死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。 作:鬼獣八紅
三人称視点です。
『さて、次が準々決勝最終試合! マッチングは東コーナー、八世召! 西コーナー、
「…戦うのは地下以来ですかね?」
「あぁ。それじゃあ…、あの時のリベンジと行こうか!」
「それはこちらのセリフです」
召と裂の対決は二回目。
一度目はライズ・オムニシエンスと八世召が初めて聖魔連合と出会った東地下魔道墓地の戦いだ。
その時は召が一度不意打ちで裂を仕留め、その後復活した裂が召を撃破した。
そのため二人ともリベンジと言っているがあらがち間違いではない。
「言っておきますが、負ける気はありませんよ。通波も見ていますし」
「なら、その自信を打ち壊してあげる!」
両者ともに武器を構え、戦闘準備に入る。
『両者準備は良いな。それでは試合…、始め!』
そして、天魔による試合開始のアナウンスが流れた。
「霊歩居合・餓鬼海道!」
「二刀流居合・冠木門!」
直後、バトルエリアの中央に旋風が発生する。
それは、両者の得物がぶつかり合いによって発生した物だ。
「やはり防ぎますか」
「アハハ! やっぱ召の才能はすごいね! この技、餓鬼海道だっけ? 今作ったでしょ?」
「!、確かにそうですが、何故そう思ったのですか?」
「だって初戦で使わなかったじゃない」
召は初戦である九縄戦にて、始めに霊歩を使用したのち妖魂一閃を放った。
この行動は、今回の霊歩居合・餓鬼海道と全く同じだ。
初戦で使えてたらな出し惜しむ理由は無い。
「それに動きが私の冠木門と殆ど同じだし、私の初戦を見て即興で作ったのかなぁ? だとしたら天才よ、時代が時代なら名将になれたもねっ!」
「っ、武器を!」
裂は紅顎と白喰をうまく操り駄骨を地面に突き刺す。
その過程で裂の二振りも地面に突き刺さるが問題無い。
裂の武器は紅顎と白喰だけではないからだ。
「だけど、まだ甘い!
「がっ」
裂の額から伸びた刀が召の頭に突き刺さる。
だが召はファントムだ、刀のような物理的攻撃を喰らおうが外傷もダメージも無い。
しかし今回は異なり、召に外傷こそ無いが明確にダメージが通った。
「なん─! まさか!」
「アハハ! 予想通りね! 私の魔法で生成した刃物は肉体由来、だから召に攻撃が当たる!」
「っ、予想しておくんでした」
召は頭を横へずらし刀を抜く。
魂のみの存在である召に攻撃を当てる方法は、魂を知覚することで召の魂そのものに攻撃を叩き込む、攻撃に膨大な魔力を乗せる、アンデッド系統に有効な固有魔法や道具で攻撃する、の三つだ。
通常の魔法ではこれらの条件は満たせない。
何故なら魔法で起こるのは現象であり、現象は召の透過対象だからだ。
魔法を召に叩き込みたいのなら、放った魔法に魔力を直接乗せる他ない。
その上、魂を知覚して攻撃する方法を取るにしても
普通の武器ではいくら魂を知覚していようが通用しない。
ではなぜ裂の武器が召に通じたのかというと、アレらは裂の肉体から生み出されているため身体判定となっているからだ。
「いったん離れ─」
「させない!」
「ぐっ、投げナイフも当たるんですね!」
そして、肉体から切り離された刃物も肉体判定を引き継ぐ。
そのため身体から離れようが召は裂の刃物を透過できない。
裂は召にとって天敵なのだ。
「アハハハハ! もっと、もっと! もっと!!」
裂の猛攻は続き、引き抜いた紅顎と白喰で召を連続で切りつける。
召の方も駄骨で防いではいるが、全てを防げてはおらずダメージが蓄積していく。
「っ、霊歩!」
「ありゃ、避け─」
「
召がバックステップで距離を取り、裂の刀が空ぶる。
その直後、裂に向け対艦ミサイルが発射された。
「あはっ♪ いいね、切りごたえがありそうだよ!」
しかし裂の顔からは笑みが消えない、むしろ更に恍惚としていく。
その眼はまるで新しいおもちゃを目にした子供の様だ。
裂は紅顎を体内へと格納し、右手に握っていた白喰を両手に持ち替える。
「一刀流・
そうして振り抜かれた白喰は対艦ミサイルへと吸い込まれていき、真っ二つに切り裂いた。
