死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。 作:鬼獣八紅
三人称視点です。
「まずはその口を黙らせてあげる! これくらいはいいわよね!
だが、
即座に土壁を生成し斬撃を防ぐ。
「面倒だ。土流!」
「っ、
反撃とばかりに紅結束が生成した土津波が襲うが、裂は紅顎と白喰を扇風機の羽の様に回転させ弾き飛ばす。
しかし、津波と表現するだけあり範囲が凄まじい。
周りで戦っていた者は当然だが、セントラルパークを超え近くのビル街おも飲み込んでいく。
「裂、しばらく抑えてろ! 俺がぶち抜く!』
「頼んだわよ!」
オロチは大蛇化し、近くにあった池から水をまき上げる。
『
水でできた龍の頭が土流を薙ぎ払う。
土流の背後のビルも何棟か倒壊するが些細な問題だ。
既に近隣住民の避難は完了している上、既に
『
オロチの追撃は止まらない。
即座に紅結束へ接近し尾を叩き込む。
「
だが、紅結束は生成したダイヤモンドの腕により受け止める。
巨大な腕のためオロチの尾を受け止めるには十分なサイズだ。
オロチの尾を掴み動きを抑え込む。
『なっ! さっきより硬てぇ!』
「お前のパワーは凄まじいからな。高度を上げさせてもらった」
紅結束は更にダイヤモンドの腕を生成しオロチの巨体を地面に押さえつける。
本数が多く、大蛇化を解除しても脱走は困難だ。
「オロチ動かないで! 私が切ってあげる!
しかし、裂が即座にオロチを拘束していた岩を切り裂く。
『すまん裂、助かった』
「別にいいわ! だけど夢刀幻想発動したから一気に行くわよ!」
夢刀幻想は紅顎を緋緋色金に、白喰をミスリルにする技だ。
両方とも現実に存在しないファンタジー金属のため魔力消費が激しいため長時間の使用はできない。
なのでこのタイミングでの使用したくはなかったのだが、ダイヤモンドの腕を切断するには夢刀幻想を使う他なかった。
「一刀流居合・都市伝説・─」
一度発動してしまった物はどうしようもない。
一気に方を付けるため紅結束へと踏み込む。
「!、速いっ、
紅結束は咄嗟にダイヤモンド壁を生成する。
しかし、今から発動する技は一方面だけの防御では防げない。
裂は岩壁の脇を素通りし、即座に進行方向を変更する。
「なっ?!」
「─
背後から迫った刀が紅結束の背を切り裂く。
背中に巨大な切り傷ができ血が噴き出すが、切断するまでには至らない。
紅結束がスーツの下に咄嗟にダイヤモンドをチェーンメイルの様に編み込んだのだ。
「ぐっ、貴様!」
「アハハハ! 何回でも切り裂いてあげる! 二刀流居合・悪侍鬼!」
「剛掌!」
隙を与えることなく裂はヒットアンドアウェイを繰り返す。
紅結束もダイヤモンドの腕で掴もうとするが、巨大な物は動くのが遅いのが鉄則。
裂のスピードを捉えられず身体に切り傷が増えていく。
だがさすがは一組織のトップ、躱しきれてこそいないが致命傷は避けている。
「ギャハハハ! いつまで耐えられるかしらね!?」
「…確かにこのままではマズいな。ならばこうしよう、
「!?、地面がっ!」
突如、辺り一帯の地面がぬかるむ。
裂の居合と同時に行う高速移動は、瞬歩と言うと技術の応用だ。
そのため足場がしっかりしていない場所では上手く踏み込めず高速移動することができない。
それどころか普通に移動することすら困難だ。
「これで自由に動けまい。とっとと仕留めさせてもら─」
「俺を忘れてないか?!」
「っ、確かに貴様もいたな。剛戸!」
大蛇化を解いたオロチが殴りかかる。
紅結束はダイヤモンド壁で防ごうとするが、今回は破壊された。
「なっ?!」
「おらぁ!」
「ぐはっ!」
オロチの拳が紅結束の腹に突き刺さる。
これにより紅結束は後方へと吹き飛ばされるが、咄嗟に後方へ飛んだこととダイヤモンド壁により威力が落ちていたことにより見た目ほどダメージは受けていない。
「…なるほどな。下半身のみを蛇化させることで沼地の移動、腕に鱗を纏わせることで拳の強度をカバーしたのか」
「あぁ! これで、お前を殴り飛ばせるぞ!」
再度オロチが紅結束へと殴りかかる。
当たり前だが蛇の腹は人の足の裏より地面との設置面積が広い。
そのため沼地でも問題なく移動できる。
「
「食らうか!」
水を纏った拳とダイヤモンド壁がぶつかり合う。
だが、今回は全く意味をなさない。
鱗に加え水を拳の周りで回転させているのだ。
ウォーターカッターの原理でダイヤモンドをいともたやすく粉砕する。
「クソッ、
「!、させるかよ!
