死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。 作:鬼獣八紅
「まずはエルファウルからだ!」
鮫の尾で水中を蹴り更に深く潜る。
ベギニング・A・サファイアはミヤが
空気の膜を破壊し海底へ押しやっただけだ。浮上しようと思えばできてしまう。
「見つけたぜ!」
「グッ…ゴハッ」
やっぱ息続いてねぇな。
空気の膜を破壊する時に腹に一撃入れといて正解だった。
どんなに強力な魔法を持っていようと、生命活動を維持できなければ意味がない。
「一気に仕留める!
「ガッ」
曇天・幽をエルファウルの腹に叩きつけ更に深い所へ落とす。
だがまだ意識はある。
てか今の一撃で海底に叩きつけたのに何で生きてんだよ、どれだけ頑丈なんだ。
「だがもう避けられない!
思いっきり曇天・幽を叩きつけた衝撃で砂煙が舞う。
「…ん? 妙だな?」
曇天・幽の先の感覚が可笑しい。
より正確に言うなら肉を潰した感覚がしない。
それに血も漂ってねぇ。
「…ちっ、回避しやがったか」
砂埃の下から現れたのはただの海底だ。
エルファウル肉片一つありやしない。
あり得るとしたら地中に潜ったとかだが、直前まで確かにあの場にエルファウルはいた。
僅か数秒で地中に潜るのは無理だろ。
いや恐らく大規模な風を起こせば行けるだろうが、水中だし何より俺の攻撃前に砂埃が舞ってないのはおかしい。
「考えられるのは…第三者か」
渡されたデータだと現地の魔法少女でこのレベルの戦いに付いてこれる実力者は残っていなかったはず。
だとしたら…、ヨーロッパ勢か。
「
『オッケー、スマホに送るね。あ、一部不明のあるから注意して」
「了解」
相変わらず通波の仕事は早いな。
えっと…、来たのは四人か。
一人目、アリアスイート。食材魔法。
二人目、セインティ。重力魔法。
三人目、リリートック。魔法は不明、ネットで明らかにおかしい距離を瞬間的に移動したという情報あり。
四人目、トライアス。魔法はこちらも不明、ネットの画像で大槌を振るってたらしい。
「アリアスイートは
だが魔法が分からないのは厄介だな。内容がテレポートだけならテレポート魔法でいいし、何よりレイヴンとの戦闘で慣れてる。
何ができて、何ができないのか、その見極め見誤ると一瞬で負けるのが対魔法少女戦だ。
過去に俺も見誤って負けかけたことがあるからな、注意しないと。
「まあいい。エルファウルの位置が分からないならまずはサファイアを潰す!」
わざわざ居場所のわからない相手を狙う理由はねぇ。
それにサファイアはサファイアで厄介だ、優先順位がエルファウルより下ってだけで潰せるときに潰す。
「この…離しやがれ!」
「まだ逃げられねぇみたいだな!」
「なっ、白夜?! クソッ、こんな時に!」
サファイアは海流を作って逃げようとしてるが、流石に押さえつけられた状態では月光王餓ほどの質量を退かすほどの出力は出ないみたいだな。
だがそれでも周りを流れる海流が邪魔だ。
…面倒だな、海流ごと消し飛ばすか。
「
魔力による身体強化を極限まで高める。
この状態では普段の様な戦闘はおろか、強化のし過ぎで普通の移動すら難しい。
だが、
「お、おい! まさかその状態でその金棒振るうつもりじゃないだろうな?!」
「それ以外何があると?!
「クソッ、カレンツ・シーサーペント!」
海流で作った龍か。
だが…。
「このままぶち抜く!」
「なっ!?」
海水の龍は金剛悪鬼・雷鳴で消滅した。
しかし威力を殺されたのはこちらも同じ。
「もう一発─『白夜様! さっき海中へ叩きおとしたエルファウルが白夜様目掛け海中へ突入した!』─っ、やっぱ死んでなかったか!」
しかもご丁寧に反撃に来るときた!