切り裂かれた対艦ミサイルは左右へ墜落していき、爆炎を上げ炎上する。
「
「えぇ、だから、もう二発既に発射させています!」
「!、そう来るのね!」
一発目の対艦ミサイルが上げた二つの爆炎の向こうから更に対艦ミサイルが姿を現す。
その二発は左右から裂を挟むように向かっていく。
この弾道のまま進めば二発の対艦ミサイルは激突し、裂を巻き揉み大爆発を起こす。
裂が二発とも破壊しようが、物体そのものが巨大すぎるため衝突そのものは防げない。
「それなら…、両方一度に破壊する!」
再度体内から紅顎を取り出し構える。
二振りの刀の刀身にはオーラの様なエネルギーが纏いだす。
「二刀流・
そして紅顎と白喰が振るわれた瞬間、纏っていたエネルギーが飛び出し対艦ミサイルを切り裂いた。
これは裂の隠し玉の一つ、飛ぶ斬撃である。
以前までの裂はナイフを投擲するなどしか遠距離攻撃を持ち合わせていなかった。
しかし、これではコスパが悪く体内の魔力などの材料が直ぐに尽きてしまう。
その点飛ぶ斬撃は飛ばすのが魔力と多少の刃先でいいためコスパが良い。
そのためここ数年で開発を始め、つい最近実用化レベルに達したのだ。
「続いて、渦裂き!」
しかし、ただ切り裂いただけでは対艦ミサイルどおしの衝突は防げない。
そこで裂はその場で回転することで竜巻を起こす。
竜巻のへ突っ込んだ対艦ミサイルは次々と更に細かなブロックサイズにまで切り刻まれていく。
「これで、対艦ミサイル無力化完了!」
「嘘でしょ…、三発全部防いだの?」
この試合で召が使える対艦ミサイルは一回戦と同じ五発。
裂は既に召の使える最高火力武器の約半分を無力化したのだ。
「だけど遅かったわね。あなたを倒す手段はもう整えた!」
「何?─!、アハハ、面白そうなことしてくれたわね!」
裂を取り囲んでいるのは、コールアンデッドによって召喚された大量のスケルトン、それもマシンガンのフル装備である。
放たれる弾丸は市販品であり魔法的な細工は何一つない。
そのため召は透過し、裂にのみ弾丸が命中する。
「総員、撃て!」
「アハハハ! 楽しくなってきた!」
召の合図で一斉に放たれた弾丸を裂は笑いながら叩き切っていく。
頭部のハエトリグモの眼を使えば、四方八方から攻撃されようが全てに反応できる。
「っ、やはり防ぎますよねっ! 百銀!」
「いいね! 直接切り合おう! 都市伝説・四刀流・飛騨毒竜退治の怪!」
マシンガンの弾幕の中へと召自ら突撃し、攻撃を行う。
当然裂も無抵抗ではない。
片から更に腕を生やし反撃する。
新たな腕で弾丸を弾き、元々あった腕で召の攻撃を捌く。
肩から新たに生えた腕は可動域の制限が無く、真後ろからの弾丸だってさばききれる。
剣術の実力は裂の方が上だが、召の方は霊体であるためダメージこそあるが動きが鈍くなる原因となる外傷は無い。
そのためギリギリ切り合っている状況を保てている。
「どれだけ体力あるんですか! 肉体があるのに!」
「妖怪なめんじゃないよ! それに召の方が疲れてきてんじゃない!?」
「っ、まだよ!」
召は勢いで誤魔化すが、裂の言う通りだ。
徐々にだが駄骨の精度が下がってきており、紅顎と白喰が数回体をすり抜けている。
そのたびに召の動きは悪くなっていく。
しかし、それはダメージが影響しているわけではない。
召が生前無理やり飲まされた除草剤の様な、即死はしない毒の様な何かが蓄積していっているのだ。
この時点で裂が何か細工しているのが明白である。
「はぁ…はぁ…、裂! 何をした?!」
「アハハ! その様子、やっと効いてきたみたいだね!」
「っ、だからいったい何─ゲッホゲッホ─…咳? 何で…」
「考え事とは余裕ね!」
「!、くっ」
咳は肉体の防御反応だ。ファントムとなった召が咳をすることは無い。
しかし今、召は咳をした。
霊体が咳をするのも肉体を持つ者同様の理由であり、中に何か異物が入った時だ。
「そろそろ本格的にきついんじゃない?」
「だ、から! 何をしたと聞いてるのよ!」
「う~ん、もう話してもいいか。これが原因だよ」
