死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。   作:鬼獣八紅

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 三人称視点です。


アレイオス孤児院

 

 翌日、ヨーロッパ、イタリアにて。

 

「通波、あそこが今回襲撃するアレイオス孤児院か?」

『あってるけど、襲撃じゃなくて潜入ね白夜』

 

 アレイオス孤児院へ侵入するために召、アル、キャットガールが、囮役として変装したオウル、レイヴン、白夜、民守がラヴェンナに訪れていた。なお、通波と灰崎は本部から通信での参加だ。

 現在、彼らはラヴェンナの街を一望できる丘の上にいる。

 これから潜入するアレイオス孤児院本部は不思議な外装をしており、教会と工場を足して二で割ったような感じだ。

 また、テレビで東京ドーム〇個分と紹介されるほどの面積を有しておりかなり広い。

 そして、周りには大勢の警察と魔法少女がスタンバイしている。具体的には警察はラヴェンナンの殆どが集まっているだろう。

 

「あの、なぜあれだけの警備が?」

(通波)が昨日一般人に成りすまして地元警察に通報してましたからね」

「え、なぜそのようなことを?」

「何でも戦力を一か所にまとめるためだとか」

 

 今回、白夜と民守が摂取したゲノムプラスのデータを取るための対戦相手は魔法少女だ。

 しかし魔法少女はいつも変身しているわけではなく、変身していないと見た目はただの少女である。一般人との区別は早々付かない。

 そのため予め襲撃をリークすることで、襲撃場所に集まった少女が魔法少女であると判断するのだ。

 

『それじゃあ作戦を確認するよ。とはいっても内容は単純、レイヴン、オウル、白夜、祈の地上組が魔法少女と警察相手に戦闘を行う。その隙に私が操作するドローン群、お姉ちゃん、キャットガール、アルの調査組が地下へ侵入する』

『白夜と民守はゲノムプラスによって発現した効果のデータ収集も行うからしっかり使ってくれ。特に白夜』

 

 今回のもう一つの目的、それは白夜と民守が摂取したゲノムプラスの情報収集である。

 そのため使ってもらわないと意味がない。

 

「分かってるって。じゃあ、行くか!」

「そうだな。それと一応言っておくが、孤児、並びに何も知らないであろう一般孤児院関係者は、絶対殺すなよ」

「分かってるって。私たちみたいな子供増やしたく無しね。ま、孤児院にいる時点で手遅れかもだけど」

 

 アレイオス孤児院に所属する大半の孤児は魔法少女と怪人()との戦闘で親を失った者である。

 黒榊兄妹は何だかんだ、敵でなければ同じ境遇の者には甘いのだ。

 

「なあレイヴン、俺が一番槍でいいか?」

「いいが、そんなに戦闘したかったのか?」

「ああ、最近は訓練ばかりで代り映えしなかったからな」

「確かにな。あ、翻訳機のスイッチ入れとけよ。相手の会話は理解できた方が便利だからな」

「そういやそんなのあったな。…これで良し。それじゃあ…、鬼脚!」

 

 白夜が空中を蹴りアレイオス孤児院へと高速で向かっていく。

 

「!、襲撃者確認! 撃墜しろ魔法少女たち!」

「アルも行くよ! 根波(ルートウェーブ)!」

 

 当然白夜に警官が気付き魔法少女に指示を出し、魔法が白夜に向け放たれる。

 その魔法を、アルが生成した巨大な根が打ち消す。

 魔法の中には火魔法も混じっていたが、耐火樹を摂取したアルに対しては表面を焦がした程度であり大して効いていない。

 そして、勢いそのままに根はアレイオス孤児院の正門を破壊していく。

 

「やるなアルのやつ。さて、頼むぞ曇天・幽(どんてん・ゆう)

 

 白夜はモーニングスター(曇天)人工の魂の武具(アーティフィシャルソウルウェポン)へ進化させた武器、曇天・幽を構える。

 以前と比べ強化されたのは取り回しの良さ、重量、そして魔法伝達率だ。

 

「空鬼凝固!」

 

 次に、空気を曇天・幽の先端に固めていく。

 当然だが空気は透明だ。地上にいる警官並びに魔法少女からしたらモーニングスターを構えてるようにしか見えない。

 

「食らえ! 打ち出の鬼槌!」

 

 白夜によって固められた空気の塊が地面に叩きつけられる。

 その衝撃により周辺にいた警官と魔法少女の数名が潰され、正門が完全に破壊された。

 

『キャットガール!』

「わかりました通波、百猫夜行!」

『調査組、今のうちに突入!』

 

 分裂したキャットガールを囮に崩れ去った正門から調査組と通波のドローン群がアレイオス孤児院に突入する。

 

「!、誰かあいつらを止め─」

時空弾丸(ディメンションバレット)!」

魂弾(ソウルショット)!」

『マシンガン発射!』

 

 当然、侵入に気付く者もいたがレイヴンとオウル、灰崎によって阻止される。

 これにより、問題なくアレイオス孤児院への侵入が成功した。

 

