死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。   作:鬼獣八紅

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 白夜視点です。


パイレーツ・オブ・マジック ─ 海の男

 

 

「よし、海上班全員揃ってるか!?」

「揃ってるっすよ白夜様!」

「いつでも攻撃行けるぞ!」

「いや流石に少し待て河原、アギト。このまま攻めても撃沈されるぞ」

「じゃあどうします?」

「どうするかか…」

 

 レイヴンに転送してもらった俺がいる場所は、ニューヨークローワー湾に浮かぶモンストルオ・サルバドル号の甲板。

 ここからベギニング・A・サファイア率いるデッドオーシャン海賊団の船団が見えるが、数が多すぎるだろ。

 船で埋め尽くされて海が見えないなんて表現があるが、まさしくそれだ。

 速度は作戦前に取り付けたエンジンとアギトの風で何とかなるが、モンストルオ・サルバドル号はマストが三本ある大型のガレオン船だからあまり小回りは効かない。

 今はまだ気付かれてないが、迂闊に動いたら囲まれて集中砲火されるのが落ちだ。

 

「…あ。なあ河原、サルバドル号って確か船首に強力な武器仕込んでたりするか?」

「!、それっす! アギト、主砲の準備!」

「わかった!」

 

 河原の号令と共に、モンストルオ・サルバドル号の角の生えたオオカミの船首の口が開く。

 モンストルオ・サルバドル号を設計する時に俺が産まれるより前に流行ったって言う海賊漫画の船をモデルにしたって言ってたからな。

 俺もあまり詳しいわけじゃないが、登場する船の一つに強力な大砲が付いているらしい。

 もしやと思って聞いてみたが、やっぱり作ってたか。

 

「白夜様! この大砲は一発撃ったらしばらく使えないっす!」

「問題ない! 発射したのち、俺と葵が先行する! それについてこい!」

「お、私の出番ね!」

「あぁ、頼りにしてるぞ」

 

 民守から海上班に葵を派遣してもらって本当に助かった。

 葵本人としては民守の法へ行きたかったみたいだが、エラスモサウルスの力を存分に振るうのは水中だ。

 水中に限れば、裂やオロチに届きうるかもな。

 

「準備できたみたいっす!」

「よし。アギト、魔法少女は巻き込んでもいいが、町は破壊すんなよ。それじゃあ、やってやれ!」

「おうよ!」

 

 モンストルオ・サルバドル号の船首の口から砲台が飛び出す。

 

 

  「灰崎特製! 高密度魔力砲だ! 消し飛べ、咆哮大砲(ロー・カノン)!」

 

 

 おいおいマジかよ。最終兵器だとは思ってたが、こんなヤバい物搭載してたのか!

 今ので船団の半数消し飛んだぞ!

 

「ねえこれ本当に町無事なの!?」

「知らねぇよそんなこと。俺だって始めて目にしたんだからな。それより行くぞ!」

「あ~もう! 分かったわよ!」

 

 ホホジロザメの能力を発動させ一気に距離を詰める。

 今回巨大化は無しだ。小回りが利かなくなる。

 狙うは船団の中で一際大きいガレオン船。

 薙ぎ払うように放たれた咆哮大砲(ロー・カノン)があの船に直撃する瞬間、海が盛り上がって防いでいた。

 恐らくその船にサファイアがいる。

 ホホジロザメの能力を使用し海中から船沈めるのが早い。

 

「葵! 俺に合わせろ!」

『了解!』

 

 狙うはサファイアが乗っていると思われるガレオン船の竜骨。

 そこさへ破壊すればガレオン船は沈む。

 現代技術で金属に成ってはいるが問題ねぇ、ぶち抜ける!