すると紅顎と白喰の色素が変わっていき、刀身が全て銀色へと変わる。
「それは…銀?」
「そ。私はねぇ、作れる刃物の素材に制限が無いのよ。当然、霊が嫌いな銀でも作れるって訳」
銀は古来より聖なる金属として扱われてきた。
そんな銀で覆われた刀で切られ続けた召の中には徐々に銀が蓄積していき、弱体化するまでに至ったのだ。
「そう言うわけで、残りの体力をこのまま削り切る!」
「がはっ」
いくらファントムである召であろうとダメージが通っていない訳ではない。
しかし肉体が無いためダメージの上限が分からず、上限に到達したらどうなるかも不明だ。
「っ、
だが、召とてこのままやられるわけにはいかない。
裂の隙を付きこの試合四発目の対艦ミサイルを発射する。
しかし、ただ発射しただけでは裂に再度破壊される。
「ギャハハハ! また破壊して無駄にしてあげるわ!」
「させるわけ、ないでしょ! スケルトン! マシンガンを対艦ミサイルに!」
「!」
召の号令と共に、周りのスケルトンのマシンガンの銃口が対艦ミサイルへと向けられる。
「撃て!」
召の作戦、それは、破壊されるのならその前に自ら破壊してしまえばいいというものだ。
どうせ破壊しようが起爆はする。
それなら、確実に裂にダメージを与えられる場所で破壊した方がいい。
「食らえ!」
「っ、流石に直撃はマズい! 刀束鎧!」
召は皮膚を刀で覆い守りを固める。
そして直後、二人を中心に対艦ミサイルが爆発を起こした。
「まだ…生きてる!」
対艦ミサイル事体は召にダメージを与えないが、視界は奪う。
しかし、魂を一を探知できる召には裂がまだ無事なのが分かった。
「攻めるなら今しかない!
召はこの試合最後の対艦ミサイルを撃ち込む。
裂の実力ではこれだけ打ち込んでもまだ安心できない。
その為ゆっくりと、五発目の対艦ミサイルが着弾した地点へと向かう。
「まだ生体反応はある。どれだけ頑丈なのよ。スケルトン、マシンガンを─「アッハハハハ!!」─!、嘘、もう動き出し─え?」
笑い声が響いた直後、マシンガンを持っていたスケルトン全ての首が飛んだ。
それだけならまだ何とかなったが、間髪入れずに胴体の骨も粉砕される。
これによりスケルトンの耐えれるダメージを超えたため、土の様に崩れ去った。
「いったい、何が?」
「召~、よくもやってくれたねぇ」
「!、裂!」
対艦ミサイルのよって発生した煙の中から裂の姿が現れる。
しかし、目立った外傷は無くあるのは無数の火傷と切り傷だけだ。
「何で…、それだけのダメージしか受けていない?!」
「いや、ダメージは受けたよ。ほら」
裂は右腕を掴み引っ張る。
すると右腕は外れ、そこから血が噴き出す。
そして、外れは右腕と胴はチェンソーのチェーンでつながっていた。
先ほどのスケルトンはこのチェーンでつながった腕を振り回すことで破壊したのだ。
「流石に直撃を食らったのはマズかったっぽくてね。四肢がはじけ飛んだけどチェーンでパーツを引っ張ってきて刃物をホチキス状にして無理やり固定したの!」
「っ、そんな方法で…」
「方法なんてどうだっていいのよ! 最後に勝てればねっ!」
「!、来る!」
裂は試合を決めるために一気に距離を詰める。
召の方も駄骨を構え、反撃の構を取った。
この試合で使える対艦ミサイルはもうなく、他の物を召喚する時間もない。
「これで最後よ!二刀流・都市伝説・鬼裂き!」
「負けない、妖魂一閃!」
二人の技がぶつかり合い土煙が舞う。
そして、最後にバトルエリアに立っていたのは─
「─がはっ」
「はぁ…はぁ…、あは、アハハ! 私の勝ちよ!」
『八世召の気絶を確認。よって勝者、裂!』
口裂け女の裂だ。
召は耐えられるダメージが超過したのか気絶している。
「アハハハ、あは、あ─痛っ、…やっぱ召の才能恐ろしいわね」
紅顎と白喰を戻した直後、脳のアドレナリンが切れたのか全身が痛み、右腕がズルリと落ちた。
これは裂の固定が緩んで外れたとかではない。
中のチェーン事召によって切断されたのだ。
「こっちは何年も鍛錬と実践をやってるって言うのに…。まあいいわ、私にはまだ、伸びしろがある」