死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。 作:鬼獣八紅
三人称視点です。
「おい
「さっき
「何かヨーロッパの魔法少女らしいぞ!」
民守がセインティと接敵した頃、オロチと裂はガレンゲージと戦闘を繰り広げていた。
「お前たち、なかなかやるみたいだな。流石、
「うるさい! 二刀流居合・─」
裂が
「─
「【ブロー・アウェー】」
「あぁぁ! まただよ!」
「マジであの魔法厄介だな!」
しかし、ガレンゲージの一言で裂は後方へと吹き飛ぶ。
先ほどからガレンゲージは一歩も動いておらず、オロチと裂の攻撃は魔法により防がれる。
ガレンゲージの魔法は無機物にも有効なため遠距離攻撃も意味をなさない。
「あ~もう! お前何が目的?! 確かに私はサンドバックになってねとは言ったけど、反撃すらしてこないのは予想外よ! これならレイヴンにバルバラのとこ送ってもらうべきだった!」
「…目的と言ったな。そうだな…、強いて言えば、お前たちのトップをこの場に引きずり出すことだな」
「っ、私たちは眼中にないって言うの!?」
「舐めやがって」
ガレンゲージの言葉に裂が声を荒げる。
連戦で本調子ではないとはいえ、二人の実力は相当な物だ。
そんな二人をガレンゲージはトップの前座扱い。
二人とも実力が聖魔連合トップに一歩劣ることは自覚しているが、だからと言って前座扱いは流石に怒る。
「ん? 別に舐めてはないぞ。お前たち、実力的に組織の中でも実力上位の怪人だろ。だけど私の魔法と相性が悪すぎる。だからある程度実力差を見せた上で更に隙を晒せばさっき使用してたワープゲートとかで出てくると思ったからこうしている。ま、結局来なかったがな」
「はっ、この戦場は俺たちが任されてるから。俺たちが死なない限り、レイヴンさんは信用して出てこねぇよ! 裂、合わせろ!」
「了解!」
オロチと裂は左右に分かれ対角線上にガレンゲージを挟む。
「何する気だ? 無駄なのに」
「こうするんだよ!
「殺戮マリオネット!」
二人同時に遠距離技をガレンゲージ目掛け放つ。
ガレンゲージの魔法は非生物に対してはどれだけ振動が届いたかで効果量が変わり、生物に対しては対象がどれだけ声を感知できたかで変わることは先ほどまでの攻防で判明している。
そして発動条件が声である以上、背後への効果は薄い。
そのため全方向からの攻撃は対応しきれない。
「【ライズ】!」
だが、ガレンゲージは上昇気流を作り出すことで攻撃を受け流す。
攻撃全てに対し魔法が発動できないのなら、その周りに魔法を使用すればいい。
「まだだ! 打ち続けろ!」
しかし、二人は攻撃し続ける。
ガレンゲージの魔法は効果が永続するタイプではない。
そのため攻撃し続ければいつかはダメージが通る。
本来はそんな状況にはならないが、ガレンゲージがトップを誘い出すためにその場から動いておらず、オロチが遠距離攻撃による弾幕を見せていなかったことが重なりこの状況が成立した。
「あははは! いつまで耐えらえるかしらねぇ!?」
「言っとくが、吹き飛ばそうとお前目掛け撃ち続けるからな!」
「っ、面倒な」
少しづつだが上昇気流を突破してくる投擲物が増えてきている。
まだ躱し切ることができるレベルだが、もう長くは持たない。
この風の障壁が切れた瞬間、ガレンゲージは無数の弾幕によってハチの巣にされる。
(一応この状況を突破できる手段はある。だがその後が続かないし下手すればデカいのを食らいかねない。…ん? 何だこの音?)