紅結束が技を発動しようとし、辺りの沼地が蠢く。
発音的に今までの戦いで使用していない技だ。
どんな効果か分かった物ではない。
そのためオロチは拳を握り一気に距離を詰める。
「火山砲」
しかし、拳が直撃するよりも前に紅結束は別の技名を唱えた。
唱えると同時にオロチの進行方向の地面に深い穴が空く。
高速で接近していたオロチは急には止まれず空いた穴の上に差し掛かる。
「
「食らえ」
直後、穴から噴き出してきた膨大な噴煙がオロチを包み込む。
「オロチ!」
「無駄だ。今ので消し炭だろう」
噴煙の温度は八百度~千二百度、生物が生存できる温度ではない。
その証拠に、噴煙が晴れた後にオロチの姿は無かった。
「っ!…、紅結束!」
「無闇に突っ込んではいい的だ!」
裂は紅結束へ距離を詰めるが、依然地面はぬかるんでおり思うように移動できない。
目の前に地面に斜めの穴が無数に空き裂に狙いを定める。
「パクチャー!」
だが、裂は生成したナイフを空中に浮かせ次々と飛び移ることで回避していく。
足場はかなり悪いが、ぬかるみに足を取られるよりは何倍もマシだ。
「殺戮マリオネット!」
「っ、剛戸!」
紅結束を囲いマシンガンの様に放たれたナイフはドーム状ダイヤモンド壁に防がれる。
これにより紅結束の視界が塞がれたことで火山砲で裂を狙えなくなった。
しかし、この状況は裂にとってもよろしくない。
ぬかるみに嵌っている間に夢刀幻想の効果時間が切れたためダイヤモンド壁を突破できる手段が無くなったのだ。
殺戮マリオネットによる足止めはいつまでも出来るわけではない。
このままではいずれ敗北する。
「クソッ! どうしたら…、!、アレがあった。─こちら裂、灰崎聞こえる?!」
『こちら空中戦艦ヴィマナ号灰崎、何があった?』
裂が連絡を取ったのは空中戦艦ヴィマナ号。
艦内に居た灰崎が裂の通信を受け取る。
「オロチが紅結束の技に巻き込まれ行方不明! 場所調べてもらえる?!」
『わかった。調べるからそのまま紅結束を足止めしとけ』
灰崎はヴィマナ号に設置されている画面を操作する。
テレポートボタンには紛失、盗難、装備者の行方不明などを考慮し発信機も取り付けられているのだ。
実際、魂を保持する機能が搭載される前のプロトタイプテレポートボタンではキャットガールが所持していたテレポートボタンから
『─結果が出たぞ。オロチは吹き飛ばされて今裂がいる地点から五百メートルほど離れた地点で倒れてる』
「は? 噴煙直撃して死んでないの? いや生きててよかったけど」
『オロチはライズから魔力防御を習ってたらな。咄嗟に防いだんだろ』
魔力防御とはライズが異世界から持ち込んだ技術だ。
攻撃される箇所に魔力を固めることでダメージを軽減、直接ダメージを与えるわけではない魔法の効果を防ぐなどが出来る。
オロチは咄嗟に魔力防御を発動し噴煙を防いだのだ。
そのため全身大火傷しているが、即死はしていない。
なお、防げたのは噴煙だけであり落下の衝撃を耐えたのはオロチの素の耐久力だ。
『今レイヴンがオロチの元にオウルを送った。一応直ぐに復帰させれそうとのことだが、援軍送った方がいいか?』
「…えぇ。本当はビルドの元にたどり着く前に決着を付けたかったけど、それすら無理そうね。ダイヤモンド壁を突破できないもの。帰ったらオロチと共に鍛えなおすわ』
「そうか。じゃ、今から援軍を送るぞ」
◇◇◇
ニューヨーク上空、ヴィマナ号艦内。
操縦室で裂からの援軍要請を受けキーボードを操作していた。
「これで良し。セレネ、お前は下層へ向かってくれ。アレを使用する」
「了解しました」
灰崎に指示された副艦長であるセレネが下層へと向かう。
空中戦艦ヴィマナ号はスペースシャトルをモチーフにしているが、戦艦と銘打っているだけあってモチーフ元より巨大だ。
構造は上層、中層、下層三層構造になっており、操縦室は中層にある。
「さて、じゃあ出撃と行こうか。スカイ」
「ムリムリムリムリ何で私?! 実力的にもセレネでしょそこは! 私は運搬要員なんだよ!」
裂の援軍要請で灰崎が出撃を選んだのはスカイだ。
しかし、当の本人は全力で出撃を拒む。
