死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。 作:鬼獣八紅
レイヴン視点です。
「…来てはみたが、廃墟しかないなここ」
パーティーがあった週の土曜日、俺は一人で長崎に来ていた。
目的はナイトメアグループへのハッキングで判明した魔法少女連盟本部、その現地調査を行うためだ。
端島を巡るツアーもあったが、一般人がいる中で調査する訳にもいかない上金がもったいないから不法収入している。いや島だから無断上陸か。
そもそも今日はツアーやってなかったから人と鉢合わせることも無いだろう。
「しかしまぁ、よくここに本部造ったな」
魔法少女が現れるより前には端島って国の重要な何かに登録されてたはず。たしか世界文化遺産だったかな。
そんな場所に増築って形で魔法少女連盟の本部を造ったとなると何らかの法に触れてるだろ。
良く国が許可したな、もしくは国も本部が端島にあるって知らないかだな。
「オウルの話だと本部から地上に出る通路は無かったらしいが、流石にそんなことは無いだろう」
じゃなきゃ緊急事態の避難どうすんだって話だ。
多分もう使われてない炭坑のどっかにあるだろ。
「てなわけで炭坑の入口に来たが…、入って大丈夫なのかこれ?」
中が暗いのはそうだが、何か埃っぽいんだよな。
ペストマスク着けてるとはいえ吸い込まないとは限らないし目を守れてない。
…ゴーグル着けとくか、それとヘッドライトも。足場悪いのに片手塞がるのは怪我しに行くようなものだし。
「それじゃあ、行くか」
意を決して中へと入っていく。
中はまあ外から見た通り暗くて埃っぽい。
テレポート使いたいけど先があんま見えないからできて数メートルだろう。それなら歩いた方が体力を温存できる。
とまあそんなこんなで進むこと数十分…。
「…扉?」
炭坑の道中に扉が取り付けられていた。
何でこんな所に扉が? それも明らかにここ数年で取り付けられた感じだし。
それに光が隙間から漏れてる、中に光源があるなこりゃ。
「鍵は開いてるな。さてさて中は…え?」
中に広がっていたのは大量の本棚、それも本が隙間なく詰まっている。
それも大量ってのが十や二十とかじゃなく、目線の先までびっしりと並んでるってどんだけあるんだよ。
本の中身は…小説が多いな。背表紙のタイトルを見た感じ知らない物から有名どころまで揃ってるっぽい。
これはもう書庫というより図書館だな。
「ちょっと読んでみるか。どれにしようかなっと」
棚から本を一冊取る。
タイトルは…ハ〇ーポッ〇ーと〇者の石? 知らないタイトルだな、何時の本だ?
えっと発行日はっと…、2002年か…。
「2002年?!」
今より数百年は前の本じゃないか!
それが何で読めるほどいい保存状態で存在してんだよ! その方法が知りたいわ!
「はぁ…まあどうこう騒いでも仕方ないか。えっと内容はっと…」
魔法使い物か。魔法少女以外の魔法絡みのファンタジーってあんま見ないから珍しいな。
…面白そうだし、少し読んでみるか。
…
……
………
「…………はっ! 今何時だ?!」
読み始めたら思いのほか面白く一冊読みっ切ってしまった。
時計を見たら二時間ほど経ってしまっている。
さすがにこれ以上読書で時間潰す訳にはいかないな。
「他にどんな本があるんだろう?」
そうしてまた図書館の散策を再開する。
小説以外にも漫画や図鑑、専門書も何かもあるな。
とはいえ量が量だし管理人複数いるなこりゃ。
カサカサカサ…
カサカサカサ…
「…ん? 何だ今の音?」
一端本棚の上に避難しておくか。
ただの虫かもしれないけど、それはそれで何か嫌だし。
「さてさて何が出るのか…」
そして本棚の上で待つこと数秒、音の正体が目の前に現れた。
「あれは…小人に妖精?」
音の正体はファンタジーに出てくるような小人と妖精だ。
それも一人や二人じゃなくて数十人。多分栞・M・ケントニスの魔法によって召喚された者だろう。グリム童話の内容あまり知らないが小人や妖精が登場する話はありそうだしな。たしかにこれなら人数上は一人で管理できる。
『オ~イ、コッチコッチ』
『イマイク~』
彼ら彼女らは俺に気付かづに本棚の清掃を始めてるし、警戒心無いのか?
けど本棚の上に上がって正解だったな、図書館全体を見渡せる。
どうやら中央に書斎にあるようなデカい机と椅子が置いてあり、そこを中心に本棚が広がっている配置だ。凱旋門周りの地理がイメージに一番近いな。
今は中央の机に誰もいないから調査には都合がいい。
「…ん? あれは…」
俺が入ってきた扉の丁度対角線上にもう一つ扉があった。
…辺りには小人と妖精しかいないな。
よし。
「テレポート」
反対側の扉の前に移動する。
扉には”関係者以外立ち入り禁止”の文字が書かれてるな。それならかなり重要な物がこの先にありそうだ。
鍵は…かかってるけどこちら側から解錠できるタイプでよかった。じゃなきゃ破壊しなきゃならなくなったし証拠が残っちまうからな。
「さてさて、扉の向こうは…」
そして扉を少し開け…。
パタンッ
直ぐに閉めた。
理由? そんなの、扉の向こうに
幸い直ぐに閉めたから魔法少女に目撃されて無さそうだし鍵も掛けたから問題無いだろう多分。
一瞬しか見なかったが、扉の向こうも図書館のようだな。
恐らくオウルが以前言ってた大図書館だろう。
「となるとここは魔法少女連盟の大図書館の書庫って所か」
じゃなきゃ”関係者以外立ち入り禁止”の文字が書かれてる理由が分からない。
そうなるとここには貴重な書物が大量にありそうだ、データだけもらってくか。さすがに取ってくとバレそうだし。
「さて…、異世界関連のがあればなお良いんだがな」
魔法少女連盟は異世界と関わりがあるんじゃないかって疑惑がある。
じゃなきゃ、通波救出の時に神田神子都が異世界の境界の神であるシロノの権能を使用していた理由が説明できないし。
現時点で考えられる理由は、異世界の書物がこっちの世界に流れ着いてそこから知ったか、魔法少女連盟にライズのような異世界出身者が在籍しているかだ。
まあ後者の可能性は低いだろうし、書物から知った線が有力だろう。
となると、この本棚の中にその異世界の書物がある可能性が高い。
実際に魔法少女連盟があるかの確認という目的は達成したし、書物探しと行きますか。
「…さすがにこの量の本棚から一人で探すのはキツイな。数名ワープゲートで─『ガチャ』─!? テレポート!」
クソッ、こんなタイミングで誰か来やがった。
まあ入って来たのが今いる位置の反対側、つまり俺が入って来た扉からだったし本棚の上に避難したから早々気付かれることは無いだろう。
さてさて、誰が来たのやら…。
「フンフフ~ン♪ フンフフ~ン♪」
「栞、さっきから鼻歌うるさいぞ」
「だってガーディアン、やっと、やっと欲しかった本が手に入ったんだよ!」
「…お前はそういう奴だったってことは、ここ一ヶ月でよ~く分かった。それにしたってだ、少しは抑えろ」
「わ、わかったよ」
入って来たのは恐らくここの管理者である栞・M・ケントニスだ。
あの様子じゃあしばらく本に夢中になりそうだな、一人で書庫の調査するか。
しかし…。
「隣にいる男、いったい誰だ?」