死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。   作:鬼獣八紅

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三人称視点です。


百鬼武闘大会 ─ 相性

 

『さあ、第一試合の興奮が収まらないようだし、これから第二試合行くわよ!』

 

 バトルエリアの修復、選手の治療とかの諸々の作業が終わり通波のアナウンスが流れる。

 そして、第二試合へ出場する二名がバトルエリアへと向かっていく。

 

『東コーナー! 堕天大聖堂副官が一人! 地上に舞い戻った火の鳥の騎士、西祭茜!』

「騎士って…、まあ間違っては無いわね」

 

 茜は己の変身アイテム兼武器である武器─炎剣レッドマジックを撫でる。

 服装こそシスターだが、立ち振る舞いはトップを守る騎士そのものだ。

 

『続いて西コーナー! 森に潜む現代の狩人! エルフ姉妹の姉であり影の支配者、ミヤ!』

「いやあの、今回はマジで不安なんでその紹介は止めて」

 

 続いてミヤもバトルエリアへと上がる。

 しかし、その顔からは不安の色が浮かび上がっていた。

 

「どうしてそんなに不安なのですか?」

「いやだって、私と茜の魔法相性最悪じゃん」

「?、それがどうしたのですか?」

「いやまあそうだけどさぁ…」

 

 ミヤは深いため息をつく。

 確かに茜の言う通り、相性の問題は試合を諦める理由にはならない。

 

『両者、準備を!』

「では、始めましょう」

「…だね」

 

 天魔の掛け声と共に両者それぞれの手が剣と矢に触れる。

 

『それではAブロック第二試合…始め!』

「シャドウニードル」

 

 開始の合図と同時にミヤが矢から手を離さずに魔法を発動した。

 直後、茜の足元の影が針の形になり、茜の頭部目掛け伸びてゆく。

 影の針が伸びだした位置は茜の背後。そのためまだ気付かれていない。

 

(ごめんね~茜。だけどこうでもしないと勝てないんだよ)

 

 ミヤの魔法は影魔法、対して茜は炎翼魔法─火魔法の派生固有だ。相性が悪すぎる。

 そのため、開幕初手で止めを刺しに行く。

 

(さあ、これで頭を貫いてあげる!)

「…炎翼!」

 

 しかし、ミヤの目論見は叶わない。

 

「なっ!?」

「…やっぱり何か企んでましたか」

 

 茜が出した炎翼の光によってシャドウニードルが消滅する。

 無論、影魔法は光を当てられた程度では消滅しない。

 しかし、元となった影は別だ。

 今回のシャドウニードルの場合は、茜の影が元となり生成された。

 つまり、光を当てられたことで茜の影が消滅したことにより、シャドウニードルの連動して消滅したのだ。

 

「ならばもう一度!」

「させない、灯鳥(あかりとり)

「っ、やっぱり気付いてたんだね」

 

 炎翼によって再度生じた影が茜へと伸びる。

 しかし、茜は自身の左右斜め前に炎を灯すことでその攻撃を防ぐ。

 その上、三方向から照らされたことにより完全に茜の影は消えた。

 もう足元からの攻撃はできない。

 

「今度はこちらから行きます!」

「!、させない! シャドウアロー!」

 

 ミヤは矢筒から影でできた矢を数本取り出し、己の武器─双弓カストルにつがえ連射する。 

 

「こんな物、叩き落せばいいだけです」

 

 しかし、ミヤへと向かう茜の速度を落とすには至らない。

 炎剣レッドマジックを一振りするだけで矢が数本一気に叩き落される。

 

「っ、このままじゃやられる! 暗影躯壊(シャドウクカイ)・─」

「ストレーンジターボ」

「きゃっ?!」

 

 ミヤが大技を発動させようとした直後、茜が炎翼の火力を上げ一気に加速し距離を詰めていく。

 その勢いのままミヤに足を向け全力の蹴りを叩き込んだ。

 突然の衝撃により出そうとしていた大技の貯めが解除されてしまう。

 

「これで勝負あったわね」

 

 蹴りの勢いで倒れこんだミヤの首元に茜は炎剣レッドマジックを突き立て、胴体をゲノムプラスを摂取したことで得た新たな力─ケツァルコアトルスの後脚で押さえつける。

 炎翼でミヤ自身の影も完全に消えたことで、反撃の手段はもうない。

 

「…みたいだね。天魔、私はサレンダーを宣言するよ」

『決着! ミヤの降参により、勝者、西祭茜!』

 

 決着がついたことで、コロシアムに歓声が響く。

 その声を確認したのち、茜は武器をミヤの首から離す。

 

「ありがとうございました」

「こっちこそ。いや~やっぱ強いね。流石、堕天大聖堂の司教を守る両翼の一人だよ。完敗完敗」

「嘘ですよね。最初の弱気発言、あれ演技でしょ」

「あ、バレてた? やっぱ九縄から習った付け焼刃じゃ無理か」

「いえ、普通にうまかったし、私が気付いたのは慣れよ。普通はわからないでしょうね」

 

 ミヤは狩人だ。相手(得物)を狩るためには嘘でも演技でも不意打ちも何でもする。

 今回は演技と不意打ちという割とガチで仕留めに行くコンボを実行したが、魔法少女活動時代に色々と経験してきた茜には通じなかった。

 今回の試合は、とにかく相性に振り回された内容だったと言える。

 

「ありがと。まあ最後の焦りは本当だよ。今度戦う機会があったら森でやろ、ボコボコにしてあげるから」

「ふふ、機会があったらね」

 

 二人は固い握手を交わし、バトルエリアを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

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