スカイは戦闘職ではなく、百鬼武闘大会にも出場していない。
「今回援軍を要請された理由は物理的防御を突破できないからだ。物理的防御ならお前が引っぺがせるだろ」
「いやそうだけどさ! 裂なら突破出来るでしょ!」
「そうでもないぞ。素材は固くなるほど切りにくくなるからな。夢刀幻想だったか、強化技が切れれば技量どうこうの問題じゃなくなる。それにお前だって幹部だ、一般戦闘員よりは強い。そう言うわけだからとっとと行ってこい」
「…あ~もう、わかったよ」
スカイはエレベーターに乗り下層へ向かう。
下層では先にセレネが出撃準備のための準備を始めていた。
「スカイ様、準備しておりました」
「…ねぇ本当、何でこんなの付けたの?」
「灰崎様曰くロマンだそうです」
「技術者ってたまに訳わかんないものつけるよね」
下層にあるのは空母などに設置されているカタパルトだ。
カタパルトは戦闘機を発射するための設備だが、このカタパルトは戦闘機を発射するための物ではない。
飛行できる戦闘員を発射するためのものだ。
「見た感じここに足乗っければいいのかな?」
「はい、下の台が前方へ動きます。前方にあるラインで台は止まりますので、それに合わせ飛び立ってください」
「わかった」
スカイはスターティングブロックの様になっている場所に足を乗せる。
これで勢いよく押し出されても足が滑ることはない。
「では、ビーストモードの発動もお願いします」
「あ、忘れてた。まぁ確かに勢いよく発射されるんだったらビーストモードの方がいいよね」
当然のことながらスカイもゲノムプラスは摂取している。
そのためスカイもビーストモードを使用できるのだ。
ビーストモードを発動したスカイの体は羽毛に覆われていく。
そして変化が終わり現れたのは、全身を白い羽毛で覆った人の身体ほどはある巨大な大鷲だ。
『セレネ、準備できたよ』
「了解しました。それでは、ハッチオープン」
セレネが操作盤のボタンを押し、発射台前方のハッチを開く。
「それでは、ご武運を」
『ありがとね。じゃ、行ってくる!』
発射台が押し出され、スカイがヴィマナ号から発射される。
目的地は裂たちが戦っているセントラルパークだ。
『─見えた、あそこね!』
とてつもない速度で発射されたスカイは僅か数秒でドーム状に展開されたダイヤモンドを視界にとらえる。
『裂! 周りのナイフ退かして! そのダイヤモンドを引っぺがす!』
「!、来たわね。わかったわ!」
「…何だ、諦めたのか?」
「いいえ。ただ、頼もしい援軍が来てくれたわ!」
「何?」
『捉えた!』
紅結束が外部の様子を確認するため僅かに開けた隙間に爪を差し込む。
スカイの魔法、運搬魔法は術者の掴んだ物体の重さや空気抵抗を術者本人のみ無視するという効果だ。
それに加え最近は魔法を酷使しすぎたため効果が進化し、持ち上げる際にかかる力も無視できるようになった。
つまりどういうことかと言うと、動かぬよう地中に食い込ませていようが無駄だということだ。
『こんな物邪魔なのよ!』
「なっ?!」
スカイはそのまま羽ばたき、ダイヤモンド壁を地面から引き剥がす。
「あいつ、いったいどんな能力を─」
「よそ見している場合?!」
そして、紅結束の注意がスカイへ向いた瞬間を狙い裂が距離を詰める。
裂は居合の構を取るが、いつもの様に踏み込む体勢ではない。
地面がぬかるみ踏み込めないのなら、始めから動かずに技を放つだけだ。
「!、剛─」
「遅い! 一刀流居合・
「ぐはっ!!」
勢いよく振り抜かれた白喰が紅結束の腹に突き刺さる。
紅結束も咄嗟にダイヤモンド製チェーンメイルで防ぐが、勢いまでは殺せず後方へとぶっ飛ばされた。
「スカイ!」
『了解! ウィングウィンド!』
「ぐっ」
空中へ浮き上がった紅結束目掛け風を起こし、更に後方へと吹き飛ばす。
紅結束の魔法はあくまで地面を操作するものであり、土や溶岩を生み出せるわけではない。
そのため空中で行動することは不可能だ。
『裂乗って! 私が運ぶ!』
「頼むわよ!」
裂はスカイの背中に乗り紅結束を追う。
だが、追いつく前に紅結束は地面に墜落する。
