死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。 作:鬼獣八紅
「
海面を滑りサファイアに接近する。
何だかんだ言って、この状況で楽に相手出来るのは辛うじてサファイアの方だ。
「ちっ、海水は…遠いがいけるな。オーシャンブラスト!」
「
元は
だが、攻撃を防ぐだけならこれで充分。
「っ、防ぎやがるか」
「鬼の
「!、アクアサーファー!」
滑走しながら土魔法で生成した土塊を飛ばす。
サファイアは波に乗り回避しながら攻撃を続ける。
本来は隙を付き接近したいところだが…。
「ヘイルアロー!」
「ちっ、俺から狙ってくるか!」
この戦場の上空にはエルファウルがいる。
下手にサファイアばかりに集中したら横からエルファウルにやられちまう。
「っ、ちょこまかと…」
「そりゃ氷の矢なんてもん躱すに決まってるだろ! それえより、俺ばかりに気を取られてていいのか?」
「!、まず─」
「鉄砲海流!」
「ウィンドシフト!」
だが、それはエルファウルも同じ。
俺への攻撃を中断しサファイアの攻撃を防ぐ。
「…サファイア、今は白夜を倒すために協力しましょう」
「はっ、どうせさっきの俺みたく途中で裏切るのが目に見えてるっての!」
「…そうね、サンダ!・ペセル!」
「あぶねっ!」
エルファウルの投げた槍はサファイアの横をカスメ海面に突き刺さる。
つまり、あの槍は今エルファウルの手元に無い。
「やっぱ躱すわよね」
「今だ!」
海面に突き刺さる槍の柄を握り引き抜く。
「っ、さっきの雷か」
さっきこの槍に付与された電気の残留で腕がいてぇ。
だが、耐えられないほどじゃない。
「暴れんじゃねぇ!」
曇天・幽で槍を殴る。
こういうのはひたすらダメージを与えれば込められた力が抜けるもんだ。
「な?! やめなさい!」
「誰が止めるか! それにお前、この槍がねぇと魔法のコントロール上手く行かないだろ!」
「?!」
「その反応な図星だな!」
エルファウルが槍を投擲する前と後じゃ魔法の精度が少し落ちていた。
アレは魔法の制約と言うよりは癖やルーティーンの欠落の挙動だ。
少なくとも、槍が無くなれば百パーセントの実力を出せなくなる。
ひっこめれば修復されるとはいえ、ひっこめるには接触が必要な関係上直ぐに修復されることもない。
「だからとっとと折れやがれ!」
「魔槍カナン! 戻りなさい!」
「なっ?! させねぇよ!」
謎の力で槍がエルファウルの方へ引っ張られる。
風とかは感じないから魔法じゃない。
それにこの感覚、
考えられる可能性は二つ。一つ目はエルファウルが魔法二つ持ちの可能性。二つ目は変身アイテム─
前者の場合は固有魔法二種持ちになるため現実的ではない。
後者の方が可能性はあるが、組織で一番
いや、あいつのことだから『え、とっくに知っとるもんだと思っとった』とか言いそうだ。
それに幹部内で投擲武器使いはアギトだけだ。
そのアギトの武器、三叉槍
言っても引き寄せる性質を利用できる者が居なかったから言わなかったのか?
「くっ、力強いわね…」
「そりゃ鬼だからな!」
今そんなこと考えても仕方ない。それはそれとして後で絶対問い詰める!
「おいおい俺も混ぜろ! オーシャンブラスト!」
「っ、一旦カナンは諦める!」
「うおっと?!」
いきなり引っ張るの止めたな。サファイアの妨害か。
だが、魔法少女がそう簡単に変身アイテムを諦めるわけがねぇ。
直ぐに次の攻撃が来る。
「雷雲よ!」
「雷雲…まさか!」
エルファウルが腕を掲げると同時に上空に雷雲が発生し光を遮る。
あんなもの発生させたらやる事なんて一つしかない。
「フュルフュール・レイン!」
エルファウルが掲げていた腕を降ろす。
それと同時に無数の雷が落ちてくる。
「アクアサーファー!」
「鬼滑!」
雷の落下速度は速いがまだ全力で走ればギリ回避できる。
だが如何せん範囲と数がヤバい。
俺が作った直径二キロのフィールド、その全範囲をカバーしている。
早めに対処しねぇと、先に俺の体力が尽きちまう。
「鬼の礫じゃ飛来中に雷で消し炭だ、近づくしかねぇ!