「ミヤ、そのままサファイアを抑えてろ! このまま迎え撃つ!」
『ダメ! 今回ばかりは逃げて!』
「は? 何でだ?」
『確かに攻撃力は白夜様の方が上かもしれないけど、攻撃範囲が違いすぎる!』
「あ? それはどういう…、いやいい、今意味が分かった」
明らかにサファイアが起こしたのとは違う海流が発生している。
それにどんどん速くなってるな。
「クソッ、このままじゃ面ど─「ウィンド・ペセル!」─
飛んできた槍を曇天・幽で受け止める。
「っ、流石に防ぐわよね」
「おいおいいきなりかよ! さっき叩き落とした報復か?!」
「あなたの言葉に付き合う気は無いわ。とっととやられなさい、トルネードミキサー!」
「なっ、てめぇ!」
エルファウルの野郎、トルネード起こす要領で渦潮作りやがった。
しかも俺たちが今いる場所は渦潮のほぼ中央、下手に動けば俺でもミキサーの技名通り粉微塵だ。
現にミヤの月光王餓の腕が徐々に崩れていってる。
サファイアが何分息を止めていられるか知らんが、このままじゃ先に影が崩壊しちまう。
「ミヤ! サファイアを開放しろ!」
『え?! 本当にいいの?!』
「サファイアが息切れ起こす前に月光王餓の腕が保たねぇだろ! それに、今は開放した方が都合がいい。 おいサファイア! 聞こえてたろ手伝え!」
「OK。一時、共闘と行こうか!」
月光王餓の拘束から外れたサファイアにより渦潮が消滅する。
やはり本職にゃ敵わないか。
「ナイスだサファイア! これでも食らえ、打ち出の
「ウィンドシフト」
「ちっ、またかよ!」
てか水中でもその技使えんのかよ。
だが地上より精度も力も低い。
この程度なら連打でゴリ押せる。
「
「
「っ、ウィンドシフト!」
曇天・幽による無数の突きと高速の海流がエルファウルを襲う。
エルファウルも俺の攻撃は全部捌いてるが、サファイアの海流は捌けてない。
水中なのもあるが海流の攻撃はまともに見えてないのか?
ま、何にせよ都合がいい。
「サファイア! 何でかは知らないがお前の攻撃は避けずらいらしい! だからお前主体で攻めるぞ!」
「んなこと言われなくても分かっとるわ!」
サファイアが海流の数を増やす。
俺の役割はひたすら攻撃し続け脳のリソースを割くこと。
天候魔法なんていう大雑把の代名詞みたいな魔法でこんな細かな操作、細心の注意を払ってないはずがねぇ。
「くっ…」
「オラオラ! こんなもんか?!」
「…いいえ。ゼロエリア」
「?!、水が!」
突如俺たちの周りの水が消えた。
いや、消えたというより押しのけられた感じだな。
範囲はぱっと見エルファウルを中心に円柱状で半径五十メートル前後。
範囲外からサファイアの鉄砲海流で狙えない距離じゃないが、これ程距離があると余裕で防がれそうだ。
「ミヤ!」
『了解!』
それなら、逸らせないレベルの質量攻撃を叩き込む!
『シャドウスタンプ!』
「トルネードアクセル、ウィンド・カノン!」
『なっ?!』
月光王餓の腕がエルファウルの投擲した槍により粉砕される。
だがこれで隙ができた。
「
空中を蹴りエルファウルへ接近する。
一度逃がせばかなり厄介だ、確実に仕留める!
