死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。   作:鬼獣八紅

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 三人称視点です。


サイドアーム

 

「では、誰から行きますか? ちなみに私は最後でも構いません」

「俺も別に始めじゃなくていいな…始めにやりたい人、挙手」

「「はいはいはいはいはいはい─!!!!」」

「OK落ち着け」

 

 レイヴンの発言に白夜とオウルが勢いよく手を上げる。

 

「私が先! だって魔法少女を殺せる新たな力が手に入るかもしれないんだよ!」

「そういう理由なら俺が先だ! 更に強くなりゃ、七曜の円卓にだって圧勝してやらぁ!」

「お? やり合う?」

「あ? やるか?」

 

 二人の視線が交差し一触即発の雰囲気が漂う。

 普段からこのようないざこざは有るのでこの場に居る全員プロレスだと理解しているが、この二人の場合ちょっとしたど突き合いで建物が崩壊しかねない。

 

「よ~しわかった。それじゃあじゃんけんで決めろ。それ以上暴れるようならレイヴンか民守からするぞ」

「…オウル、構えろ」

「…わかった」

 

 流石にこれ以上はヤバいとライズが代案を提案しこの場を収める。

 そしてオウルと白夜が拳を構え、真剣な目つきで向かい合う。 

 

「「…最初がグーじゃんけんポン!!」」

 

 オウルの出した手はパー。

 そして、白夜の出した手はチョキ。

 この勝負、白夜の勝ちだ。

 

「っしゃオラー!」

「クソー!」

 

 白夜は拳を掲げ、オウルは膝をつく。

 

「これが陽キャのノリか…」

「そうなの…ですが?」

「我らには分からぬな」

 

 その様子を他三人は何とも言えない表情で見つめる。

 他三人はどちらかと言えば騒ぐタイプではなく、オウルと白夜のノリについていけなかった。

 

「で、ライズ。どうすればいい?」

「属性判別水晶に手をかざしてくれ。触れれば四属性魔法に対応する色に光る。固有魔法の場合は白く光るから、白夜の場合は白と何かに光るだろう、それと、光る色に偏りが出ると思うがそれは使える魔法の適正の比率だ」

「わかった。じゃ、触れるぞ」

 

 白夜は水晶に触れる。

 水晶は抵抗操作魔法に反応し全体の九割ほどが白く光り、残りの一割が黄土色の光を放つ。

 

「ふむ、この色は土属性だな」

「じゃあ俺は土魔法を使えるようになるのか?」

「YesかNoの二択ならNoだ。この水晶は使える可能性が一番ある属性の色を示すだけだからな。それに白夜は固有持ちだ、使えたとしても基礎的な土魔法だけだろう。そもそも使えるかも怪しい」

「マジかよ…」

「使えそうなだけよいではないか」

 

 その事実に白夜は落胆する。

 そもそもの話、固有魔法持ちが四属性魔法の適正もある方が珍しいのだ。

 土魔法の適正があっただけ白夜はありがたがった方がいい。

 

「じゃあ次は私ね!」

 

 続いてオウルが水晶に触れる。

 光った色は九割が生命魔法に反応した白、残りの一割が黒だ。

 

「黒? ライズ、黒の属性ってなに?」

「…鑑定した感じ、闇魔法だ」

「あれ、さっき闇魔法と光魔法は分類が曖昧だけど一応固有魔法って言ってなかった?」

「…言ってたな」

「何か固有魔法じゃない疑惑が出てきたんだけど?!」

 

 固有魔法は原則一人一つ。これは魔法における絶対的なルールだ。

 オウルや神田神子都の様に複数固有魔法を所持しているように見える者や、レイヴンの口寄せ魔法の様な他魔法を使用できる魔法であっても、このルールは変わらない。

 しかし、オウルは闇魔法の適正があることが判明した。

 つまり、先ほどライズが話していた”闇魔法は暫定固有魔法である”という説が否定されたのだ。

 

「と、とりあえず後で本当に使えるか確認しよう。まだ使えると確定したわけではない」

「そ、そうだね」

 

 取り合えずライズがこの場を収める。

 とはいえ、ライズ本人も冷静かと聞かれればそうではない。

 何せ異世界(向こう)では未だ議論されている闇魔法についてのサンプルが目の前にいるのだ。

 魔法研究の第一人者として興奮しないわけが無い。

 

