死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。 作:鬼獣八紅
セレネを仲間にしたのち、優真達は異空間倉庫から外に出た。異空間倉庫の出口は巨大桜の前だ。
「これから本来の目的であった本部作りだが…どうするよ?」
優真達が月に来た目的は、誰にも見つからない本部を作るためだ。それがいきなりアルがはぐれたため探したり、セレネとの戦闘だったりで本来の予定と大分ずれてしまったのだ。それに本部の構想についても何も決まっていない。
「取り敢えず希望聞けば?」
「そうだな、何か希望あるか?」
「大きい研究所があれば何でも」
「果物たくさん食べたい!」
「狭くて暗い部屋が欲しいです」
相談したら全員の希望がバラバラだ。
「私が建築いたしましょうか?」
「出来るのか?」
すると、セレネから自分が建築すると提案した。
「はい、本部を建築するだけの技術だけは持ち合わせております」
「そうか、それなら本部の建築はお前に任せる。灰崎さんは本部の設計を頼めるか?」
セレネはあくまでも技術だけを持っていると言った。なら設計は出来るかわからないセレネより、確実に出来る灰崎に頼んだ方がよい。
それに、灰崎が希望した研究所は本人しかどういう構想なのかわからないので、灰崎本人が設計した方が後々困らない。元花の希望は直ぐに出来るし、アルの希望はそもそも建物ですらない。
「わかったよ、暫く待ってくれ。それとセレネ借りるぞ」
そうして灰崎はセレネにパソコンを接続した。
これによりセレネが外付けhddの役割りをし、パソコンの性能が格段に上がるのだ。
「頼む、その間に材料は集めておく」
辺り一面森林なので、材料は取り放題なのだ。
そうして灰崎とセレネを除く四人は少し離れた所に移動した。
「
まずは環が木を操作して真っ直ぐにしていく。
「
次に優真が真っ直ぐになった木を木材の形に切り抜く。
「「うんしょ、うんしょ」」
そして切り抜いた木材をアルと元花が運搬する。
「この作業を続けるぞ」
「「「おー!」」」
◇◇◇
三時間後…。
「おーい、設計終わったぞ」
「了解、それじゃあ休憩するぞ」
灰崎の本部設計が終わり、材料収集していた全員が作業の手を止める。
「ふ~疲れた、そうだ、
「やったー!」
「ありがとうございます」
アルと元花は、環が作り出した果実を食べに行った。
「灰崎さん、あの三人が休憩中に設計図見せてくれるか?」
「わかったよ。はい、これが設計図だ」
灰崎の作った設計図に描かれた建物は、全体的に和といった雰囲気だ。
内部は二階建てでとても広く、日本の高級旅館のような感じだ。
そして建物の下には地下室らしきスペースがある。
「取り敢えずこんな感じだが、どうだ?」
「いい感じだ。それに、設計は灰崎さんに一任したからな、こちらからの文句は無いし、実際に生活するのは灰崎さん達だろ」
優真と環は自宅に部屋があるため本部で生活するのは灰崎、元花、アル、セレネだ。
なので普段生活する人達が良ければそれでいいのだ。
「それでは、これより建築を開始します。よろしいですか?」
「ああ、始めてくれ」
「かしこまりました」
するとセレネは、第二形態の時の掌を出現させ、手に鑿と金槌を持った。
セレネは鑿と金槌で木材を削っていく。
その間に4つの掌で建設予定地の整地と地下室のスペース確保も並列して行っている。
「こちらを運んで組み立ててください」
セレネが掌に指示を出し、指示を受けた掌が加工された木材を運び設計図通りに組み立てていく。
「手が足りませんね」
さらにセレネは背中から鑿と金槌を持った腕を二対生やし、作業ペースを上げる。
「いや~すごいね」
「ああ、これならあと一時間あれば完成するだろ」
優真と灰崎も感心して作業光景を見ている。
