死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。   作:鬼獣八紅

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 三人称視点です。


モチベーション

 

 

 

「…全員ある程度慣れてきたようだな」

 

 ライズが闇魔法と光魔法について大まかに記録するためにその場を離れていた約一時間。

 四名は校庭でひたすらに魔法の練習をしていた。

 練習内容なひたすら魔法を撃ち続けるだけだが、何事も反復練習は大切だ。

 

「はぁ…はぁ…」

「ぜぇ…ぜぇ…」

「レイヴン、白夜、調子はどうだ?」

「いや…めっちゃ疲れるんだが?!」

「割と限界が近いんだが」

「それは魔力効率が悪いからだろう」

 

 この練習は魔法の精度を上げることだけが目的ではない。

 使い慣れていない魔法は魔力効率が悪いのだ。

 そのため何度も練習することで魔力効率を上げる必要がある。

 魔力効率を上げることを怠って戦闘中に魔力切れを起こしたら目を当てられない。

 

「だとしてもさ…こんなに疲れるとは思わないって。初めて固有魔法使った時だってこんな疲れなかったからさ」

「適正のあまり無い魔法だからな。当然、魔力の無駄も多い。我からは慣れろとしか言えんな。それに、飛距離は増えているのだろう?」

「まあな」

 

 白夜は前方へと魔法を放つ。

 一時間前は五メートルほどしか飛距離が無かったが、二倍の十メートルほどにまで伸びている。

 しかし、未だ実戦で使えるレベルには到達していない。

 

「一時間でこれほど伸びるか」

「そんなにすごい事か、これ?」

異世界(向こう)ではもう少し上達には時間がかかるのが一般的だな。それでも、才能のある者は更に上達速度が上だが」

「あ~、あっちの女性陣みたいにか?」

 

 校庭の中方付近では女性陣が新たに使用可能となった魔法の練習をしている。

 なのだが、男性陣に比べ圧倒的に上達速度が上だ。

 

「ダークボール、連投!」

 

 一時間前は赤子ほどの速度しか出ていなかったダークボールは速度が上がり、一応実践でも使えるレベルになっている。

 しかし、速度以上に上達しているのは個数だ。

 初めは一個出すだけで手一杯だったのが、今は数十個をマシンガンの様に連射できる。

 

聖なる光(ホーリー・レイ)!」

 

 民守の方も空中に大量の魔法陣を生成し、レーザーで的を貫く。

 既に実践に組み込めるレベルに到達している。

 そもそも、新たに発現した光魔法の適正は元々持っていたバリア魔法と同等だ。

 当然、その分上達も早い。

 

「オウル、民守、調子はどうだ?」

「結構いい感じですね」

「私の方はだいぶ悪い。何か闇魔法めっちゃ燃費悪いんだよ。ダークボール数発撃っただけで魔力切れ。これの原因ってライズわかる?」

「恐らく使い慣れてないからだと思うが…さっき何十発と撃ってなかったか?」

「あれはダンジョンマスターとしての権能をフル稼働させたからであって、地球でやったらガス欠まっしぐらだよ」

 

 オウルは新たなる(ニュー)素晴らしき世界の(ワールド・)(コア)のダンジョンマスターだ。

 そのダンジョンマスターの権能を使用し、魔力が切れたそばからダンジョンコアの魔力を吸収。

 この作業を繰り返すことで何十発と連射できていた。

 なお、オウルがダンジョンコアから魔力を吸収しても、魔力使用速度よりダンジョンコアの魔力回復速度の方が早いので使いすぎの心配は無い。

 

「そうなのか。とはいえ、使い続けないと魔力効率は上がらんぞ」

「だよね…。とはいえ趣向を変えて実践訓練しようにも、まだ兄さんと白夜があれだしな…」

「「おい聞こえてるぞ」」

 

 オウルの呟きにレイヴンと白夜が反応する。

 たとえ事実だとしても、気にしていることを言われ怒らない人はいない。

 事実陳列罪というやつだ。

 

「二人とも落ち着いてください。怒っても状況は変わりませんよ」

「いやまあ白夜の気持ちも分かる。モチベが続かんのよ、これ」

 

 一応新たに発現した魔法は強くはなってきているが、それでも射程はたかが数メートル程度。更に燃費も最悪だ。

 使えるに越したことはないが、現状元々使っていた固有魔法で火力も牽制も事足りる。

 意識を逸らす目的だとしても現状の射程と火力だけでいい。

 そのため、現状練習している理由がただのロマンでしかないのだ。

 

「まあ確かにそうだな。オウルと民守は成長速度的にこのままでいいとして…、レイヴン、白夜、何かモチベーションを保つ方法あるか?」

「俺は…、まあ魔法少女の憎しみを原動力にすればやれんことも無い。だけど一日数時間程度の練習でいいな。というか教わっといてなんだが、俺の場合口寄せ魔法の精度上げた方が手数増えそうだし」

「俺は特に無いな。せいぜい目標決めてコツコツやる─あ! アレがあった!」

「何かあるのか?」

「あぁ、毎年一月二日に武闘大会やってんだよ」

「白夜、それどんな大会?」

「幹部によるルールを決めてのガチ戦闘だ。その名も、百鬼武闘大会」

 

 百鬼武闘大会。それは、白夜たち伊吹山組が聖魔連合へ加入する以前から毎年一月二日に行っていた武闘大会である。

 行う理由は新年が良いものになるようにするための祈願と、戦闘狂連中のガス抜きだ。

 オロチや裂などの戦闘狂の幹部は実力は保証されてるが、それ故になかなか戦闘じに出せない。

 なので、新年に去年のフラストレーションを発散させるのだ。

 その他にも、幹部の面子を保つためでもある。

 幹部の中には見た目だけなら弱そうな者もいるため、新参者になめられることも多い。

 そのため新年の百鬼武闘大会で実力を見せつけるのだ。

 まあ、相性によっては試合が秒で終わることもあるが。

 

