死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。 作:鬼獣八紅
一人称視点です。
「それで、わざわざ交渉のテーブルに着いたのよ。内容を早く言いなさいクソ野郎」
「…お前、こちらが交渉権握ってるって分かってんのか」
ぶっちゃけ、俺は後々面倒になるから交渉してるだけで今すぐに撤退してもいいんだぞ。
まあ、魔法少女が交渉に乗ってくれただけマシと思うか。
「それでこちらからの要求だが、俺がここへ侵入したことを魔法少女連盟に伝えないでほしい。その代わり、俺はこの場の情報を仲間にも口外しない」
そもそもの話、俺が交渉を申し出た理由は後の面倒ごとを無くすためだ。
恐らくだが、ナイトメアグループが全日本魔法少女連盟の所在を突き止めていたことはバレてない。バレてたらハロウィンの時に七曜の円卓の誰かがナイトメアグループに問いただしていたはずだ。実際、今日だってすんなりと侵入できたしな。
しかし、俺が侵入したことが魔法少女連盟上層部に伝われば今後攻め入る時に防衛を固められる可能性がある。
なので、この場の情報を一切言わないことを対価に、侵入したって情報をこの場でもみ消してもらう。
「!、お前、私に不義理を働かせようってのか!」
「不義理?」
何か連盟に対して義理でもあんのか?
まあ俺には関係ない。
「しかし、それでは主が取り引きを無視する可能性もあり…なるほど、そのための私ですか」
「どういうことブラインド─そういうことか!」
「えぇ、私は悪魔、取り引き─契約は絶対です」
そう、
まあ俺自身にも適応されるがな。
だけど侵入したっていう情報が伝わることに比べれば安い、それに対処法はある。
「どうする? 割と双方にとって利がある話だが」
「一つ確認させて、この場所のことを知っているのはどれだけいる?」
「いや知らねぇよ。ここに来たのだって敵対している組織の拠点を虱潰しに探してたら見つけただけだし」
一応嘘は言っていない。
実際連合内でどこまでの人が知ってるか把握してないし。だって魔法少女連盟の場所が発覚した時にその場にいたメンバーには何の口止めしてないからな。
本来は口止めしといた方がいいのかもしれないが連合はそういうとこ緩いからな、今回は好都合だ。
敵対している組織ってのも魔法少女連盟のことだから嘘ではない。それに他の悪の組織の本拠地を調べてるのも本当だ。
「…わかった。その代わり、口外じゃなく伝達にしろ」
「ちっ、わかったよ」
さすがに気付くか。
口外だけだったら書面とかで伝えたい放題だからな。
「それなら取り引きに応じる。私は魔法少女連盟にお前が侵入したことを伝えない」
「俺はこの場の情報を一切伝達しない。ブラインド・ガーディアン、契約を受理しろ」
「あなたに指図される筋合いはありませんが今回は別です。レイヴン、栞・M・ケントニス間の契約をブラインド・ガーディアンの名の元に受理します」
「っ?!」
瞬間、心臓に何か違和感を感じた。
これが契約をしたことによる効果か?
多分契約を破ったら心臓が破裂するとかそんな感じのだろう。
「…これで契約は成立ね。とっとと帰れ屑が」
「屑は言いすぎだろ。まあそっちからの認識はそんなものか。それじゃあ、あばよ」
◇◇◇
「はぁ…、やらかした~!」
欲かいて書物を漁るなんて考えずに、栞・M・ケントニスが戻ってきた時点で撤退すべきだった。
じゃなきゃこんな面倒な事になんなかったのに。
今までは誰か来た時点で撤退してたのに、強くなってきて慢心したか?
「ともかく、本部には無事戻れたな。しょうがない切り替えていこう」
テレポートしてきた部屋を出てある人物の元へ向かう。
そいつがいるからブラインド・ガーディアンとの契約した。
うまくいけば、契約をすり抜けることができるかもしれない。
「っと、ついたな」
目的地は聖魔連合情報部の部室。
さて、目的の人物はいるかな?
