出したかのように、クレーンゲームやアーケードゲームを二人で数千円分遊びつくした。

 そのおかげか二人の仲はまあまあ改善され、以前の様に目が合った瞬間に罵倒し合うようなことはもう起こらないだろう。

 そんな楽しい時間を過ごし終わった直後に方向されたのが招待状(これ)である。

 

「…そういえば素朴な疑問だがどう届けるつもりだったんだここに?」

「しらん、もしかしたらこちらの本拠地を把握できてなかったのかもな」

 

 聖魔連合の本拠地は月だ。早々来れる場所ではない。

 白夜の言ったことはあながち間違いではない可能性がある。

 

「すいません、ナイトメアグループとは何でしょうか?」

「俺も知らん。誰かナイトメアグループを知ってる人いるか?」

「知ってるっていうか、調べて出てきた情報ならあるよ」

 

 通波がスクリーンにパソコンの画面を映す。

 

「ナイトメアグループ、日本最大の悪の組織だよ。世界で見ても上から数えた方が早い規模を誇ってる。目的は悪の組織にありがちな世界征服だね。後々面倒ごとにしたくなければパーティーに参加した方がいいよ」

「通波、聖魔連合とナイトメアグループが戦闘した場合って聖魔連合は勝てそう?」

「…どうだろう、レイヴンのテレポートで暗殺しまくれば行けそうだけどナイトメアグループ幹部の実力的に確実とは言えないし、全面戦争になったら確実に互いに戦力が削られることになると思うよ。…というか組織としての年季が違いすぎるのに何で全面戦争できるくらいの戦力揃ってんの?」

 

 たしかに聖魔連合は結成から半年ほどしか経っていない。しかし、それは聖魔連合単体で見た場合だ。

 白夜たち伊吹山の面々は組織名こそ無かったが、組織としては数百年存在している。

 堕天大聖堂に至ってはその倍だ。

 

「…なんにせよ、参加した方がいいなこれ」

 

 通波の言った通り、参加しないで面倒ごとになるのなら参加した方が良い。

 現時点では聖魔連合に参加するメリットは無いが、参加しないデメリットの方は無視できない。

 

『えぇ、参加した方がよろしいですよ』

「!、誰の声だ?!

『こちらですよ』

「わゎ、パソコンが!」

 

 突如として通波のパソコンから何者かが飛び出す。

 その姿はウイルスと道化師を合わせたような風貌だ。

 

「てめぇ、何もんだ?」

「そんなに睨まないでくださいよ白夜様」

「!、俺のこと知ってんのか?!」

「それはもう、ダークマーラ様が直々勧誘して幹部に向かい入れようとしていた怪人ですからね。けどまさか、こんな新興の悪の組織に所属したとは。あ、自己紹介が遅れましたね。(わたくし)、ナイトメアグループ情報部幹部、電脳怪人バグロフィと申します。本日はレイヴン様にこちらを届けに参りました」

 

 鼻につく態度でバグロフィと名乗った怪人は懐から封筒を取り出す。

 

「あ! それって!」

 

 そして、その封筒に九縄は見覚えがあった。

 

「えぇ、聖魔連合のどなたかが昨日拾われた招待状です。まあ拾った方が聖魔連合だというのはさっき知りましたが。全く、任務中をさぼった挙句中身まで見られるとは。使えない部下を一匹処分する羽目になりましたよ」

「…処分したってのは殺したってことか?」

「?、それ以外に何があると言うのです?」

「いや、単に気になっただけだ。それともう一点、ここがどこか分かるか?」

「不思議なことを聞くのですね。聖魔連合本部ではないのですか?」

「それ以外のことは?」

「お恥ずかしながら我々の技術でもわかったのはここまでです。本当、すごい隠蔽力ですね」

 

 レイヴンは横目で白夜へと視線を送る。

 その視線に気づいた白夜は問題ないとアイコンタクトで返答した。

 つまりバグロフィ並びに所属先であるナイトメアグループに本拠地の所在地まではバレてないということだ。

 

「…わかった。ひとまず招待状は受け取ろう」

「はい、ぜひ我々ナイトメアグループのパーティを楽しみにしていてくださいね」

 

 そうしてバグロフィはパソコンへと戻り会議室から姿を眩ませた。

 

「…オウル、もう出てきていいぞ」

「…もうどっか行った?」

 

 バグロフィがいなくなったのを確認すると、オウルが会議室の机の下から出てくる。

 オウルはデータ上ではあるが魔法少女連盟所属の魔法少女だ。聖魔連合所属と隠す気の無い菫とは違いバレる訳にはいかない。

 そのためバグロフィの声が聞こえた瞬間、その姿を机の下に隠したのだ。

 声は聴かれた可能性があるが、姿を見られてなければいくらでも誤魔化しようはある。

 

「招待状の中身は…、ミヤが撮影した物と同じだな。…やっぱ断ると面倒だよなこれ。戦闘になるかもしれないし」

「俺としてはあんま参加したくねぇな。上から目線の態度が気に入らねぇ」

「気に入らないのは同感だ。失敗したからって殺すことは無いだろ」

「それに全面戦争になっても相手は本部が月にあるって知らないなら時間かければ何とかなるだろ」

 

 長期間戦闘を行うのに必要不可欠な物は食料と医療品だ。

 聖魔連合は食料を組織内で生産する仕組みがあるため外部から取り寄せる必要が無く、医療品に至っては回復魔法持ちが居るためそもそも必要ない。

 

「…いえ、情報収集のためにも参加はした方がいいかと。他の悪の組織も参加されるならこんな機会滅多に無いですよ。それに今すぐ戦闘しなきゃならない理由も無いじゃないですか」

「それはそうなんだが、どうせ最終的には全方面に喧嘩売るんだろ。遅かれ早かれだ」

 

 聖魔連合の最終的な目的のためには、魔法少女連盟にも多数の悪の組織にも最終的には宣戦布告することになる。

 何なら日本最大の悪の組織であるナイトメアグループボス、ダークマーラはパーティ当日に会場にいる可能性が高いので仕留める絶好の機会ではあるのだ。

 悪の組織のボスは基本的に人前には出てこないため、次にいつこのようなチャンスが訪れるかも不明である。

 

「…あ、それならいい案があるよ」

「オウルさん、何か思いついたのですか?」

 

 会議室にいた全員がオウルに耳を傾ける。

 そして、オウルはとある作戦を口にした。

 

「どうせ両方私たちの敵ならさ、敵に敵を潰してもらおうよ」

 

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