空中を蹴り距離を詰める。
雷は実体が無いから唐傘旋風でも防げない。
その上空中では速度が落ちて更に回避しにくくなるが、まだ対処可能だ。
「っ、墜ちろ!」
「思い通りにはならねぇよ!」
エルファウルの野郎、全域に落としていた雷を俺に集中させやがった。
…仕方ねぇ、優位を一つ捨てるか。
「そういやお前、槍返してほしそうだったな! 返してやるよ!」
「…!、まさか─」
「略奪・
エルファウルから奪った槍─魔槍カナンを投げ返す。
無論、全力でだ。
「戻れ魔槍カナン!」
「そうだよなぁ! やっぱ受け止めるよなぁ!」
俺が投げた魔槍カナンの速度はかなり出ていた。
例え変身アイテムだったとしてもあの速度で命中すれば大怪我必至だ。
そして当然、それだけの威力の槍を受け止めるために意識を裂けば雷はまばらになる!
「なっ、しま─」
「
「がはっ!」
よし、エルファウルを叩き落した。
だけど雷はやまねぇ、多分だが雷雲自体がエルファウルの魔法から独立してやがる。
雷雲を退かさねぇとまた雷が来る。
「エルファウルは頑丈だ、今の一撃で死んだとは思えねぇ。復活する前に雷雲散らさねぇと」
狙うは中央、一撃で消し飛ばす。
再度発生させるかもしれないが、発生させる前に攻撃し続ければいいだけだ。
「
「カレンツ・シーサーペント!」
「なっ?!」
やべぇ! 完全にサファイアの存在が頭から抜けてた!
「ぐはっ!」
クソッ、横っ腹に完璧な一撃入れられた。
肋骨は…折れてなさそうだな。オウルのバフで何とかなった。
「ガハハ! ようやく隙を見せたな! オーシャンブラスト!」
「クソッ、鬼滑!」
無数の海水のレーザーがフィールドに降り注ぐ。
一応躱せるが、これフィールド持つか?
俺が作ったフィールドは海面の結束力を高めているだけだ。ビルドの様に完全な結合じゃない。
このまま攻撃が続けばフィールドが壊れちまう。
「はぁ…はぁ…、よくもやってくれたわね」
「っ、エルファウルの野郎もう復帰して…いや待て」
エルファウルは起き上ったばかりで状況を理解していない。
その上まだ体勢を立てなおせてない。
今なら掴める。
「早く復帰しないと」
「逃がさねぇよ!」
エルファウルの腕を掴む。
「な?! 放しなさい!」
「放すかよ!」
狙うは空中にいるサファイア。
チャンスは一度、確実に決める。
「え、ちょ、待ちなさい!」
「行ってこいや! 伊吹山一本背負い!」
エルファウルをサファイア目掛け投げ飛ばす。
「鬼脚!」
即座に投げ飛ばしたエルファウルを追う。
「っ、エアロタックル!」
「な?! ぐはっ!」
「おいおいマジか!」
咄嗟に体に風を纏って衝撃吸収と攻撃を行いやがった。
サファイアのダメージは甚大、とてつもなく都合がいい。
「この…ふざけやがて!」
「ナイスだエルファウル!
二人の上に移動し曇天・幽を振りかぶる。
この位置なら二人同時に攻撃可能。
ついでとばかりに魔力による身体強化も追加だ!
「打ち出の大鬼槌!」
「パズズウィング!」
「オーシャンアーマー!」
双方の技がぶつかり合う。
「ちっ、何てパワーしてんだ!」
「サファイア! もっと出力上げて!」
「クソッ、何で張り合えてんだよ!」
こっちは身体強化に加え足場まで作って振り下ろしてんだぞ。
というか二人の風と海水が突出してきている。
これじゃ押し潰す前に空気塊が壊れちまう。
《バキッ》
「っ、言ったそばから!」
今絶対空気塊割れたよな。
仕方ねぇ、叩き潰すのは諦める。
「オラァ!」
だから空気塊を横にずらす。
「え?」
「なっ?!」
よし、張り合う対象が無くなったからバランスを崩した。
この隙に横にずらした空気塊を叩きつけ─
「させないよ!」
「!、後ろ?!」
さっきまで後ろに気配はなかったのにいきなりできた?
それにこの声はミヤの通信に乗ってたのと同じ、つまり今後ろにいるのはリリートック!
何故このタイミングで?
と言うか背後を取ったということは、この後に来るのは銃弾!
「
「ワイヤーバレット!」
「な!? 弾丸じゃない?!」
確かに後ろから銃声が聞こえたが実際に発射されたのはワイヤー、身体に巻き付き拘束される。
だけど何故だ? 銃声からして銃の種類はレイヴンと同じハンドガン、あきらかにワイヤーが入るサイズじゃない。
これは空間系魔法とみていいか?