ガレンゲージは魔法が音に関係するものであるため耳がいい。
その耳が、こちらに向かってものすごい速度で近づいてくる物体の音を捉えた。
「(この独特なソニックブーム一歩手前の様な音とコーラが噴き出すようなシュワシュワとした炭酸の音、それに怪人らが言っていたヨーロッパの魔法少女…あいつか!)─怪人ども、どうやら時間切れのようだな」
「あ?」
「何言って…、待って、何か近づいてきて─」
《ドゴォォン!》
裂が言葉を言い切る前にガレンゲージ目掛け何かが突っ込み砂埃が上がる。
着地の衝撃は凄まじく、上昇気流が吹き飛びオロチと裂はバランスを崩す。
「っ、いきなり何?!」
「それより砂埃だ! このままじゃガレンゲージを見失─」
「キャンディロック!」
「なっ?!」
「これは…飴?」
その隙を付き、土煙の奥から伸びてきた飴が二人を拘束する。
「おいアリアスイート! 私目掛け突っ込んでくるな! 周りに怪人どもが居たんだからそっちにしろ!」
「うるさいですね。ちゃんとマシュマロで衝撃吸収したでしょう。これ以上文句を言うならその口にお菓子を押し込みますよ」
ガレンゲージの文句をベージュ色の長髪を後ろにまとめ白いコックコートを着込んだ魔法少女─アリアスイートは聞き流す。
よく見るとガレンゲージはマシュマロまみれになってはいるが無傷だ。
だが、それは文句を言わない理由にはならない。
「…わかった、これ以上は何も言わない。だが、そもそも何で来た?」
「こちらにバルバラ・B・イノセンティが来ているからです。バルバラの方は因縁のあるトライアスとセインティが、ベギニング・A・サファイアの方にはリリートックが向かっています」
「サファイア…お頭の方にも行ってんのか」
「なら特訓とか言わないで、とっとと倒して応援行かないとねッ!」
裂が自身を拘束していた飴を砕きアリアスイート目掛け踏み込む。
ガレンゲージの魔法と相性が悪い以上、もう片方を先に潰すのが定跡だ。
「
「ビスケットシールド!」
だが、アリアスイートはビスケットの盾を生成し裂の攻撃を防ぐ。
「っ、硬い」
「クック・ド・ディナン、世界一硬いビスケットです」
アリアスイートが裂を押し返す。
アリアスイートの魔法は食材魔法。自身の魔力から食材を生み出し、無生物を食材に変えるなどができる魔法だ。
本来は後方支援系の魔法だが、アリアスイートは最低限の体術も心得ている。
近接戦が得意なわけではないが、直ぐに倒れるほど軟じゃない。
「裂! お前はそのままアリアスイートを相手しろ!」
「了解! じゃあガレンゲージよろしくねっ!」
裂とオロチがそれぞれの相手へ攻撃を仕掛ける。
「ガレンゲージさん、あの二人の情報を」
「刀持ってる方は剣術と身体からの刃物生成に操作、無手の方は武術に加え大蛇化する。そしてこの場に居ない二人の仲間と協力して
「…なるほど。では始めから奥の手を切った方がよさそうですね。ガレンゲージさん、これを」
「あぁ。ありがたく使わせてもらうぞ」
アリアスイートはコーラを飲み、ガレンゲージは受け取ったキャンディを口に放り込む。
「戦場で食事なんて呑気ね! 二刀流居合・
その隙を付き裂がアリアスイートへ切りかかる。
「いえ、れっきとした戦闘行為です」
だが、裂が振るった刀に手応えは無い。
アリアスイートが高速で移動し躱したのだ。
流石に速度系魔法には及ばないが、変身のデフォルト昨日である身体強化で出せる速度より圧倒的に速い。
「っ、さっき食べたのはブーストの為だったのね」
「正解です。キャンディソード!」
アリアスイートが飴で形成した剣で切りかかる。
食材魔法のもう一つの効果、それは食材を食べた対象へのバフだ。と言うかこちらの方が本来の効果だったりする。
アリアスイートが飲んだコーラの効果は速度上昇。
