死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。 作:鬼獣八紅
三人称視点です。
レイヴン達聖魔連合が誰にも気づかれず撤退していたころ、パーティホール中央ではダークマーラとグレートフューチャーが睨み合っていた。
『ダークマーラ様、すいません。私が居ながら魔法少女の接近に気づけませんでした』
そこへ、バグロフィの声がダークマーラのスマホから流れる。
「バグロフィ、生きてたのか。被害状況は?」
『外でナイトメアグループ、並びに招待組織の戦闘員が七曜の円卓第四、六、七席の魔法少女とそのチームメンバーと戦闘中です。ダークマーラ様は早く撤退を』」
「いや、俺はグレートフューチャーと戦闘を行う。どうやら相手も逃がしてはくれなさそうだしな」
「さすが私のことよくわかってるなダークマーラ! ソニックマーキュリー!」
「
グレートフューチャーが高速で近づき拳を叩き込もうとするが、その攻撃をダークマーラは目の前に盾を生成し防ぐ。
しかし、生成した盾は鍛冶屋智加古が復元し神田神子都が管理している神話上の盾、イージスと瓜二つであった。
「っ、やっぱ厄介だなお前の能力は。こちら側が実物を保有している物も生成できるのか」
「そうさ、俺の能力【夢現実】は無敵の能力だ。観念して殺されることだな」
ダークマーラの能力【夢現実】、その効果は空想、想像した内容を現実に実体化させるものだ。
実体化させた物は本物と全く同じ性能を所持している。そのため今回実体化させたイージスも最強の盾としての性能そのままに再現されていた。
「そんなもの、真っ向からぶっ壊すだけだ! マーズメテオラッシュ!」
グレートフューチャーの拳が赤い光を放ち、イージスにラッシュを叩き込む。
「無駄だ。イージスは最強の盾…そんなのお前の魔法には関係なかったな」
グレートフューチャーのラッシュを受け止めていたイージスだが、徐々に罅が入ってきた。
「おらぁ!」
「っつ!」
そしてついにグレートフューチャーの拳がイージスを貫く。
拳はダークマーラに勢いそのまま向かっていくがバックステップで回避した。
「やはり、ただ最強なだけの盾では防げないか」
「当たり前でしょ。不壊の盾ならともかく、最強の盾程度でヒーローが止まる訳が無い」
グレートフューチャーの魔法であるヒーロー魔法の効果の中に”諦めない限りより良い方向へ未来を捻じ曲げる”というものがある。有り得ない未来は引き寄せられないがとても強力な効果だ。
今回はイージスの破壊をあきらめなかったことで”イージスを破壊する”という未来に捻じ曲げたのだ。
コミックのヒーローは暗い未来を消し飛ばしハッピーエンドを読者に届ける、そのようなある種のお約束が”諦めない限りより良い方向へ未来を捻じ曲げる”という効果で【ヒーロー魔法】には備わっている。
「バグロフィ、招待客の避難は?」
『既に巨大組織の面々は避難しきってますよ。さらに言えばなぜか一般の宿泊客や従業員は誰一人といていません。恐らく、魔法少女どもが既に避難させたのかと』
「どちらにせよ、巻き込んだら面倒な奴らは既にいないんだな。なら、あいつらを出撃させられるな。バグロフィは防衛システムを攻撃してきた魔法少女であるサイファー・Kを撃退してこい」
『了解しました』