 

「打ち出の鮫槌(こうずち)!」

『エラスモボンバー!』

 

 これだけの威力があれば、竜骨どころか船底もろとも粉砕でき─

 

「おっと、やめてもらおうか」

『は?』

「っ、来やがった」

 

 予想はしてたが、俺たちの攻撃はサファイアに防がれた。

 見た感じ海水て作ったのパワードスーツみたいなの付けてんな。

 だから俺たちの攻撃を受け止め─いや、パワードスーツの海流で受け流した感じか。

 無論パワーも上がってるが、俺よりは低い。

 

「あ? よく見りゃお前白夜じゃねぇか。前より何か鮫っぽくなったな、何をやった?」

聖魔連合(うち)の技術だ。それよりそこどけよ、邪魔だ」

「はっ、どいたらキング・キラーウェイル号を壊しに来るだろ。ていうかそもそも何でいるんだここに。今日は重要な作戦の結構日なんだ。とっと帰れ」

「…その作戦を阻止するのが目的だと言ったら、どうする?」

「…そうか。なら死ね!」

「お前がな!」

 

 サファイアの拳と俺の曇天・幽がぶつかり合う。

 

『っ、白夜さん! 私はどうすればいい?!』

「葵はサルバドル号へ戻って河原に伝えろ! 船団並びにデッドオーシャン海賊団海賊団幹部をお前らに任せる! 俺が指示を出すまで、味方であろうがこの戦いの邪魔をさせるなってな!」

『了解!』

 

 さっきのぶつかり合いで分かった。

 サファイア(こいつ)は俺が相手しなきゃダメだ。場所が場所だから俺以外が相手したら速攻でやられかねない。

 こう言っては悪いが、援軍が逆に足手まといになる。

 

「おいおい逃がすかよ!」

「させるか!」

 

 サファイアが海流で葵を捕まえようとするが、腕を振るって無理やり流れを変える。

 予想はしてたが海流も操れるか。

 どんな場所で戦うにしても、フィールドそのものを操れる者は強い。

 海中はサファイアの独壇場だ。いくらホホジロザメの能力を得たとしても分が悪い。

 

「いったん水中から出る!」   

 

 わざわざ相手の得意なフィールドに付き合ってる理由は無い。

 モンストルオ・サルバドル号とは距離がありすぎる。上がるのは敵船、キング・キラーウェイル号。

 敵も大勢いるはずだが、雑魚は一撃で倒せる。

 

「させねぇよ! 渦潮!」

「やっぱ妨害するような!」

 

 何とか妨害を交わしたが、アレはヤバい。

 渦の進行方向にあった船が一撃で沈没した。

 直撃したらタダじゃ済まないなこりゃ。

 

水鬼凝固(すいきぎょうこ)!」

 

 空鬼凝固の要領で海水を固める。

 俺にぶつかった瞬間に解除されるようにしたから自爆する心配は無い。

 

「無駄だ! 鉄砲海流!」

 

 っ、やっぱ固めた海水ごと流し飛ばすか。

 だが、一瞬時間は稼げた。

 今のうちに船の上へ─

 

 

  「サーフェス・カレンツ!」

  「─はぁ!?」

 

 

 何だこの壁!

 いやこれ海流か!

 海面を高速で海流を流すことで蓋して来やがった!

 

「お前はどういう原理でホホジロザメの能力を得たのか知らないが、海上へ出ようとした感じ未だ地上戦が主体なんだろ。なら、わざわざ水上へ出してやる理由はねぇ! 鉄砲海流!」

「っ、水鬼凝固。からの鬼の礫!」

 

 海中から出れないとなるとこのまま戦うしかねぇ!

 だが、サファイアが言った通り俺の主戦は地上だ。

 それに加え多少空中戦の心得もあるが、水中戦の経験なんて碌に無い。

 何せ俺がサファイアを相手することになった理由はトップ連中で水中戦出来るのが俺だけっていう消去法だからな。

 それに俺の水中での遠距離攻撃は水の塊を投げつけるくらいしかない。

 サファイアの魔法が海操作だからこのままじゃジリ貧になる。

 

「やっぱ近づくしかねぇ!」

 

 純粋なパワーは俺の方が上だ。

 近づいて触れさえすればまだ勝機はある。

 

「近づいてくるか! ま、そうするよな!」

 

 サファイアが海流を無数に生み出し近づかせないようにするが、そうするってことは近接戦に自信がねえってことだな。

 

「まずは海流を止める! 水鬼凝固・弱!」

 

 今回はさほど強くは固めない。

 固めた所で流されるだけだからな。

 これで海水の粘性が増し泥みたいになる。

 そうなれば俺の独壇場だ。いつもの地中を泳ぐ感覚でいいからな。

 

「っ、白夜お前何かしやがったな!」

「海水の粘性を上げたんだよ! どうだ、操作しづらいだろ!?」

「クソッたれが!」

「その反応は図星だな!」

 

 だが、やっぱ一組織のトップなだけはあるな。

 操作しづらそうだが、もう対応してきてる。

 

「鬼脚!」

 

 だったら、対応される前に攻めるだけだ!