いやまだ断言するには速い
「クソッ、結構硬いなこれ!」
「特性の鋼鉄製ワイヤーだ、五百キロまでは耐えられる! それよりエルファウル、やれ!」
「リリートック、来てたのね。わかったわ!」
エルファウルが魔槍カナンを構え突っ込んでくる。
あの威力は人骨牢じゃ防げないし、ワイヤーを脱出する時間もない。
鬼脚で逃げようにも拘束されてる状況じゃどっかでバランス崩して墜落する。
ならばやる事は一つ。
「オラァ!」
「なっ!」
「お前も道連れだ!」
口でワイヤーを掴みリリートックを引き寄せ辛うじて動く掌で掴む。
そして、リリートックを俺の目の前に持ってくる。
このまま突っ込めばリリートックも巻き込む。
これでエルファウルが躊躇してくれれば御の字だ。
「顔を合わせるのは初めましてだなリリートック。早速だが質問に答えろ、お前の魔法は空間系魔法か? 黙秘、又は関係ないことを一言目に喋ったらYesと判断する」
「こちらこそ初めまして
「おいおい嘘は……マジかよ」
こいつ、嘘をついてねぇ。
だとしたらこいつが持っている魔法の権能の一つがテレポートだってことだが、マジでどんな魔法だ?
「それよりいいのかい? 私にばっか意識を向けて」
「それはどういう…おいおい嘘だろ!」
エルファウルの野郎、一切速度緩めてねぇ!
このままじゃリリートックごと貫かれるぞ!
「っ、無理してでも鬼脚で逸らし─」
「させないよ!」
「なっ、てめぇ!」
こいつ、持ってたフックステッキで足をずらしやがった。
これじゃあ空中を蹴れねぇ。
「エルファウル! 私ごとやれ!」
「フロスト・ペセル!」
《グサッ》
「ぐ…がはっ」
「ナイスだエルファウル…」
リリートック、マジで自身ごと貫かせやがった。
「えぇ、よくやってくれたは」
「く…このっ!」
今の一撃でワイヤーが切れた、ひとまずこれで脱出できる。
「こいつ邪魔だ!」
「なっ、リリートック!」
ついでとばかりにリリートックをエルファウルへ投げ返す。
余程屑な魔法少女じゃなければ受け止める。
そして予想通り、エルファウルはリリートックへ意識を向けた。
「傷は…深いが戦闘継続不可能なレベルじゃないな」
ひとまず魔法で傷口を塞げば何とかなる。
がだ完全に接合したわけじゃないから激しく動くと傷口が開きかねない。
「ひとまずこれで大丈夫だ。魔法少女どもはまだ動いていないな。サファイアは…っ、やらかした!」
サファイアの姿がどこにもねぇ!
恐らく魔法少女とやり合ってる間に姿眩ましやがった。
「クソッ、マジでどこ─《ゴゴゴゴゴゴゴ》─!、この音…下か!」
直後、海面のフィールドが浮き上がる。
この衝撃で海面の結合は切れた。
多分だが海面フィールドを下から持ち上げやがったな。
と言うかこの後来るのは…、ひょっとしなくても津波か!
「…サファイア、なりふり構わなくなったわね」
「何か知ってるのか?」
「今までサファイアはコスパ気にしてわざわざレーザーで攻撃していた。だけど本来は、今みたいに津波一つ起こせば全て片付く」
「ちっ、じゃあ今まで舐めプしてたってのか」
「いや、単に使うメリットが今までなかったのだろう」
あぁ、確かにそうかもな。
わざわざ数名の敵相手に対軍様の技を使用するメリットがない。
そんな大技を切ったとなると、俺たちに対し使うデメリットよりメリットが上回ったか。
「…ん? そういや今の声…」
「私だ」
「は? 何でお前の怪我が治ってんだ?!」
エルファウルに俺と共に貫かれたはずのリリートックの腹の傷が塞がってる。
それにコスチュームに付いていた血痕もない。
さっきの質問で確定はしていたが、明らかに空間系魔法の範囲を逸脱している。
「私の魔法の効果だ。まあ、どんな魔法かはいうつもりはないがね」
「ち、まあそうだよな。で、対策はあんのか?」
俺の魔法による結合じゃ津波のエネルギーに耐えられない。
足止め出来て数秒が限度だ。
「私が正面から消し飛ばす」
「そうか、頼んだぞエルファウル!」
「えぇ…あなたごとね!」
「っ、そうだよな!」
直後、この戦いにおいて最大風速の風が吹き荒れる。
そりゃエルファウルにとっては俺も敵だ、気にする必要はない。
「リリートック、私に掴まって」
「了解!」
「行くわよ、デス・ストーム!」
っ、エルファウルもギアを上げて来やがった。
しかし本格的にマズい、俺の魔法と規模が違いすぎる。ほぼ自然災害だろこれ。
術者本人狙えば何とかなるかもしれないが、そしたらもう一人の対処ができない。
同時に攻撃しようにもそんな方法あったらとっくに試してる。
「
確かエルファウルとガレンゲージはライバル関係だったはず。
この情報を使えば少なくともエルファウルは動揺する。
その隙にエルファウルから叩く。
「おいエルファウル、お前結構ガレンゲージと仲良かったよな?」
「…向こうが勝手に突っかかってくるだけ」
「ならよかったな。ガレンゲージ死んだぞ」
「…は?」
よし、エルファウルの動きが止まった。
今の内に叩き潰す!
「…許さない」