「来い、ナイトメアグループ最高戦力ども!」
ダークマーラが叫ぶと、パーティホールの奥にあった二つの扉からそれぞれ巨大な人影が姿を現す。
「おいおいダークマーラ様、俺たちを出すってことは相当ヤバいことが起きたってことだよな」
「…目的は、襲撃してきた魔法少女どもの殺戮か」
「その通りだフレアロフ、ウルスマキアと共に魔法少女を殺戮しろ!」
ダークマーラが呼び出したのは全身から炎と熱が溢れ出している焼却怪人フレアロフ、体の至る所から紫の煙を噴出させ近くにいた人を苦しめている細菌怪人ウルスマキアだ。
二人とも過去にかなりの人数の魔法少女を殺しており、強さは中規模程度の悪の組織のボスとして君臨していてもおかしくないほどだ。
最高戦力の名に恥じぬ戦績と強さをしている。
「そのまえに…」
「
フレアロフとウルスマキアの拳がグレートフューチャーに迫る。
しかし、その拳が届くことは無かった。
「
「ハードビーストサウンド!」
パーティホールの出入口から水のビームと超音波が飛来してくる。
「がっ!」
「ぐっ!」
その攻撃はフレアロフとウルスマキアに直撃し、パーティホールの壁に叩きつけた。
しかしあまりダメージを受けた様子は無く、すぐに立ち上がり前線に復帰してくる。
「フューチャー、一人で先行しないの!」
「何とか間に合ったな。あの二体は私たちに任せてダークマーラに集中してくれ」
先ほどの攻撃を放ったのは神田神子都とメンデルキャップだ。
二人ともグレートフューチャーと同タイミングで突入したが、ホテルエントランスにて一般戦闘員の足止めを食らいパーティホールへの到着が遅れていた。
「二人ともありが…、その姿は?」
「これ? これはあの怪人に対する最適解よ!」
神田神子都は手足の皮膚に青い鱗が生え頭から存在感のある巨大な枝分かれした二本の角のある姿に、メンデルキャップは腕と耳が蝙蝠の物に代わりアンキロサウルスのような尻尾が生えた姿に変化していた。
「そうだぞフューチャー、あの怪人にはこの組み合わせが特攻になる。私がウルスマキアに対して、神子都がフレアロフに対してだ」
今回神子都が懸り神に選んだのは水の神である龍神、これはシンプルに水は火に強いからだ。しかも神龍は水の神の中でも位が高く、攻撃の威力は折り紙付きである。
その上、龍のフィジカルにより接近戦も可能だ。
一方のメンデルキャップだが、蝙蝠を選択した理由は特殊な免疫システムのためだ。蝙蝠は多くのウイルスを保有しながらも、自身は病気にならずに生存できる特殊な免疫システムを所持している。これによりウルスマキアのウイルスの大部分を無力化できるのだ。
メイン攻撃は超音波になってしまうが、仮に近づかれてもアンキロサウルスの尻尾で距離を取ることもできる。
「そういう訳だから、あんたはダークマーラに集中しなさい」
「…わかった、怪人の相手を他のむ。ソニックマーキュリー、ネプチューンランス!」
フレアロフとウルスマキアの相手を二人に任せ、グレートフューチャーはダークマーラに手刀を叩き込もうと急接近する。
「直線的だな。
しかし、その攻撃をダークマーラは生成したUFOを盾に攻撃を防ぐ。
そしてUFOは未確認飛行物体ではあるが精密機器であることは確定している。
そんなのもにビルを倒壊させられるレベルの手刀をぶち込まれたらどうなるか?
