死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。 作:鬼獣八紅
三人称視点です。
『さて続いては、Aブロック準々決勝第二試合を始めるわよ!』
準々決勝第二試合のマッチアップはオロチVSアギトだ。
「おうオロチ、去年のリベンジさせてもらうぜ!」
「そうか。じゃあ、俺はその上から潰させてもらうぞ!」
じつは、二人は去年の百鬼武闘大会の準決勝で戦っている。
その戦いではオロチが勝利し、その後優勝した。
そのため今回の試合に当たり、アギトはリベンジに燃えているのだ。
「そう言うわけだから天魔! さっさと始めろ!」
『わかった。それでは試合…、始め!』
オロチが急かせたため、天魔の試合の合図が流れる。
「ファイアブレス!」
「
それと同時に、両者が相手目掛け攻撃を開始した。
オロチの飛ばした鱗が炎を押しとどめ、アギトの放った炎が飛ばされた鱗を焼く。
「去年より火力上がってんな!」
「そりゃ一年経ってるからな! コールドランス!」
氷を纏わせた三叉槍
「っ、氷はマズい!」
この攻撃に対し、アギトは防御ではなく回避を選択した。
オロチは鱗屑鎧を使えばアギトの槍を防ぐことができる。
しかし、三叉槍H.A.D.M.に纏っている属性が問題だ。
オロチのベースとなった生物は蛇、爬虫類である。
爬虫類の多くは変温動物であり、低温になると冬眠してしまう。
この生体はオロチも例外ではないのだ。
「やっぱ避けるよなぁ!」
アギトの三叉槍H.A.D.M.による突きは止まらない。
攻撃速度はオロチの方が上だが、単純な機動力はアギトの方がある。
そのためオロチがいくら回避しようとアギトは追い付き攻撃を行う。
「オラオラ! いつもの勢いはどうした!?」
「お前俺の弱点が低温って知ってて行ってるだろ! それに、弱点はお前も同じだ!」
アギトはドラゴニュートだ。
ドラゴンは現実の生物分類に当てはめると爬虫類である。
そのためバトルエリアの温度が下がりすぎると、アギト本人の身体機能もダウンしてしまうのだ。
「お前も低温が弱点じゃなければ、上空からコールドブレスなり連打で攻めれば楽だもんなぁ!」
「やってもお前どうせ撃墜するだろ! それに、それで勝っても俺が納得しない!」
しかし、たとえできたとしてもアギトは実行しないだろう。
アギトとて一端の戦士だ。
そんなコスイ手段で勝っても虚しい上にリベンジにもならない。
「そうか。だが!」
「なっ?!」
オロチが一瞬の隙を付き三叉槍H.A.D.M.を掴む。
「槍捌きが荒くなってるぞ!」
「がっ!」
そのまま引き寄せ、アギトの腹に拳を叩き込んだ。
アギトは衝撃で三叉槍H.A.D.M.を手放し後方へと吹き飛ぶ。
「クソッ! H.A.D.M.が!」
「まさか武器失った程度で士気が落ちるなんてことないよな!