「気を取り直して次だが…どちらが先か?」

「民守さん、俺が先でもいいか?」

「よろしいですよ」

「さて、レイヴンは何色に光るかな?」

 

 レイヴンは水晶に触れる。

 光った色は九割が白、一割が赤だ。

 

「これは…火魔法か?」

「そのようだな」

「う~ん、オウルみたいなレアなの期待してたけど、他魔法が使えそうなだけありがたいか」

「まあ魔法は血族で似通るからな。期待するのも無理はない」

 

 魔法は血族で似通る。

 事実、レイヴンの口寄せ魔法とオウルの生命魔法は両方とも魂に関わる魔法だ。

 だからレイヴンは闇魔法を期待していたのだが、発現したのは四属性魔法である火魔法。

 しかし、使える可能性があるだけマシだと気持ちを切り替える。

 

「最後は私ですね」

「では、かざしてくれ」

 

 最後に民守が水晶に手をかざす。

 そして光った色は、白と黄色だ。

 

「これは…光魔法か!」

「ウソだろマジか」

 

 黄色が示す魔法は光魔法。

 今この場にて、”光魔法は暫定固有魔法である”という説も否定された。

 

「あれ? 何か比率おかしくない?」

 

 しかし、今回の光り方は少しおかしい。

 先に判別した三人の割合は固有魔法:四属性魔法=9:1。

 しかし、今回民守が手をかざした水晶は白:黄色=5:5で光っている。

 

「…民守、今まで固有魔法しか使ってこなかったのだよな?」

「はい。発現してからこれまでバリア魔法一本できてますね」

「ちょっと待て。たしか民守さんと初めて会った時こちらの戦闘員相手に善戦してたよな」

「あ~、そんなこともありましたね」

「え、じゃあ光魔法もバリア魔法ほどの練度で使える可能性があるってこと?!」

「…そういう事だな」

 

 光魔法はまあまあレアな魔法なだけあって、なかなかに強力だ。

 そんな魔法を、バリア魔法だけで七曜の円卓相手に戦えた民守が同程度の熟練度で使える可能性が出てきた。

 もし本当に使えたら、かなりの強化となる。

 

「ともかく、これで全員分の判別が終わったな」

「では校庭に移動しよう。そこで本当に使えるか確認を行う」

 

 

 

   ◇◇◇

 

 

 

「なあライズ、移動したはいいがどうやって使うんだ?」

「たしかに、まだ使える可能性があるってわかっただけだしな」

 

 白夜がライズに問う。

 事実、四人は固有魔法以外の魔法が使える可能性があると知っただけで使い方はわからない。

 

「そうだな…我がアシストしながらやってみるか。白夜、こちらへ来てくれ」

「わかった」

 

 しかし、聖魔連合には魔法に精通しているライズがいる。

 使い方が分からないのなら、分かる者にアシストしてもらえばいい。

 

「まずは腕を前に構えてくれ」

「こうか?」

 

 白夜は十メートルほど先にある的に掌を向ける。

 

「そうだ。そこから我が魔力を流しアシストする」

 

 ライズは魔法陣を生成し、白夜へ魔力を流す。

 

「おぉ、何か感じるな」

「それでは、魔法を放ってみてくれ」

「よっしゃやるぞ! ストーンバレット!」

 

 掌に石を生成し、前方へ放つ。

 土魔法は無事発動した。

 が─。

 

「ねえ、何かしょぼくない?」

「しょぼいな」

「しょぼいですね」

「しょぼいしょぼい言うなや!」

 

 白夜の放った石は徐々に速度が落ちていき、五メートルほどの地点に落下した。

 しかも生成した石はグラウンドにたまに落ちている小石程度の物。

 しょぼいと言われても無理はない。

 

「まあ、固有魔法持ちは初めはこんなものだ」

「っ~クソがぁ!」

 

 白夜は空気を固め、怒りのままに的目掛け投擲する。

 空気の塊をぶつけられた的は粉々に破壊され、的の後ろにあった校庭を囲む壁の一部も倒壊した。

 

「だいいち、レイヴンだって人の事言えるのか?」

「…すまん。言えないかもしれない」

 