「バリアウォール!」

 

 そして、破壊された正門を民守がバリアで塞ぐ。

 民守のバリアは押されることは有れど、七曜の円卓の魔法少女の攻撃でも破られなかった代物だ。海外の魔法少女に破られるはずがない。

 これにより、警官と魔法少女は調査組の追跡が困難となる。

 

「これより先へは、何人たりとも通しません!」

「ナイス民守さん。さて、全員叩きのめすよ!」

「「『あぁ!!!』」」

 

 

 

   ◇◇◇

 

 

 

「通波、ナビをお願いします」

『了解お姉ちゃん』

 

 アレイオス孤児院への侵入に成功した調査組は現在、工場エリアを通り建物の中央へと向かっていた。

 この建物は工場が付随して建てられており、そこでは成人した元孤児などが働いている。

 そして、目的である地下への入口は工場の中央にあるのだ。

 幸い孤児や一般職員は避難しているのか妨害は無い。

 

『そこの曲がり角を右、その次を左!』

「ねぇキャットガール、ここって何の工場なの?」

「さぁ。通波さん、ここって何の工場なのですか?」

『調べた感じ色々作ってるっぽいけどヒーローショーの着ぐるみや人形なんかがメインっぽいね。ほら、ここって孤児院でもあるから』

 

 ここの孤児たちを楽しませるためのおもちゃなんかは全てこの工場で生産されている。

 直ぐに新たなおもちゃが供給される環境など、子供にとっては楽園そのものだろう。

 

「…三人とも、無駄口はその辺で」

「は~い」

『まぁまぁお姉ちゃん、肩の力多少は抜かないとやってられないよ。それに移動速度がかなり早いから結構余裕あるし』

 

 通波はドローンによって、召は浮遊によって、キャットガールは自前の走力によって曲がりくねった建物内をとてつもない速度で移動している。

 一番遅いアルもキャットガールの肩に乗っているため問題ない。

 

「まあ確かにそうですね。通波さん、もうそろそろでは?」

『えっとね…、その扉の先だよ!』

「わかりました。猫爪!」

「ウッドウィップ!」

 

 キャットガールとアルの攻撃で目の前の"立入禁止"と書かれた巨大な門のような扉を破壊する。

 その先の部屋にあったのは、地下へと続く大穴だ。

 しかし、穴の入口は頑丈そうな蓋で閉ざされていた。

 

『う~んどうしよう。お姉ちゃんは素通りできそうだけど私たちはな…』

「アルも無理そう。辺りに地面が無いから根が張れないよ」

 

 掘られて侵入されるのを懸念していたのか、蓋の周りもコンクリートで固められている。

 普段であればアルの根はコンクリートくらい難なく破壊できるが、それは巨根と言えるほどに成長した場合だ。初動ではどうしてもパワーが落ちてしまう。

 

「どうします? 一度屋外に出てからアルが根を張り破壊するのも手ですが」

「…その必要はありません。私が何とかします」

「召さんが? ですが召喚によるミサイル攻撃はできませんよ、爆破時の被害が大きすぎます」

「あまり私を舐めないでください。これでも通波にいいところ見せるために訓練してるんです。召喚(サモン)駄骨(だこつ)

 

 召は自身の愛薙である武器、駄骨を召喚し構える。

 そして、駄骨を自身のむき出しとなっている魂で覆い刀身を巨大化させた。

 

『お姉ちゃん…』

「召、それ本人の前で言ったら意味無いと思うよ」

「うるさいですね、そういうのは適当に流してくださいよ。…まあ見ててください、ライズさんとの修行の成果を」

 

 召は浮遊し蓋の真上へと移動する。

 

「すぅ…、妖魂一閃(ようこんいっせん)!」

 

 勢いよく振り下ろされた薙刀は分厚い蓋をいともたやすく切り裂く。

 しかし、それだけではとどまらず振り下ろした先にあった壁までもが真っ二つにされていた。

 

『おー! すごいよお姉ちゃん!』

「ふふん、どんなもんですか」

「いや”どんなもんですか”じゃないんですよ! どうするんですか今ので確実に居場所バレましたよ!」

「…なら誰も来ないうちに行きましょう」

『そうだね。とっとと行っちゃおう』

 

 そうして召は誤魔化すように大穴の下へと向かっていく。

 それに追随するように通波のドローン群も降下していった。

 

「キャットガール、アルたちも早く行こ!」

「はぁ…、そうですね。それではアル、私の肩に掴まってください」

「うん! …うん? え、ちょっとま─」

「行きますよ!」

 

 そうしてキャットガールは大穴へと飛び込む。

 もちろんパラシュートや紐などの安全装置は存在しない、紐無しバンジー状態だ。

 

「ちょっと待って~!!」

 

 後にはアルの悲鳴だけが響き渡る。

 こうして、調査組は地下へと進んでいった。

 

 

 

 

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