《バチッ、ジジ…》
「なっ!?」
答えはそう、爆発する。
《ドゴーン!》
「っ、ジュピタートルネード!」
UFOが目の前で爆発するが、グレートフューチャーはその場で回転することで空気の壁を生み出し爆風を防ぎきった。
しかし、今の爆発とジュピタートルネードによってグッドドリームホテルの建物が吹き抜けになってしまった。
「ダークマーラは!?…無傷か」
「己の攻撃でダメージを食らうわけないだろ。それよりいい吹き抜けになったな。
ダークマーラが次に生成したのは見上げるほどの高さの巨人だ。
「やれ」
『グアァァァ!』
そして巨人はグレートフューチャー目掛けて拳を振り下ろす。
その風圧によってまだ残っていたグッドドリームホテルの外壁が倒壊していく。
「これしきの攻撃、真っ向から打ち破る! アースフィスト!」
グレートフューチャーの拳と巨人の拳が激突する。
その衝突により発生した衝撃波によって周りにいた戦闘員が吹き飛んだ。
「何の…これしき!」
『グ、グガァァ!』
段々とグレートフューチャーが巨人の拳を押し返していく。
このままいけばパワー対決はグレートフューチャーに軍配が上がるだろう。
「
しかし、この対決に勝敗が付くことは無かった。
横からダークマーラが生成した戦闘機が突っ込んできたのである。
「なっ!」
衝突寸前で戦闘機の存在に気付きクロスアームガードで防ぐが、踏ん張りが効かずグッドドリームホテル館外へと吹っ飛ばされた。
衝突された威力はかなりのもので、地面に接触してもバウンドを繰り返し建物を数棟貫通しても止まる気配が無い。
「っ、止まれ~!」
道路に爪を立てることで何とか速度を落としていく。
そして指の後が数百メートル付いた辺りでようやく停止した。
「おいおい何の音だ?!」
「ねぇ、あれグレートフューチャーじゃない?」
「マジ!? 私生で見るの初めて」
「!、皆さん早く避難してください!」
先ほどの騒音により一般人が集まってくる。
グレートフューチャーが停止した場所は繁華街、知名度のあるグレートフューチャーが突然現れれば立ち止まる人も当然出てくる。
その上帰宅ラッシュの時間と駄々被りしていたため、あっという間に人だかりが形成されてしまった。
「こんなところまで飛ばされたのか」
「!、ダークマーラ!」
「これだけ人がいる中防ぎきれるか?
UFOの上に乗って追ってきたダークマーラが空中に生成した一軒家ほどの大きさの水晶髑髏をグレートフューチャー目掛け落下させる。
落下速度はグレートフューチャーならば簡単に回避できる程度の速度だが、もし回避した場合周りの群衆が押しつぶされてしまう。
そのため回避するという選択肢は存在しない。
「くそっ! ツインパクトヴィーナス!」
両腕を突き出し水晶髑髏を殴りつける。
そして水晶髑髏の重さにより地面が少し陥没しだした。
『グラァ!』
「痛っ! 何の…これしき!」
水晶髑髏がグレートフューチャーの両腕に噛みつくが、何とか痛みに耐えダークマーラへと投げ返す。
「ちっ、解除!」
このままでは直撃すると判断したダークマーラは水晶髑髏を削除する。
【夢現実】で生成した物体は自由に解除が可能だ。
「遅い!」
「…は?」
水晶髑髏が消えた瞬間ダークマーラの目の前にグレートフューチャーが現れる。
グレートフューチャーは投げ返した水晶髑髏の影に隠れダークマーラへと接近していた。
「この距離なら躱せない、サターンリングサルト!」
「ぐはっ!」
グレートフューチャーの蹴りは直撃し、ダークマーラは地面に叩きつけられる。
小規模のクレーターが出来ている威力の蹴りだったが、ダークマーラの意識はまだ落ちていない。
それでもノーダメージとはいかず、口から血を吐きだした。
「え、な、何が起きてるの?!」
「とにかく逃げろ!」
今の攻防を目撃した群衆がさすがに危ないと蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
「はぁ…はぁ…、よくもやってくれたな」
「そっちこそね。おかげで腕に激痛が今も走ってるよ」
水晶髑髏に噛まれたグレートフューチャーの腕の骨は形こそ保っているが粉砕骨折しており、動けるのが不思議なほどの痛みを伴っている。
更には黄金戦闘機の追突、建物への衝突などにより肋骨も数本罅が入っており少しの衝撃で骨折する状態だ。
「やはり、お前はイカれてるぞ。なぜまだ動けている?」
「こんなもの、お前たちによって傷つけられた市民の痛みに比べれば全然軽い!」
「そうか…、ならば、その市民を巻き込もうじゃないか!」
ダークマーラが腕を空に向け伸ばすと、上空に赤い渦が出現した。
「!、させるか! ソニックマーキュリー!」
グレートフューチャーはダークマーラが発動させようとしている大技を阻止すべく急接近する。
「一手遅い!
しかし、阻止するよりも早くダークマーラの技が発動してしまった。
「!、空が…」
赤い渦が更に拡大し、そこから噴き出した赤い煙が夜の街を包み込んでいく。
これより、より暗い、より暗い悪夢が始まる。