そして灰崎の予想通り、一時間後に本部は完成した。
「本当に完成したよ…」
「俺もまさか出来るとは思ってなかった」
「おおー!」
「すごいです」
「ねね!早く中に入ろ!」
男子二人が驚いているのとは対照的に、女子三人はテーマパークに来たのかってくらいのテンションになっている。
「環様の言う通り、中をご案内致します」
セレネに連れられて五人は中に入る。
中に入ってまず目につくのは、吹き抜けのエントランスの中央にある五メートルほどの桜の木彫りだ。まるで本物の桜に見えるほど精巧に彫ってある。
「ここがエントランスです。一階に浴槽、調理場、食事スペース、倉庫、会議室、事務室がございます。二階にはそれぞれの個室と客間があります。お手洗いは一階と二階両方にございます」
セレネの説明が終わり、それぞれが本部の見たい所を見てまわる。
「すげぇ、個室が全て畳だ」
「兄さん浴槽もすごく広いよ!」
「おーい、そろそろ地下室へ行くぞ」
それぞれが見てまわっていると、灰崎から地下室へ行くと全員が呼ばれる。
「全員来たな、それじゃあ地下室への移動方法の説明しとくぞ」
セレネから灰崎へ説明担当が代わり、灰崎の案内で移動していく。
「地下室は会議室に入り口がある。地下室の行き方は基本的に幹部にしか教えない方がいいが、優真はどうする?」
「それでいいよ、地下室は多分だが幹部専用部屋みたいな感じで設計したんだろ?」
「その通りだ、まあ今は幹部しかいないがな。それじゃあ着いたし説明するぞ」
灰崎は会議室の何も入っていない本棚の着いた壁の前に移動する。
「いいか、入って直ぐ左の本棚の下から五番目の棚と三番目の棚を同時に押す。そして四番目の棚を押すと…『ゴゴゴゴ』地下室への入り口が開かれる」
灰崎が操作した本棚が右に音を立ててスライドする。すると本棚の奥から地下室へと続く階段が現れる。
「それじゃあ行くぞ」
灰崎が先頭で下へ降りていく。
「ここが地下室、研究所と幹部部屋がある。そしてその奥にはボス部屋がある」
「ボス部屋ってどういう感じだ?」
「見ればわかるよ」
灰崎の案内で奥へと進んでいく。
「ここがボス部屋だ」
地下室の奥にあるボス部屋は、異世界漫画にある魔王城の際奥の部屋のような感じだ。
「優真は中央の椅子に座って堂々としたりしてればいい、ボスはそういうものだからな」
「ああ、とはいえ俺は普通に部下と一緒にいろいろするつもりだがな」
「言うと思ったよ」
灰崎は優真と関わりを持ってまだ日が浅いが、何となくだが優真が普通のボスのように椅子に座ってふんぞり返るような性格ではないことはわかっていた。
「あ、そういえば、灰崎さん、椅子の裏にワープゲートを設置していいか?」
「いいぞ、何だってこの部屋は優真の部屋なんだからな」
優真は椅子の裏に移動する。
「それじゃあ、ワープゲートっと、このゲートは開きっぱなしにしとくから地球への移動に使ってくれ」
優真が設置したのは地球と月を繋ぐためのワープゲートだ。これにより、優真がいちいちワープゲートを開かなくとも、幹部だったら誰でも自由に行き来できるようになった。
「それじゃあ各自、荷物取りに一旦地球に戻るぞ」
◇◇◇
優真がワープゲートを繋げた先は、黒榊家の空き部屋だ。
その部屋に移動し、それぞれが荷物をまとめる。
「ん?何だこれ」
たまたま郵便受けを確認した優真が何かを取り出す。両親が死亡してからは新聞も取ってないので郵便受けはあまり使われていなかった。
「えっと…環宛だな、環ー!お前宛に手紙?が届いてるぞ!」
「どこから?」
「えっとな…『全日本魔法少女連盟』?」
今後出す暇が無いのでここで出す設定
セレネは設計する技術は持ってますが、デザイン力があまり無いので、優真が灰崎に頼んだのは結果的に正解