三叉槍H.A.D.M.を場外へ投げ捨てたオロチは一気に距離を詰めアギトに連撃を叩き込む。
「ぐっ、いったん逃げ─」
「させるかよ!」
「!、てめぇ!」
後方へ退避しようとしたアギトの尻尾をオロチが踏みつけた。
これによりアギトは回避に失敗する。
「オラオラ! こんなものか!」
先ほどから続く連撃によりアギトの鱗が剝がれていく。
それにより受けるダメージは更に加速する。
身体が貫かれていないのは、偏にアギトの気合だけだ。
「いいや! この至近距離ならブレスで─」
「させるわけないだろ!」
「グガッ!」
オロチのアッパーがアギトの顎を捉える。
アギトのブレス魔法は名が示す通り口から放たれるため、発射の瞬間に口を無理やり閉じられると中で暴発してしまうのだ。
暴発を防ぐためにも、顔面をいつでも相手に攻撃される間合いではあまり使えない。
「クソッ! 覚悟を決めろ、アギト!」
拳による反撃は技術力に実力差がありすぎて不可能だ。
しかし、それでもアギトは自身の腕を振り上げる。
「やっと反撃する気になったか?!」
「いや、こうするのだ!」
「!、マジかよ!」
覚悟を決めたアギトの取った手段、それは自身の尻尾の切断だ。
切断面から血液が噴水の様に噴き出す。
だが、オロチの拘束からの脱出に成功した。
「はぁ…はぁ…、痛い、けど、空中なら追ってこれまい!」
アギトは空中へと飛び立つ。
オロチは対空用の攻撃技はあるが、空中移動はできない。
何より、メイン攻撃手段である拳が届かないことが空中へ退避する一番大きなメリットだ。
「そうだな。だが、俺が何も対策してないと思ったか?! 大蛇化!』
空中へ退避したアギトに対し、オロチは大蛇化で対抗する。
巨大化したオロチの全長は百メートル。
ここまでのサイズになれば、アギトの攻撃は大したダメージにはならない。
『
「あっぶ…っ、狙いは風圧か!」
オロチの振るった尾がアギトを掠めた。
それにより発生した風によりアギトは吹き飛ばされる。
幸い場外まで吹き飛ぶことは無かったが、いつまでも耐えられるわけではない。
「クソッ、これ以上は俺が不利だ。とっとと決着付けるしかねぇ!」
先ほどのラッシュによりアギトの体はボロボロだ。
もう長期間の戦闘は不可能。
ならば、次の一撃でのオロチ撃破を目指した方が勝率が高い。
「龍のエネルギーよ、我が咆哮の糧となれ!」
アギトの詠唱と共に口元に黒紫のエネルギーが集まっていく。
そのエネルギーは生命でないにも関わらず威圧を放ち、周りに黒い稲妻が走る。
「これで消し炭にしてやる!」
『その技は初出しだな、見たことがねぇ。見た感じ龍エネルギーって奴を放つ感じか。なら─』
オロチは体をうねらせ距離を詰めていく。
『その前にぶちのめす!』
現在のオロチとアギトの位置はかなり離れている。
そのためアギトが技を放つまでに間に合うかは不明。
だが、ブレス連打による確実性より己の納得を優先したアギトに答えるため、オロチは確実性のある遠距離技を使うのではなく接近して叩きのめすことを選択した。
『真っ向勝負だ! アギト!』
「それはこっちのセリフだ!」
オロチが自身の間合いにアギトを捉える。
それと同時に、アギトのチャージも溜まった。
「これが、今の俺の最高火力だ! ドラゴニックブレス!」
『ならばこちらは新たな力で迎え撃つ!
アギトから放たれた龍を象ったエネルギーと、修得していた水魔法を使い水を纏ったオロチの突進が激突する。
その威力は凄まじく、衝突した際に発生した衝撃波が観客を襲い、発生した砂埃がバトルエリアを覆い隠す。
幸い観客にはセレネとライズが防いだいたこともあり怪我がないが、屋台フードなどは殆ど吹き飛んでしまった。
『ちょ! どうなったのこれ!?』
『落ち着け通波。砂埃が落ち着くまでは判断できん』
放送席の二人の声がアークスタジアムに響く。
現在のバトルエリアは辛うじt大蛇化したオロチの動かない尻尾が見えている程度。
意図して動いていないのか気絶しているのか判別できない上、対戦相手のアギトも姿が見えず堀に落ちた様子も無いため判断が下せる状態ではない。
『…やっぱお前すごいよ』
砂埃が晴れ、二人の姿が現れる。
激突する瞬間とあまり変わらないが、一点だけ明確に違う。
アギトが気絶しているのだ。バトルエリアと堀の境界すれすれの位置で、それも両足をしっかりと地に付け直立したまま。
『アギトの気絶を確認。よって勝者、オロチ!』
『っ、やっぱ水魔法のコスパは悪いな、ここぞってとこで使わねぇと。それに、アギトから受けた傷もヤバい、大蛇化が持たねぇ』
オロチは大蛇化を解除し人形に戻る。
しかし、その体には右腕が無い。
オロチの放ったドラゴニックブレスは大蛇化したオロチの右腕の位置を消し飛ばしたのだ。
その他にも身体の至る所から出血しており、かなりのダメージを受けている。
「たく、去年より何倍もつよくなってるじゃねぇか。だがよ、龍のエネルギーって何だよ?」
オロチの純粋な疑問に答える者はいない。
何故なら気絶しているからだ。
「まあ、後で聞けばいいか」