 水中は空中より密度が高いから一回の鬼脚でかなりの移動距離と速度を出せる。

 鬼脚を用いた移動はサファイアには一回も見せてねぇ。

 初見殺しで殴り飛ばす!

 

「なっ!?」

「食らいやがれっ、金剛悪鬼(こんごうあっき)鬼哭(きこく)!」

「ぐはっ!」

 

 よしクリーンヒット!

 けどこの感覚、直前に山勘張って防ぎやがったな。

 だが、今ので海面の海流が止まった。

 脱出するには今しかない!

 

「鬼脚!」

「待て白夜!」

「誰が待つか!」

 

 そのまま勢いよく海面から飛び出す。

 海中から出さえしてしまえば、さっきよりは有利に戦える。

 じゃ、ひとまず真下の船に降りるか。

 

「よっと。さて、この船はキング・キラーウェイル号で合ってるか?」

「ちげぇよ。だが、サファイア船長より先に俺たちが倒せば関係ないよなぁ! 野郎ども行くぞ!」

「…はぁ。その程度で俺がやられる訳ないだろ」

 

 ぶっちゃけこの船には雑魚しかしない。

 振り下ろされたサーベルを躱し相手の腹に拳を叩き込む。

 と言うかさっき狙ってたのキング・キラーウェイル号だよな。

 戦闘中にかなり流されたみたいだな。

 

「クソっ、とっととくたばれ!」

「っ、さっきからウザいんだよ!」

「がっ」

「たくっ。対処は出来るが数が多すぎるな。いっそこの船を壊し─《ドォンッ!》─な、何だ?!」

 

 今の音、多分この船に何かぶつかった音だよな?

 …!、まさか!

 

「せ、船長! 俺たちの船ごと沈めるつもりですか?!」

「あぁ! お前ら! 白夜を水中に落とせ!」

 

 あの野郎! 仲間ごと船を沈める気か!

 この船を巻き込むように巨大な渦潮を生成している。

 船について詳しいことは知らないが、あのサイズだとどんな船でも沈むだろこれ。

 

「クソッ、そういや聖魔連合(うち)が特殊だったな。考慮しとくべきだった」

 

 聖魔連合が特別仲間を大事にする組織ってだけで、部下を大事にしない悪の組織の方が多い。

 サファイアは大事にしないどころか使い捨てるタイプだったか。

 

「鬼きゃ─」

「逃がすか!」

「なっ、てめぇ離せ!」

 

 こいつら下手に忠誠心だけ高いタイプか。

 自分達の船沈められてるってのに俺の足掴んで来やがった。

 だが、対抗策はある。 

 

濡流濡流(ぬるぬる)!」

 

 自身の魔法で摩擦力を極限まで下げれば拘束は意味がない。

 こんな船とっとと脱出させてもらう。

 

 

  《ドゴォォォン!》

 

 

「…マジかよ」

 

 さっきまで俺がいた船が渦潮に吸い込まれ、巨大な水柱が上がる。

 あの威力となると連合内でも出せるのは限られるぞ。

 一撃では倒れない自信はあるが、そう何発も喰らえる物じゃない。

 それにあの渦潮に巻き込まれたら脱出は難しそうだ。

 

「ちっ、躱しやがったか」

「そりゃ躱すだろあんな大振りな技」

 

 とはいえあの技、結構乱発できそうなんだよな。

 それにモンストルオ・サルバドル号が喰らえばタダでは済まない。

 

「こりゃ、マジで頭使って戦わなきゃマズいな」

 

 今までは敵をぶっ飛ばせば終わりのことが多かったが、今回は軍対軍だ。

 この場合、戦況を一気に動かせる魔法持ちが鍵になる。

 そして、今回の場合はサファイアだ。

 だが─

 

「…いいね。やってやろう」

 

 その程度の戦力差、ひっくり返してやろうじゃないか。 

 

 

 

 

 

 

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