「クソッ、ここまでコケにするとは。だが、地面に触れればこちらのものだ」
『!、裂これ大丈夫?!』
「問題ない、突っ込んで!」
「そのまま来い、捻りつぶしてくれる」
紅結束は地面に触れ技の発動準備が整う。
それに対し裂たちは回避行動すらとらず、あろうことか速度を上げる。
このままでは回避行動がとれず、紅結束へと突っ込む。
「食らえ、大噴火!」
そして、紅結束が裂たち目掛け魔法を唱える。
しかし、地面が少し盛り上がっただけで何も起こらない。
「は?」
「一刀流・
「がっ?!」
紅結束が呆けている隙に裂が右腕を切断する。
だが、今の紅結束はそれどころではない。
「なぜ…私の能力が発動いなかった…」
「それは俺のせいだ」
「!、誰だ!」
紅結束の声と共に、木陰から鎧を着こんだオークが姿を現す。
彼こそが対紅結束戦における最後の主要メンバー、ビルドだ。
「貴様何をした!」
「なに、俺の魔法でここら一帯の地面を固めただけだ」
ビルドの魔法は接合魔法。
効果は魔法名通りあらゆる物体を分子レベルで結合するというものだ。
この魔法が、対紅結束においては特効となる。
「お前の大地操作は確かに凄まじいが、所詮は範囲が広いだけの操作能力。俺が操作対象を固めてしまえば何も出来まい」
「き、貴様!」
「とは言え、俺は非戦闘要員だ。攻撃は二人に任せるとしよう」
「二人? 口裂け女と鳥のことか?」
「いや、さっきお前が吹き飛ばした男だ」
「さっき…まさか!」
直後、紅結束の隣にワープゲートが開く。
そして、ワープゲートから飛び出してきた拳が紅結束の顔面を殴りつける。
「ぐはっ」
「よぉ、さっきは良くもやってくれたな」
ワープゲートから出てきたのは先ほどオウルによる治療が完了したオロチだ。
声には怒気が含まれており、かなり怒っているのが伺える。
先ほど紅結束がコケにしたとか言っていたが、それはオロチにも言えるのだ。
「ビルドがここにいるってことは、お前もう大地操作できないみたいだなっ!」
「がはっ!!」
オロチの蹴りが紅結束の腹に突き刺さる。
この程度の攻撃、先ほどまでの紅結束なら余裕で防いでいたが、魔法が使えないとなるともう一方的な戦いにしかならない。
いや、もはや戦いとすら言えないだろう。
「せめて一撃で殺してやる。裂、合わせろ!」
「ギャハハハ! ついにやるのね!」
オロチは拳を構え、裂は隣に立ち紅顎と白喰を構える。
「クソッ、なら先に殺すまでだ!」
無論、紅結束も無抵抗ではない。
唯一持ってた武器である鉄幹を構える。
だが、たかが鉄棒一本では二人の攻撃は止められない。
「「八岐伝説・異界!!」」
同時に放たれた拳と刀が紅結束を消し飛ばす。
それと共に辺り一帯にいた兵馬俑がただの土塊に戻る。
「…完全に死んだっぽいな」
「みたいね。…はぁ、本来ならもっと早く殺したかったのに」
「そう言うな。…それより、お前らまだ戦えるか?」
「行けるけど、できれば回復したいわね」
裂がそう呟くと、小型のワープゲートが開きそこから出てきた腕が全員の怪我を回復させる。
「これはオウルさんの」
「一応言っとくがこれ体力は回復しないからな。さて、お前ら構えろ」
その言葉と同時に、辺り一帯に居たキャットガールの分身体がザクロの様に潰れる。
そして、血でできたカーペットの上を一人の魔法少女が歩く。
「よくやってくれた名も知らぬ怪人ども。代わりに紅結束を倒してくれて」
「ガレンゲージか。気を付けろよお前ら、あいつの魔法は恐らく言霊。抵抗できるかは不明だ」
「ほぉ、私の魔法を知っているのか。ずいぶんと勉強熱心だな」
「…スカイ、ビルド、お前たちは離れてろ」
『ごめんね。流石に私と相性が悪すぎる』
「すまん、後は頼む」
アギトはスカイとビルドを下がらせる。
二人は戦場へ来てはいるが非戦闘員だ。
防御手段がほぼ存在しない攻撃手段を持つ相手と戦わせるわけにはいかない。
「アハハハ! ちょうどいいわ。私、ちょうど特訓したかったの。いいサンドバックになってね!」
「おいおい、あまりこのガレンゲージ様を舐めるなよ」
「裂、魔法だけで言えば紅結束より強力だ。気を付けるぞ」
「分かってるわよ!」