これにより、高速で動き回る裂と問題なく近接戦を行えるようになった。
「オロチ気負付けて! 相手バフ掛けてる!」
「了解!」
「はっ、私に対してバフを警戒しても意味無いぞ!」
ガレンゲージは魔法を発動させるために息を吸う。
だが発動直前、オロチは自信の耳を全力で叩いた。
「【ストップ】!」
ガレンゲージの魔法がオロチを襲う。
「効かねぇ!」
がだ、オロチは止まらない。
よく見ると両耳から血が流れており、声が一切聞こえていない。
「なっ?!」
「
「【スリップ】!」
ガレンゲージは咄嗟に地面を滑らせオロチの顔を狙っていた拳を逸らす。
がだ、完全に逸らしきることはできずガレンゲージ頬を切り裂く。
「痛った!」
「よし、やっぱ効いてねぇ!」
「お前、鼓膜破りやがったな!」
「
「あぶねッ!」
そのまま横に振り抜かれた腕をガレンゲージはしゃがんで躱す。
「【バック】!」
ガレンゲージは自身に対し魔法を発動させ後方へ下がる。
先ほどアリアスイートから受け取った飴の効果は魔法出力上昇だが、発動条件を満たせないのなら意味がない。
「ちっ、行けると思ったがやっぱやりずらい。普段ある物が無いと違和感が凄いな」
「…やはり魔法が対象にかからないとやりずらいな。アリアスイート! 地面を変化させろ!」
「え、何故ですか? こちらだって忙しいんですよ!」
「先ほど話した敵の仲間によって地面が固められている! 私の魔法で操作できない!」
「そういう事は先に言ってください! 即座に即座に行います!」
「させるとでも!」
「っ、やはり強い」
ガレンゲージがアリアスイートへ地面を変えるよう指示するが、裂の猛攻によりそんな隙は無い。
今は互角の戦闘を繰り広げているが、バフの効果が切れれば押し切られる。
「やっぱ私が剣士を相手にした方がよさそうだな」
「よそ見してんじゃねぇ!」
「おっと」
オロチの拳が飛んでくるがガレンゲージはバックステップで回避する。
やはり聴覚が機能していないため精度が悪い。
だが、徐々に拳の精度が上がってきている。
「(このままじゃマズい…、一気に仕留めにかかるか)─アリアスイート! しっかり体支えとけ!」
「!?、は、はい!」
アリアスイートは飴で自身の体を包み込む。
「(何か来る!)─今の内! 二刀流・
裂はその隙を見逃さずアリアスイートを仕留めにかかる。
しかし、その刀が届く前にガレンゲージが動く。
「【グラビティ】!」
「ぐっ…」
「なっ?!」
「ぐはっ!?」
ガレンゲージが言葉を発した直後、この場に居た他三名は地面に勢いよく叩きつけられた。
特に聴覚を失っていたオロチは咄嗟のことで受け身が取れず吐血する。
今の言葉は地面に対して向けられた物なので聴覚が無い者にも効くのだ。
「アリアスイート今だ!」
「ホールケーキアイランド!」
アリアスイートが地面に手を置き魔法を発動させた直後、大地が変化していく。
土はスポンジケーキに、芝生はホイップクリームに、樹木はトッピングのフルーツへと変化する。
「っ、地面がっ」
そして地面がホールケーキへ変わったことでビルドの魔法が切れる。
その上、ホールケーキは土より圧倒的に強度が無い。
居合を放とうと踏み込めば沈み、拳を放とうと踏ん張っても沈む。
ビルドは
「これでもう、先ほどまでの高速移動はできません」
「よくやったアリアスイート」
「ガレンゲージさんが隙を作ってくれたおかげです。それとこちらを、怪我しているようですので」
「済まない」
ガレンゲージはアリアスイートから受け取ったソーダを飲み干す。
すると、裂かれた頬はみるみる再生していき、物の数秒で全身の傷も塞がる。
「嘘!? 回復持ち?!」
「ポーション系か? 厄介な」
「さて、よくもやってくれたな蛇怪人。第二ラウンドと行こうか!」