「いや何でそんな毎年やってる大事な事忘れてたんだよ!」

「仕方ないだろ今年は連合に加入したとか変化が多かったんだからさぁ!」

「…それはそうだな、すまん」

「いいって。でだ、百鬼武闘大会は新年祭の目玉だ。その大会で、エキシビションマッチをしないか? 俺たち四人で?」

「白夜…、それは有りだ」

 

 レイヴン、オウル、白夜、民守は各組織のトップなだけあって強い。

 その四人の戦いとなると、祭の目玉には十分だ。

 

「な。勝ったからと言って何かあるとかじゃないが、ちょうどいい目標にはなるだろ?」

「あぁ、かなりいい目標になる。オウルと民守さんもそれでいいか?」

「え、何が?」

「何か話してましたか?」

「あ、聞いてなかったんだな」

 

 話が長かったためオウルと民守は魔法の練習へ戻ってしまったため、男性組の話を一切聞いていなかった。

 そのため、女性陣に改めて説明する。

 

「なるほど、確かに魔法を実戦で試すにもちょうどいいね。民守さんもそれでいい?」

「いいのですが…、白夜さん、やるなら一対一ではなく乱闘形式にしません?」

「いいが、何でだ?」

「一対一だと誰が勝っても下が揉める可能性があります」

 

 聖魔連合トップであるレイヴン、白夜、民守は立場的には同等だ。

 その下に権力こそ一般的な幹部ほどしかないが、トップの三人と同等の実力を持つオウルがいる。

 この四人がエキシビションマッチとしてだとしても一対一で戦った場合、誰が勝っても組織のパワーバランスが崩れる可能性があるのだ。

 いや、確実に崩れる。

 トップ同士の仲が良くても、下が同じだとは限らない。

 

「確かに、異世界(向こう)でも同盟国同士でどちらが上に立つか揉めてる所があったな。─なるほど、だから乱闘か」

 

 その点、乱闘なら下が揉める可能性を抑えられる。

 誰が一番初めにダウンしたとしても”まぁ集中的に狙われたしな…”や、”隙を付かれたからな…”となる可能性が高い。

 

「なるほどな。たしかにそっちの方がよさそうだな。白夜、準備ってだいたいいつから始めてるんだ?」

「だいたい二か月前…あれ、今日何日だ?」

「11月16日だな」

「マジかよ! すまんちょっと電話してくる!」

 

 白夜はその場を離れ、スマホで毎年祭の運営をしていた者へ電話を掛ける。

 数コールして目的の者が電話を取った。

 

 

 

 

 

『─はい、こちらウルフです』

「ウルフか、今年の新年祭の準備どうなってる?」

『白夜様ですか? 新年祭は運営委員会の方で既に企画、準備が進んでいます。しかし珍しいですね、毎年運営委員会に任せられているのに』

「いや、祭二日目の百鬼武闘大会あるだろ。その最後に俺、レイヴン、オウル、民守でエキシビションマッチしたいんだがいいか?」

『…』

「ん? お~いウルフ?」

『…はぁ~、わかりました、調整しましょう。その代わり、いくつかしてもらいことがあるのですが、よろしいですか?』

「何だ?」

『それだけ大規模になると今まで百鬼武闘大会を開いていたスペースでは恐らく足りません。ですので、新たに開催する場所、いわゆるコロシアム的なのを建ててほしいのです』

「…デザインとかどうすればいい?」

『私からビルドに設計を頼みます。それと聖魔連合へ加入したことにより人数が増えたため運営委員会が私と天魔、ロック、ビルド、スカイの五人では回らないかもしれません。ですので、レイヴンさん達の所からセレネさん、八世召さん、堕天大聖堂から西祭茜さんか東祭葵さんをお借りしたいのですが、確認してもらえますか?』

「あ~こっちで聞いて後で連絡する。それじゃ、運営頼んだぞ」

『承知いたしました』

 

 

 

 

 

「─ふ~、これで何とかなりそうだな」

 

 電話をかけ終えた白夜はレイヴン達の元へ戻る。

 

「白夜戻ったか。何話してたんだ?」

「百鬼武闘大会をやる新年祭の運営委員会にエキシビションマッチの話してた」

「そうなんだ。それで、エキシビションマッチできそう?」

「できそうだが、代わりに運営委員会からの要求でコロシアム的な場所を建ててくれだってさ。設計はビルドがやるだと」

「…建物本体が何とかなれば行けるか?」

 

 土地は人工島を新に生成すればいい。

 問題は建物だが、部材同士の接合さえ気を付ければいけるだろう。

 運搬はワープゲートやバリア、オウルと白夜の怪力を使用すれば問題ない。

 

「それと、運営委員会の人数が足りないからセレネ、召、茜と葵のどちらかを借りたいって話だが、大丈夫そうか?」

「セレネの方は問題ないよ。けど召はライズの管轄だからそっちに聞いて」

「我も問題無いぞ。少々不便にはなるが魔法の研究自体は一人でも可能だ」

「私の方も問題無いですね。むしろ一人と言わずに二人とも派遣いたします」

「わかった。じゃ、そういう事で連絡するな」

 

 白夜はメールでウルフに許可が取れた旨を連絡する。

 これで聖魔連合で初めて行われる新年祭は問題無いだろう。

 

「というかウルフと言ったか、上司にだいぶ強気に出ておったようだが、何かしていたのか?」

「…プロの社畜だよ。吹っ切れてああなった」

 

 長年ブラック企業に勤めていた社畜は強かであった。

 

 

 

 





 すいません文化祭やプロジェクトの仕事で投稿遅れました
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