 レイヴンも白夜と同じく四属性魔法。

 しかも水晶の光り方も白夜と似ていた。

 つまり、レイヴンの魔法の威力もたかが知れている可能性がある。

 

「あ~、次レイヴンやるか?」

「…そうするよ」

 

 レイヴンは掌を的へ向け、ライズが魔力を流す。

 

「─いいぞレイヴン」

「ファイアボール!」

 

 掌で生成された火球を的目掛け放つ。

 が、僅か四メートルほどの地点で消滅してしまった。

 

「ガハハハッ! 俺より飛んでないじゃないか!」

「うるせぇ五十歩百歩だろうが!」

「まあまあ二人ともその辺で。民守さん、次は私でいい?」

「構いませんよ」

「よし、じゃあやろう」

 

 オウルは的へ掌を向ける。

 

「あ、すまんオウル。今回ばかりはアシストは無理だ」

「え?」

 

 が、ここでトラブル発生。

 

「レイヴンと白夜のアシストができたのは、我が火魔法と土魔法を習得していたからだ。だからオウルと民守についてはアシストできん」

「マジで!?」

 

 まさかの、ライズがアシストすることができないことが発覚。

 そのためオウルと民守は自力で魔法を発動させるしかない。

 一応使える魔法が分かっているだけマシだが、それでも大変な作業となる。

 

異世界(向こう)で闇魔法や光魔法の鑑定を行ったことは無いのですか?」

「残念ながらな。なんせ確率が確率だ、数十年おきにしか出現しない上に、出現するのは両方世界に一人だけ。鑑定できる機会など無かった」

「だとしたらマジでどうしよう」

「試しに放ってみたらどうだ?」

「う~ん、兄さんの言う通りダメもとでやってみるよ」

 

 オウルは再度的へ掌を向ける。

 

「ダークボール!」

 

 そして、掌から発射されたのは黒いピンポン玉のような魔法だ。

 

「ウソだろ!」

「マジで発動したのか! これは大発見だぞ!」

「しかし…遅くありません?」

 

 黒玉は的へと向かっていくが、速度がとてつもなく遅い。

 どのくらい遅いのかというと、赤ん坊の移動ほどの速度しか出ていない。

 

「…たしかに遅いな」

「だな。だけど俺たちより射程があるな。流石レアな魔法なだけはあるよ」

「しかし、これでは威力が分からぬな。ダートウォール」

 

 ライズが黒玉の進行方向に土壁を生成する。

 しかし、黒玉は止まらずに土壁を破壊、速度も落ちていない。

 

「バリアウォール」

 

 続いて民守がバリアを進行方向に貼る。

 流石の黒玉もバリアは破壊することができず、数秒拮抗したのち消滅した。

 

「え、威力ヤバくない? ライズ、民守さん、闇魔法ってこんなのであってるの?」

「…一応文献で見た性能通りだ」

「私もです」

「…こんな化け物じみた性能してたら、そりゃ固有魔法と勘違いされるわね」

 

 オウルの闇魔法の適正は全体の約10%ほどだ。

 それなのに、今の一発だけで生命魔法の攻撃力を上回った。

 黒玉ほどのサイズで魂や肉片を撃ち出しても土壁は破壊できない。

 流石に攻撃範囲や出力を考慮したら生命魔法の方が使い勝手が上だ。

 

「最後は私ですね」

「まあ、民守さんはライズのアシストなしでいけるだろ」

「そうですかね?」

 

 民守は的に人差し指を向ける。

 

「セレネさん、技お借りします。聖なる光(ホーリー・レイ)

 

 直後、民守の指先に光が集まり的目掛け発射された。

 光のレーザーとなった魔法は的を破壊。

 それでも威力落ちず、校庭の壁までも貫いた。

 

「ウソだろおい」

「威力おかしいでしょ」

「いや、水晶の結果見たらこんなもんだろ」

 

 民守の光魔法の適正はバリア魔法と同程度。

 自身が光魔法を使えることを知らなかっただけで、実際使えるようになったらこの威力をはじめから出せても不思議ではない。

 

「ひとまずこれで全員の発動を確認できたな。オウルと民守のデータは後でまとめるとして、しばらくは練習としよう」

 

 

 

 

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