「!、まずい!」
「おせぇよ! 金剛悪鬼・奈ら─「カレンツ・シーサーペント!」─?!、鬼脚!」
「がっ?!」
俺が殴る前に横から海流で作られた龍がエルファウルを飲み込む。
今のサファイアのだよな。
完全に俺事飲み込む軌道だったぞ。
「ちっ、躱したか」
「おいサファイアどういうことだ! 裏切ったのか?!」
「裏切るも何も、
「っ、クソが!」
再度空中を蹴り海水のレーザーを回避する。
確かに俺は”一時”と言っただけで明確な時間は決めてない。
だからサファイアの裏切りも嘘ではないし、俺の嘘探知にも反応しなかった。
それに海中へ叩きつけられたエルファウルも追わなきゃならねぇ。
「ミヤ! サファイアが裏切った! さっきみたいに圧し潰せ!」
『了解! シャドウスタ─「させるわけにはいかないよ」─?!、シャド─《バンッ》─』
「ん? おいミヤ返答しろ! ミヤ!」
クソッ、通信切れやがった。
一瞬通信に入ったあの音は恐らく銃声。
「…まさか! っ、やっぱそうかよ!」
月光王餓が崩れていく。
崩壊するのはミヤが解除した時か、意識を失った時。
となるとさっきの銃声でミヤが死亡したのはほぼ確定。
ミヤは情報収集班兼森の狩人であり気配察知能力は連合内でもトップ層。
そんなミヤを暗殺じみた方法で殺すとなると、気配を完全に断ち近づくか、テレポートで瞬時に奇襲するか。
そしてこの戦場において、こんな芸当が出来る奴に心当たりがある。
「リリートック、やりやがったな!」
「おいおいよそ見してる場合か!?」
「ちゃんと意識割いてるわ!」
サファイアの攻撃を再度躱す。
空間系魔法はとても貴重だ。俺だってレイヴン含め三人しか見たことが無い。
あくまで俺が見たことある範囲だから実際はもっといたのかもしれないが、何にせよ貴重だ。
しかも相手は銃使い。その銃が変身アイテムかサポートアイテムかは知らんが、レイヴン相手する時並に油断できなくなった。
「
『…すいません白夜様、現在そのリリートックと戦闘中です!』
「はぁ?!」
『既に船員八名が本部送り、俺、アギト、葵で相手しています。ですが、実力はこちらが上ですが相手が時間稼ぎに徹しているため攻め切れません!』
「っ、そのままリリートックを相手して仕留めろ!」
『了解!』
クソッ、面倒な事になった。
モンストルオ・サルバドル号にこっちの援護を頼もうと思ったが、リリートックも無視できない。
「…考えても仕方ねぇ!」
「!、逃げるな!」
「逃げねぇよ!」
サファイアの攻撃を躱しながら上へと向かう。
目的は一つ、一度、戦場をリセットする!
「この辺りでいいか」
来た場所は海抜約百メートルの地点。
道中エルファウルの妨害があるかと思ったが、まだ水中にいるのか?
「…まあ、警戒だけでいいか。途中で妨害されると面倒だし」
曇天・幽を振りかぶり、空気を先端で固める。
「行くぜ!」
今回はただ振り下ろすだけじゃない。
空気塊が付いてない方の曇天・幽の先端に空気でチェーンを作り振り回す。
遠心力プラス速度プラス重量だ、これを海面に叩きつければダイナマイト漁みたいに衝撃波が広がる。一度海上へ出なきゃ一網打尽だ!
「サファイアにエルファウル! 死にたくなけりゃ出てこいや! 打ち出の
空気塊を勢いよく叩きつけた直後に水柱が立つ。
サファイアとエルファウルは…ちっ、やはり避けたか。
サファイアは海面に立ち、エルファウルは空中を飛行している。
多分水飛沫に紛れて脱出したな。
「おい白夜! いきなりエンジン上げんなよ!」
「危なかったわ。あのまま水中で気を伺ってたら即死していた」
「そのまま死んどけよ。ま、これで二人とも海上へ出たな」
降下し海面に触れる。
さっきまでは水中呼吸のアドバンテージを生かすために水中戦してたが、実際に戦ってみたらそんなこと無かった。
だからそもそも水中戦をできないようにする。
「
「な、その技は!」
「あぁ、海水の結束力を強めた! これでてめぇらはもう海中へは潜れねぇ!」
結束力を強めた範囲は俺を中心に直径二キロくらい。
海水は範囲外から持ってこれるだろうが、もう海中というフィールドで戦わなくて済む。
俺も水中呼吸のアドバンテージを捨てることになるが、海水による飽和攻撃よりはマシだ。
「ふぅ~ん、まあ私には関係ないわね」
「だろうな。だが、そう簡単に倒せるとは思わないことだな」
盤面はリセットした。
ここからが本番だ!