「失礼しま~す、通波はいるか?」
「あれレイヴン? 今日は魔法少女連盟の本部へ調査に行ったんじゃないの?」
やっぱここにいたか。
通波は基本的にこの部屋に籠ってるからな、予想通りだ。
というか情報部の部室は通波以外あまり使ってないから、半ば彼女の自室と化している。
実際、部屋の半分くらい通波の私物で埋め尽くされちゃってるし。
まあ、召曰く今まで私物が録に手に入らない環境だった反動らしいから何も言えないんだが。
「さっき帰って来たんだよ。それでちょっと通波に頼みたいことがあってな」
「なに?」
「俺が魔法少女連盟へ侵入した時の記憶を読み取ってもらいたい」
「は? 何で?」
「読めば分かる」
契約を素通りする方法、それは通波の電磁波魔法で記憶を読み取ってもらうことだ。
あくまで契約は”情報を
…多分。
「まあ、わかったよ。私もリュック型通信機”ツバメⅡ”の性能テストしたかったし」
「そういえば神子都に壊されたとか言ってたな」
実物は見たこと無いがかなり強力な武器になる通信機だったらしい。
戦闘で壊れたから灰崎さん達に頼んで作ってもらってたが、完成したのか。
「つい最近完成してね、使うのは初めてだよ。じゃあこの椅子に座って」
「わかった」
「座ったね。それじゃあ読み取るよ、メモリースキャン」
ツバメⅡのアーム型アンテナを俺の頭の左右に当て記憶を読み取る。
電波当ててるっぽいが特に違和感は無いな、魔法の腕前が凄いのか?
「フムフム…、端島に書庫…、は? 悪魔? あ~話せない理由は契約と…、それで私に…、OK、だいたい把握したよ」
「わかってくれたか」
心臓の方も何ともない。
どうやら、契約は無視できたみたいだな。
「今日の情報は私の方から伝えた方がいいよね?」
「頼む」
通波に情報を伝達できたとはいえ、契約自体は継続してる。
俺から伝えたらどうなるかわかったもんじゃない。
「通波いる…、あれ、兄さん? 戻ってたの?」
「オウルか、そっちもひと段落ついたのか?」
たしかオウルは今日灰崎さん達と薬の投薬実験してたはず。
「ひと段落って言うか、もう殆ど終わったね、私の魔法で。そっちは?」
「こっちも終わった。諸事情により詳細は通波から聞いてくれ」
「いや何があったの?」
「私が説明するよ」
…
……
………
「なるほどね…。いや悪魔って何?」
「いや俺の方が聞きてぇよ」
グリム童話魔法で召喚されたってのは分かるが、クソ猫なんかのキャラクターとは言語化しにくいが何かが明らかに違う。
まあライズ辺りに聞いてみるか、異世界での悪魔に関する何かを知ってるかもだし。
「まあ…、うん。とりあえず分かったって事にしとく」
「そういう事にしといてくれ。こっちだって分かんないんだ。それで、次はオウルの方の報告を聞きたいんだが、いいか?」
「わかった。えっとね─」
◇◇◇
「…はぁ、緊張した~!」
「おいおい栞、大丈夫か?」
「大丈夫じゃないよ!」
稀覯本が手に入ってラッキーて思ってたのに。何で、こんな日に限ってここに侵入者が来るの?!
そもそも、たまたまとはいえ何でピンポイントでここを調べたのよ!
「まあそうだよな。それに侵入者がよりによってあのレイヴンだったし」
「本当にそうだよ」
なんせ、レイヴンは紫苑を殺した因縁深い相手。それに現円卓七席の美空にとっては姉の仇。
そんな理由からレイヴンと七曜の円卓との間には少なくい関わりがある。
だから、レイヴンにこの場所がバレたのはかなりマズい。相手から取り引きしてくれなかったらどうなっていたことか。
「とりあえず、円卓メンバーにこのことを報告しないと」
「おいおい、俺の目の前で堂々と契約を破るってのか?」
「ち、違うよ。
契約で私は連盟にこのことを報告することはできない。
だけど、友達に伝える分には何も契約に抵触しない…はず。
…一応友達にも連盟に伝えないように言っとこう。ガーディアンのことがバレるけど仕方ない。
「これなら…問題無いよね?」
「はぁ…、まあレイヴンも契約破る気満々だったからな。今回は目をつぶる」
あぁ、やっぱり契約破る気だったんだ。わざわざ口外って言ってたしね。
口外を伝達に変えさせたから大丈夫なはずだけど。
「というか、俺っていっつも契約や取り引き誤魔化されてるよな。やっぱいつの時代もルールの穴を付いてくるのは人間か」
「あ、あはは…。今回もちゃんと対価払うって。血液でしょ」
「そうだ。じゃ、貰うぞ」
「う…、やっぱこの感覚慣れないよ」
一気に体の血液が抜かれて眩暈が凄い。
一応命に支障はないけど、しばらくは活動できないねこれ。
「やっぱ栞の魔力は美味いな」
「たしか血液を魔力に変換してるんだっけ、そんなに美味しいの?」
「あぁ、お前が死んだら地獄へ連れて行きたいぐらいには味も人間性も気に入ってる」
「流石に地獄は勘弁してほしいな。人間性も評価してくれてるのは嬉しいけど」
…そんなに気に入ってるなら、対価関係無しにたまに血液あげようかな。
それに私もガーディアンの性格気に入ってるし、たまにはこれくらいしてもいいでしょ。
「さて、今回の件をメンバーに報告しますか」